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持続可能的計画経済論(連載第39回)

2018-08-27 | 〆持続可能的計画経済論

第9章 計画経済の世界化

(3)世界経済計画機関
 グローバルな計画経済の実務機関となるのは、世界経済計画機関である。これは各領域圏の計画機関である経済計画会議の総本部に相当する機関でもあり、グローバルな計画経済が最終的に確立された暁には、同機関が策定した世界経済計画の総枠内で各領域圏の経済計画が策定されるシステマティックなものとなる。
 この世界経済計画機関は全世界の領域圏で構成する世界共同体の専門機関の位置づけを持つが、現存国連諸機関のような官僚制的行政機関ではなく、各領域圏の経済計画会議と同様に、生産企業自身の共同計画を策定する合議制機関である。
 その構造は各領域圏の経済計画会議の相似形となる。すなわち、世界経済計画機関の意思決定を担う執行部(上級評議会)は計画経済の対象となる環境負荷産業分野の生産事業機構の世界組織である生産事業機構体の代表者で構成される。
 生産事業機構体とは、例えば鉄鋼なり自動車なり計画経済の対象となる生産事業機構で作る世界組織である。資本主義経済にはこれに該当する組織は存在しないが、強いて現存する類似例を挙げるとすれば、世界鉄鋼協会(World Steel Association)とか国際自動車工業連合会(Organisation Internationale des Constructeurs d'Automobiles)といった国際的な業界団体をイメージすればよいと思われる。
 資本主義体制の下では、こうした国際業界団体はあくまでも業界ごとの国際的な利益代表組織であり、生産活動そのものの調整を行なうことは国際カルテルに当たり、むしろ禁止される。しかしグローバルな計画経済下の生産事業機構体は単なる業界団体ではなく、まさに世界計画経済の主体的組織となるのである。
 こうして生産事業機構体が世界経済計画機関を通じた審議のうえで策定した世界経済計画は、世界共同体の民衆代表・意思決定機関である総会(世界民衆会議)で審議を受けなければならない。その結果、可決された世界経済計画は、条約に準じた規範性をもって各領域圏を拘束し、各領域圏レベルでの経済計画の準拠指針となる。

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