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民衆会議/世界共同体論(連載第33回)

2018-03-05 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第8章 世界共同体の組織各論②

(1)非官僚制的運営
 国際連合や欧州連合といった現行国際機構に付きものの欠陥は、官僚主義である。これらの機構は固有の主権を持たないが、それゆえにかえって政治職が名誉職化し、実務を仕切る官僚制がはびこりやすい体質を蔵している。
 民際機構としての世界共同体(世共)は、このような官僚主義から自由な存在でなくてはならない。前回まで見てきたように、世共が世界民衆会議を軸に成り立つのも、官僚主義を抑制して民衆会議を核とする民衆統治を徹底する趣旨である。
 世界民衆会議は各領域圏民衆会議が選出した代議員で構成されるのであるが、それら代議員は官僚としての外交官ではなく、民主的な基盤を備えた政治職として世共運営の中心を担う。そのうえで、汎域圏民衆会議が選出した汎域圏常任全権代表で構成される汎域圏代表者会議が世共執行機関としての役割を担うことで、執行の側面でも政治職に実質的な権限を保障する。
 そればかりでなく、具体的な機関構成の点でも、非官僚制的な運営が目指される。世共事務局は独立した主要機関ではなく、世界民衆会議の下で文字通りに世共の事務処理を担う実務機関に純化され、その長たる事務局長も実務責任者以上の権限を持たない。
 また各分野ごとの主要機関についても、現行国連のように総会と並立する形で安全保障理事会や経済社会理事会等が置かれる縦割り主義的な構制ではなく、世共総会の位置づけを持つ世界民衆会議の常任委員会として置かれる。従って、これら主要機関の運営に当たる理事職は、世界民衆会議代議員が兼任することになる。
 実際のところ、世共事務局や各主要機関その他の世共帰属機関の一般職員は世共公務員としてある種の官僚ではあるが、これらの実務職員は必要最小限に抑え、世界民衆会議代議員が実質的な権限を発揮できるようにする。

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