ザ・コミュニスト

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年頭雑感2018

2018-01-01 | 年頭雑感

昨年の漢字は「北」だという。理由はよくわからないが、ある解説によると、北朝鮮のミサイル問題が選字の要因の一つになったという。たしかに、昨年は北朝鮮が軍事的に激しく活動した。その北朝鮮と舌戦を展開したトランプ米政権の発足も「北」の出来事である。

ここ数年持ち越しのイエメン内戦、シリア内戦下での難民飢餓、ミャンマーのロヒンギャ虐殺等々も、おおむね地球の北側(北半球)の出来事であったが、南側もサハラ以南アフリカを中心に種々の苦難に見舞われている。

いずれにしても、昨今はこうした南北の地球的問題をうまく解決する能力を国際社会が喪失していることが問題である。国際連合が機能せず、せいぜい型どおりの非難決議や制裁決議を出すばかりで、実質的な調停や救援の能力を発揮できない。

主権国家の増殖により、国連も200近い加盟国を抱えており、もはや統一的かつ実効的な意思決定をするには多すぎる加盟国数である。そのうえにトランプ政権に象徴されるような自国優先主義の潮流が主要国の間にも広がってきている。南北いずれの懸案も、今年解決するという見込みはない。

皮肉なことに、これら自国優先主義は呼号する「自国」の内部でも移民・少数派排斥政策により社会の分裂と不和を招き、国としての市民保護機能を果たせなくなっているのである。国家というスキームの終焉的な姿が露呈しているわけだが、こうした傾向は今年、一層顕著になるかもしれない。

さて、今年2018年は次の十年である2020年代へ向けてのカウントダウンの年とも言える。当ブログも今年で開設八年目を迎えた。主軸としてきた『共産論』も昨年二度目の改訂を終え、完成版に近づいている。その中で提唱してきた「自由な共産主義社会」へ向けた革命の芽はどの程度見えてきているだろうか。

短期的に見るなら、ほとんど何も見えてこない。それどころか、ますます遠ざかっていくようにも。だが、長期的には56パーセントの確率をもって人類は共産主義社会の建設に向かうと予測する。言い換えれば、残りの44パーセントは向かわない予測となる。

五分五分よりは幾分確率が高い56パーセンテージは微妙に控えめな半端数字であるが、次のような筆者なりの人類観に基づいている。

人類という動物は想像以上に頑固な保守的習性を持つから、資本主義の放棄は容易でなかろうが、今後、環境悪化・生活不安・人間劣化に加え、文明劣化という資本主義の矛盾・桎梏がいっそう表面化すれば、何らかの覚醒的な変化が起こるに違いない。

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