ザ・コミュニスト

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子どもが紡ぐ地域社会

2012-05-05 | 時評

子どもの日である。だが、この日の主役たる子どもの姿が見えない。かつては子どもたちの笑いさざめく声が響いた筆者の住む郊外団地でも、子どもの姿はめっきり減った。代わって高齢者が増え、団地内は昼間から閑散として静まり返っている。

4日に発表された総務省の人口調査によると、子どもの数は31年連続で減少し、過去最少を更新というから、さもありなんである。

子どもの数が減少の一途を辿ってきた過去約30年は、地域社会の解体過程とも軌を一にしている。考えてみれば、かつての地域社会では子どもが影の主役であった。同年代の子どもたちを通じて、その母親たちが知り合いになり、コミュニティーを横につないでいたのだ(反面、仕事に没頭する父親たちの影は既に薄かった)。

従って、子どもの数が減少すれば、子どもが紡いだ地域社会も解体していくのは必然である。

これに対して、地域社会の再生がスローガンとしては叫ばれるが、外出機会の減る高齢者中心では地域社会の再生も虚しいかけ声だけに終わる。地域社会再生のカギはやはり子どもの復権にある。

この点、資本主義体制での「少子化対策」は専ら将来の労働力確保という観点―要するに資本主義の延命策―に偏るが、そういう狭い了見から脱して、地域社会の再生―それは日常の暮らしの回復を意味する―という観点から、子どもを増やすことを考えてみるべきではなかろうか。

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