対局日誌

ネット囲碁対局サイトでの、私の棋譜を記録していきます。
全くの初級者がどう成長していくか、見守ってください。

棋書評「碁どんどん勝てる3分間問題集」

2012-02-17 23:55:55 | 棋書


「碁どんどん勝てる3分間問題集」
(二見書房:趙治勲著)

ライターは江木久直。

大体「どんどん勝てる」だとか「3分間」だとか、
サブタイトルの「簡明流」なんていう
読者に甘い言葉が並んでいるハウツー本には
囲碁に限らずろくなものがないが、
本書も残念ながらその例に漏れずつまらない本。

…じゃあ、何で紹介するのと言われると
「ネタにつまったから」…なのだけれど。
申し訳ない。

形式はよくある問題集形式。

基礎死活や級位者向けの9子局の打ち方を解く一方で、
大斜定石やプロの妙手を紹介したりと、
ごった煮にもほどがあるという内容がダメ過ぎる。

まぁ、その一方で個々の問題中には、
それまでやその後の「治勲流」の
ダイジェスト的な考え方もあって、
全部が全部、役に立たないというわけではないけれど。

1.序盤「この定石で打ちなさい」
「この簡明策で『置き碁』なら負けない」(4テーマ)
「コレだけ覚えて星の定石、フル活用」(21テーマ)
「実戦でぐんぐん強くなる互先までの定石」(6テーマ)
「どこにでも顔を出す互先定石、これだけは」(11テーマ)
2.中盤「この手筋で打ちなさい」
「この実戦テクニックが勝ちを決める」(4テーマ)
「この手筋を知らないと碁にならない」(23テーマ)
3.死活「この法則で打ちなさい」
「ただヨムだけでは勝てない死活の重要点」(16テーマ)
4.終盤「このヨセで打ちなさい」
「たちまち差がつくヨセの原則がある」(4テーマ)
「名局と打ち碁、私の囲碁講座」(2テーマ)


「こんな本でも出版できた」
という今では考えられない時代を伝える遺産として、
ある種の感慨を呼び起こす効果はあるが、
お金を出してわざわざ買うような本…でもないと思う。

【追記】
尚、問題の余白を使って趙先生の当時の日常や
囲碁史、講座、名局などについて書いた一口コラムが掲載されており、
こちらは気軽に読める上に、結構面白い。

幽玄の間の「無駄な機能」

2012-02-16 23:55:55 | 雑談
幽玄の間」が出来て数年経つはずだけれど、
最近になって知った機能。
それは「対局中」に「棋譜の検討機能」が使えるということ。

つまり「対局中に」脳内でなく実際に盤上に石を並べて
手の確認をするというリアル対局では考えられないことが出来る。
考えられないので機能に数年間気づかなかった…というわけ。

実際のところは一々並べている間も考慮時間は減っていくので、
時間的制約で中々使えはしないだろうけれど、
何となく実際に並べて検討されるというのは、
本を読みながら対局されるのと似た感じで気分はよくない。

前々から書いているように
対局中に「形勢判断」をPCがやってくれる機能は
アマチュアの上達を妨げるものだし、
(これで形勢判断して投げ場が綺麗になるわけでもないし)
それこそ百害あって一利なしの機能だと思うのだけれど、
加えてこんな検討機能がついていたのは、
ここで判定された棋力はとても正しいとはいえないと思う。

しかも無料会員は2回の回数制限があるが
有料会員は恐らく回数制限なしで使えるというのだから
対局の「公平性」という点でも大きな問題がある。

勿論、有料会員と無料会員は機能に差をつけるべきで、
だから私も月15局までしか打てないとか、
プロの棋譜を観れないとか、こちらから対局申し込みが出来ないとか
不便を承知した上で使用している(特に申し込めないのはしんどい)のだけれど、
それと対局の公平性とはまた別の話だと思う。

上記の機能は対局を鑑賞する時や感想戦時に限定するのが
自然だと思うのだけれど、こういう考え方は少数派なのかなぁ?

他の人が同様のことを言っているのを聞いたことがないのが、不思議で仕方ない。

…そんなに上達に資しない、ヌルい対局がしたいですか?

棋書評「山田規三生の碁」

2012-02-15 20:55:15 | 棋書


山田規三生の碁」(MYCOM:山田規三生著)

世界一わかりやすい打碁シリーズの第4弾。

第1局 vs井山プロ(王座戦)192手完(50譜)
第2局 vs劉昌赫プロ(三星火災杯第3局)185手完(50譜)
第3局 vs結城プロ(本因坊戦)122手完(31譜)
第4局 vs依田プロ(本因坊戦プレーオフ)245手完(50譜)
第5局 vs高尾プロ(本因坊戦第2局)206手完(51譜)
第6局 vs森田プロ(竜星戦決勝)204手完(54譜)
第7局 vs依田プロ(王座戦挑戦者決定戦)235手完(55譜)
第8局 vs柳プロ(王座戦第4局)141手完(37譜)

構成は「羽根直樹の碁」と同じく朴道純なので、
本の構成、コンセプトに関しての感想もほとんど同じ。
ただし1譜につき参考譜1つという縛りはやや緩くなっており、
また終盤や参考譜には10手近い長手数を進めている譜もある。
刊行時の印象はコチラ

山田規三生プロは昔「ブンブン丸」(懐かし)という異名があり、
攻めに強いというのが世間一般の碁の評価だが、
本書を一通り並べた感じでは攻めながら序中盤でリードを奪い、
後はじっくりヨセて逃げ切る、落ち着いた棋譜が多いなという印象。
「石取りでない」効果的な攻めを学ぶのには良さそう。

また比較的決まった定石を集中して打つ傾向があり、
同じ定石が複数回登場するので、その周辺の理解が深まるとも感じた。

採用された対局は山田プロのタイトル戦登場といった
大勝負を中心に構成されているが、
2年連続挑戦の王座戦は両方ともストレートで敗退したため、
1局も収録できなかったのは残念だったと思う。

変則布石

2012-02-14 20:55:15 | 雑談
今年に入って年初はそこそこ調子が良かったのだけれど、
プロ棋士ペア碁を観にいった辺りからツキの潮目が変わり、
今はトントンというところ。

そんな中で遭遇した対局にちょっと面白い布石構想があった。
私の白番。



それが上の黒1・3・5・7!

そして返す刀で全部三々!

この形は初めてみた。

勿論、白は星を打つ義理はないし、
三々に対しても他の変化も考えられたが、
相手の構想に興味を覚えて
「これで一局打ってみようか」
という気になった。

この後、白は当然、模様をいかすべく
黒を攻め立てたわけだけれど、
逆に右下のカベがカベ攻めにあい中押し負け。

そこで気になるのが形勢判断。

白58の時点では白悪からずと思っていたのだけれど、
実際のところこの辺りでの形勢はどうなのだろう?

1.白良し。
2.互角
3.黒良し。白はもっと前で変化すべき。

局後に自分なりに反省したところ
白58の踏み込みが甘く、60の辺りまでいくべきだったかも、
という結論だったけれど、それで白良いという自信もない。

こういう実験的手法は嫌いではないので、
別に勝敗はどうでもいいのだけれど、
この時点での形勢判断とその後の打ち方の指針は、
「厚みを活かす」
という点で大事なポイントという気もするので、
もうちょっと明確な結論、確信を得たいなと思っている。

将棋電王戦が早くも書籍化

2012-02-13 21:55:55 | 雑談
今日、書店に立ち寄ったら
先日の「将棋電王戦」の様子が、
早くも書籍化されていて驚いた。

商魂逞しい…というのはかなりイヤな見方で、
注目を集めているこの機会を
最大限に活かしたというべきなんでしょうね。

中央公論社からの出版でタイトルは「われ敗れたり」。

タイトルの通り米長会長からみた将棋電王戦の裏事情に加え、
当日までの様子や自戦解説、
ニコニコでの記者会見、
プロ棋士やコンピュータ技術者といった
関係者へのインタビューなどを収録。

米長会長からの視点が大半なので、
コンピューター側の視点、解説が少なく、
学術的な分析に不足を感じる。
一方で記者会見は全部を収録しているので、
つまらないやりとりも結構あってこちらは冗長。

関係者へのインタビューも雑談の域を出ず、
もう一つ面白味には欠けたけれど、森下プロが
「プロのコンピューターが同じルール上で対局するのでは
 最早、人間側が相当厳しい」
と述べていたのが目を引いた。

早めに出した分だけ深みには欠けるけれど、
来年の第2回への興味をつなげるという部分では、
効果はあるかなという気はした。

2/12の「囲碁将棋フォーカス」

2012-02-12 19:55:15 | 雑談
今日、2/12の囲碁将棋フォーカスは…見損ねたぁ
再放送を要求するぅ(無理)!

外出していたのでワンセグで観ようと考えていたのだが、
電車で「隅の簡潔詰碁」を解いていたら夢中に(?)なって…。
気づいた時には特集コーナーが終わっていた…。

しかも先日のプロ棋士ペア碁選手権が題材だったのよねぇ。
翌日の囲碁将棋フォーカスに登場しなかったので、
あるいは先送りかとは思っていたのだけれど、確認も忘れ…。

私がカメラに映りこんでいなかったかが…気になる。

というのも去年は「囲碁将棋ジャーナル」に、
バッチリ映りこんでいたから。
もうナントカみたいに、ありとあらゆる場面に…。
中には遠方でここに投稿しようと、
携帯をいじっているシーンやら、
対局を身を乗り出して自分なりに考えている場面まで…。

どんだけぇ熱心なんだ、オレ!

というわけで今回は出来るだけカメラの反対側、
つまり撮影側から観戦するようにしていたのだけれど、
また熱心に見ているうちにウッカリ
カメラの先に立っている場面もあり…。

でもことごとく映っているのは恥ずかしいけれど、
一瞬ぐらいは映って爪痕を残したい気持ちもあって複雑(笑)。
私の顔知っている人、どうでした!?
あ、あと歩様の登場は…!?

棋聖戦の解説は半目勝負ながら結構序盤で解説が終わっていて意外。
想定していたシーンより全然前だったのだけれど、どうなのだろう?
例によって音声はないので、詳しい話はわからないのよね。

棋書情報「手順つき実戦詰碁100」」

2012-02-11 22:15:55 | 棋書
自由国民社から「手順つき実戦詰碁100」という本が出ている。
著者は石田芳夫。

問題成立までの手順があるという本は、
石倉プロの「世界一役に立つ実戦詰碁」、
絶版ながら大竹プロの「基礎死活の独習法」など類書があるが、
本書は前にあげた2冊と違い講座的要素が少ない。
普通の詰碁集と同じように問題図が掲示され、
その裏に3図で解説という構成が淡々と続く。

問題図の下にはタイトルの通り
問題成立までの手順が掲げられている。
しかし元となっている詰碁(多分「碁経集妙」辺り)に合わせるためか
やや不自然な手順、形も散見されるのが残念。

低段、級位者には魅力的内容とは思うが、
比較するなら私は前2著、特に石倉プロの方を進めたい。

ただし本書はA4サイズなのでかなり図が大きく、
年配の方にはこちらの方が読みやすいかも。


碁的×毎日終了?

2012-02-10 23:15:55 | 雑談
前に紹介した毎日新聞と碁的コラボサイト

昨年の11月頃から更新が止まっていたのだけれど、
今日久々にのぞいてみたら更新されていて、
碁的Nightのガールズコンテストで優勝された飯沢さんが登場していた。

…が、これを最後に更新終了…らしい。
むぅ…。

よくよく考えてみれば、前号の碁的が出たのは去年の6月頃だし、
そろそろ次の碁的へシフトチェンジ…ということなのかしら?

棋書情報「韓国の新しい試み」

2012-02-09 23:15:15 | 棋書
東京創元社碁楽選書の新刊「韓国の新しい試み」は、
平たく言えば近年の新型、新定石を解説した本。

一度出版された本の翻訳なので、
「現在の」最新型…とはいかないのは当然だが、
いつ頃の型かがもう一つ判然としない。



恐らく2005年前後の内容と思われるが、
その一方で薫鉉(チョ・フニョン)プロの得意布石として紹介されている
上の図の布石に対して、黒Aの手しか示されていないのが気になる。

というのも「李昌鎬ファイル」では1998年に黒Bの対抗策が登場し、
それにて「黒有利」と解説されているから。
黒Bに対しても有効な応手があるので素通りしたのか、
それとも意識的に触れなかったのか謎だ。

また両ガカリ、ミニ中国流、中国流について多くページを割いているが、
これらに関しては日本の棋書や李昌鎬の本でも解説されているので、
結構重複している知識も多く、取り立ててわかりやすいわけでもない。
それ以外の項では他の本であまり見たことのない型も散見したが、
本書でなければという部分にやや物足りなさを感じた。

最新でないのでプロの碁の観戦ガイドとしても不適。
使い方がもう一つ見えにくいように感じる。