「碁どんどん勝てる3分間問題集」
(二見書房:趙治勲著)
ライターは江木久直。
大体「どんどん勝てる」だとか「3分間」だとか、
サブタイトルの「簡明流」なんていう
読者に甘い言葉が並んでいるハウツー本には
囲碁に限らずろくなものがないが、
本書も残念ながらその例に漏れずつまらない本。
…じゃあ、何で紹介するのと言われると
「ネタにつまったから」…なのだけれど。
申し訳ない。
形式はよくある問題集形式。
基礎死活や級位者向けの9子局の打ち方を解く一方で、
大斜定石やプロの妙手を紹介したりと、
ごった煮にもほどがあるという内容がダメ過ぎる。
まぁ、その一方で個々の問題中には、
それまでやその後の「治勲流」の
ダイジェスト的な考え方もあって、
全部が全部、役に立たないというわけではないけれど。
1.序盤「この定石で打ちなさい」
「この簡明策で『置き碁』なら負けない」(4テーマ)
「コレだけ覚えて星の定石、フル活用」(21テーマ)
「実戦でぐんぐん強くなる互先までの定石」(6テーマ)
「どこにでも顔を出す互先定石、これだけは」(11テーマ)
2.中盤「この手筋で打ちなさい」
「この実戦テクニックが勝ちを決める」(4テーマ)
「この手筋を知らないと碁にならない」(23テーマ)
3.死活「この法則で打ちなさい」
「ただヨムだけでは勝てない死活の重要点」(16テーマ)
4.終盤「このヨセで打ちなさい」
「たちまち差がつくヨセの原則がある」(4テーマ)
「名局と打ち碁、私の囲碁講座」(2テーマ)
「こんな本でも出版できた」
という今では考えられない時代を伝える遺産として、
ある種の感慨を呼び起こす効果はあるが、
お金を出してわざわざ買うような本…でもないと思う。
【追記】
尚、問題の余白を使って趙先生の当時の日常や
囲碁史、講座、名局などについて書いた一口コラムが掲載されており、
こちらは気軽に読める上に、結構面白い。