MOVIE KINGDOM Ⅱ

映画に関する話題やライブ&イベント、ローカルなグルメ情報など色々話題を広げて行きます
ポイントは★~★★★★★★

No.03 「野球少女」

2021-03-06 16:20:00 | 2021年劇場鑑賞




関西は緊急事態宣言が解除された事により、映画館も20時終了の縛りも解け、レイトショーが復活しました
やっと劇場に本格的に私も足を運びやすくなりました
しかし…洋画があまりやってないのが現実です
もちろん邦画も良さそうなのはあるんですが、時間合わなかったり、レイト無かったりで…
そんな中アポロシネマで上映が始まった韓国映画を見て参りました

野球部に所属する女子高生が本気でプロ野球を目指す物語

我々世代はついつい韓国版野球狂の詩や!
と小躍りします
水島新司さんの人気マンガ
その中に登場する女子プロ野球選手水原勇気が活躍するドリームボール編はTVアニメ化され、毎週楽しみに見てました 
因みに実写版も作られて当時の人気アイドル木之内みどりさんが水原勇気を演じてました

で、今回の作品も韓国プロ野球入りを目指す女子高生が偏見にめげずに夢を追う姿を描くスポ根ものです
でもちょっとスポ根ものにしては地味と言うか、ロッキーのようなヨッシャー!とかのような高揚感、爽快感があまり無いんです
無いというより、そう言う風に描いてないと言うのが本当の所ではないでしょうか
女子の前に立つ大きな壁
それは野球のみならすあらゆる場面で昨今言われてる社会的な問題になってます
この映画はそんな側面を感じさせてくれます

主人公のスィンは野球は上手いけど、男子のレベルで行くとどうしても力と体力では敵わない、この映画はそこんとこを語ってるとこに意義があると思います
例えばスーパー女子が男子に混じって野球をし、160キロの快速球でバッタバタと男子どもを仕留めていく…それはそれで映画チックでもあり、面白い映画になるとは思いますが、この作品はそんな突飛なことはせず、力が無い分それを利用した方法を見つけ出す…それが魔球ドリームボール…ではなくてナックルボールなんですね
ゆっくりフワッと落ちるやつですね
力を抜いて投げる術を身につけようとトレーニングする訳です

また主人公は野球界で女子と言うだけで偏見を感じ、思うように行かない男世界の壁と女子ならではの力の足りなさにもがくんですが、彼女を取り巻く人達も何らかに挫折してる人達なんですね
プロに慣れなかったコーチ、仕事が見つからず、不正入試で逮捕までされる父親、一人家を切り盛りして疲れた感じの母親、アイドルを目指すがオーディションになかなか受からない友人…何かに挫折など負の部分を持った者達が彼女の周りを囲んでいる
コーチのチェなどはプロに慣れなかった劣等感から最初は彼女に強く当たり、俺がダメだったものは女のお前には無理だとばかりの態度を取る
しかしやがてひたむきなスィンの姿を見てプロのトライアウトに向けて練習を始める
まるで自分の夢を叶えるかのように
そう言う意味ではプロ球団からある知らせ受けるのもスィン本人でなく、コーチのチェと母親てのもわかる気がしますな

作品全体を通して淡々と地味に展開していくスポ根ドラマだが、色んな意味で負の気持ちを背負った人達のドラマは派手で無い方がスッキリ見れる

地味な作風だがクライマックスと言えそうなのはドライアウトのシーンぐらいだが、このシーンの中で同じ女子選手がもう1人受けてるんだか、この人出るのはこのシーンだけですが、スィンと会話も無ければ殆どセリフらしいセリフもない
しかしこの人も女と言う事で苦労はあったでしょう、スィンがマウンドに立って投げる時のベンチから見つめる姿とベンチでマウンド降りたスィンとすれ違いざまの2人の空気感はなかなか良い味が出てましたね

やったー!と一発逆転のようなアメリカ映画のようなサクセスストーリーを期待するとちょっと違う印象を持つ淡々とした佳作でしたね

因みにイ・ジュヨンさんは韓国ドラマの「梨泰院クラス」では男役で途中から女性になるジェンダーの役でした


★★★ 2021.3.5(金) アポロシネマ スクリーン2 20:50 G-11