「基本指圧」に憧れて ― 村岡曜子のブログ

我が国固有の指圧を広く浸透させ、社会の保健と福祉の増進に寄与したい。

「技術の術は、求めて行い、行って求める」

2010年06月15日 | 基本指圧の素晴らしさ
「技術の術の字は、求めて行い、行(おこな)って求めるということです」

 故浪越徳治郎先生がおっしゃった言葉です。たしか先生を主人公に書かれた本、「おや指一代」の中にもあった、と記憶しています。また浪越先生は「術」と書いて、「コツ」と読ませたとも聞いています。
 最近、鈴木林三先生も基本指圧に対して、「これは術ですから…」と言われるのが目立ちます。

 今回はその「術」と「技」の違いについて考えてみたいと思います。

・術=形のないもの →コツ、呼吸、力抜き、理、気など
・技=形のあるもの →フォーム、型、圧すときの構えなど

 技術とは「技」と「術」という意味合いの微妙に異なる文字から成り立っています。その肝心はまさに「コツ」にあります。ですから術(コツ)とは極言すれば「極意」です。

 この極意(コツ)は、見た目の形ではないのです。相手との距離感、重心移動の感覚、実際に圧すタイミング、相手が受けた時の感覚、圧の浸透のしかた、圧した効果が見える、など。
 まったく無形のもので、基本指圧においては、指圧の原則である「垂直圧」がまさにそれなのです。要するに基本指圧の「術」の極意は「垂直圧」にあったのです。

 このところ鈴木先生がブログと格闘しておられました。この極意を写真で分かりやすく整理し説明されたのです。どうしてで今までできなかったのか? と思うほど極意を理解しやすいブログです。
 伏臥位の肩甲下部の圧し方で、どこもみな同じように圧せることが目で見て納得できるので、これは凄いと感動してしまいます。

 例えば、小さな子供や外国人などが箸を使うときは頭で考えて指を使いますが、慣れてしまえば何も考えずに自分の意のままに箸は動きます。それが技と術の違いなのです。
 これは、理屈で覚えたらそのうち忘れてしまいます。身体で覚えれば忘れることはありません。すなわち術とは日常化することに他ならないのです。そしてこのコツ(術)はひたすら繰り返す練習を通して、次の世代に引き継がれていきます。これは特殊なものに限らず、人間の生活全般に見られる現象です。そして何代も受け継ぐ中に極意(コツ)は形成されていくのです。

 我が師匠鈴木林三先生は、ついに極意に到達したのだと思うと何とも感慨無量です。さすがお見事!
 コツを使いながら技を使う人と、ただ単にカタチだけの技を使う人では、効力に差がでてくるのは当然のことですから、これは心しなければなりません。

 また新たな気持ちで頑張ろう! 極意が表に出てきたということは、やっとこの先、できる指圧師が増えてくるという瑞相であること確信しています。

 コツの体得は即極意の体得と言い換えてもよいと考えます。つまりこの極意を各段階の練習過程に組み込むことが、練習を効率よく体系化することだとワクワクしています。この先が本当に楽しみです。

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