昨年10月の発売日にサイン会目当てで購入したのをやっと読み終えた。内容がどうこうの前に、この帯のBLを連想させる文句は何だと言いたい。絶対狙ってるでしょ。有栖川先生は新本格派の一人なのにサイン会に集まったのはミステリーファンとおよそ思えない女性たち。渋谷の「まんだらけ」に線の細い火村と有栖川のイラストのポスターが貼ってあり腐女子の餌食になっていたのは知っていたが9割近くが女性とは思わなかった。ちょっと肩身が狭くなった。でも、有栖川先生はミステリー作家にしては男前だった(偏見かな)。
正直有栖川先生の作品はどれも可もなく不可もなくといったもので、この短編集もその範疇である。アリスが大学に入学し、EMC(推理小説研究会)に入る話から始まる。帯の「うちにくるか?」というのはEMCのこと。全9編のうち実際に人が死ぬのは2編だけということもあり比較的軽い話が多い。言いかえれば物足りないとも言える。登場人物が学生だから青春めいた話が多く、ハードな事件はやりづらいのかな。ミステリー的には凡作だがアリスやマリアとの出会いが入っているのでそういう意味ではファンは読んどいた方がいいかも。デビュー短編の「やけた線路の上の死体」も収録。
この作品に限らず有栖川先生の作品はミステリーの蘊蓄が多い。自分も普通の人よりは知っているつもりだが知らない作品名が多く出てきて勉強になる。
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