ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『昔も今も』 モーム

2023-05-01 22:43:07 | 


モームの作品だから読んだが、苦手な歴史物なので手が出せないでいた。
主人公はマキャベリだが、聞き覚えがある。調べると『君主論』を書いた人だ。

歴史物なので堅い話なのかと思ったが、そこはモームなのでユーモアに溢れている。基本は外交官としてのマキャベリを描いているが、小説的に美化してはいない人間臭さがある。出会った女性をなんとか抱こうと色々策を講じる姿は笑えるし、そのオチもいい。

どこまで史実に忠実なのかわからない…というか脚色もだいぶ入っていそうだが、普通に面白い一冊であった。予備知識無しでも読める。
歴史的なことはわからないし、登場人物の名前も覚えにくいが、読んでよかった。

『少年法入門』 廣瀬健二

2023-04-26 22:47:32 | 


ヤフーニュースのコメント読んでいると少年犯罪が起きると必ず「厳罰化しろ」とある。感情論としてはわかるが果たしてそれが正しいのか。
ということでこの本を読んでみた。

まず大前提として少年という特性を考えなくてはいけない。少年というのは大人と比べて未熟であり、犯罪を犯すも環境の影響も大きい。また可塑性もあるため教育効果も高い分更生のことも考えなければいけない。

未成年が犯罪を犯すと即刻少年院送りかと思ったが、必ずしもそうではなく、必要に応じて教育を施している。逆に言うと厳罰化すると必要な教育が受けられないということになる。以前読んだ『ケーキの切れない非行少年たち』にもあったが、そもそも自分の犯した罪を理解できない、反省ができないという少年がいる。そういうことを鑑みると少年法の必要性がわかってくる。

少年法の入門書としては十分な一冊だと思う。
明確な答えがないことだからこそ、感情論を振りかざすことなく、学んでいくことが大切だ。

『二都物語』チャールズ・ディケンズ

2023-04-12 20:50:37 | 
 

旅行中に持っていた本が尽きたので岡山駅の本屋を物色したが、めぼしいものが見当たらない。そこで手にとったのがこの本。いつかは読みたいとは思っていたが、優先度は低い。しかし、他にないのでこれでいいやと購入した。

どうしても唯一読んだことのあるディケンズ作品の『大いなる遺産』と比較してしまいたくなる。あちらが冒険活劇、マンガ的というのに対し、こちらはもうちょいドラマ性があり、文学的である。

二都であるフランスとイギリスを舞台に壮大な物語は読み応えがある。その中で革命に巻き込まれる登場人物と男女の恋愛を見事に描いている。
ただ、これは私の能力の問題でもあるが、ちょくちょく人物が誰かわからなくなる。

面白い作品であることは間違いないが、読み込みが足りず、物語の奥底まで楽しめたとは言えない。時間を置いて再読したいな(そう言っていつも読まないが)。

『片隅の人生』 モーム

2023-03-19 22:25:56 | 


モームは短編の名手なんて言うけど、私はやっぱり長編の方が断然好きだな。まあ、モームに限ったことではないけど。

そんなに期待して読み始めたわけではないけど、これが結構面白くて嬉しい。
物語は中国に住むイギリス人の医者がひょんなことから航海に出て色んな人と出会ってというものだが、そんな単純なお話では終わらないのがモームだ。

登場人物もキャラクター的に面白く、年老いた医師と若者たちとの対比もいい。医師を通してモームの哲学を感じ取れるのもいいし、青年の謎が明らかになっていくのもエンタメ的で非常に面白い。もちろんお得意のNTR要素もある。

旅行中に読んだが、車窓そっちのけで夢中になった。もっと早くに読めばよかったと思える一冊だった。

『掃除婦のための手引書』 ルシア・ベルリン

2023-03-18 17:39:50 | 


表紙の女性が素敵だが、これはモデルとかではなく作者なんだって。
実はあまり積極的に読みたいとは思わなかったが、話題にはなっていたのでとりあえず読んでみることに。

伝わるかわからないが、どんな作品かと聞かれたら「映像化したら恵比寿ガープレの映画館で上映しそう」と答えたい。あと、『オリーヴ・キタリッジの生活』が好きなら気にいるかも。

一編の長さはどれも短め。ストーリーというよりは生活感のある会話を楽しむといった感じで、その会話もテンポがよく軽妙だ。だからこそ私にとっては苦手というのはあるかもしれない。たくさんの話が収録されていたが、私にはどれもピンとこなかったな。悔しい。