ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『美女と野獣』

2017-05-28 19:23:24 | 洋画
ディズニーでおなじみの作品だけど、有名すぎてそっちの方は観たか観ていないかわからない。多分観ていないと思うけど。

金曜ロードショーだし、(観ていないけど)ディズニー的なノリの延長を期待していたら、思いの外ハードだった。後から知ったけど、ハリウッドではなくヨーロッパ作品なんだね。それを知って納得はした。
ハードな作風と言ったが、古典作品ならではの雰囲気は出てたし、(観ていないけど)むしろディズニーの方が温い作りなんじゃないかと思えてくる。内容的には大したことはないが、妖しさと艶めかしさは十分に出ていたし、伝わってきた。

『Triplicate』 Bob Dylan

2017-05-21 20:58:02 | 洋楽

『Modern Times』以降レベルの高いオリジナルアルバムを作ってきているディラン先生。『Shadows In The Night』にはがっかりしたが、まあ以前にもカバーアルバム出しているし箸休め的にはいいかなと思った。ところが昨年『Fallen Angels』出してまたガッカリ。今作の3枚組の話聞いたときは心の底から勘弁してくれと思った。30曲収録にはとどめを刺された気分だが、買わなければいけないのがファンの辛いところ。
ノーベル文学賞直後の作品がカバーアルバムというのはディランらしく挑発的で面白いけど、興味本位で手を出す若い人はなんだこれはと思うぞ。スタンダードナンバーも含まれているようだけど、全く知らない曲ばかり。解説文には大半の曲に「シナトラも歌った」という言葉が入っている。どんだけシナトラ好きなんだよ。 

アルバムはディラン初の3枚組のアルバム。1枚が30分程度なんだから2枚組にして値段抑えろやと言いたいが、一応ディスクごとにテーマが決まっている。
前作、前々作聴いた時から思っていたけど、ホントにどれも同じ曲に聴こえる。BGMとして聴く分には落ち着いていいと思うけど、全然頭に入ってこない。今作に前作、前々作の収録曲混ぜられていても自分は気が付かない自信がある。
ディラン自身はこのアルバムを出す意義について色々と思うところがあるのだろうけど、今この時代に戦前の音楽を持ってこられても受け入れる土壌はないんじゃないのかなと思う。

http://www.sonymusic.co.jp/artist/BobDylan/info/480087
解説やこのインタビューを読むと、とりあえずカバーシリーズはこれで終わりのようにとれるので一安心。しかし、このインタビューがなかなか面白い。イマイチ納得しがたいが、近年なんでライブでギター弾かないかについての回答もある。

考えてみるとシナトラの歌って聞いたことがないような気がしたので、これを機にちょっちょ聴いてみたが、やっぱり厳しいかな。でも、ウィリー・ネルソンの「Stardust」は嫌いじゃない。

『ゆりかごを揺らす手』

2017-05-13 19:23:51 | 洋画
めちゃめちゃ面白いというわけではないけど、午後のロードショーに相応しい良作サスペンスであった。90年代って『隣人は静かに笑う』とか『ケープ・フィアー』みたいな独特の雰囲気を持ったサスペンス映画が多かったイメージがあるけど、今作もそんな感じでなんともいえない雰囲気が漂っている。

テンポが悪い映画というのは大嫌いだけど、この映画は展開がスムーズでストレスフリーでいい。10分くらいで医師が自殺したのはいいけど、結局セクハラのシーンが描かれなかったのが解せない。ホントにセクハラがあったか、仮にあったとして妻が知っていたか(知ることはないと思うが…)で妻の行動への見方がだいぶ変わってくる。まあ、その後被害者が他にも数名訴えを起こしたから実際にあったのかもしれないけど、アメリカだからわからんな。

信頼すべき医師とベビーシッターからの恐怖っていうのがこの映画のポイントかな。クールに見えて何がなんでも家庭を壊そうとしている恐ろしさはなかなかに様になっている。容姿が端麗なだけにまだ一段と怖く感じる。また、ドロドロしたやり方でなくクレバーに攻めているところもポインツが高い。

ゲンナリするところと言えば、母親の方が喘息持ちのこと。もう、この手の映画で喘息持ちは一気にワンパターンな感じがしてくるから勘弁してくれって思う。



『一九八四年』 ジョージ・オーウェル

2017-05-13 10:31:38 | 
ボウイや様々な作品にも大きな影響を与えた作品ということで読んでみた。電子書籍で読んだのですんなり頭に入ってこなかった部分もあったが、その世界観は凄いなと思った。とんでもない世界なのに妙に説得力がある本であった。
wikiには影響を与えた作品がずらっと並んでいるが、自分は読んでいて映画『カレブラン』の世界がイメージされたな。
しかしまたwikiの項目も充実しているな。人物だけでなく「101号室」や「テレスクリーン」といった用語にもページが作られている。

全体主義への批判云々といった難しい話はできないが、単純に小説として面白い。もうちょっとSF色が強いエンターテインメント小説を期待していのと、ところどころかったるい部分もありはしたけどね。
ただ、これは文字でなく映像で観たいなと読んでいてずっと思っていた。一応映像化もしているようだけど、あんまり評判良くないのかな。


『読書について』 ショーペンハウアー

2017-05-07 20:27:53 | 
本を読むとしたらもっぱら小説で哲学書の様なものはほとんど読まない。なので哲学書は難しい、とっつきにくいというイメージが先行している。ところが、今作は短いうえに非常に軽やかな語り口(新訳のおかげかもだが)でさくさく読め、頭にも入った。

子供のころから大人にはやたらと「本を読め」と言われてきた。なので本なら文学作品だろうがノベライズだろうが何かしらはプラスになるものだと思っていたかもしれない。しかし、そうではないことが本を読むとわかる。
この本の一節だけ切り取ると、読書は他人の考えをなぞる行為で自分でものを考えないから意味がないという風にとれる。だが、著者が言うのはそういうことではなく読む本は選びましょうということ。

本の中でかなり厳しく悪書やそれを書く三文文士(頻出ワード)をボロクソ言っているが、内容に同意や理解をしなくともこういう批判を読むだけで笑ってしまう。
三篇ある内の一篇で文法の乱れについても言及している。正しいドイツ語を書かない三文文士について嘆いているが、引き合いに出しているフランス語についてもかなりひどいことを言っていてこれまた苦笑い。ドイツ語以外のヨーロッパ言語はギリシャ語、ラテン語の方言なんて言いきっていいのかな。

これだけ批判を連ねる本を書くということは逆に勇気がいるはずだ。下手すりゃブーメランになりかねないのだもの。
でも、ここに書かれていることは現代にも通じているところが多分にあるから自分の心に響く。文法の乱れもそうだし、古典作品の名を借りた啓発本、抜粋した名言集、なんかも今日流行っている。考えてみれば当然のことだが、それらを読むよりも原本を読む方がはるかに有意義なはずだ。「難しそうだから」と逃げずに古典的作品に触れ合うのもいいのではと思えるようになっただけでも、この本を読む価値は自分には大いにあった。