ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『銀の匙』 中勘助

2022-02-27 23:46:17 | 
普通なら私が手を出すことのないジャンルの作品であるが、お気に入りのYouTuberが紹介していたので読んでみることに。

病弱な少年を淡々と綴っているのだが、不思議と懐かしさを感じる。何気ない日常や自然も少年の目を通して見ると色鮮やかに美しく感じることができる。まあ、面白いかといえばそうでもないけど、面白い面白くないで語る作品ではない。

灘中で3年間かけてこの一冊を読むという授業があったらしいが、そういう授業にはふさわしい作品だと思う。

『ゴッドスレイヤー 神殺しの剣』

2022-02-23 23:52:45 | 洋画
次の予定までの時間つぶしということであらすじも何も知らずに適当にチョイス。中国製作のファンタジー映画ってだけで大味でそこそこ程度と予想。しかし、全く期待していなかったが、あまりの面白さにびっくりした。

単なる冒険ファンタジーかと思いきや、現実と創作の世界が巧みに絡んだオリジナリティーあふれる作品。とにかく「面白い」という言葉しか出てこない。
ツッコミどころがないわけではないが、その辺の隙はあえて作っているようにも思える。

原題は「刺殺小説家 A Writer's Odyssey」で、なんとなく物語の内容を表しているようだが、邦題のチープさは嫌いではない。

映画.comのレビューの少なさと得点の低さは正直がっかりでしかない。うまく説明できず、観てくれとしか言いようがないが、ほんとに面白い作品であった。


『ウエスト・サイド・ストーリー』

2022-02-12 23:50:51 | 洋画
『ウエスト・サイド物語』をリメイクというのも驚きだが、スピルバーグが監督というのもさらに驚き。娯楽映画のツボは抑えているだろうが、ミュージカルはピンとこない。

しかし、いろんなところで「リメイク」という言葉が使われているが、私としては「再映画化」という言葉を使いたい。
もちろん1961年版も観てはいるが昔すぎるので比べることもできない。

シェイクスピアを下敷きにしたストーリーは正直甘々で観ていてキツいものがないわけではないが、それでも音楽がいいから楽しく観られる。
特に気に入ったいるのは序盤のジェッツが街を練り歩くシーン。もうここで心奪われてしまう。そんでジェッツのリーダーがカッコいいんだ。マイク・ファイストという若手の俳優のようだが、今後の活躍を大いに期待したい。

スピルバーグだからという先入観があるからかもだが、カメラワークや光と影のコントラストなんかは美しい。
あらためて1961年版も観てみたいなとも思った。

『ザ・ビートルズ GET BACK:ルーフトップ・コンサート』

2022-02-11 22:24:33 | 洋画
劇場公開決まったと思ったらライブシーンのみで、IMAXとはいえ2,400円か…。

そもそもだけど、私はアルバム『Let It Be』に思い入れはない。いい曲は多いのだが、どうも散漫に感じる。たとえ聴くにしてもnakedの方が好み。
ちょっと前に発売したデラックスエディションも大型本も発売当日に買ったはいいが開封すらしていない。もはや開封するタイミングを完全に失った。

そんな私だからこの映画は知らない情報だらけで意外と新鮮に観ることができた。そして意外と楽しめた。
セットリストも「Get Back」だけで3回も演奏しているなんて知らなかったな。もっとかっちりしたライブかと思ったら結構自由にやっている感じ。ポールとジョンももうちょいギスギスしているかと思ったら案外楽しそう。ジョージは全然言葉を発していないけど。
警官が乗り込んでもくるけど、なんとなく茶番臭さを感じて笑える。

「Get Back」のギターソロはずっとジョージだと思っていたがジョンなんだね。あと、スタジオシーンだけど「Two Of Us」ではホントにギターでベースを弾いているんだね。

あまり気に留めなかったが、このコンサートのポールの服装がかっこいいね。寒空の下、他のメンバーは着込んでいるのにポールはスーツだけ。着崩し方も靴もかっこいいのよ。



『蟹工船』 小林多喜二

2022-02-07 19:51:56 | 
ちょっと前に現代の不況に合わせて流行った記憶があるが、それももう10年以上前なんだね。

半年ほど前に函館に行った時に函館市北洋資料館というところにふらっと寄ってみた。他に来館者がいなかったのでスタッフの方が横で熱心に展示品について説明してくれた。その中で北方のカニ漁にも触れて、その流れで『蟹工船』の話にもなった。そんなわけでせっかくなので読んでみたという次第。

そもそもだけど蟹工船というのはカニを獲る船ではなくカニを加工する船なんだね。獲ったカニを船上の工場で缶詰にするというのが蟹工船。それすら知らなかったレベルです。

船の労働環境は最悪で死者も出るようなところ。労働者たちは気の毒なことは間違いないが、資本家が悪、労働者が搾取されているという構図に単純に収めていいのかは疑問だ。何が正しく何が悪いかはここで結論を出すことはできないが、色々考える余地を残してくれる点では偉大な作品である。
でもこの本を読んで感銘を受ける人はいても、じゃあ共産党を応援しようという人はいないのかな。資本主義が完全とは言えなくても、共産主義にはやっぱり限界があるのかな。

思想とは別に追い詰められた人間がどのような思考で、どのような行動をとるかという点では興味深いものがある。プロレタリア文学なんて言われると身構えてしまうが、深く考えずに読んでみるのもいいかもしれない。