ON THE ROAD

適当に音楽や映画などの趣味についてだらだら

『ミラノ霧の風景』 須賀敦子

2021-11-28 22:47:57 | 
イタリア文学者の須賀敦子のエッセイがいいと聞いたので読んでみた。

普段エッセイなんて読まないからこういう本は新鮮だった。あれ、でも沢木耕太郎の『深夜特急』って小説にカテゴライズされているけど、エッセイとはどう違うのだろうか。先日読んだ『旅のつばくろ』はエッセイでいいのか?エッセイって一体なんだ。

それはさておき、とてもイタリアの匂いがする一冊であった。やはり旅人ではなく現地に滞在して言語にも精通した人が書く文章は一味違うものがある。
ただ、それが面白いかと言われるとそれはまた別の話。イタリアに興味がない私の問題もあるが、色々と綴っているなくらいにしか感じ取れない。しかし、筆者にとってはイタリアで過ごした時間が濃密でとてもかけがえのないものだったというのはとても伝わってくる。そういう意味ではエッセイてこうあるべきだなという風にも思わせてくれる一冊であった。

『砂の女』 安部公房

2021-11-27 20:13:07 | 
なんかで面白そうだと知って読んでみた。安部公房を読むのはこれが初めて。

純文学として名高いが、普通にエンタメ的に面白い。砂に埋もれていく家に閉じ込められた男が脱出を試みるというのはなんだか世にも奇妙な物語的なストーリー。

主人公とは別に周囲を取り巻く砂というのも、大きなテーマだ。このなんでも飲み込んでしまう砂というのも何かを暗喩しているのか。なんともいえない不気味さ、気持ち悪さを感じてしまう。

関係ないけど安部公房のwikiを観ると本人写真が「餃子を調理している安部公房(1954年)」となっている。いや、もっと他にあるでしょと突っ込みたくなる。

『ドーナツキング』

2021-11-27 20:12:13 | 洋画
単純に移民がアメリカでドーナツ店興すというサクセスストーリーかと思ったら、前半はカンボジア内戦の話が濃くて重い。もちろん必要な部分ではあるけど。
内戦のカンボジアが無一文でドーナツ王にのし上がっていく様はまさにアメリカンドリーム。そしてギャンブルと浮気で全てを失うのも逆アメリカンドリーム。

なんとなくアメリカ人が好きなのはなんとなく知っているが、映画を観てあらためてアメリカ人のドーナツ愛がわかる。普段ドーナツなんて食べなくないけど、映画観ると食べたくなる。まあ、実際に食べるかは別の話だけど。

今まで生きてきてカンボジアのことなんて気にしたことないけど、他の東南アジアの国に比べて顔立ちは結構日本人に似ているのね。ちょこちょこ出てきた女性店主の方は50過ぎているけど、美人さんだった。

単にドーナツドキュメンタリーの一言で片付けるのはもったいない。ある意味ではアメリカ、カンボジアの歴史を語っている映画とも言えるだろう。

ドーナツといえば日本人にとってはミスドが真っ先に浮かぶが、映画では一切出てこなかった。調べると北米ではミスタードーナツはダンキンドーナツというブランドで展開されている。これは映画にもしょっちゅう出てきた店だ。
さらに気になったのはなぜ清掃する会社がドーナツも売っているのかということ。これは単純に創業者がやりたかっただけみたい。

『モスラ対ゴジラ』

2021-11-25 19:56:57 | 邦画
前半は『モスラ』と同じようで人間の醜い部分がフューチャーされている。正直昔の特撮にありがちな悪人は悪人で善人は善人という構図には飽き飽きしている。

後半で怪獣バトルが始まるが、モスラってなんであんなに強いのか。モスラが負けるときは観たくないが、二対一とはいえゴジラがモスラ幼虫に負けるのはなんか納得いかない。まあ、あの愛くるしさは好きだけどね。

『異邦人』 カミュ

2021-11-24 22:36:32 | 
コロナの影響で『ペスト』がちょっと前に話題になった。そちらも読んでみたいが、まずはこちらから。

終始主人公に冷めたような印象を受けるが、それが物語の雰囲気を形作っている。
殺人事件の裁判は主人公を裁いているはずなのに、そこに主人公の意思が入り込む余地はない。母親が死んだ翌日に海に行き、情事を行い、映画を観ていたというだけで理不尽に不利な方向へ進められてしまう。動機を「太陽のせい」と述べるが、これは出るべくして出た言葉なのではないかなと思う。

なんか色々と怖い作品だわ。