ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

陳浩基『世界を売った男』

2019年08月29日 | 読んだ本(日本語)
陳浩基著、玉田誠訳『世界を売った男』

最近、一緒に読書の話をした方が、この方の本を読んだとおっしゃってたので、
私も読んでみました。

最初の数ページで脱落するかと思いました(笑)。
だって、漢字の名前に中国語の読みがルビで振られてるんですが、覚えられない!!!!!
子どもの頃、初めて欧米のミステリを読んだとき、登場人物のカタカナの名前が
覚えきれなかった感覚再来……(笑)。なんども表紙裏の登場人物一覧を
読み返した記憶が蘇りました。

それはさておき、あわや挫折か、と思ったとき、主人公が6年分記憶喪失だとわかる。
6年? 6年! いったいどうやって生活を続けるんだ!?
と興味を惹かれたところで、ちょっとおっちょこちょいでかわいらしい女性記者さん
登場! あらあら、ふたりの間になんだかほんわかしたものが……?

恋愛脳の私は、もうそれだけで読み進める気になりました(笑)。

さて。

なんというか、すごいな。よくぞここまで捻りました。
解説で作家の恩田陸さんがこれぞ「本格」と絶賛されております。

私もミステリが好きで相当読んだと思うのですが、こんな展開は予想外でした。

っていうか、そもそも「私」が「私」だと思っていた世界が、ひっくり返って崩壊するんです。

巡査部長の「私」は6年前の殺人事件(犯人は事故死して事件は解決したことになっている)
の真犯人を追うことにするんですが、その真犯人(と「私」が考える男)は映画のスタントマンで、
身軽だし、カンフーもすごい。

「私」である巡査部長も、映画関係者もびっくりのスタントを披露。
このあたりであれれ? という気もするのです。

そして、さらにあれれな怪しいお人が、6年前に殺害された夫婦の姉(妻の姉)。
妹が殺された事件の真犯人を追っている、という巡査部長に対し、なんか淡泊なんですよね。
たぶん、ミステリ好きなら、この辺りで、こやつが真犯人か!と感じるのではと。

ところが、その真犯人が精神疾患を発症していて、おのれは姉か妹かどっちやねん的な。
「私」が謎解きをしているところを読んでもちょっと理解できなくて、最後まで読んだら
理解できました。

ここまで捻られたらわからんわ~。まあ、真犯人は素直に真犯人でしたな。

そして秀逸だったのが、最後の三行。

まあ、がっつり読者を驚かせてくれる作品でした。かなり頭使いました。