エイドリアン・マッキンティ著、武藤陽生訳『コールド・コールド・グラウンド』
1980年代の北アイルランドが舞台。
大学のとき、北アイルランドの紛争についてちょっと学んだけど、小説で読むと
想像以上の世界観。日常が紛争、紛争が日常なのだ。
右手を切断された男性の死体が発見された。右手は別人のものと判明し、体内から楽譜が
出てきた。別の死体があるのだ、というときに、また死体が見つかる。どちらも同性愛者。
同性愛者を狙った連続殺人か……と思いきや。なんか、謎めいた手紙を送りつけてきたり、
いろいろ派手にやってくれた犯人だけど、主人公ショーン・ダフィ刑事の推理とはぜんぜん違う展開に。
ショーンはプロテスタントが主流派を占める北アイルランドで、カトリックである。
大卒で鑑識の知識もあるけれど、まだDNA鑑定など行われていない時代で、
泥臭い捜査をしていくわけだけど、なんと、というか予想通りというか、
MI5が噛んでいて、よくある「大局」のために「ささいな」殺人には目をつぶらなければ
いけない的な終わりを迎えた。
まじか! と思ったら、MI5から意味深なおじさん(もとい、紳士?)がやってきて、
裁くことができなかった男(スパイ)がイタリアの別荘にいる、大怪我をしたあとは
海外に行くのがいいでしょう、みたいなことをショーンに言う。
つまりは裁いてOKってことなん? と迷いつつ、イタリアへ向かったショーン。
なんだろう。独特の空気感、重苦しい緊迫感がある文章だった。
古い言葉が使われているのは、1980年代感を出すためなのかな??
いかれぽんちとか、ぷっつんキレるとか。
もしかして普通に言うんかな?