ちびずマムのマイペースな育児・料理・翻訳日記

2007年生まれの1号くんと2010年生まれの2号くんに振り回されつつ、自分の夢もなんとか追っていきたい、ちびたちのマム

桔梗楓ほか『神社であった泣ける話』

2022年05月17日 | 読んだ本(日本語)
桔梗楓ほか著『神社であった泣ける話』

御神木が主人公の話。じんわりきたな~。まさか木が主人公なんて!
長生きする木ならではの、なんともいえない空気感。切ないようで温かい。

14話中1話はコンテスト受賞作です。

エイドリアン・マッキンティ『コールド・コールド・グラウンド』

2022年05月14日 | 読んだ本(日本語)
エイドリアン・マッキンティ著、武藤陽生訳『コールド・コールド・グラウンド』

1980年代の北アイルランドが舞台。
大学のとき、北アイルランドの紛争についてちょっと学んだけど、小説で読むと
想像以上の世界観。日常が紛争、紛争が日常なのだ。

右手を切断された男性の死体が発見された。右手は別人のものと判明し、体内から楽譜が
出てきた。別の死体があるのだ、というときに、また死体が見つかる。どちらも同性愛者。
同性愛者を狙った連続殺人か……と思いきや。なんか、謎めいた手紙を送りつけてきたり、
いろいろ派手にやってくれた犯人だけど、主人公ショーン・ダフィ刑事の推理とはぜんぜん違う展開に。

ショーンはプロテスタントが主流派を占める北アイルランドで、カトリックである。
大卒で鑑識の知識もあるけれど、まだDNA鑑定など行われていない時代で、
泥臭い捜査をしていくわけだけど、なんと、というか予想通りというか、
MI5が噛んでいて、よくある「大局」のために「ささいな」殺人には目をつぶらなければ
いけない的な終わりを迎えた。

まじか! と思ったら、MI5から意味深なおじさん(もとい、紳士?)がやってきて、
裁くことができなかった男(スパイ)がイタリアの別荘にいる、大怪我をしたあとは
海外に行くのがいいでしょう、みたいなことをショーンに言う。

つまりは裁いてOKってことなん? と迷いつつ、イタリアへ向かったショーン。

なんだろう。独特の空気感、重苦しい緊迫感がある文章だった。
古い言葉が使われているのは、1980年代感を出すためなのかな??
いかれぽんちとか、ぷっつんキレるとか。
もしかして普通に言うんかな?

マイクル・コナリー『警告』

2022年05月01日 | 読んだ本(日本語)
マイクル・コナリー著、古沢嘉通訳『警告』

マイクル・コナリーはハリー・ボッシュ・シリーズを何作か読んだんだけど、
確かハリー、ポケベルを使っている話もあって、なんか昔の刑事さんってイメージも
あったんだけど(最近のは違うだろうけど)、この作品の主人公、ジャック・マカヴォイは
現代のデバイスを使いこなしまくりです。

っていうか、この作品、どうやらジャック・マカヴォイ・シリーズ3作目のようです。
なんでかわからんけど、この作品から読んでしまったけど、過去作を読んでなくても大丈夫!

元カノが忘れられず、うじうじ引きずっている50代おじさん。人間くさすぎて良き。

ニュースサイト・フェアウォーニング(原著タイトルと同じ)の記者であるジャック。
かつてバーで出会って一夜をともにした女性が殺害され、ジャックのことを疑って刑事がやってくる。
なんかいかにもな嫌な刑事。

んで、まあ、そのときは嫌な思いをするだけなんだけど、興味を持ってその女性のことを調べていくうちに、
同じように首を捻られて殺された(でも事故死に見せかけられた)女性がいることが判明。

調べていくうちに、嫌な刑事に逮捕されて拘置所にぶちこまれたり。
殺された女性の友人にひどいこと言われたり。

そのうち女性たちが格安DNA検査企業に検査を依頼していたことを知る。
その会社の設立者やら研究員やらハッカーやら、ちょいややこしいけど、まあ、とにかく
匿名化されているはずの遺伝子情報が、そのハッカーのせいで個人と結び付けられ、
依存症に関係している(と言う研究者もいる)ある遺伝子を持っている女性たちが狙われて
殺されていることにジャックが気づく。

首を捻るという殺害方法がから、同じように首を捻って獲物を殺す
「百舌」というハンドルネームの男にたどり着くんだけど。百舌がどうして
そんなことをしたのか、いったい何者なのかは、最後までわからなかったな。

元カノとよりを戻せそうになったのに、ジャックはまた疑心暗鬼になっちゃって、
言っちゃいけないことを言って、もう元鞘にはなれなさそう。

ジャックはインスタやらフェイスブックやら使いこなし、ポッドキャストの
配信者にまでなっている。ハリー・ボッシュのいい意味でのおじさんくさい刑事とは
また違うおじさんくさい記者なのに、すごい現代っ子。

平居紀一『甘美なる誘拐』

2022年04月23日 | 読んだ本(日本語)
平居紀一著『甘美なる誘拐』

おもしろかった!!!!!
いや~、読んだことを忘れないための読書記録で、内容をいつもささっとまとめてるけど、
これはささっとまとめるなんてできへん!
すごいなぁ。やられたわ。どんでん返しやな~。

っていうか、一番のどんでん返しは悠人やな(笑)。
悪気がなくてちょっと抜けた感じの、しょ~がないなぁ(苦笑)てなっちゃうタイプ
やのに。実はすごすごるやろ。

いろんな人の目線で物語は語られるけど、主に悠人のコンビの真二目線で語られるから
余計おもしろいな~。悠人目線やと興ざめやもんな。うんうん。

兄貴分の荒木田にこき使われているばかりの冴えない日常を送る二人(真二と悠人)が、
ある日他殺体を見つけてしまう。
その人に借金がある自分たちが疑われるかも、と借用書をいくつか抜いて逃げようとしたら、
表から人が来て、仕方なく裏から逃げようとしたら、犯人の落とし物と思しき物を拾う。
それはもちろん殺人事件の鍵である。

その一方で、地上げ屋から嫌がらせを受けて廃業寸前に追い込まれていた父娘。

真二と悠人は荒木田の命令で、脱法行為で儲けまくっている宗教団体から教祖の孫娘を
誘拐することに。身代金の受け渡しも、1つ目のダミーには気づけたけど、まさかそうか!って
感じだったな。脳筋の愚鈍そうな(?)牛村が意外や意外。大切なすり替え工作を遂行。

殺伐としそうな内容だけど、主人公二人のコミカルともいえる掛け合い、なにより悠人のキャラが
物語の雰囲気をぐっとおもしろくしてる。

ほんとすごい。ほんとおもしろかった。こういう感じの本、大好きだな。

何度読んでもおもしろそう。再読して違和感を拾い集めると、もっとおもしろいだろうな。
何カ所かで違和感を持ったけど、たぶん拾い残したのもありそう。
読み終わった後、表紙に描かれている人物を眺めて想像力を膨らませるのが楽しい。荒木田が予想外にイケメン(笑)。