10月も三週目になり、秋も深まるように急に冷え込んできました。
今週は、西へ東へと駆け抜けた週でした。
10月19日(火) 福井県 三国高等学校
20日(水) 山梨県 韮崎高等学校
21日(木) 〃 白根高等学校
22日(金) 岐阜県 益田清風高等学校
三国高等学校
三国高校は、コロナ禍の影響で昨年から延期をした学校で、2008年の『肝っ玉おっ母』以来、風は三度目の上演となります。
担当の先生も「コロナも落ち着き始めて、やっと風さんを生徒たちに見せられます。生徒も楽しみにしています。」と、安心と期待の言葉をおっしゃっていました。
今回は、密を避けるために、学校の体育館ではなく、市営の大きな体育館での上演となりました。
公演は、図書視聴覚委員の生徒さんが中心になって、客席の準備から司会進行まで先生方のサポートのもと行われました。
図書視聴覚委員の生徒さんたちが、開場前に、他の生徒が間隔を空けて座れるよう綺麗に各クラスのラインを引いてくれていました。
密を避けるために、一年生は、二階のギャラリー席に座っての観劇でした。
体育館に入って来るなり、「えー!何これ!すごい!」などの、驚きの声がたくさん聞かれるなか、いよいよ開演です。
体育館には広い範囲で天窓があったため、客席の後ろまで見えるくらいの明るさの中での本番でしたが、生徒の皆さんはそんなことは気にも留めないという様子で、舞台から目を離さず、見入っている姿が印象に残っています。
カーテンコールであいさつをしてくれた生徒さんからは「ハロルドが、二人の肩を抱いてあげているところに感動しました。とてもいい時間をありがとうございました。」という、率直なメッセージを贈ってくれました。
公演後には、校長先生が楽屋を訪ねて来てくれ、「演劇は、舞台と客席とでつくるものなんだ、ということが今日、生徒たちを見ていてよくわかりました。最後のシーンは、生徒たちがつくっていましたよね。ありがとうございました。」と、熱く語ってくださいました。
終演後も、図書視聴覚委員の生徒の皆さんが、学校に戻る時間まで、舞台撤去のお手伝いをしてくれました。短い時間ではありましたが、楽しい交流の時間になりました。
韮崎高等学校
韮崎高校は、三年に一度芸術鑑賞会を行っており、今回が初めての風の上演でした。
担当の先生は「先月まで、公演の実施ができるだろうかと心配していましたが、無事にこの日を迎えられてよかったです。」と、嬉しそうに話してくださいました。
校長先生の、「こうして屋内で全員が集まって一緒に何かをするというのは、本当に久しぶりです。まずは、そのことが嬉しいです。そして、劇団の皆さんの細やかなご配慮と、会館のご配慮で大声を出さないということで、客席を100%使っていいということで今回の公演が実現しました。みなさん、是非リラックスして楽しんでください。」というあたたかな挨拶で開演しました。
ひとつ飛ばしの客席ではなく、みんなが肩を並べて座って見ているからなのか、校長先生の言葉どおり、反応を抑えず時折笑い声をあげながら、リラックスしながらもそれぞれに何か発見するようにジリジリと視線の熱を感じる客席でした。
カーテンコールでは、生徒会長さんが「こうして、みんなで同じ演劇を見られる機会をつくってもらえて、本当にいい時間でした。また、公演を通して、人から愛されることの幸せを実感しました。周りへの感謝を忘れずに、これからも生活していきたいです。」と、心のこもったあいさつをしてくれました。
この公演が生徒の皆さん一人ひとりにとっての大切な思い出になってくれたらと思います。
白根高等学校
白根高校も今回、風の上演は初めての学校です。創立37周年記念行事の一環としての公演でした。
例年は近くの会館での実施ですが、観客席の入場制限もあり、今回は学校の体育館での実施となりました。
この日は、うれしい再会もありました。以前、市川高校で『ハムレット』を上演したときに鑑賞行事の担当をされていた先生が、教頭先生として赴任されていたのです。
舞台設営中に体育館に来てくださり「その節はありがとうございました。生徒たちも楽しみにしています。今日はよろしくお願いします。」と声をかけてくださいました。
開場中は賑やかだった客席は、公演が始まるとジッと真剣に、食い入るような視線を舞台に向けながら見てくれていました。
幕間の10分の休憩時間に三人の演劇部の生徒さんが、「この時間に舞台袖を見学させてくれませんか?」と、劇団員に声をかけてくれました。
あまりゆっくり見られなかったので、「また終わった後も、ゆっくり見ていいよ。」と劇団員が話すと嬉しそうに自分たちの席に戻って行ったそうです。
カーテンコールでは、「このコロナ禍で、色々と制約があってできないことが多いなか、今日の演劇を見て元気をもらいました。」と生徒会長さんが、力強いメッセージを届けてくれました。
公演後は、休憩中に舞台見学の約束をした演劇部の生徒さんが見学をしているのを見ていた何人かの生徒さんたちも、「私たちも見たい。」と舞台に上がり、自由に歩き回ったり道具に触ったりして大いに盛り上がっていました。その中には教頭先生や校長先生の姿も。
舞台撤去には、男子バレー部、女子バレー部、ウエイトリフティング部、野球部、そして演劇部の皆さんがお手伝いをしてくれました。皆さんの協力のおかげであっという間に片づけが終わりました。
この後すぐに劇団のホームページの掲示板に、演劇部の生徒さんからの書き込みもありました。
こんなに楽しんでもらえて、私たちもうれしい限りです。またお会いできることを願っています。
益田清風高等学校
益田清風高校も、今週の三国高校と同様に、昨年から延期をした学校で、2007年に上演をした『ヘレン・ケラー』以来、四回目の風の上演になりました。
今回は、生徒同士の密を避けるため、2、3年生の観劇となりました。
学校の昼休み中に、体育館の様子を覗きに来た何人かの生徒さん。
「うわっ!すっごい。」と目を輝かせていたので「舞台に上がってみる?」と、劇団員が声をかけると、「いいんですか!やった!」と、舞台に上がって、「あ!この本、本当に英語で書いてある。」と、興味津々に舞台を歩き回り、「めっちゃ楽しみになりました。」と教室に戻って行きました。
本番は、目の前で起きる出来事を見逃すまいと、集中して舞台に視線を注いでいる姿が印象的な客席でした。公演が終わると会場はあたたかな拍手に包まれました。
その拍手からも、生徒の皆さん一人ひとりの中の『Touch』を見つけてくれたのではないか、と感じました。
そんな拍手を受けるように、生徒会長さんが、「三年に一回の芸術鑑賞で、この演劇に出会えて本当によかったです。」と感謝の思いを伝えてもらい、ハロルドとかたい握手を交わしました。
終演後の舞台撤去は、生徒会の生徒さんをはじめ、担当の先生の呼びかけで集まってくれた有志の生徒さんたちが手伝ってくれました。
「この荷物を毎日積んだり、セットを作ったりして、すごいっすね。疲れた。」と言いながらも、楽しそうに撤去をしてくれました。
ありがとうございました。
『Touch』の旅も折り返しを迎え、いよいよ寒い季節に入っていきます。コロナももちろんそうですが、体調も崩さぬよう、一層気を引き締めて公演に臨んでいきます。
来週は福井県からのスタートです。ここから三週間足を止めずに走り抜けていきます。
文:佐藤勇太(フィリップ役)