風のBLOG

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『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』春のツアー⑥

2023-06-28 17:43:32 | 全国巡回公演
 

6月14日(水)【福島県】郡山女子大学附属高校 同校講堂(建学記念講堂・大ホール)

6月15日(木) 【群馬県】伊勢崎商業高校 伊勢市文化会館
6月17日(土) 【茨城県】波崎高校 同校体育館
 
郡山女子大学附属高校
この学校は、過去に3年回の風の作品を上演しています。2003年『星の王子さま』、2015年『ハムレット』、2019年『ジャンヌ・ダルク』です。
午前、午後の2回公演です。
 
この学校は、教育の一環として、年4回位、芸術鑑賞行事を行ってきた、歴史がありますが、コロナ禍では、さまざまな行事が、中止を余儀なくされ、在学生にとっては、初めての演劇鑑賞となりました。この日の為に用意されたパンフレットのなかに「演劇という芸術は、まず、感覚的に視覚と聴覚両方に同時に訴えてきます。また、これは空間的三次元性と時間的継続性を身体において表現するという形態で発達してきました。そのうえ、その場にともにあり、俳優のミミックな言葉と演技を見開きするという実体験で、思考にまで入り込んできます。単に感じるだけでなく、考えるという作業を余儀なくされるのです。私たちは、演劇を体験することによって考えるのです。奇しくもヘレンの失った視覚と聴覚とことばでこのお話を鑑賞します。
ヘレンの努力と人生に思いをいたすのであれば、それはそのまま自分自身にフィードバックさせ、私たちの生きる力に昇華させなければなりません。俳優の方々とともに、その表現から受ける何ものかを感受しましょう。、、、(誤略)」とあります。附属高校の生徒さん達は、五感を研ぎ澄ませ、そこでおこっている出来事を一瞬たりとも見逃すまいと、舞台に見入っています。
そこには、「何ものかを感受しようとしている」姿がありました。
 
 
午後の公演は、短大生と大学生に観劇していただきました。全国巡回公演を続けている私たちにとって、「大学」での公演は、稀少なので、どんな客席になるのか、とても楽しみでした。
観てくださっている皆さんの熱いるまなざしと、受け止めたものを舞台に返してくれるひとりひとりの思いが、ひしひしと伝わってくる、そんな舞台になりました。
 
終演後のバックステージツアーと座談会にもたくさんの学生さんがつめかけてくれて、大盛りあがりの様子。担当の先生は、感無量な面持ちでした。
 
伊勢崎商業高校
風にとって初めての上演校です。昨年の予定が、コロナ禍の為、1年延期しての、上演となりました。
開演前から、待ちに待った感じが舞台裏の私たちにも伝わって来ます。
開演のベルが鳴って、プロローグの音楽がスタートすると、場内は水を打ったように静まり返りました。その集中力はスゴイ!
2時間のあいだで途切れることなく、ラストシーンが終わった後のカーテンコールの拍手は、場内に響き渡りました。
「希望者は舞台見学をどうぞ」の呼びかけに答えて、生徒さんたちが次々と舞台に上がってきてくれました。
「心が揺り動かされました」、「初めて、生の演劇を観ました。その作品が“ヘレン・ケラー ”で良かったです。ありがとううございました!」何人かの生徒さんが、笑顔で感想を語ってくれました。
 
 
このバックステージツアーは、演じている私たちにも、大切な癒しの時間だと感じています。
 
波崎高校
ここも初めて上演する学校です。
この日は、午前中にPTA総会、授業参観を経て、午後に「保護者といっしょに観劇する」という、特別な日となりました。しかし、天気予報では、関東地方は「真夏日」らしい。体育館の温度が気になるところですが、空調設備のおかげで、かなり暑さは軽減されました。
それでも500人を超える、生徒さんと数十人の保護者の方たちで、体育館はヒートアップ状態。そんな中でも間近に見てる生徒さん達の顔は、暑さなど、どこ吹く風。舞台に釘付けでした。
カーテンコールでは、生徒会長さんと副会長さん2人の男子が、アニーとヘレンに、ステキな花束を手渡してくれました。大きな拍手!
終演後、舞台裏の楽屋(体育館のステージ)で一息ついているところに、嬉しいサプライズが起こりました。
ヘレンの舞台装置の一番奥に(客席からは見えない所に)役者の出入りが出来る切り穴があって、そこから小さな男の子がヒョイと顔を見せてくれたのです。そして、深々お辞儀をしなくながら、「どうも、ありがとうございました!」と声をかけてくれました。そのあどけなさと潔さに役者一同、びっくり。
「面白かった。また観たいです。」
思わず拍手をしてしまいました。
歳を聞くとなんと4才だそうで、又、びっくり。(折しも舞台上では、保護者の方たちの為の、バックステージが行われていました。)
その子のお母さんの話によると、今日舞台で花束を渡してくれた、あの生徒会副会長が息子さんで、その弟さんだとのこと。「今日は、家に帰って、親子で話をするのがとても楽しみです。」と言って下さいました。
これこそ、私たちが望んでいること。親子の会話!
忘れられない思い出が、またひとつ増えました。
 
 
ホームルームを終えた生徒さん達が続々と体育館に駆けつけてくれました。
サッカー部、剣道部、演劇部、そして帰宅部の皆さんも、、、。
あちらこちらでキャストやスタッフに声をかけてくれる姿もありながらの撤去作業は、すごいスピードで進行しました。
ひとりひとりの積極性に、たくさんの元気をもらった気がします。又会える日の来ることを、願いながら、体育館を後にしました。
 
文:酒井宗親(アーサー・ケラー役)