風のBLOG

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『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』2021年秋 九州ツアー第10週目

2021-12-21 20:07:28 | 全国巡回公演
今週も過去に幾度も風の作品を観劇し、今回も公演を心待ちにしてくれている学校が続きます。

12月13日(月)〜14日(火)  鹿児島県 鹿児島城西高校 本校体育館
12月15日(水) 佐賀県 北陵高校 佐賀市文化会館

鹿児島城西高校
この学校は、1300人の生徒さんが在籍しているマンモス校で、コロナ禍で密を避ける為、2日間4ステージの公演となりました。前日の午後、仕込みの為、学校に到着すると、日曜日にもかかわらずたくさんの生徒さんや先生方が、体育館で、今か今かと待っていて下さいました。
「こんにちは!」の元気な声に迎えられて、控え室に案内されると、
「東京演劇集団風のみなさま 鹿児島城西高校へようこそ!」という文字に舞台写真を添えて、壁一面に貼られていました。
実はこの学校、アニーサリバン役の髙階ひかりの母校なのです。案内された部屋は「文化芸術コース」のレッスン室で、高階はここでダンス部の生徒として汗水ながしていたとのこと。髙階にとってはなつかしい部屋でもあり、私たちにとっても、とても嬉しいサプライズでありました。
この学校は、1991年の「星の王子さま」の上演以来、過去5回も風の作品を観てくれています。
髙階は、そのうちの「肝っ玉おっ母とその子供たち」という作品を観劇して、風に魅かれ、風への入団を決意したそうです。
 
今の3年生は2019年「Touch〜孤独から愛へ」を観てくれていて、「今でもよく覚えています」という声をたくさんの生徒さんから聞くことができました。
寮生や部活や、芸術文化コースの後輩たちのお手伝いがあって、2階への体育館搬入は、スムーズに、そしてとても和やかに進めることができました。
搬入が終了しても、居残って、仕込みを見ている生徒さん達。いやが上にも明日からの公演が楽しみになってきます。
 
そして翌13日、1回目の公演がスタートしました。開演前の校長先生からのごあいさつで、「当校出身の髙階ひかり」の紹介があって、観客席の期待感は益々、ふくらんでいくようです。
そして、進行する舞台上の出来事をしっかりと受けとめ、自分自身とも向き合いなごら、楽しんで観てくれている、まなざしや息づかいが舞台にも伝わってきます。
大きな拍手で幕を閉じた後のカーテンコールでの生徒さんのお礼のことばも素晴らしかった!
ヘレンの「幸せ」の為に尽力するアニー・サリバンの「熱意」に対して「決してあきらめない」ということを学んだとのこと。観たままの率直な感想を語ってくれています。
 
午後の公演も、そして翌日の公演も、生徒さんたちの真摯な態度に変わりありませんでした。
生徒さんたちの「観たい」思い、先生方の「観せたい」思いが、そして私たちの「出会いたい」という願いが実を結んだ公演となりました。
公演後の撤去作業にもたくさんの生徒さんたちがかけつけてくれました。
観終わった後の余韻と興奮をかけえながら、それでもテキパキと手伝ってくれています。
併行して、髙階との座談会に参加した生徒さんたちも、体育館に戻って来てくれて、あちらこちらで役者を囲んでの質問攻め。
ひとりの生徒さんが「観ることが出来て、本当良かった。感動しました!今日のことは、決して忘れません!」と笑顔で語ってくれました。
名残尽きない思いを胸に、私たちは次の目的地へと、向かいます。
 
北陵高校
この学校は、2年毎に、芸術鑑賞行事を実施していて、2012年以来、過去4回、全てが風の作品を上演している学校です。2020年も、予定していましたが、コロナの影響で止むなく中止。
校長先生のお話によると「3年生は楽しみにしていた修学旅行まで行けなくなり、さみしい、くやしい思いをさせていました。今年こそは、生徒たちに本物の演劇を観せて元気づけてあげたいという思いで決断しました」とのこと。
今までは体育館での上演でしたが、今年は佐賀市文化会館という、1800人が入れは大きな劇場で、充分なコロナ対策をした上での実施となりました。
会館からの要請もあり、前から4列目までの客席は、使用せず、5列目から間隔をあけての着席となりました。
生徒会役員の生徒さんの進行でスタート。
校長先生の開演前の話で、素敵なことばを舞台の袖で耳にしました。
ヘレン・ケラーはたくさんの名言を残していますが、そのひとつに「世界で最も素晴らしく、最も美しいものは、目で見たら手で触れたりすることはできません。それは、心で感じなければならないのです」というのがありますが、それを引用されて、「皆さん、今日は心で感じましょう」と、話を括られたのです。
ー余談になりますが、かのサン=テグジュペリも自筆の「星の王子さま」のなかで、「かんじんなものは目に見えない。心で見なくちゃね」とキツネに言わせています。
校長先生の言葉に応えるような、大きな拍手で開演しました。
舞台と客席の最前列との距離は、かなりありましたが、舞台に向き合おうとする生徒さんたちの真摯な姿勢によって、その距離が縮まるのを感じました。
大きな拍手で幕を閉じた後、生徒会の生徒さん役20名が舞台に上がって来てくれました。
 
予定していた座談会と後片付けの手伝いの為でしたが、舞台に触れ、小道具やポンプの水に触れて、とても楽しんでくれています。
座談会は、撤去作業を見ながら、客席の最前列で行われました。ヘレン役の倉八の話に耳をかたむける約10名の生徒さんたち。
時々笑い声が聞こえてきます。
手伝いを希望した生徒さんたちは、なんと、自前の作業用手袋をはめて、待機!
用意周到といったところです。劇団員が解体していく道具をてきぱきと、トラックまで運んでくれています。重い荷物を喜んで運んでくれるその姿のエネルギッシュなこと!担当の先生の計らい、大成功でした。
空になった舞台で、座談会を終えた生徒さんも交えて、皆んなで記念撮影。
またいつか会えることを祈って、、、。
会館を後にしました。
 
そして、来週は、旅公演最後の週となりました!
 
文:酒井宗親(アーサー・ケラー役)