風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
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2019年 秋 『Touch~孤独から愛へ』九州ツアー 第六週目

2019-11-03 23:52:11 | 全国巡回公演

9月25日から始まった九州ツアーもいよいよ11月に入ります。

今週は、各学校の体育館が2階や搬入距離があったり、地下2階であったりするため、全て前日に搬入をするというハードな週となりました。

10月28日㈪ [福岡県]宇美商業高校 同校体育館

   29日㈫ [熊本県]小川工業高校 同校体育館

   30日㈬ [長崎県]佐世保西高校 同校体育館

   31日㈭ [福岡県]香住丘高校 同校体育館

11月1日㈮ [福岡県]博多青松高校 同校体育館

での公演でした。

 

宇美商業高校

2年前に『ジャンヌ・ダルク』を上演していて、三年生とは2年ぶりの再会ということになります。

開演前に、『ジャンヌ・ダルク』のときの担当の先生から甘酒「Ole!Ama(オレアマ)」をいただきました。この甘酒は宇美商業高校が企画をして、地元の酒蔵で製造されたもので、宇美町のふるさと納税の返礼品にも指定されています。さっぱりとしてオレンジ風味の美味しい甘酒でした。ごちそうさまでした。

芝居は、『Touch』をどうしても見せたかった、という校長先生のあいさつで開演しました。

この日の公演を楽しみにしていたことが感じられ、生き生きとした客席なのが印象的でした。

カーテンコールでのお礼のあいさつで、「今日のこの芝居は、学校生活の中で一番の思い出です。」ということばは心に響きました。

バラシのお手伝いには、生徒会の生徒さんをはじめ、部活動の生徒さんや先生方が参加してくれました。芝居の感想を話しながら、楽しい時間となりました。

 

小川工業高校

この学校は、今回で『Touch』が3回目の上演になります。

トラックが体育館まで着かないため、100mの距離を前日の22時30分頃まで搬入をしました。

当日、朝から仕込みをしていると、生徒たちがかわるがわる体育館をのぞきに来ては、「すげーっ!」と、感想を発していきます。生徒さんはみな気さくで、先生たちと仲が良いということがうかがえます。

本番は、担当の先生のウイットにとんだ進行で始まりました。

とてもリラックスした客席で、見てやろうという態度が様々な反応を生み出していました。笑いと集中を繰り返す中で、ひとりひとりの『Touch』に向き合っているという印象を受けました。

バラシ、搬出も、体育館からトラックまで積極的に手伝ってくれました。部活の生徒さんをはじめ、有志の生徒さんも加わり100人を超えたのではないでしょうか。その中でいろんな質問や感想を述べながらの賑やかな交流の場となりました。

 

佐世保西高校

この学校も2階の体育館のため、前日に小川工業高校から到着後、23時過ぎまで搬入を行いました。担当の先生をはじめ教頭先生が動画を撮りながら最後までつきあっていただきました。

当日は、朝から先生方が仕込み中の体育館をのぞきにやってきます。実は教頭先生が、「すごい設営だからみんな見に行ったほうがいいよ。」と、職員朝礼で話してくれたからだそうです。

そういった先生たちのノリに誘われて、生徒たちも期待感が高まっていたようでした。

リラックスした客席は、ある時は湧き、またある時は集中して舞台を見つめていました。

この学校の生徒だった時に『Touch』を見て、今回7年ぶりにまたここで『Touch』を見られた、と喜んでいる先生がいました。嬉しいかぎりです。

バラシのお手伝いも150人を超える生徒のみなさんが参加してくれました。ありがとうございました。

 

香住丘高校

この学校は27年ぶりの演劇鑑賞会です。しかも前回も『Touch』でした。

1200人でびっしりの体育館での公演となりました。

芝居を繊細に受けとめて見つめる中で、いろんな事を感じ、考えているといった客席でした。その視線が注がれていることをずっと感じていた本番でした。

お手伝いも有志の生徒のみなさんで150人を超えました。

「口うるさくて恐い年配のある先生がタオルで顔を覆って号泣していたんですよ!」と、生徒が嬉しそうに話していました。恐いと思っていた先生の見知らぬ一面を見つけた驚きと喜びが伝わってきます。

この公演が大きな、大切な思い出となってくれることを願っています。

 

博多青松高校

地下2階の体育館に仕込みをするため、ここも前日の夜に搬入だけ行いました。

この学校は通信・定時の単位制の学校で、全校生徒が集まることが難しいそうです。そのため、創立記念の式典と合わせて初めて演劇鑑賞が実現しました。

1000人を超える生徒さんでビッシリの体育館でした。

式典に引き続きの開演となったので、客席は少し固いのではと心配しましたが、食い入るように見つめる姿に、芝居を鏡のようにして自分や友だちのことを思っている様子が印象的でした。

撤去、搬出は、沢山の先生方や呼びかけで集まってくれた120人を超える生徒のみなさんが手伝ってくれました。みんな口々に感想を述べてくれるといった賑やかな時間となりました。

この学校の生徒のみなさんは、みんな大人びていて誰が生徒で誰が先生かわからないほどでした。

印象深い公演となりました。

 

このツアーも初日から30ステージとなりました。来週はいよいよ折り返しになります。

一つ一つの公演を、「今、ここで」つくりながら客席と出会っていきたいと思っています。

文:ハロルド役 柳瀬太一


〈写真アップしました!〉2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本ツアー【第6週目】

2019-11-03 18:45:42 | 全国巡回公演

10月21日沖学園高校
10月23日峡南高校
10月24日福島成蹊中学高校


沖学園高校

大阪からフェリーに乗り、この秋のツアーでは唯一の九州の福岡・沖学園高校に、公演前日に到着。野球部員32人が待っていてくれました。舞台の道具、機材を体育館の2階まで一緒に運び上げてくれたのです。中には2年前、文化庁主催で風が公演した「星の王子さま」を観たという生徒さんもいて、更に盛り上がり明日への期待は膨らんでいきました。





当日、まさに沖学園専用の劇場を体育館に作り上げました。こちらの学校では毎年人権教育をおこなっているそうですが、ご担当の先生の皆さんが芸術鑑賞としても生徒の皆さんに観せたいと、「ヘレン・ケラー」の公演を計画されたのでした。
公演は併設の隆徳館中学・高校の生徒さんたちも感激。先生が開演前「一人ひとりに色々なことを考えてほしい。感じることは一人ひとり違っていいから。」と話されていました。生徒さんたちは一人ひとりの感度で様々に舞台と向き合い、小さくとも色々反応しながら観ていました。



終演後、生徒会長が「人が人を思いやること、人と人とが繋がっていくことを感じたり、考えさせられました。」と感想を述べてくれました。



舞台の撤去作業にはバスケットボール部、バレー部の約60人の生徒さんが手伝ってくれました。個人的に劇団員と話し込んでいる姿もあり、また「星の王子さま」を観たという別の生徒さんも現れ、再会の驚きと喜びがありました。そんな生徒さんたちの姿を見て、先生が喜ばれている笑顔が印象的でした。



先生方、そして今日の公演を一緒に創ってくれた生徒さんたちに感謝!感謝!の思いを抱きながら、大阪に向かうフェリーに乗り込みました。

医者役 坂牧明

峡南高校

2000年のヘレン・ケラー公演から久々の公演です。2年後には近隣の学校と統合になるので、今回が3学年揃って最後の鑑賞行事となります。その体育館公演は約130人の生徒の皆さん、先生方、保護者の方、地域の方が観劇されました。



開演前、校長先生が、今まで豊かな心を育てるために3年に1度、芸術鑑賞行事が実施されてきたこと。今回が最後となること。今日の公演を記憶に残して下さい。と話されました。



カーテンコールでは生徒会長さんから、俳優がそれぞれプライドを持ってやっていたのに感動したとのメッセージをいただきました。
終演後は各クラスの行事実行委員の生徒さん、部活の生徒さんと先生方が片付けを手伝って下さいました。



演劇部の生徒さん3人は、ヘレン役の倉八と座談会。11月の文化祭に向けて、舞台づくりに向き合っているそう。そういったことでヘレンの役づくりに関して質問があったり、アニー役はじめキャスト、スタッフみんなが搬出している姿をいいなあと思ってくれたり。校長先生も開演前に、客席頭上の照明が劇場の仕込みと同じだと紹介されましたが、照明バトンのロープに関心を示したり。倉八も伝記ではなく、自伝でヘレン触れようとしたことを話したり、長い竹竿や滑車ロープを示しながら、照明の仕込みを説明したり。






福島成蹊中学高校

2005年の星の王子さま、2012年のヘレン・ケラー以来の公演です。
1,000人以上の高校生と最前列の中学生とで大きな体育館もぎっしり。先生方はギャラリーからも観劇。
開演前はとても元気な様子がうかがえました。

開演に先立ち校長先生から"共感する"ということが話されました。芸術鑑賞行事で演劇は3年に1度。ヘレンとアニーの演劇に対してどう観るかといった時、生徒の皆さんが既に心の中に持っているものがある。舞台に共感して、心を豊かにしてほしい。先生方の思いを話されました。



カーテンコールでは図書委員長の生徒さんが、ヘレンの周りの人びとがみんな、ヘレンを愛していて、そのことに感動したと話してくれました。





終演後は演劇部の生徒さんがバックステージツアーがありましたが、それより前に体育館に残ってらした先生方が興味深く舞台装置をご覧になりました。舞台が斜めになっていることを歩いて実感したり、美術幕が照明によって表情をかえていたこと、照明バトンはどうやって吊るされたか…時間があれば片付けをずっと見ていたいと言われながら体育館を離れられました。そしてアニー役の渋谷のガイドで演劇部の皆さんのバックステージツアーと座談会。11月2日コンクールを控えている皆さんからは、演技、時代背景、美術、照明など具体的な質問が。演劇部の皆さんの知性、真摯な態度を感じたそうです。



舞台の片付け搬出には男女バスケット部の皆さんが手伝って下さいました。





茂原北陵高校

学校名が長南高校だった1990年のハムレット以来の公演、になるはずだったのですが。
早朝から台風の影響を受けた大雨。警報も出て、公演先の長生村文化会館で準備中に公演延期となりました。
残念なことですが、いつか皆さんにお会いできる日を待っています。どうぞ無事に過ごされますよう、願っています。

 ビニー役 清水菜穂子


〈写真アップしました!〉2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本・九州ツアー【第5週目】

2019-11-03 18:20:52 | 全国巡回公演

【今週のブログ執筆にあたり、先ずは日本各地で甚大な被害をもたらした台風19号で犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
また被災された皆さまが一日も早く平穏な日常を取り戻せますよう劇団員一同、心より祈念しております。】

10月14日、台風の影響による道路状況なども把握しきれていない中、伊達政宗公の御膝下、宮城県は仙台市に向けて出発。

10月15日 聖ドミニコ学院中学校・高校
       16日 南陽高校
       17日 身延高校
       18日 小野高校


聖ドミニコ学院中学校・高校

前日夜、無事に仙台入り。
ぐっと気温が下がり(と言うかこちらでは普通だったのかも知れませんが…。)主に西日本地域を巡演していた私たちにとってはなかなかの温度差。

青葉城にほど近い仙台国際センターでの公演でした。



会場は女子校の生徒さんたちらしい和やかな雰囲気で客席が満たされていました。
ご担当の先生の穏やかな呼びかけにより拍手で開演。
高い集中力を持った客席で、開場中からかなり舞台に意識が注がれていたのが伝わって来ました。
ヘレンとアニーに対し、女性だからこそ分かる共感を抱いてくれたり、これからの生き方を見つけようとしてくれているように思いました。



カーテンコールでは生徒会長さんが「人との繋がりとは何かという事を考えるいい機会になりました。」と言ってくれました。





終演後のバックステージツアーやアニー・サリバン役の高階との座談会には20名くらいの生徒さんたちが参加してくれました。
上演中の凄まじいほどの視線とはうってかわってとてもリラックスして、「面白かったです!」「感動しました!」などそれぞれにキラキラした笑顔で話しかけてくれました。



“風"初の上演でした。

南陽高校

こちらも'“風"初めての上演です。



前日、仙台での公演を終えたあと南陽高校体育館にお邪魔し、道具の搬入をさせていただきました。
その際、男子バスケ部の生徒さん5人と2人の女子空手部の生徒さんたちが飛び入りで手伝ってくれました!
2階への搬入だったのでとってもとっても助かりました。
おかげさまで予定より早く終える事ができました。
お礼に、照明の坂野がまだ組み上がる前の特別枠で見学を提案。
すごく嬉しそうに見回って「楽しみにしてます!」と言ってくれたのが私たちのエネルギーになりました。



そして当日、開場前から興味を持って体育館に来てくれた生徒さんたちをまたまた坂野が舞台を案内しました。
入場時てっきり先生の整列指導かと思いきや、生徒さんがマイクに向かっていて驚きました!
そのまま諸注意などを伝えて校長先生にバトンタッチ、劇団や作者、松兼功さんの言葉などご丁寧に紹介して下さり、拍手で開演。
生徒さん一人ひとりがとても素直に、楽しみながら舞台に向かってくれました。
こちらもワクワクする時間をともに過ごせました。





終演後は バスケ部、バドミントン部、空手部などの皆さんが多大なる力を発揮して撤去作業のお手伝いをしてくれました。
同時に体育館のステージ上では、ヘレン役の倉八と3人の男子生徒さんが座談会。
後にアナグノス校長役の緒方のところにやって来て、俳優への興味や将来の事について話を聞きに来てくれたそうです。
これから日本だけに限らず、海外の人も含めていろいろな人と出会う中で自分の事を考える時間がたくさんあると思う、そこから夢を見つけていく事もできるのではないかと話したそうです。



とても明るく、元気のいい学校だなという印象を受けました。

身延高校

こちらは2009年の『Touch〜孤独から愛へ』10年振り、2度目の上演です。



身延町総合文化会館、身延山の麓に位置する客席数400でゆったりとしたきれいで居心地のいい空間を持った劇場。
と、そこに入って来るなり大声で
サッカーのテーマ曲(?)を歌う生徒さん、開場と同時にテンションMAX!
劇場って一番乗りで入ったら大声出したくなりますよね。
とっても気持ち分かります!
外ののどかな風景とは裏腹に一気に場内は賑やかになりました。
どんな生徒さんたちなのか、楽屋では期待が膨らんでいました。

大きな拍手で開演。
終始リラックスした雰囲気の中で細かいところまで反応を見せてくれる生徒さんたちでした。





終演後は演劇部の生徒さんとのバックステージツアー。
かなり力のある演劇部で大きな大会でもたくさん実績を残しているそうです。
ほとんど気づかないような細かいところまで熱心に写真に収めたり、アニー役の高階との座談会も盛り上がっていました。
撤去作業もそろそろ終盤という頃には「今度パンチカーペットを使うのですが、巻き方教えて下さい!」と聞きに来てくれました。
なぜかと思ったら、発表が終わり次第とにかく早くどけないといけないからと言う事でした。
高校演劇は時間との勝負もありますからね。





演劇部のバックステージツアーの様子は身延高校のTwitterでも紹介されています!

小野高校

今週最後のステージは、こちらも2010年の『Touch〜孤独から愛へ』久し振り、2度目の上演でした。
だいぶ秋も深まり、少し寒いくらいの体育館。
今年は3年に1度の大文化祭だそうで、栄えある初日を飾らせていただきました!
次の日からの地域公開に向けてのオープニングセレモニーから始まりました。
校長先生の開会の言葉に続き、2人の生徒さんによる文化祭の気運を高めようという漫才仕立てのプレゼンテーション。
それぞれの学年に「文化祭は楽しみですか〜?!」と大きな声で呼びかけ。
「お〜っ!」と応える生徒さんたち。
何名かの先生方も名指しで呼びかけられていらっしゃいましたが、さすがですね、ものすごく大きな返事を返されていました。
学校全体で向かっていっているモチベーションの高さが窺えました。



仕切り直して、校長先生の一言をいただき拍手で開演。

かなり高揚したセレモニーの雰囲気とはガラッと変わって、最初から食い入るように舞台に視線と身体を向けてくれました。



終演後は3年生各クラスから2名ずつ精鋭部隊と有志の皆さんが撤去作業のお手伝いをしてくれました。
とある女性の先生が「生徒たち皆んなが顔を上げていたのが凄いと思いました!本当に!びっくりしました!」と興奮して話しかけて下さいました。
自分の中にある何かとすり合わせたり、出会ったり、見つめ直したりしながら観てくれた結果だと思います。







今週もたくさんの出会いと、たくさんの言葉と、たくさんのエネルギーをもらい、そこからたくさんの発見をさせてもらう事が出来ました。
ほとんどの学校で台風により交通手段がダメージを受け通学できず、残念ながら今回鑑賞してもらえなかった生徒さんたちも少なくありませんでした。
仕方がないと言えば仕方ありませんが、非常に残念に思っております。
でも、どこかで出会える、出会いたいと思っています!
そして早期の復旧を願っています!

公演に向けて尽力下さった先生方、お忙しい中お運びいただいた保護者の皆さま、実行にあたって動いてくれた生徒会や文芸委員の生徒の皆さん、資材の搬入や搬出を手伝ってくれたたくさんの生徒さんたち、そして、今週私たちと出会ってくれた全ての人たちに心より感謝しております。

本当にありがとうございました!

またお会いしましょう!

ケート・ケラー役:仲村三千代