風のBLOG

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2019年春『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』西日本・九州ツアー【第10週目】

2019-07-30 18:54:36 | 全国巡回公演

5月上旬から走り続けてきた『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』春の旅公演。いよいよ最終週となりました。今回の旅は船に乗る機会がとても多い。週明けはフェリーで九州へ!

7月16日(火)福岡女子商業高等学校(福岡県)同校体育館

7月17日(水)境高等学校(鳥取県)同校体育館

7月18日(木)米子高等学校(鳥取県)米子公会堂

7月19日(金)関西創価高等学校(大阪府)同校講堂

 

福岡女子商業高等学校

昨年秋に「Touch〜孤独から愛へ」、一昨年には「ジャンヌ・ダルク」を上演している学校で、なんと今回で3年連続の公演となります。
前日の準備の日は体育館で中学生のバスケットボールの大会が開催されていました。私立の高校ですが地域との繋がりをとても大事にしている様子が感じられます。
道具の搬入が始まったのは夜8時近くでしたが、サッカー部、バスケ部などの生徒さんたちが元気いっぱいに手伝ってくれました。担当の先生方は部の顧問でもあり、生徒たちを全力で行事に参加させ、その頑張りをしっかり褒める関係が素敵だなあと思いました。
おかげさまで準備も順調に終わり、良いコンディションで公演本番を迎えることができました。公演前に校長先生が「今日の公演は人権学習の時間です。その意味をしっかり掴んで欲しい。」と想いを話されました。
少し緊張して幕が開きましたが、やっぱり元気な生徒の皆さん。起こることの一つ一つに生き生きとした反応を見せてくれました。
公演後の片付けにはたくさんの生徒さんたちが参加して下さり、芝居の感想や面白かったことを劇団のメンバーに話してくれました。お昼以降は部活動、有志の生徒さんが最後まで手伝ってくれました。本当にありがとうございました!
学校を出発する直前に校長先生が挨拶にいらっしゃいました。この日アニーを演じた高階が3年前に学校を訪ねた時から風を応援してくれている先生。「良かったよ、またよろしく!」と固い握手を交わしました。また福岡女子商業の皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。
 
 
 
 
 
 
 
 
境高等学校
 

福岡からまた山陰に戻って来ました。
境高校ではこれまで「Touch」「肝っ玉おっ母とその子供たち」「ヘレン・ケラー」「ジャンヌ・ダルク」と度々風の公演を見ていただいてます。今回は鳥取県文化振興財団の主催で人権行事として上演しました。
会場に入って来た生徒の皆さんは体操着で水筒持参。7月の体育館公演はやっぱり暑いですが、心地よい風が吹いていました。
境高校の皆さんの繊細且つ率直な心を感じ、暑さを忘れるほどの印象的な公演でした。
カーテンコールでは生徒会長さんが感想を話してくれました。「障害について考えたこと、気づいたことがあります。あらゆる障害があってもその障害と向き合うことで、その人にとってのコミュニケーションの仕方があり、人と繋がっていけると思いました。」前もって書いた文章を捨てて、その場で一生懸命に伝えてくれた言葉、私たちの胸に強く響きました。
終演後は演劇部の皆さんと舞台見学から、照明・音響操作のワークショップ。「サリバン先生の子守唄をもう一度聴きたい!」というリクエストがあったので生徒さんがヘレンとパーシーになり子守唄の場面をやってみたり、ラストシーンを創ってみたりしました。「いつもは内気な子たちです。」という顧問の先生もとても嬉しそうでした。
また人権担当の先生が、親戚に耳の聞こえない子がいてヘレンによく似ていると話して下さいました。その表情からこの行事への想いと生徒さんたちの姿を見ての喜びが伝わってきました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
米子高等学校
 

鳥取県文化振興財団主催による、春の旅公演では最後の公演です。米子市は劇団創立当時から芸術鑑賞行事と演劇部の両方で繋がりが強い地域です。米子高校での公演は今回で5回目となります。
会の進行を放送部の生徒さんたちのアナウンスで行いました。
担当の演劇部顧問の先生が6年前の『ヘレン・ケラー』公演のことから、「客席の皆のエネルギーが舞台に伝わります。」と今回の公演への期待を話して下さりいよいよ開演。
生徒の皆さんがしっかり自分の感覚で観てくれている様子がひしひしと伝わってきました。
カーテンコールでは全校を代表して生徒会長さんから「人の喜び、悲しみ、怒りなどの心が伝わりました。そして幸福とは何かを考えました。」と素敵な言葉をいただきました。
公演後の舞台見学では予定をはるかに超えるたくさんの生徒さん、先生方が舞台の隅々まで見て楽しんでくれました。昨年倉吉農業高校の公演でお会いした先生と嬉しい再会もありました。米子高校は演劇、ダンス、美術など芸術分野に特に熱心な学校なのだそうです。
演劇部の皆さんとは座談会でゆっくりお話しすることができました。「劇団風では読み稽古、立ち稽古の目的はどういうものと考えていますか?」「役者の立ち位置の関係がきれいだと感じました。どのように決めていますか?」など深い質問が多く、演劇とは何かを真剣に考えている演劇部の活動がよくわかります。途中参加した照明の坂野も質問の内容に感心していました。
鳥取県で風の西垣が講師を務めているワークショップにも毎年参加して、部の稽古に取り入れているとのこと。先日の地区大会では代表に選ばれ、秋の県大会に出場が決まったばかりだそうです。熱い夏になりそうですね。頑張って下さい!
 
 
 
 
 
 
 
 
関西創価高等学校
 
 

春の旅公演、千秋楽は関西創価高等学校の講堂での公演です。
公演を企画してくれた副校長先生が夜遅くまで準備に協力して下さり、講堂の機構を最大限に生かして舞台を組むことができました。
翌朝生徒さんが入場してくると、昨日とは様変わりした講堂に歓声が上がりました。
会の始まりから終わりまで、生徒の皆さんが自主的に動き協力し合う姿は見事でした。
公演が始まると1000人を超える生徒さんの視線には迫力があり、発見と驚きと関心を増幅させながら舞台と客席が共に在る楽しい時間でした。
カーテンコールでは副校長先生から「ヘレンとアニーの物語を通して人と人の出会いが周りに大きく波及していく様を生徒に伝えてくれました。公演に向けて本校に度々来て下さったこと、昨日深夜までかかって舞台を組んでくれたことに感動しています。」とご挨拶をいただきました。先生の言葉に生徒の皆さんからも大きな拍手が送られました。
公演直後の舞台見学には私たちもビックリする程たくさんの生徒さんが参加してくれました。全部見たいし、劇団のメンバーに聞きたいこともたくさんあって時間が足りない!という生徒さんもいました。
放課後に戻って来て一緒に舞台撤去を手伝ってくれた放送班の皆さん、本当にありがとう!それぞれの素敵な笑顔を私たちも大切に持って帰ります。また、演劇部の皆さんとの座談会にアニー役の渋谷が参加しました。真剣にお互いの演劇への想いを交わし最後まで盛り上がりました。大阪で毎年夏に行われる高校演劇の大イベント「HPF」での公演がいよいよ3日後に迫っているそうです。「今日演劇鑑賞ができて本当に良かった!」と部員の皆さん。公演への意欲、チームワークに繋がったなら私たちもとても嬉しいです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今回の2ヶ月の旅公演は、倍にも感じられるほど内容の濃い、様々な試みと企てに満ちた旅でした。過ぎていく時間を超えて、この旅で出会った人たちのことが鮮明に私たちの中に共に生きています。主催校の担当や支援者の先生方が生徒たちの変化を目の当たりにして、喜びを伝えてくれた時の笑顔、言葉のひとつひとつ。会館や教育委員会、文化振興財団など地域のために公演を主催した方々が公演の手ごたえを感じてくれたこと。
人が人を想う心が公演の場を生み出し、その心が舞台を通して伝わっていく。それが私たちの演劇なのだと確かに感じた旅公演でした。
そして公演のひとつひとつは完結しない、明日への始まりとなりました。
 
文:稲葉礼恵(ヘレン・ケラー役)