風のBLOG

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2018年秋『Touch〜孤独から愛へ』九州ツアー [第7週]

2018-11-21 23:33:29 | 全国巡回公演

この時期でも春のような陽気が続いていた九州地方にもいよいよ冬の空気がやって来ました。

2018年秋「Touch〜孤独から愛へ」九州ツアーは第7週目を迎えました。

 

11月12日(月)【福岡県】東鷹高校 田川市文化センター

11月13日(火)【長崎県】清峰高校 同校体育館

11月14日(水)【熊本県】熊本第一高校 熊本市民会館

11月16日(金)【広島県】呉商業高校 呉市文化ホール

 

東鷹高校

この学校での公演は2009年の「肝っ玉おっ母とその子どもたち〜あとから生まれてくる人たちへ」の公演以来、2回目となる公演でした。

開場前には以前勤めていらした学校で風の公演を繋いでくださった先生が東鷹高校の教頭先生になられていて、楽屋にハロルド役の柳瀬を尋ねて来てくださいました。

思わぬ嬉しい再会に当時の公演の日の思い出を互いに思い起こしながら話していました。

 

 

入場時の生徒さんたちは組まれた舞台に、「なんか、凄そう!」「楽しみ!!」と期待の声を上げながら会場の静けさを一気に吹き飛ばす勢いでやって来ました。

 

 

行事は生徒さんたちの司会で始められ、文化委員長さんの号令がかかると一気に会場は静まり、生徒さんたちは舞台に体ごと向けていました。

本番中の彼らは一緒に観ている友達やクラスメートを互いに感じながら、笑いあったり、グッと前のめりになりながら観たりしていました。

 

 

終演後の舞台見学は先生の呼びかけで希望者の生徒さんたちがたくさん集まってくれていました。

道具に触れ、一つのシーンを友達同士で再現している生徒さんの姿もありました。

 

 

座談会に参加していた生徒さんから、劇団のHPの掲示板へメッセージが届けられていました。

メッセージを残してくれた生徒さんの言葉の中には、「今年1番の思い出になりました!」とありました。

 

 

清峰高校

この学校のご担当の先生は以前勤めていらした学校で「Touch」の公演を観たことがあり、その時の記憶もきっかけとなり今回、清峰高校の生徒さんたちに繋げられた公演でありました。

入場時、体育館に組まれた舞台に興奮している様子の生徒さんに声をかけてみると「舞台、上がっていいんですか!?」「ものすごい興味あります。」と勢いよく舞台に上がったり、恐る恐る手で触れて観たりしていました。

 

 

 

開演前のご担当の先生からの挨拶で「私には前の学校でこの舞台を観たことがあり、とても感動した思い出があります。皆さんの中に登場人物に共感する人もいるかもしれません。この時間が皆さんにとって大事な時間となればと思います。」と話していました。先生の言葉をじっと聞く生徒さんの姿が印象的でした。

彼らはとても自由な態度で自分が見たいもの今、感じたことをぶつけるように真っ直ぐに舞台に向かってくれていました。

終演後すぐに舞台に上がってくる生徒さんたちは、トリートやフィリップの身振りを真似して見せたり、「元気付けてやろう」と友達の肩を抱いてやったりしながら、舞台見学をしていました。

舞台撤去作業には朝の道具の運び入れ作業にも手を貸してくれた生徒会の生徒さんたちを始め、40人以上の部活動の生徒さんたちがお手伝いに駆けつけてくれました。

 

 

 

生徒さんたちは役者に積極的に話しかけたりしながら”お手伝い”というよりは、劇団員と一緒になって作業に取り組んでいる様子でした。

 

 

熊本第一高校

熊本第一高校での風の公演は今回が初めてとなる公演でした。

会場は1000人を超える生徒さん、先生方でいっぱいとなり、圧倒的な存在感を放っていました。

 

 

 

開演前は放送部の生徒さんたちの司会進行で、1000人を前に堂々とした姿勢で劇団紹介から作品の紹介、キャスト紹介をしてくれ、しっかりと始まりを作ってくれました。

公演中の生徒さんたちは1番後ろの席の子たちまでしっかり体を合わせていました。舞台がクライマックスに向かっていくのに連れ、徐々に集中力が増し、1000人が一体となって舞台空間を共に作っているようでした。

カーテンコール時の代表の生徒さんの挨拶の言葉の中に「愛情を持って少年たちにいろんなことを教えようとするハロルドの姿を見て、自分の家族のことや、友達のことを改めて考えました。私たちにとってとても大事な時間になりました。」とありました。

彼女はその時に自分の中に生まれて来た言葉や、今自分が感じていることの一つ一つを伝えるように言葉にして届けてくれていたように思います。

 

 

終演後の舞台見学には舞台にいっぱいになるほどの生徒さんが集まっていました。

道具の工夫や仕組みに強い関心を持って、舞台スタッフや役者の言葉を聞いていました。

座談会は時間ギリギリまで行われている様子で、舞台見学と座談会の両方に参加した生徒さんから劇団のHPへの書き込みもあり、その生徒さんのその時の思いがとても伝わってくる文面の中には「自分の世界が広がったような気がします!」と書かれていました。

 

 

 

呉商業高校

九州ツアー第7週目を締めくくるのは、学校行事実施の時期の関係もあり九州ツアーに組み込まれた広島県呉市の学校です。

熊本第一高校に続き、この学校での風の公演も「Touch〜孤独から愛へ」が風”初”となる公演でした。

 

 

 

開演前、校長先生の挨拶では「演劇は観るだけではなく、観ている皆さん何かを感じながら、一緒に作るものです。この演劇鑑賞会の時間や経験が皆さんにとって高校生活の思い出の1ページになってもらえたらと思います。楽しんで観劇してください。」と生徒さんたちに言葉がかけられました。

生徒さんたちは校長先生の言葉にじっと耳を傾けているようで、すでに”観る”という姿勢になっている様子で集中した視線が舞台に注がれていました。

客席が生み出した沈黙の空間は波紋のように広がっているようで、とても繊細なように感じました。

 

 

終演後の舞台見学には多くの生徒さんが参加していて、本番中のあの緊迫感のある沈黙の時間と違った生徒さんたちの姿がありました。

とても積極的に、ついさっきまで観ていたものや自分が受け取ったもの、感じたことを爆発させるかのような勢いで道具に触れ、役者や舞台スタッフに言葉を投げかけて来てくれました。

 

 

座談会には舞台見学に来ていた生徒さんの殆どが参加していました。生徒さんたちは互いに自分以外の人の言葉をよく聞いていて、質疑応答というよりはハロルド役の柳瀬太一へ投げかけた言葉や、返ってきた言葉からそれぞれの会話がその場に生まれているような時間であったようです。

 

 

3ヶ月に及ぶ2018年「Touch〜孤独から愛へ」九州ツアーは後半に突入しています。

些細な時間も何かに、誰かに繋がっていることを改めて考える日々です。

20年以上若い観客の目に晒されている「Touch〜孤独から愛へ」を通じて繋がった出会いや再会の中で人の大切な記憶や経験、歴史に触れていることを感じます。

 

 

舞台スタッフ/高階ひかり