9月19日から始まった「ヘレン・ケラー」の旅もいよいよ終盤に差し掛り、第7週目をむかえました。
10月29日(月)【静岡県】日本大学三島中学校・高等学校 同校アリーナ
10月30日(火)【岐阜県】郡上高等学校 同校体育館
10月31日(水)【栃木県】真岡女子高等学校 真岡市民会館
11月 2日(金)【静岡県】加藤学園暁秀中学校・高等学校 沼津市民文化センター
日本大学三島中学校・高等学校
第7週目の初日は1993年を初めに6回目のとなる日本大学三島中学・高校での公演です。
トップの写真は三島中学・高校の『桜アリーナ』です。バスケットコートが4面、天井までの高さも20メートル以上あるとても大きなアリーナです。
本番が午前開演ということで前日に仕込みをさせていただきました。
搬入中には、テニス部やバレー部の皆さんが通りすがりに大きな声で挨拶をしてくれたり、アリーナの入り口で練習をする吹奏楽部のフルートの音色が聞こえてきて、心暖まるような雰囲気で搬入ができました。
搬入が終わり、仕込みをしていると演劇部の皆さんが体育館をのぞきに来てくれたので一緒に舞台を廻って、音響機材に触れたり、灯り当てのモデルになりました。
そして翌日の本番前には図書委員の皆さんが舞台を見学に来て、舞台設営にかかる時間やツアー中の旅班の動きなど様々なところに関心をもって質問をしていました。
なかには「八百屋舞台になってる!」と驚く生徒さんや「お父さんの実家にも同じようなポンプがあるんですよ!」とポンプに目を輝かせる生徒さんもいました。
そして開場すると1000人近い生徒や先生、保護者の皆さんが客席いっぱいに入り、もの凄い熱気で開演を待ちます。
司会の先生から「桜アリーナが桜劇場に変わりました。初めての桜アリーナでの試みです。大きな拍手で始めましょう」という挨拶があり、開演です。
公演中、真剣な眼差しを舞台に向け、一人ひとり全身で何かを受けとめているようなそんな印象を受けました。
休憩中もドロップを指差して話す姿や天井に吊ってある照明の灯体をじーっとみつめる生徒さんもいて、舞台に関心を持って向き合ってくれました。
終演後の代表の生徒さんの挨拶では「中学生時代に読んだ奇跡の人やヘレン・ケラーの自伝を思い起こしながら観ていました。でも文章とは違って体当たりでつくる関係性をとても感じました。」と自分自身が感じた事を自分の言葉で伝えてくれました。
搬出作業は図書委員の皆さんが手伝ってくれました。
運んでいる道具がどこで使われていたか劇団員に質問しながら作業し、とても良い交流の場となりました。
演劇部の皆さんはお昼休みギリギリまで劇団員と談笑し、お昼休みの時間に友達同士追いかけっこをしながら、元気よく声をかけてくれた中学生の生徒さんたちと最後に記念写真を一枚。
郡上高等学校
二日目は郡上高校での公演です。
学校はたくさんの山に囲まれており、体育館の横には大きな野菜畑も広がっていてとても自然豊かな場所です。
この日の公演も前日に搬入を行い、担当の先生も搬入を手伝ってくれました。、
開場中には「すげーっ!」「おぉなんだこれ!」と普段使っている体育館が劇場に変わった事に驚く声が舞台裏でスタンバイしている役者たちにも届いてワクワクしていました。
そして開演すると開場中の雰囲気がガラッと変わり一人一人が集中して舞台へ視線を向け、取っ組み合いのシーンなどではクスッと笑う瞬間もありました。客席全体がリラックスしながらも集中する時はジッと舞台に集中している柔軟な身体で舞台と向き合っているような印象でした。
終演後の生徒会長さんの挨拶では「諦めずに人と接する事で新しい人間関係が生まれると思いました。」と2時間という時間の中で感じた事を素直に伝えてくれました。
そして終演後のバックステージには演劇部の生徒さんや運動部の生徒さん50名ほどが参加してくれました。
二階屋に登って初めて体験する感覚にドキドキしている生徒さんやテーブルの下までのぞき込む生徒さん、音響の渡辺に話を聞く生徒さん、ヘレン・ケラーの細かなところまで興味を持って舞台を見学していました。
バックステージ後には演劇部の皆さんはアニー役の高階と座談会へ、運動部の生徒さんや図書委員の生徒さんはバラシのお手伝いをしてくれました。
座談会では基礎練習の話を中心にたくさんの質問もでてとても盛り上がっている様子でした。
お手伝いの生徒さんたちも重いものがあればみんなで協力し、声をかけ合い、驚くようなチームワークであっという間に一階まで舞台装置を運んでくれました。
最後に担当の先生から「ヘレンケラーは映画などで見たことがありました。でも映画とは全然違う生のものを感じました。そして子供たちの観ている時の熱気にも感動しました。」とまた次の公演に繋がる力強い言葉をいただきました。
真岡女子高校
3日目は真岡女子高等学校での公演です。
開場中は二階席から一階席の友達に手を振る生徒さんもいて、明るく活き活きとした雰囲気で開演を待ちます。
公演中は舞台の上で起こっている一つ一つの出来事を少しでも見逃すまいと真剣な表情で舞台をみつめ、客席に吸い込まれるかのような感覚でした。
終演後の代表の生徒さんの挨拶では「アニーがヘレンに人生を楽しんでほしいからからこそ厳しく教育するのだと思いました。そして障害を乗り越えるのではなく向き合うことが大事だとも思いました。私も辛い事があっても向き合っていき、そして周りにはヘレンの家族のように支えてくれる人がいる事を忘れないでいきたいです。」と2時間で感じた事ほぼ全てを言葉にしてくれたのではないかと思うような堂々とした挨拶にはとても刺激的で感動しました。
バックステージでは「衣装はどこで作っているんですか」という質問や「なぜ転換には役者も入っているんですか」などと様々な役者にたくさんの質問がありました。
バックステージ後はバラシを見学しながらヘレン役の倉八との座談会です。
座談会の最後にはトラックの中まで見学をし、役者たちとトラックをバックに記念撮影もしました。
加藤学園暁秀中学校・高等学校
4日目は加藤学園曉秀中学・高等学校での公演です。
2007年の星の王子さま以来の公演です。
開場すると元気に会場へ入って来て一気に会場が賑やかになりました。
開演前は副校長先生の「演劇を見て、聞いて、感想を語り合いましょう。」という挨拶があっての開演です。
公演中様々なシーンで反応し、色んな場面で笑いが起こり、明るい雰囲気を感じると、前半とはまた違う集中力で舞台と対話するようにヘレン・ケラーを創ってくれこました。
終演後の生徒代表の挨拶では「ヘレンの内なるものを見たいという気持ちを観た時にとても感動しました。今でも言葉にすると泣きそうになっています。」と涙をこらえながらに強く想いを伝えてくれました。
そしてカーテンコール後はヘレン役の倉八とアニー役の高階と全校生徒での座談会がありました。「背景幕はなんの絵でどんな意味があるんですか」「なぜガーデンハウスのシーンではネットがあったんですか」など舞台装置の様々な所に関心を持った質問が多く短い時間ではありましたが、すごく盛り上がっていました。
「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」の旅も残すところあと1ステージとなりました。
一回一回様々な出会いや驚きのある時間の中でその瞬間を大切に最後の最後まで駆け抜けていきたいと思います。
ジェイムズ・ケラー(ヘレンの兄)役/蒲原智城