風のBLOG

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2017年 秋「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」九州巡回公演 最終週

2017-12-25 09:22:26 | 全国巡回公演


9月下旬、まだまだ暑かった九州の地で始まった「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」九州巡回公演。

12月に入り、九州にも冬到来。2017年秋「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」九州巡回公演もいよいよ最終週です。

 

12月18日(月) 鹿児島県  鹿屋工業高校 同校体育館

12月19日(火) 鹿児島県  野田女子高校 同校体育館

12月20日(水) 大分県  津久見高校  津久見市民会館

 

 

 鹿屋工業高校 

 

 

この学校での「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」の公演は、2015年「ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち」の公演を1年生の時に見た、3年生の生徒との再会と12年生との新たな出会いとが入り混じった公演でした。

 

朝、学校に到着すると、文化委員の生徒さんたちが20人程、今日の公演の準備をしていました。

そして、そのまま11tトラックから出てくる舞台道具を体育館に運び入れる作業をお手伝いしてくれました。

 

生徒さんたちから「前の方で見たい」という要望があったりと、「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」の公演への期待感が生徒たちの中に、そしてその生徒の声を聞いた先生方のなかにもあったようです。

生徒さんたちは、客席の後ろから入ってくる役者を元気いっぱいに声をあげながら迎え入れてくれ、「待ってました!」「楽しみにしてます」と声をかけてくれる子たちもいました。

本番の始まりから、溢れんばかりのエネルギーを注いでくれた彼らは、とても強く自分自身を持ちながらジャンヌ・ダルクの世界に体ごと向けていたと思います。

 

終演後には、朝も舞台道具の運び入れの作業をお手伝いしてくれた、文化委員会の生徒さんたちに加え、多くの希望者の生徒さんたちがお手伝いに来てくれました。

 

1年生の時に「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」の公演を観た3年生の生徒さんも居ました。

その中の一人の3年生の女子生徒さんが「1年生の時に観たヘレン・ケラーの公演で初めて、演劇というものを知り、これまで演劇をみる機会もなく、関心もなかったのですが、そのヘレン・ケラーの鑑賞がきっかけで今、地元の人たちが参加できるミュージカルに出演したりしています。今回また風さんの舞台を見ることができて本当に嬉しかったです。」とヘレン・ケラーを見たときの2年前の自身の姿を、ついこの間のことのように語ってくれ、今、自分が向かっていること、思い描いているこれからのことをたくさん伝えてくれました。

 

 

 

再会した3年生の姿や、この日初めて出会った1・2年生の姿にも2年前の鹿屋工業高校での「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」の公演を2年も前のことのように思えないほど間近な時間として思い起こさせられた「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」の公演でした。

 

 

 

 

 

 

 野田女子高校 

 

 

野田女子高校は2004年の「ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち」の公演以来、13年ぶりとなる風の公演でした。

朝から舞台道具の運び入れの作業にバレー部の生徒さんたちが力を貸してくれました。

 

生徒さんと先生方約300人に保護者の方々も加わった客席に迎え入れられた本番は、一人一人の舞台に向かう眼差しがダイレクトに伝わってくる距離感がとても印象に残っています。

笑いたいところは大いに笑ったり、じっと舞台に目を向けていたり、言葉をよく聞いて、ジャンヌ・ダルクの世界に浸されるように見ていました。

また、ジャンヌ・ダルクが火あぶりにされる芝居のクライマックス差し掛かるところからの客席の姿は、自分たち自身もクライマックスを作っていくような、盛り上がっていく空気を強く感じました。

 

終演後、朝も作業に手を貸してくれたバレー部の生徒さんたちに加え、運動部の生徒さん、有志で来てくれた生徒さん、と全校生徒の半分くらいの生徒さんたちが役者やスタッフに会いたいと、体育館にきて、舞台道具の片付けのお手伝いもしてくれました。

 

作業を一緒にしていく中でたくさんの生徒さんが声をかけに来てくれ芝居の場面を再現してみたり、自分が聞いたセリフを自分で言葉にしてみたり、自分が受け取ったものをたくさんたくさん伝えてくれ、「スタッフの仕事も見てみたい」と音響スタッフや照明スタッフ、舞台美術家に駆け寄る姿もありました。

 

 

 

自分が出会ったものや、隣で見ていたクラスの仲間たちが見ているものを感じながら居た時間、公演が終わった後に自分以外に伝えたいと思った一人一人の思いがきっと彼女たちにとっての大切にしたいものと、強く結びついていくのだろうと思う公演でした。

 

 

 

 

 

 

 津久見高校 

 

津久見高校での公演は今回で6回目となる公演でした。

体育館での公演を予定して居たのですが、大雨の影響で体育館が浸水してしまったとの連絡を受け、急遽、津久見市民会館での公演となりました。

公演前の最終打ち合わせに担当の先生が来られて、打ち合わせが終わると風との始まりの出会いの話をしてくれ、「本番の前にどうぞ」と津久見のみかんを一箱、差し入れて下さり、「生徒も楽しみにして居ました。よろしくお願いします。」と声をかけてくれました。私自身、その先生の姿や言葉にこれから出会う生徒さんたちの姿を強くイメージし、本番に向かいました。

 

 

楽屋にもひびきわたるほどの元気な声をあげながら勢いよく会場に入ってくる生徒さんたち。

保護者の方々もたくさん来られていました。

 

本番中の彼らは会場の雰囲気を一転させ、とても集中した様子で舞台上で起こる出来事の一つ一つを自分たちなりに考えながら、舞台に体を向けていました。

 

カーテンコールで改めて客席と顔をあわせると、「ジャンヌー!」と声をあげ、開場時の時の彼らの勢いを持った姿がまた戻って来ました。

 

終演後には舞台見学が行われ、先生方も生徒さんたちと一緒になりながら、舞台の道具が作っている世界観や、客席で見ていたものに触れ、スタッフにどうなっているのか、舞台の裏の裏側まで関心を持っている様子でした。

 

 

公演の日の前から担当の先生に「話を聞きたい」と言っていた1年生の女子生徒さんは「自分は今までテレビとかしか知らないからそういう女優さんを目指そうと思って、交流会を希望したのですが、今日初めてジャンヌ・ダルクを観て、舞台もいいなと思いました。」と涙ながらに伝えてくれました。

その彼女と、舞台をみて参加したいと参加してくれた2人の女子生徒さん、そして校長先生、教頭先生を含めた先生方、保護者の方々数名の参加のある、座談会が行われました。

 

座談会では担当の先生が大いに盛り上げてくれ、生徒さんたちの緊張感もほぐれた中で生徒さんたちを中心にして、質問や感想、たくさんの言葉が飛び交う時間となりました。

 

座談会はジャンヌ・ダルクの公演のことから劇団活動についての質問もあり、時間が足りなくなるほど時間いっぱい行われました。

 

 

最後、会館を去る時には、「座談会参加したかったです!」「待ってました!」という数名の生徒さんたちを担当の先生が連れて来てくれました。

 

その先生や、生徒さんたちの私たち劇団員を乗せたバスを見えなくなるまで見送る姿に、3ヶ月に及ぶ「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」九州巡回公演の千秋楽を迎えたことを改めて感じました。

 

 

 

 

 

自分が見たもの、聞いた言葉を伝えてくる若い観客たちの姿に、そして彼らが舞台を通して出会っているものや、感じ、受け取っているものを見守っている先生方の姿にすごく人の存在を感じる日々でした。

 

2017年、劇団創立30周年でした。

「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」九州巡回公演の3ヶ月に及ぶ旅の中で、出会って来た人の姿や表情が自分の中に大きく在りながら、年の瀬を迎えました。

また新しい年、今を生きる人たちの一瞬間に出会い続けていきたいと思います。

 

良いお年をお迎え下さい。

 

 

ジャンヌ・ダルク/高階ひかり