九州も暑い時期は去り、秋のひんやりとした心地のいい金木犀の香しい空気が漂うと共に台風が接近する時期となりましたがその台風も公演がある日には九州に接近させない勢いで始まった「ジャンヌ・ダルク―ジャンヌと炎」秋・九州ツアー第4週目の公演は、
10月16日(月) 鹿児島県 川辺高校
17日(火) 大分県 情報科学高校
18日(水) 熊本県 鹿本高校
19日(木) 長崎県 島原翔南高校
20日(金) 福岡県 大宰府高校
この5校、鹿児島県から福岡県までの5県での公演でした。
この写真は公演後すぐに体育館に会いに来てくれた鹿本高校の3先生の男子生徒さん達です。
川辺高校
川辺町の文化会館での公演。
生徒、先生方の他に同窓会の皆さん、保護者の皆さんにも呼びかけられ、放送部の生徒さんたちの進行で、
幕を開けた舞台でした。
カーテンコール時にあいさつをする生徒さんたち、放送部の生徒さんたちとの打ち合わせの様子
真剣な表情を舞台に向け、時には役者の面白い動きにはクスクスと控えめに笑い声をあげたりしながらジャンヌ・ダルクの世界に引き込まれるようにして見てくれていたように思います。
公演後の座談会には、開演前の希望者は1人だったのですが、客席には50人くらいもの1年生、2年生、3年生、それぞれ15人ずつくらいの生徒さんたちが集まりました。
公演の前から希望していた将来、舞台の道に進むことを決めている3年生の生徒さんを中心に、時間いっぱい感想や質問を投げかけてくれました。
公演後の座談会に参加してくれた生徒さんたち
役者に声をかける生徒さんたち
最後には握手をする中で座談会に参加した一人一人の生徒さんが一言ずつ、自分自身がこの公演を通して感じたことを伝えにきてくれ、放送部で司会をして、座談会にも参加していた生徒さんが言い足りなかった思いを劇団のHPにある掲示板に「どうしてもこの興奮が冷めないうちに…」と、メッセージを残してくれました。
情報科学高校
創立30周年記念として行った芸術鑑賞行事でした。
朝、学校に到着すると、野球部の生徒さんたちが舞台道具を体育館に運ぶ作業に力を貸してくれました。トラックの中から次々に出てくる舞台道具に驚きや関心を持ちながら手伝ってくれました。
舞台道具の運び入れのお手伝いの様子
舞台を見る生徒さんたちは自分たちが面白いところは大いに笑って、みたいところは沈黙し、言葉を聞いているようでした。
とても、周りで一緒にみている、友達やクラスの仲間も感じながら舞台と向き合っていました。
カーテンコール後、すぐに担当の先生の呼び込みで役者が舞台に呼ばれ、公開質問コーナーが行われました。
そこに舞台俳優を目指している、2年生の男子生徒さんが勢いよく前に出て来て、質問ではなく、ジャンヌ・ダルクの舞台で自分自身が目の当たりにしたもの、感じたことを私たち役者、そして一緒に舞台をみた客席の仲間たちに声を大にしてその興奮を話してくれました。
公演後の座談会はPTA会長さん含めた保護者の方々含め、その公開質問コーナーでの2年生の男子生徒さんを中心に行われました。
彼は今の自身のこと、そしてこの日の公演のことをたくさん話してくれました。
その彼の勢いある姿に保護者の方々も彼と一緒になって、感想を言ったり、質問をしていました。
また、舞台道具の片付けにはバレー部、バスケ部、フェンシング部、バドミントン部、生徒会、そして有志の生徒さんたちが舞台道具の仕組みや、劇団員の動きをしっかり見ながら手伝ってくれました。
鹿本高校
カーテンコールであいさつをしてくれた図書委員長の生徒さん
鹿本高校での風の舞台は今回で5回目となる公演でした。
舞台仕込みの作業中には何人かの生徒さんたちが休み時間の度に体育館をのぞきにきて、体育館がジャンヌ・ダルクの劇場になっていく様子を見ていました。
開場時、体育館に入ってくる生徒さんたちは「なんだこれ!」「体育館じゃないみたい!」と目に飛び込んでくるいつもと違う体育館の様子に声をあげながらやって来ました。
公演中の彼らはとても集中した様子で舞台に向かい、その眼差しから彼らが見ているものが伝わってくるようでした。
公演後すぐに、女子生徒さんたちが体育館に来てくれ、言葉を交わす中で彼女たちはジャンヌ・ダルクの生きた時間に触れたのだと思いました。
その後もぞくぞくと舞台の片付けには参加できなかったサッカー部、野球部の生徒さんたちがたくさん会いに来てくれました。
改めて出会うことのできた時間でした。
そして、舞台道具の片付けには図書委員会の生徒さんを中心に部活動の生徒さん、そして有志の生徒さんが集まってくれ役者たちと今日の舞台のことを話しながら、一生懸命に手を貸してくれました。
「図書委員会がこんなに力を使う委員会だったとは思ってもなかったです」と笑いながらいっていた彼が人一倍生き生きと劇団員や図書委員会の仲間たちに手を貸してくれていました。
私たちが学校を去る時も見送りに外まででてきてくれました。
島原翔南高校
舞台道具の片付けが終わったあとの様子
島原翔南高校は今回で6回目となる風の舞台で、近隣の西有家中学校の生徒さんも迎え入れての公演でした。
朝、学校に到着すると担当の先生をはじめ、生徒さん、先生方が運動着に着替えて次々と集まってくれ、舞台道具の運び入れに力を貸してくれました。
トラックから体育館まで少し距離があったのですが生徒さんと先生方が私たちと一緒になって声をかけながら、しかも「これ、いつも自分たちだけでやってるんですか?!」と舞台道具の規模を目の当たりにし、当初の時間よりも長く、盛り上げながら手を貸してくれました。そのおかげで、劇団員だけでやるよりもずっと早くに道具の運び入れを終えることができました。
ジャンヌ・ダルクの舞台に向かう生徒さんたちの姿にそれぞれのジャンヌ・ダルクの存在があるようで舞台に立つ役者たちの中にも何か込み上げてくるものがありました。
公演後の舞台道具の片付けには道具の運び入れにも手を貸してくれた先生方、有志の生徒さんに加え、体育館の部活の生徒さん、希望者の生徒さんが40人程がお手伝いに来てくれました。
合間をみては駆け寄って来て、役者に声をかけてる生徒さんや、「文化祭でぜひ、やりたいんです!」と舞台で見た役者の動きのやり方をその役者に声をかけ、教えてもらう先生の姿もありました。
太宰府高校
最初にお手伝いに来てくれた生徒会のみなさん
太宰府高校の公演は校長先生が、学校の周年行事に生徒に人の生きる姿を見せたいという生徒さんたちに対する熱い思いが立ち上げた公演でした。
朝の早い時間から先生方に迎えられ、2階の体育館への道具の運び入れだったのですが、休み時間の度に通りかかる生徒さんたちの「すごく、楽しみにしてます!」「これ、全部舞台の道具ですか!」という喜びや楽しみを持った声に、底力も湧いて頑張ることができました。
舞台の仕込み中には多くの生徒が覗きに来ては「体育館がすごいことになってる!!」と驚いている姿もみられました。
公演中の彼らは後ろの方までしっかりと最後まで舞台なや目を向けていました。とても自由に、自分が今、目の当たりにしているもの、その感覚を大事に持ちながら見ているようでした。
カーテンコールでの生徒会長さんの挨拶では「自分は”ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎”の”炎”の本当の意味はわからないけれど、僕は僕自身の”炎”ではないかと思いました。」とその場にある言葉や受け取ったものを噛み締めながら時間をかけて、私たち役者に自分の言葉を贈ってくれました。
公演後の舞台道具の片付けにはお手伝いや座談会は予定されていなかったのですが、公演後に体育館を覗きにきた生徒さんや体育館の部活動の生徒さん、顧問の先生方、生徒会の生徒さん、そしてこの公演を繋いで下さった先生自らの意思で道具の片付けに手を貸して下さいました。
生徒さんたちは声をかけあいながら一生懸命に手を貸してくれ、声をかけて下さる先生方の一人一人が「舞台を見る生徒の姿に驚きました」「生徒のあんな表情を始めてみました」と生徒さんたちを眼差しを通してこの公演を見ていたのだと強く感じました。
全ての舞台道具の片付けのお手伝いを終えた生徒さんたちの様子
「ジャンヌ・ダルクージャンヌと炎」秋・九州ツアー4周目、ひとつひとつの公演での出会いに喜びを感じるのと同時に自分自身の始まりに立ち返り、「やっててよかった」と噛み締めて思う日々です。
その日の若い観客たちの中にジャンヌ・ダルクが生きていることを感じます。
これまで目の当たりにしてきた出会った彼らのひとりひとりの中に灯る炎をまだまだ続く旅の糧に、その勢いを持って私たちは新たな出会いに向かっていきます。
ジャンヌ・ダルク役
高階ひかり