風のBLOG

東京演劇集団風の時事通信!
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『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2013秋 西日本地域・東日本地域ツアー2

2013-10-15 19:21:56 | 全国巡回公演
ヘレンの家庭教師・アニーの恩師で、パーキンス盲学校の校長アナグノスを演じる緒方の母校、山口県立防府高校での公演から始まった三週目。
トップの写真は防府高校・座談会後の一枚。


防府高校(山口県)

防府高校の校長先生は、昨年公演を行った山口県立美祢青陵高校の公演でもお会いし、嬉しい再会となりました。また、緒方の高校時代の同級生の皆さんも、防府高校の生徒さんのためにと、公演のお手伝いをしてくれました。演劇というものに対して気負うことなく、舞台と向き合ってくれた生徒さんたち。カーテンコールで緒方が卒業生であることを伝えると(先生方は生徒さんたちには秘密にしていました)、どよめきが!そして緒方から皆さんへメッセージを贈りました。
終演後は座談会が行われました。将来は表現者になりたいという生徒さんがとても多く、その想いや悩み、抱える現実、夢を熱く語り合いました。参加された先生方も「防府高校の生徒の中に、こんなにたくさん表現者になりたい生徒がいるとは!」と驚いていました。その頃体育館では、、、


たくさんの生徒さんが撤収のお手伝いをしてくれました。役者との会話を楽しみながらの撤収作業、あっという間に体育館から荷物を運び出すことが出来ました。またいつの日か、お会いしましょう!


五日市高校(広島県)



広島の街並みと海が見渡せる絶景に位置する五日市高校。広い体育館はあっという間に生徒さんと先生方、ヘレン・ケラーの舞台でいっぱいになり、公演の間中、一番後ろに座っている生徒さんまで、どのように自分がこの芸術鑑賞を受け止めているかという姿勢を私たちに示してくれました。終演後に先生が撤収作業の有志のお手伝いを呼びかけてくれました。
すると、続々と体育館に集まってくれる有志のお手伝いの皆さん!!私たちメンバーは嬉しい悲鳴をあげましたよ!!
率先して荷物を運んでくれる姿や友達と楽しそうに協力し合っている姿は凜々しかったです。
お手伝い終了後、三人の生徒さんが体育館に戻ってきました。
その理由は・・・


こちら!!
体育館に吊されたたくさんの照明、張り巡らされたロープ、この仕組みが一体どうなっているのか、気になって仕方なかったようです。ヘレンの父アーサー・ケラーの酒井が、その仕掛けを説明して万事解決。胸のつかえ?がとれたところでの一枚。晴れやかな笑顔です。


米子高校(鳥取県)



公益財団法人鳥取県文化振興財団主催による公演。
私たちは、鳥取県文化振興財団の皆さんにヘレン・ケラーの公演で三年間お世話になり、鳥取県のたくさんの高校生に出会いました。文化振興財団の皆さんと先生方が、文化や芸術に触れることを若い世代に伝え、繋げてく様子があり、またその意味を自らの中に見出して欲しいという願いが込められているのではないでしょうか。
開演前の米子高校の皆さんはメチャクチャ元気でした。先生が「今はこんなに元気ですが、うちの子たちは始まったらしっかり見ますよ」とお話してくださったその通り、皆さん溢れるエネルギーをギュッと舞台に向けて凝縮してくれました。
終演後の座談会には演劇部の生徒さんが参加し、演じる難しさや楽しさの話をしました。
舞台では、演劇部を引退した三年生の皆さんが、撤収作業のお手伝いをしてくれました。
最後にはハグをしてお別れ!!この日が皆さんの思い出になりますように。


耐久高校(和歌山県)




海まで約5キロの所にある耐久高校。
本番の前日に体育館での仕込みを行いました。体育館に少しずつ道具が運ばれていく様子や、天井の梁に吊されていくロープを先生方が楽しそうに見学しに来てくれました。
本番は耐久高校のテスト最終日。午前中にテストが終わり、ほっとしている生徒さんたちは、じっくり、じんわりと舞台に入ってきました。
撤収作業をお手伝いしてくれたのは、図書部の皆さんと野球部の皆さん。
体育館の中と外のチームに分かれて、見事な連係プレーでした。
野球部の皆さんは、トラックの扉が閉まる最後の最後までお手伝いをしてくれました。
お手伝いありがとうございました。
今日の出会いが、皆さんにとっての“何か”となることを私たちも願っています。



耐久高校の皆さんに別れを告げて、バスは東へ走り出しました。
四週目からは東日本ツアーが始まります。
あっという間のようで、一日一日がとても濃かった三週間。
西から東へ旅は続きます。



『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』2013年秋 西日本地域・東日本地域ツアー

2013-10-15 16:22:54 | 全国巡回公演
『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の巡回公演は9月18日から始まりました。
西日本地域への旅もこの秋で、とうとう区切りを迎えます。
それぞれの場所、ひとつひとつの学校、ひとりひとりの生徒さん、先生が待っていてくれるその場所に、私たちは期待と喜びを一緒にバスへ乗せて、走り出しました。

修文女子高等学校(愛知県)
関西高等学校(岡山県)
豊野高等学校(愛知県)
高田中学校(三重県)

小豆島高等学校/土庄高等学校(香川県)
槻の木高等学校(大阪府)



旅のはじめはとてもハードで、決して忘れることのできない二週間となりました!!!

修文女子高校の公演は午前開演。
どんなに朝が早くても、さすが高校生、さすが女性の力!!
上演を行った稲沢市民会館には芝居が始まるのを待つ彼女たちの元気な声が響き渡りました。
旅公演の初日、「これからどんな出会い、どんなことが起こるのか」と袖のなかで緊張を感じる私たちをまるで包み込むかのように彼女たちは芝居の幕を開けてくれました。
会場から聞こえてくる笑い声や反応は、カーテンコールの最後の最後まで活き活きと動いてました。人のエネルギーは空気の振動で隣へ伝わる、それが一本の線になり、大きな円を作って会場がひとつになりました。

修文女子高校での公演を終えて愛知県からバスを走らせること、約6時間、岡山県に到着。
その夜、私たちは次の日の2公演のために舞台の仕込みを行いました。
関西高等学校は歴史ある、1200名を超える学校。
そして初日とはガラリと雰囲気が変わり男子高校でした。
芝居を“見る”という行為は受動的に目に入るものを見ることだけではなく、自らの意思が働き、行為をおこなうものではないでしょうか。彼らは舞台で起きる出来事に自ら近づいたり、時に少し違った角度から自分たちの意見を持って良い距離感をつくっていました。

再び愛知県へ。
豊野高校の皆さんの集中力が、舞台の上まで真っ直ぐに伝わってきました。
ひとりひとりがそこに居ることがはっきりとわかる空間、皆さんの視線が、呼吸が芝居をさらに盛り上げてくれました。カーテンコールでお話をしてくださった生徒さんが「大切な存在」という話をしてくれました。皆さんはきっと、自分はいったい誰なのか、何なのか、など、答えがすぐには出ることのない様々な想いをその胸に秘めていることだと思います。これからじっくり、ゆっくり、「大切な存在」について考えてくれるのではないでしょうか。終演後に楽屋へご挨拶にいらしてくださった校長先生が、今日の生徒さんたちの様子、皆さんの日常の学校生活について誇らしげに語ってくださいました。その笑顔は私たちにとってとても嬉しいものでした。

三重県にある高田中学校へ到着したのは夜の7時過ぎ。
高田中学校の2階体育館へ舞台装置を運び上げます。夜遅くにもかかわらず、たくさんの先生方が大きくて重たい荷物を一緒に運んでくださいました。
汗だくになりながら笑顔で運んでくださる男性の先生方、重たいものを進んで運んでくださる意外に力持ちだった女性の先生方。生徒さんたちへ「この芝居を見せたい」という気持ちは先生方も私たちも同じだったと思います。「少し甘くみてました、明日はジャージで来ます」と言って笑顔で帰られた先生方、遅くまでありがとうございました。
暑い体育館のなかにぎゅっと肩を寄せてキラキラした表情を見せてくれる高田中学校の皆さん。
芝居が終わった後、先生が胸一杯の気持ちを皆さんにお伝えしてくれたのは、皆さんが全身を使って芝居に参加してくれたからこそです。

新岡山港から出るフェリーに揺られて着いたのは香川県、小豆島。
土庄町立中央公民館では小豆島高校土庄高校の合同公演が行われました。小豆島は牛の形に似た島で、この二つの学校は数年後に統合になると伺いました。各校、12年前と13年前にヘレン・ケラーを上演していて、今回のメンバーの中には再び小豆島を訪れることのできたメンバーもいました。
とても静かな会場でしたが、そこには確実に何かを見つめる視線が存在しました。
小さな出来事に反応を表してくれる客席から芝居について発見することも多くあります、それと同じに、とても静かな空間が語ってくれることがあります。彼らの音にならない声をどのように私たちが受け、それを返していくか、その繰り返しの中でとても繊細な時間を過ごしました。

大阪府、槻の木高校
開演前の様子から一転、引き締まった空間を生み出してくれた槻の木高校の皆さん。
一幕の集中からまた一転、休憩時間に聞こえてくる会話は、それまで自分が感じたこと、今の今まで起こっていた出来事への関心、ツッコミが聞こえてきます。その会話を耳にするのは楽しみでもあり、ドキドキする瞬間でもあります。一息ついた休憩後、客席はさらに焦点を絞るように集中していきました。


笑う、泣く、怒る、感動するという気持ち―
考える、疑問を持つ、共感する、批評するという行為―
気がつき、驚き、触れる、知る、振り返るという経験―
日々の中で何気なく行っている、と私たちが思うことは、もしかしたら忘れがちになっていることかもしれません。芸術鑑賞という場で大人たちも子どもたちも、一緒になって今を生きること、誰かを想うことに夢中になれたら、そう感じる旅のスタート、出会いの二週間でした。