風のBLOG

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『ハムレット―to be or not to be』第9週目、10週目

2010-12-05 22:20:19 | 全国巡回公演

『ハムレット―to be or not to be』、鹿児島県福山高校での公演で。出演者と生徒の皆さん。

『ハムレット―to be or not to be』のツアーもいよいよ終盤に差し掛かっています。
9週目、10週目の公演を終え、巡回公演も残すところあと6ステージとなりました。旅を振りかえり、各地の生徒さん達との出会いを振りかえると、出会いの喜びとともに、これからの課題も見えてきたような気がしています。一校一校、その一人一人の生徒さんの心に私たちの残すことができたものは何なのか。常に見えないものに目を向ける心を忘れず、真剣に舞台をつくっていきたいと思う旅です。

『ハムレット―to be or not to be』9週目、10週目は、

宮崎県・都農高校
宮崎県・佐土原高校
宮崎県・小林西高校
宮崎県・三股町教育委員会主催公演
鹿児島県・福山高校
鹿児島県・鹿児島東高校

での公演を行いました。

各学校が本当に暖かく迎えてくれたこと、観劇前に「楽しみにしています」という声をたくさん聞くことができたこと、体育館に入ってきたときの「すごい」という歓声。演劇に触れる機会の少ない子どもたちにも同じように、演劇に触れる機会をつくり、何かの刺激を持って生の人間に触れてほしいという想いをひしひしと感じました。嬉しいことです。




都農高校の公演では、公演後の撤去を生徒の皆さんが手伝ってくれました。終了後には、出演者にサインを求める場面も。ご担当の先生は終了後呼び掛けた撤去にこんなにたくさんの生徒が集まるとは思わなかったとびっくりされていました。撤去の中での交流も大事な公演の一つです。何気なく交わされる言葉や生徒さん達の照れくさいような、でも声をかけてみたいという様子に私たちはとても楽しく、また勇気づけられています。ありがとうございました。写真は、撤去を手伝ってくれた生徒さん達、終了後にサインを求められる国王(クローディアス)役の柳瀬太一。



佐土原高校の公演はメディキッド県民文化センターで行われました。後ろの生徒さん達の表情までは見ることはできませんが、前の生徒さんたちは食い入るように舞台を見つめていたのが印象的でした。公演後は、3日後に大会を控えた演劇部の皆さんが興味深々に撤去を覗きに来てくれていました。「水に入れたろうそくは何で赤くなったんですか?!」「衣裳は手づくりですか!」など、短い時間でしたが少しでもお話で来て嬉しかったです。



小林西高校の公演では、公演後座談会が開かれました。たくさんの生徒さんが集まって待っていてくれました。その中には、公演後出演した人たちに会ってみたい。という子もいたのではないでしょうか。先生の中には、1994年に上演した『Touch』、1998年に上演した『ヘレン・ケラー』も観てくださった先生も多くいらっしゃったようです。「風は難しいと言われる。しかし難しいと思う芝居をずっと続けている風を自分は押しているんですよ」という言葉も頂きました。わかりやすいという理由でではなく、生徒さん達の成長、その力になることができるものをこれからもつくっていきたいと考えています。そのような先生方とお話しできたことも嬉しい座談会でした。写真は、座談会に残ってくれた生徒さん、先生たちと、ハムレット役の佐野、オフィーリア役の白根。



三股町教育委員会の主催で行われた三股町文化会館での公演は、昼は三股中学校の1年生、夜は一般の方々の観劇でした。中学生は最初少し緊張していたようですが、後半にかけて笑い声やぐっと集中する場面もあり、中学1年生だけの観劇ということで少し緊張していた私たちもほっとしました。また生徒さん達の「観る力」にとても驚かされました。夜の一般公演は『ハムレット』のツアー初めての一般公演となりました。小学生から50代くらいの方も観劇に訪れてくれました。公演後会館の方にいただいたアンケートでは、子どものコロスの存在などに目を向けてくれたり、小学生にも伝わったと思いますという感想などいただきました。バスが会館を去るときには、この公演をつくってくださった会館のスタッフの方がみんなで見送ってくれました。本当にお世話になりました。




福山高校の公演でもたくさんの生徒さんが撤去を手伝ってくれました。公演前にお話をしてくださった校長先生はテレビや映画でなく目の前で生で演じられる演劇を通してきっとみなさんの中に発見があると力強く語ってくださいました。いつからか生の舞台を“本物”という言葉を使われることが最近多くなったような気がしています。校長先生の言葉とともに、公演のことを思い出してもらえたら嬉しいです。公演後には沢山の生徒さんからホームページに書き込みも頂いています。写真は、撤去を手伝ってくれた生徒さん達と、生徒さんからいろんな質問を受ける王妃(ガートルード)役の柴崎。




この週最後の公演となったのは鹿児島東高校。中学生のときこの『ハムレット』を観劇したという子がたくさんいたようです。今回の感想はどうだったでしょうか。学校を訪れる事によって、私たちも短い時間ですが学校の雰囲気を感じることができます。先生と生徒さんが仲が良い感じ、生徒さんのいきいきした表情。撤去作業では率先して次々と荷物を運んでくれる生徒さん達。そんな生徒さん達の表情に出会い、学校の雰囲気を感じられる瞬間は嬉しいものです。暗くなるまで作業を手伝ってくれた生徒の皆さん、本当にありがとうございました。

旅はあと2週。たくさんの出会いと思い出があるなかで、何を心に留め、どんな旅をつくっていくのかはひとりひとりにかかっています。見えない心の中に起こるものを、できることなら多く残していきたいと願い、ひとつひとつの瞬間を大切にしていきたいと思います。