風のBLOG

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2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本ツアー【第9週目】

2019-12-08 17:29:47 | 全国巡回公演

(更新が大幅に遅れて申し訳ありません。何とか最終週のアップをすることが出来ました。)

9月から始まったヘレン・ケラー~ひびき合うものたちもついに最終週を迎えました。


11月11日(月) 東海大学付属大阪暁星高校・中等部(大阪府) 同校講堂
11月12日(火) 立花中学校(兵庫県) 同校体育館
11月13日(水) 三木高校(兵庫県) 三木市文化会館
11月14日(木) 奈良学園登美ヶ丘小学校・中学校(奈良県) 同校体育館
11月15日(金) 天理高校(奈良県) 天理市民会館

 

東海大学付属大阪仰星高校・中等部

前日、準備のため学校に行ってみると、野球部のみなさんがお出迎え。荷物の運び入れを手伝ってくれました。

「いい筋トレですよ」と笑顔で手伝ってくれた皆さん、本当にありがとう!

午前の部では高校2年生・3年生の皆さんが観劇しました。

開場中部隊のセットに驚いたりと、とても楽しみにしている事を感じました。本番中は打って変わって集中した緊張感のある客席でした。舞台上で起こるっていることを捉え、考えている姿に支えられていることを感じる時間でした。

午後の部では高校1年生と中等部の皆さんの観劇でした。午前とはまた違った元気いっぱいの雰囲気から本番を迎えました。公演中、しっかりと集中しながらも、色々な反応を見せながら一緒に舞台を作ってくれていました。

終演後、片付けには多くの生徒たちが手伝いにきてくれました。役者と一緒に荷物を運びながら、今日の感想など多くのことを語り合っている姿が、そこここにあり、今日の公演がみんなにとって何かと出会う、きっかけの時間になってくれていたことを感じる充実した時間でした。





片付けが終わった講堂を見に行ってみると、ヘレン・ケラー役の倉八と演劇部の皆さんが集まっていました。前日が大会だった皆さんにとって、この公演が新しい一歩を踏み出す力になってくれていることを願います。

 

立花中学校

立花中学校では、今回で4回目となる公演です。

開場すると、「スゲー」「本物やん」と、はしゃぎながら元気な姿を見せてくれていました。開場中の雰囲気を持ったまま迎えた本番は、その元気の良さで客席から舞台を支えながら一緒にヘレン・ケラーを作ってくれていました。

公演後のカーテンコールでは、美化委員長さんが「目の前で本気で演じている姿を見て、私も本気になれるものを見つけたい」と中学生とは思えないしっかりとした自分の決意を語ってくれました。



 

下校前、ヘレンやアニーに会いたいと多くの生徒さんたちが体育館を覗きに来てくれました。公演後の新鮮な感覚を確かめるような充実した交流時間になりました。

その後の片付けでは、バレー部の生徒さんたちが、元気よく手伝ってくれて想像していたよりも早く片付けを終えることができました。本当にありがとうございます!

また再会出来ることを祈っています。

 

三木高校

三木高校で風が公演するのは今回が初めてです。どんな公演になるのか、私たちもワクワクしながら準備をしていました。

開演前、教頭先生から生徒たちに「これを通じて見て感じて考えて欲しい」と想いのこもったメッセージが送られました。

その言葉を真に受けて、本番中客席からは何かを感じ取ろうと力強い視線を客席から向けてくれていました。

終演後、代表生徒さんから実感のこもった素敵な挨拶と花束をいただきました。

 

この公演が三木高校の生徒さんたちにとって、教頭先生の仰っていたような何かを考え、感じる、充実した時間になってくれていたらと願います。そして今後の学校生活楽しんで色々なことに挑戦して見てください!

パーシー役 石岡和総

奈良学園小学校・奈良学園登美ヶ丘中学校

今週4日目の公演は、風の公演は、初めてとなる、奈良学園小学校・奈良学園登美ヶ丘中学校での公演でした。
P1(小学校1年生)からM4(中学校2年生)の生徒さんたちとの公演。



開場が始まると、劇場となった体育館へ、驚きやこれから何が起きるのだろうかという想いが伝わってくるような、とても元気な声を響かせながら入場してくる生徒さんたち。
また、公演が始まると、とてもリラックスした様子で、友達や先生たちといる空間を思いっきり感じながら、舞台と対話をするように、公演に向き合っている客席の姿に、私たちも一緒に公演を創り過ごすことが出来た時間となりました。



終演後の送り出しでは、帰り際に『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』に出てくる指文字をアニー・サリバン役の髙階の手にうっていたり、「ヘレン・ケラー知ってたから、劇でみれて面白かった」、「頑張ってください」とハイタッチをしながら、思い思いの感想を語ってくれました。



また、終演後には、小学校5年生、6年生の生徒さん達とのバックステージツアーと座談会も行われました。
ポンプに触ったり、階段に登ったり、一つ一つ仕組みを自分の手で触れ、感じていたり、感想や質問をしていたひとりひとりは、本当に生き生きとしていました。



公演が終わった後の後片付けには、なんと!先生方がお手伝いに来てくれました。
公演後の子供たちの生き生きとした表情について話してくれたり、慣れない作業もあった中、先生方が声をかけ会いながらお手伝いをしてくれる姿に支えられ、とても早く後片付けも終わりました。
本当にありがとうございました!

天理高校

今週最後、また、2019年、秋の『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』のツアー千秋楽となった、天理高校の皆さんとの公演でした。
天理高校では、2003年の『星の王子さま』の公演から、16年ぶり、4回目の公演、そして、『ヘレン・ケラー』は、今回で3回目の公演となりました。



1200人以上の生徒さん方がいる学校ということもあり、天理市民会館で、午前と午後の2ステージの公演がとなりました。
午前、午後と、また、客席の雰囲気が変わっていましたが、どちらの公演もとても集中した視線や身体全体で舞台に向き合っている客席の姿は印象的でした。




終演後には、バックステージと座談会も行われました。
公演を観て、舞台に上がって観たい、興味があると集まってくれた有志の生徒さんたち、そして幼少年指導班という、学校で演劇の活動をしている生徒さん達が来てくれました!
座談会では、舞台の後片付けの作業を観ながら、生徒たち、また、先生たちも、思い思いの言葉で、質問や想いを伝えてくれました。
幼少年指導班の1年生と2年生の生徒さんたちは、なんと、明後日には、先輩である幼少年指導班の3年生、そして、天理高校の生徒さんたちに向けての演劇の本番だったそうです。
自分たちも演じる側として、また、先輩たちも自分たちが経験したことを通して、後輩たちを暖かく見守っているようでした。
きっと、素敵な大切な時間を過ごしたことでしょう。
皆さんとの再会の日を楽しみにしています!

先生たちの暖かく、真っ直ぐな情熱や想いをひしひしと感じた『2019年秋ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち 東日本・西日本ツアー』の公演。
さまざまな地に飛び回る中(九州の地での公演も含めて!)、再会と大きな出会いの日々となりました。
先生方、生徒さんたちの姿と思いを胸に、2019年秋ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち 東日本・西日本ツアーの公演はここで一区切りとなりましたが、この後の文化庁の事業である『星の王子さま』、そして九州を盛り上げている『Touch〜孤独から愛へ』の公演へと繋げていきます!!

 ヘレン・ケラー役 倉八ほなみ


2019年 秋『Touch~孤独から愛へ』九州ツアー第10週目

2019-12-02 21:49:09 | 全国巡回公演

2019年 秋『Touch~孤独から愛へ』九州ツアーついに二桁代、第10週目に突入しました。

トップの画像は週末に行われたNPО法人抱樸主催の公演の客席の様子です。

川内商工高校
今週最初は、鹿児島県の川内商工高校での公演です。
今回で風の公演は4回目、2016年の『ジャンヌ・ダルク』から3年ぶりの公演となりました。
開演前には、担当の先生が「演劇は、観客であるみんなも一つの空間、ひとつの時間を創ります。若い感性で観て欲しい。」と客席に向けてメッセージ伝え、客席も、私たちも想いを受け取るようにして始まったら本番となりました。
 
とても集中した姿で舞台に向き合っていた生徒さんたちの姿。
また、川内商工高校には、2016年の『ジャンヌ・ダルク』のジャンヌ役の高階の妹さんも在籍されており、妹さん、そして、お友達と先生たちと一緒に、嬉しそうな表情で舞台に触れ、ひとつの出会いの時間となっていたようでした。
 
 
終演後には、終礼後にたくさんの生徒さんたちがお手伝いに来てくれました。
先生方の中には、3年前の『ジャンヌ・ダルク』の公演を覚えてくれていた先生方も多く、お手伝いに来てくれた生徒さんたちに、その時のことや、覚えている台詞を教えていたりと、とても嬉しい再会の時間となりました。
 
上天草高校
今週2日目は、熊本県の上天草高校での公演でした。
体育館が改修工事のため、高校から歩いて約40分のところにある大矢野総合体育館で公演が行われました。
上天草高校では、風は3回目の公演、また、こちらも、2016年の『ジャンヌ・ダルク』から3年ぶりの公演となりました。
 
とても広い体育館でしたが、客席は、生徒さんたちも先生たちもとてもゆったりと、リラックスした様子で一緒になって、舞台に向き合っていた様子でした。
終演後には、図書委員長さんの素敵な挨拶と、上天草のお菓子をお土産に頂きました!
ありがとうございました!
 
 
終演後には、後片付けのお手伝いに来てくれた生徒さんたちとバックステージツアーも行われ、その最中、以前からお世話になっていた先生方と、ハロルド役の柳瀬との嬉しい再会もあったようでした。
そして、図書委員、放送委員、有志で集まってくれた生徒さん方が、とても元気に後片付けのお手伝いをしてくれました!
また、上天草の可愛らしい小みかんも頂き、とても美味しくいただきました!!
 
浮羽工業高校
今週3日目は、福岡県にある浮羽工業高校での公演でした。
浮羽工業高校では、風の公演は4回目、2011年の『ハムレット』の公演から、8年ぶりの公演となりました。
2階の体育館ということで、上天草高校の公演が終わった後、すぐに向かった浮羽工業高校の体育館には、なんと!!搬入のお手伝いに20人くらいの先生方が集まってきてくれており、お手伝いをしてくれている中、時には掛け声をかけたりと、とても盛り上げてくれた姿から、今回の公演を心待ちにして下さっていたことが強く伝わってきました。
 
そして、先生かたの想いが繋がり始まった本番では、生徒さんたちも、ひとりひとりが自分の身体でしっかりと、空間を捉え、向き合っていた姿が印象的でした。
 
カーテンコールの演劇部の生徒さんのお礼の挨拶では、「わたしたちも今回の公演を、自分たちの演劇につなげていきたい」と語ってくれました。
終演後の後片付けのお手伝いには、演劇部の生徒さんたち、運動部の生徒さんたち、そして、前日の搬入作業のお手伝いをしてくれた先生たちが集まってくれました。
先生たちが、舞台装置のことを生き生きと生徒さんたちに説明してくれていた姿もあり、「なんで、先生が知っとるとー!」という生徒さんの問いかけに、前日の搬入のことを語っていた姿から、本当にみんなで創ることが出来た時間であったと感じました。
 
本当にありがとうございました!
 
ラ・サール中学校・高校
今週4日目は、ラ・サール中学校・高校(中学1年生から高校2年生)での公演でした。
ラ・サール中学校・高校の公演は、今回で5回目、2017年の『ジャンヌ・ダルク』から2年ぶりの公演となりました。

1000人を超える客席、そして、男子校ということもあり、迫力のある客席となりました。
本番が始まると、時には笑ったり、ふっと、深い眼差しで舞台に向き合っていたりと、ひとりひとりの呼吸を感じる客席であったように感じました。
長年芸術鑑賞行事の担当をされている先生。
東京の劇場にも足を運んでくれたこともあります
終演後には、有志の生徒さんたちとのバックステージツアーと座談会も行われました。
新聞部の生徒さん、そして、担当の先生方の声かけにより、中学生から高校生まで8人ほどの生徒さんが参加してくれました。
舞台の仕組みや音響や照明などにも、とても細かな視点で観察したり、真っ直ぐに質問をぶつけてくれていました。
ハロルド役の柳瀬との座談会では、『Touch〜孤独から愛へ』の公演を通して、感想を自分の抱えているものや、自分の中で繋がったり、感じたりしたことを、自分の言葉で語ってくれていたそうです。

柳川高校
今週5日目は、福岡県の柳川高校での公演でした。
柳川高校では、今回が7回目、2015年の『ヘレン・ケラー』の公演から、四年ぶり、また、『Touch』は、4回目の公演となりました。
 
 
生徒さんたちの入場が始まると、とても元気な声が会場に響いていました。
すでに設営されている舞台を観て、「すごい!」、「何あれ!」とこれから一体何が始まるのかと、期待感に満ちた雰囲気が漂っていました。
また、先生たちの中には、以前行われた『Touch』の作品を全て観た、という先生もいらっしゃり、「とても良い作品で、印象に残っている。今日は、ぜひ、しっかり観て欲しい」と以前のことを思い出しながらしみじみと話してくれました。
 
本番が始まると、舞台上で起こる一つ一つ出来事に、心を動かせながら、友達や先生といる空間の中で、一緒になって、笑ったり、驚いたりしている姿はとても印象的でした。
終演後には、生徒会役員の生徒さんたちによるバックステージツアーと座談会も行われました。
思い思いに舞台に触れる生徒さんたち。
座談会では、舞台装置のことや、「どうしたら台詞が覚えられるのか」など、気になったことや思ったことを、質問したり、話してくれていたようでした。
 
NPO法人抱樸主催
今週最期の公演は、NPO法人抱樸主催の公演となりましまた。
NPO法人抱樸は、1988年に北九州を拠点に、ホームレス、困窮孤立者の生活再建、支援を目的として設立されました。
今回は、抱樸活動30年記企画として、東京演劇集団風の『Touch〜孤独から愛へ』の公演を通して、“出会いとふれあいの開く可能性を描いた演劇作品を皆さんと味わい、また集いの機会にもしたい”と企画されました。
そして、今回の収益金は支援活動のための資金となるそうです。
 
公演日当日の搬入のお手伝いに、なんと30人ほどのスタッフの方々が駆けつけてくれました!
 
会場には、大人から子供まで、様々な年齢層の方々が続々と入場してきました。
本番が始まると、明るい笑い声や息を飲むような声が客席からも漏れ、舞台を通して、また、自身の身体に詰まったものを通して舞台に向かっている姿が印象的でした。
 
終演後には、今回のNPO法人抱樸の理事長を務める、奥田さんと、ハロルド役の柳瀬との対談も行われました。
毎日を今の社会に生きる孤独を抱えた人々と向き合い続ける、奥田さんをはじめ、NPO法人抱樸の皆さん。『Touch』という作品は、ただの物語ではない、とても心にひびき、痛感する演劇でしたと語り、対談は次第に熱を帯び、客席からも、情熱的なふたりの対談にしっかりと耳を傾け、客席からも熱を感じる時間となりました。
対談後は、学習センターに通う子供達とのバックステージツアーやロビーでは、役者たちに想いを伝えている、暖かい観客の姿もありました。
また、後片付けには、また、多くのNPO法人抱樸のスタッフの皆さんがお手伝いに来てくれました!
 
再会や出会いをひしひしと感じた怒涛の一週間。また、今回の公演をつなげて下さった皆様、そして、お手伝いに駆けつけて下さったり、思い思いに言葉をかけてくれた生徒さんたち、先生方、本当にありがとうございました!
皆さんの想いを繋げて、来週も出会いと発見の旅を続けます!!
 
文:舞台スタッフ・倉八ほなみ


2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本ツアー【第8週目】

2019-11-30 16:54:56 | 全国巡回公演

11月も2週目を迎え、今週は西日本をあちらこちらと飛び回りました!2週間前には九州で暑い暑い言っていたのが嘘のように過ごしやすい気温となり、公演中も作業中も快適に。秋を肌で感じる頃合いとなりました。

11月5日(火) 砺波工業高校(富山県) 同校体育館

11月6日(水) 広島井口高校(広島県) はつかいち文化ホール
11月7日(木) 徳島科学技術高校(徳島県) 同校体育館
11月8日(金) 高松南高校(香川県) 同校体育館
11月9日(土) 市岡東中学校(大阪府) 同校体育館


砺波工業高校

先週の千葉の公演が終わってから、旅班は一度東京へと戻りました。そして振替休日である4日に富山・砺波市へと移動。今回の公演は午前開演なので学校に到着次第の設営作業です。さすがに旅も後半。設営作業もスピーディーです。お互いに声を掛け合って、セットや照明用の足場など、人よりも大きなものをどんどんと組み上げます。



公演当日。体育館に生徒の皆さんが入場してくると、体育館の変貌ぶりに驚いている様子。また、工業高校ということもあってか、客席後方に組まれた照明・音響席にも目線がチラチラ・・・。
開演前には校長先生から「本物の演劇を生で観て、感じてほしい。その中から皆さんが今学んでいる『ものづくり』を考えてほしい。」とのメッセージ。
公演中は舞台上で起きた一つ一つの小さなことまで皆さんそれぞれ驚いたり、笑ったりと反応してくれました。演じている私達と壁を持たず、ありのままを受け入れてくれたのだと思います。







カーテンコールでは綺麗な花束と素敵なお礼の言葉を頂きました。ありがとうございます!
そして終演後は全校生徒の皆さんの舞台歌見学の時間となりました!約500人は一斉には上がれないので、1学年ずつ舞台上、舞台裏を見学することに。他の2学年は客席内での質疑応答の時間です。舞台も裏も生徒の皆さんが思い思いのところへ行き、俳優とも会話をしながら、共に創ったこの2時間を楽しんでいるようでした。また、質疑応答ではどの学年からも俳優に対して「演劇をはじめたきっかけ」「劇団に入ろうと思った理由」が質問されていました。皆さん自分の進路、ということを真剣に考えているのだな、と気づきました。





生徒の皆さんは授業があるので午後の撤去作業には参加出来ませんでしたが、昼休みや休み時間を使って沢山の生徒の皆さんが手伝ってくれたり、私達に声を掛けてくれました。皆さんから元気をもらいながら、部材の積み込みを終えることが出来ました。本当にありがとうございました!

広島井口高校

富山での公演を終えて一路広島へ。総移動距離なんと660km!
翌日の公演は広島井口高校での公演でした。会場ははつかいち文化ホール。約1100人の客席数がある大きなホールです。当日は2階席まで生徒の皆さんで一杯の空間となりました。

午前中の設営作業と並行して、当日の進行を務めてくれる放送部の皆さんも当日のリハーサルを行いました。カゲアナウンス担当の方、開演前に生徒の皆さんと私達を結びつけてくれる司会の担当の方々・・・。放送部の皆さんはほとんど1年生だそうですが、とても綺麗なアクセントと丁寧な滑舌、また堂々とした態度で立派でしたよ!

放送部の皆さんの進行で校長先生からご挨拶いただきました。『芸術の秋』の由来からはじまり、(1918年に雑誌で「美術の秋」という言葉が使われてから広まっていったそうです!)私達の舞台へと関心を繋げて下さいました。

終演後には放送部の皆さん、そして演劇部の皆さんが舞台上へ。バックステージツアーです。ほんの少し前まで俳優たちが演技をしていた空間へと上り、その余韻を感じるように舞台上のあちらこちらへと興味のあるところへと向かっていきます。
また、その後にはアニー役の高階との座談会。
座談会終了後も高階の周りに沢山の生徒の皆さんが集まって、自分の思っていること、感じたことを高階に伝えていました。

放送部の皆さん、演劇部の皆さん、そしてこの日出会ったすべての皆さん、高校生活楽しんで下さいね!
(諸事情により公演の写真はありません。ごめんなさい!)

徳島科学技術高校

広島での公演を終えて、そのまま徳島県へ移動。次の日の公演の搬入の為に徳島科学技術高校へと向かいました。
徳島科学技術高校の体育館は2階にあるので、前日に搬入だけさせていただきました。夜遅くまでお付き合いいただきました先生方、ありがとうございました。

また、今回の公演は人権行事として開催されたのですが、同窓会の皆様の支援もあり実現した公演となりました。当日同窓会の方々も公演をご覧いただきました。ご協力感謝いたします。ありがとうございました。





終演後にはこちらの学校にある『総合デザインコース』というあらゆるデザインを学んでいる生徒の皆さんとバックステージツアーを行いました。学校のステージの脇に設置した衣裳置き場に行って衣裳を見たり、舞台上の舞台の構造を劇団員に聞いたりと、あらゆる視点から私達の舞台を感じてくれていました。



バックステージツアーの後には人権委員の皆さん、バスケットボール部の皆さん(総勢約60〜70名)が搬出作業を手伝ってくれました!
前日12人で上げた荷物があっという間に皆さんの力でトラックへと運ばれていきます。皆さん声を掛け合いながら、ワイワイと劇団員たちと話しながら、荷物を運んでくれました。本当に助かりました。ありがとう!





最後にはその日一日のための劇場から元の空間へと戻った体育館で終わりの挨拶。写真にはありませんが公演の記念の色紙を学校にプレゼント。代表の生徒さんにお渡ししました。学校のどこかで飾ってもらえたら嬉しいです。この公演が、皆さんの高校生活の思い出の一ページとなってくれたらとても嬉しいです。また大人になった時に、思い出してくれたらもっと嬉しいです。ありがとうございました!


音響 渡辺雄亮

高松南高校

香川県の高松南高校での公演は9年ぶりでした。
香川県では毎年多くの学校で上演させていただいき、他校で風を観た先生方もたくさんいらしゃいました。なつかしい再会でした。



千人近い生徒さんたちで体育館はいっぱいの中、一人一人の舞台へ集中する姿が印象的でした。





そして公演後には、たくさんの部活や委員会の生徒たちがお手伝いに集まってくれて感激でした。劇団員とたくさんの交流を持ちながらあっという間に搬出も終了です。



生徒たち同士の仲もとってもいい感じで私たちも元気をいっぱいもらった1日でした。

市岡東中学校



土曜日の公演は大阪市・市岡東中学校の午前開演でした。三年前にも『ヘレン・ケラー』を観ていただいた学校です。先生方には前日夜と公演当日の早朝から、いろいろと準備のやりくりをしていただき、本当にありがとうございました。



しっかりと舞台に向かう生徒のみなさんの鑑賞でした。



公演終了後には校長先生をはじめ先生方に大変喜んでいただき、旅班のメンバーもこの一週間の締めくくりを実感して来週の最後の一週間に向かいます。

東京・富山・広島・徳島・香川・大阪と広域を巡り出会った若い観客のみんなと、またいつの日かの再会ができることを願っています。

アナグノス校長役 緒方一則


2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本ツアー【第7週目】

2019-11-12 20:47:29 | 全国巡回公演

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』第7周目の旅は、

10月29日[火] 福島県 遠野高等学校
10月30日[水] 東京都 開智日本橋学園中学・高等学校
10月31日[木] 大阪府 楠根中学校
11月1日[金] 千葉県 千葉市立千葉高等学校
の公演でした。

遠野高校



生徒さんたち、先生方が心待にしてくれていた遠野高校での公演は、とても印象深時間を共に過ごすことができました。
開演前には校長先生が、『この公演を通して、みなさんの豊かな心をさらに育んでほしい』と生徒さんたちに語りかけてくれました。
体育館が暗くなり、芝居が始まると集中と緊張のまざる感触を肌に感じました。芝居が進むにつれて、場内では色んな反応があちらこちらで起こりはじめました。そこには、今起きていることを、その場で感じ、受けとめているという力強さがありました。









公演後には、たくさんの生徒さんが撤去の手伝いに来てくれました。トラックまでの100メートルの距離を何往復もする生徒さん。その間に劇団員との仲がどんどん深まっていき、たくさんの言葉を交わし合いました。明るい笑顔に、綺麗な心を持ち、人を、友だちを尊重する生徒さんたちに触れ、本当に楽しい時間と感動をもらいました。



『生徒たちと一緒に、一番前でかぶりつきで見ました。あの子たちにとって、本当にいい経験になっています』と話してくれた先生。『台風で被災して、まだまだ大変だけど、今日ヘレン・ケラーを見ることができて本当に良かった。感動しました』と力強く手を握ってくれた生徒さん。バスとトラックを最後まで見送ってくれた生徒さんたち、先生方。
どの瞬間を切り取っても、そこには『ほんものの想い』があったと、そう感じています。
これからも遠野高校での毎日を、思いきり過ごしてください!



開智日本橋学園中学・高校



2009年に『Touch~孤独~愛へ』を公演して以来、久しぶりの風の公演です。開智日本橋学園高校には、日本・西洋の演劇史を学び、実技もある演劇を学ぶコースがあります。
演劇コースの生徒さんの元気な掛け声で開演。大きな拍手で盛り上がり、そこからだんだんと芝居の中へ入り込んでくるように、会場がどんどん変化していきました。



公演後は、ヘレン役の倉八と一緒に、ロビーで生徒さんたちをお見送りしました。『面白かったです!』、『指文字はどうやるんですか?』など、たくさんの生徒さんが声をかけてくれました。また中にはヘレン役の倉八に真剣に質問をしている生徒さんもいました。





みんなを見送って舞台へ戻ると、演劇コースのみなさんが待ってくれていて、急遽座談会を開きました。公演を見て高揚してくれている様子が伝わってきました。ヘレン・ケラーの作品づくりのプロセス、演劇コースの学んでいること、など話題は尽きません。別れを惜しむように、時間が許す限り、めいっぱいお互いについて話しました。演劇コースのみなさんは情熱的なエネルギーを持っていて、とても素敵でした。



開智日本橋学園中学・高校の自分の夢や想いを大切に、挑戦を続けて下さい。


楠根中学校

東京での公演を終えて、旅班は大阪へ。楠根中学校では、2011年『ヘレン・ケラー』、2014年『ジャンヌ・ダルク』を上演を行っています。これまで近隣の文化会館が会場でしたが、今回は初めての体育館での公演です。朝から体育館で舞台設営を行っていると、体育館を訪れた先生、体育の授業後でグラウンドにいた先生と生徒さんたちが、だんだんと組上がってくる舞台を見て、『すごい』『うちの体育館がこんな風になるんですね』と驚いていました。





入場時も同じように、自分たちが普段使っている体育館が劇場に様変わりした様子を見て驚く声がたくさん聞こえてきました。
楠根中学校のみなさんは、気さくで、フラットに声を掛けてくれてとても元気です。しかし芝居が始まると、ものすごい集中力でもって舞台を見て、ヘレン・ケラーという演劇の空間を作り出してくれました。







終演後、座談会や撤去のお手伝いなどの予定はなかったのですが、『ヘレンに会いたい』『指文字を教えてほしい』と、再び会いに来てくれたり、待ってくれている生徒さんたちがいました。さらに、部活動前のバレー部に、ジミー役の蒲原がお手伝いのお願いをすると、快く引き受けてくれました。さらには、楠根中学校演劇部の男子生徒さんも応援に駆けつけてくれて、百人力!演劇部の生徒さんは、『こういう風に片付けをしたりとか、こんな演劇の作り方がいいと思う』と演劇が大好きだという想いを熱く熱く語ってくれました。バレー部とも仲よくなって、みなさんのおかげで、あっという間に片付けは終わり、いつもの体育館へ。お手伝い、本当にありがとうございました。嬉しかったです。そして、最後までバスを見送って楠根中学校のみなさん、ありがとう。また必ず再会できますように。





千葉市立千葉高校



大阪での公演後、バスは再び東へ向けて走り出しました。千葉市立千葉高校は、生徒数およそ1000人の大きな学校です。公演には保護者の方も来場されました。
会場となった千葉県文化会館で、午前中に舞台設営を行っていると、演劇部のみなさんが見学に訪れてくれました。俳優たちが案内をして、じっくりと時間を掛けて舞台美術や小道具に触れていました。さらには、照明のシュート(照明家がどこの位置にどのように明かりを当てるかスポットライトを一台ずつ合わせていく)作業も、生徒さんに実際に俳優が舞台に立つ位置に居て手伝ってもらうなど、体験や交流の、時間を持てました。







会場はとても大きかったのですが、本番では、その大きさを忘れるほど、凝縮した濃密な空間となりました。カーテンコールでは舞台上の俳優に大きく手を振ってくれました。



終演後は、ヘレン役の倉八と一緒にお見送り。 ハイタッチで別れたり、握手をしたり、手を振ってくれたり、一人ひとりの生徒さんの表示を間近で見られました。また『合唱コンクールに向けてクラスで練習を頑張っています。どうやって発声をしていますか?』と質問をしに訪れてくれた生徒さんたちもいました。最後には、担当の先生、演劇部の先生が『とても良かったです』と公演をともにつくった喜びを伝えてくれました。



出会えた生徒さんたち、先生方から、気がつかせてもらうことがたくさんあります。
俳優として、なによりも人として。
ひとつの言葉が、ひとつの仕種が、その表情が誰かに力を与え、またその誰かが誰かへと繋げていくことを、実感した日々でした。
ともに公演をつくりあげてくれた生徒さんたち、先生方、ほんとうにありがとうございました。
また、再会できますように。

『ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち』の公演は今、最終週を迎えています。ブログのアップが遅くなってしまい、ごめんなさい。
旅班は千秋楽まで、これからも、未知の出会いに期待して、舞台に立ち続けます。

アニー・サリバン役 渋谷愛


2019年 秋 『Touch~孤独から愛へ』九州ツアー 第七週目

2019-11-10 21:07:32 | 全国巡回公演

11月5日(火)[鹿児島県]松陽高校 同校体育館

       6日(水)[福岡県]九州国際大学付属高校 同校体育館

       7日(木)[佐賀県]小城高校 同校体育館

       8日(金)[佐賀県]鳥栖高校・香楠中学校 鳥栖市民文化会館

       9日(土)[鹿児島県]谷山中学校 同校体育館

松陽高校
こちらの学校は今回で5回目の公演となります。学校の玄関には、3年前に上演した『ジャンヌ・ダルク ―ジャンと炎』の色紙が飾られていたそうです。
休み時間に生徒さんたちが「すっごい!」「わぁー!」と歓声を上げながら通って行く姿がありました。どのように見てくれるのか楽しみです。
940人がびっしりとなった体育館。公演前、校長先生の挨拶の中で「人を認め合うことで、すばらしい1チームができる」というお話がありました。生徒さんたちにとって、そして私たちにとっても、自身を省みる言葉でした。上演する作品の中にも自分や相手を認める、そういう瞬間があるかもしれません。



芝居が始まると、スーッと舞台に入り込み、リラックスしながら一人ひとりが感じるまま集中して観ている姿がとても印象的でした。公演後に代表の生徒さんが「フィリップ、トリート、ハロルド、3人の登場人物の姿を見て幸せな気持ちになりました」と温かな言葉を伝えてくれました。



公演後には舞台撤去を手伝ってくれる生徒さんが舞台見学をしました。「おもしろかったです!!」と声を上げながら見たばかりの芝居の道具に目を輝かせ、「どういう仕組みか」「美術のことを聞きたい」などと生徒さんから多くの質問がありました。


役者とも互いに交流しながら舞台搬出が行われました。


2年7組の生徒さん、演劇部、バスケット部、バドミントン部のみなさんありがとうございました!!


ツアー中日を迎えた第7週目。みなさんから頂いたエネルギーを持って、鹿児島から次の公演地、福岡へと向かいます。

九州国際大学付属高校
2年前に上演した『ジャンヌ・ダルク』の時も担当をされ、今回の上演をとても楽しみにしていたという先生。風の上演は4回目になります。

前回は学校の舞台で上演しましたが、今回は体育館のフロアに舞台を組みました。
この学校では高校1年生が観劇をします。一学年700人と学年人数としてはかなり多く、開場時みなさん舞台のセットに歓声を上げながら入場してきました。
「素直に大声で笑ったり、泣いてもいいです。楽しんで観てください」という先生の声とともに公演が始まりました。少し緊張ている様子でしたが、舞台が始まると先生の言葉通り、生徒さんたちはそれぞれが思い思いに笑い、感じ、元気なみなさんの声と眼差しとともに舞台がつくられていきました。




体育館搬入口からトラックまで50mぐらいですが傾斜があり、トップアスリートクラス1,2年生、バレー部、バスケット部、バドミントン部の100人位の生徒さんたちが舞台撤去、搬出を手伝ってくれました


日が暮れる時間も早くなり、暗い中、快く最後まで手伝っていただき、生徒のみなさん本当にありがとうございました!そしてご尽力を頂いた先生方、ありがとうございました。

小城高校
この学校では4回目の上演です。
体育館公演が続くなか、覗きに来た生徒さんの驚きの声が時々聞こえると、どんな出会いが生まれるか楽しみになります。
 
保護者の方にも案内されていました。一緒に見た舞台を帰ってから話す時間を作ってくれたらと思います。
入場から僅かな時間で静かになり、公演前に担当の先生が「観客の見る力が、演じる方の演技の力にもなっていきます。みなさんしっかり見てください」と挨拶されました。
とても集中して舞台を観ていて、一人ひとりが見る、聞く、感じる力を使って、考えたり、創造したりしているようでした。ラストシーンでは一人ひとりのなかに様々なことが思い巡ったのではないでしょうか。生徒さんたちがどのように観劇するか期待する担当の先生も、生徒たちの姿に「素晴らしい観劇態度でした」とおっしゃっていました。

小城名物の和菓子をたくさんいただきました。
また、公演後には学年の先生を筆頭に何人かの生徒さんが舞台に上がりました。見たシーンの印象を味わいながら楽しんでいました。


舞台撤去にも80人以上の生徒さんのお手伝いがありました。役者やスタッフと見た感想や思い、舞台の仕組みをそれぞれに話しながら、撤去や搬出を行いました。搬出条件の良さもありあっという間に片付けが終わりました。


部活で写っていない生徒さんもいますが、サッカー部、バレー部、剣道部、弓道部、図書委員、有志のみなさんありがとうございました!

皆さんの心に残ったひとつのシーン、ひとりの人間について感じ考えたことを記憶に留めてくれたらと思います。そしてみなさんの観る力を生きる力にしていって下さい。

鳥栖高校・香楠中学校
風の上演が5回目となる鳥栖高校、そして高校附属の香楠中学校。6学年が一緒に公演を見ます。こちらの学校でも保護方が見に来ていました。
この鑑賞会では高校の図書委員の生徒さんたちが受付を行っていました。


また、進行も高校の放送部(演劇部にも入ってるそうです)の生徒さんが行い、公演前には舞台監督、スタッフと念入りに打ち合わせを行いました。


1,000人以上の生徒さんで一杯になった会場。前の座席から高3、中3と入り混じりながらの観劇。グッと舞台を見る集中力と時折聞こえる笑い声や緊張感が、芝居が進むに連れて高まっていきました。6学年が多様にそして一緒に舞台と対峙しながら見てくれました。公演が終わってカーテンコールが始まっても、まだ芝居の余韻を感じていたいような雰囲気でした。


カーテンコールの時にハロルド役の柳瀬から挨拶があり、3年前にも『ジャンヌ・ダルク』で上演したことを話した時には、客席からわーっと言う声が溢れました。見ていない学年もありますが、覚えていてくれた生徒さんたちとの再会に互いに喜び合い、今日の舞台がさらに印象に残ったのではないかと思います。みなさんが作った時間を大切にして、また、今日のことを思い出してくれたらと思います。


最後まで進行を務めた生徒さんもお疲れさまでした。

谷山中学校
前日に鳥栖(佐賀県)から鹿児島に移動。中学校に8時半過ぎに到着、遅くまで担当の先生が待っていてくれました。午前開演のため24時まで舞台設営を行いました。照明、音響席はいつもは生徒さんの一番後方に設置するのですが、900人が体育館ギッシリになるので、ギャラリーからのオペレートとなりました。


こちらの学校では2001年の『星の王子さま』(文化庁主催)以来久しぶりで、4度目の公演になります。鹿児島の気候はまだほんのり暖かく、午前公演ですが、気温が上がるのを気使いながら公演を迎えました。


舞台と客席の距離がとても近く感じられ、私も後ろの玄関口で観ていたのですが、生徒さんののびのびとした生徒さんたちの眼差しで、舞台がより近く感じられました。芝居の始まりから、笑い声や、時には歓声が上がり、こちらまでもが楽しくなるくらい、驚きや関心に溢れ、役者の動きを本当に細かく見ていました。


終演後代表の生徒さんが「本物の舞台を見せていただきありがとうございました」とお礼をの言葉をくださいました。みなさんの芝居を見る眼差し、様々な感性に触れこちらこそ感動しました。ありがとうございました。
また、公演後には先生方とバレー部の1、2年生の生徒さんが舞台撤去、搬出を手伝ってくれました。先生同士の声の掛け合いや一生懸命に手伝ってくれる生徒さんへの先生方の気遣いを見て、生徒さんたちが観る感性の源に触れたように思います。


本当に、最後までありがとうございました。

中日を迎えた今週は、舞台と客席に様々な出会いがありました。生徒さんたちが芝居を発見する力、その深さを改めて実感した一週間でした。これから出会う一人ひとりにとっての演劇、その可能性を見続けてゆきたいと思います。

 

文:舞台スタッフ・工藤順子


2019年 秋 『Touch~孤独から愛へ』九州ツアー 第六週目

2019-11-03 23:52:11 | 全国巡回公演

9月25日から始まった九州ツアーもいよいよ11月に入ります。

今週は、各学校の体育館が2階や搬入距離があったり、地下2階であったりするため、全て前日に搬入をするというハードな週となりました。

10月28日㈪ [福岡県]宇美商業高校 同校体育館

   29日㈫ [熊本県]小川工業高校 同校体育館

   30日㈬ [長崎県]佐世保西高校 同校体育館

   31日㈭ [福岡県]香住丘高校 同校体育館

11月1日㈮ [福岡県]博多青松高校 同校体育館

での公演でした。

 

宇美商業高校

2年前に『ジャンヌ・ダルク』を上演していて、三年生とは2年ぶりの再会ということになります。

開演前に、『ジャンヌ・ダルク』のときの担当の先生から甘酒「Ole!Ama(オレアマ)」をいただきました。この甘酒は宇美商業高校が企画をして、地元の酒蔵で製造されたもので、宇美町のふるさと納税の返礼品にも指定されています。さっぱりとしてオレンジ風味の美味しい甘酒でした。ごちそうさまでした。

芝居は、『Touch』をどうしても見せたかった、という校長先生のあいさつで開演しました。

この日の公演を楽しみにしていたことが感じられ、生き生きとした客席なのが印象的でした。

カーテンコールでのお礼のあいさつで、「今日のこの芝居は、学校生活の中で一番の思い出です。」ということばは心に響きました。

バラシのお手伝いには、生徒会の生徒さんをはじめ、部活動の生徒さんや先生方が参加してくれました。芝居の感想を話しながら、楽しい時間となりました。

 

小川工業高校

この学校は、今回で『Touch』が3回目の上演になります。

トラックが体育館まで着かないため、100mの距離を前日の22時30分頃まで搬入をしました。

当日、朝から仕込みをしていると、生徒たちがかわるがわる体育館をのぞきに来ては、「すげーっ!」と、感想を発していきます。生徒さんはみな気さくで、先生たちと仲が良いということがうかがえます。

本番は、担当の先生のウイットにとんだ進行で始まりました。

とてもリラックスした客席で、見てやろうという態度が様々な反応を生み出していました。笑いと集中を繰り返す中で、ひとりひとりの『Touch』に向き合っているという印象を受けました。

バラシ、搬出も、体育館からトラックまで積極的に手伝ってくれました。部活の生徒さんをはじめ、有志の生徒さんも加わり100人を超えたのではないでしょうか。その中でいろんな質問や感想を述べながらの賑やかな交流の場となりました。

 

佐世保西高校

この学校も2階の体育館のため、前日に小川工業高校から到着後、23時過ぎまで搬入を行いました。担当の先生をはじめ教頭先生が動画を撮りながら最後までつきあっていただきました。

当日は、朝から先生方が仕込み中の体育館をのぞきにやってきます。実は教頭先生が、「すごい設営だからみんな見に行ったほうがいいよ。」と、職員朝礼で話してくれたからだそうです。

そういった先生たちのノリに誘われて、生徒たちも期待感が高まっていたようでした。

リラックスした客席は、ある時は湧き、またある時は集中して舞台を見つめていました。

この学校の生徒だった時に『Touch』を見て、今回7年ぶりにまたここで『Touch』を見られた、と喜んでいる先生がいました。嬉しいかぎりです。

バラシのお手伝いも150人を超える生徒のみなさんが参加してくれました。ありがとうございました。

 

香住丘高校

この学校は27年ぶりの演劇鑑賞会です。しかも前回も『Touch』でした。

1200人でびっしりの体育館での公演となりました。

芝居を繊細に受けとめて見つめる中で、いろんな事を感じ、考えているといった客席でした。その視線が注がれていることをずっと感じていた本番でした。

お手伝いも有志の生徒のみなさんで150人を超えました。

「口うるさくて恐い年配のある先生がタオルで顔を覆って号泣していたんですよ!」と、生徒が嬉しそうに話していました。恐いと思っていた先生の見知らぬ一面を見つけた驚きと喜びが伝わってきます。

この公演が大きな、大切な思い出となってくれることを願っています。

 

博多青松高校

地下2階の体育館に仕込みをするため、ここも前日の夜に搬入だけ行いました。

この学校は通信・定時の単位制の学校で、全校生徒が集まることが難しいそうです。そのため、創立記念の式典と合わせて初めて演劇鑑賞が実現しました。

1000人を超える生徒さんでビッシリの体育館でした。

式典に引き続きの開演となったので、客席は少し固いのではと心配しましたが、食い入るように見つめる姿に、芝居を鏡のようにして自分や友だちのことを思っている様子が印象的でした。

撤去、搬出は、沢山の先生方や呼びかけで集まってくれた120人を超える生徒のみなさんが手伝ってくれました。みんな口々に感想を述べてくれるといった賑やかな時間となりました。

この学校の生徒のみなさんは、みんな大人びていて誰が生徒で誰が先生かわからないほどでした。

印象深い公演となりました。

 

このツアーも初日から30ステージとなりました。来週はいよいよ折り返しになります。

一つ一つの公演を、「今、ここで」つくりながら客席と出会っていきたいと思っています。

文:ハロルド役 柳瀬太一


〈写真アップしました!〉2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本ツアー【第6週目】

2019-11-03 18:45:42 | 全国巡回公演

10月21日沖学園高校
10月23日峡南高校
10月24日福島成蹊中学高校


沖学園高校

大阪からフェリーに乗り、この秋のツアーでは唯一の九州の福岡・沖学園高校に、公演前日に到着。野球部員32人が待っていてくれました。舞台の道具、機材を体育館の2階まで一緒に運び上げてくれたのです。中には2年前、文化庁主催で風が公演した「星の王子さま」を観たという生徒さんもいて、更に盛り上がり明日への期待は膨らんでいきました。





当日、まさに沖学園専用の劇場を体育館に作り上げました。こちらの学校では毎年人権教育をおこなっているそうですが、ご担当の先生の皆さんが芸術鑑賞としても生徒の皆さんに観せたいと、「ヘレン・ケラー」の公演を計画されたのでした。
公演は併設の隆徳館中学・高校の生徒さんたちも感激。先生が開演前「一人ひとりに色々なことを考えてほしい。感じることは一人ひとり違っていいから。」と話されていました。生徒さんたちは一人ひとりの感度で様々に舞台と向き合い、小さくとも色々反応しながら観ていました。



終演後、生徒会長が「人が人を思いやること、人と人とが繋がっていくことを感じたり、考えさせられました。」と感想を述べてくれました。



舞台の撤去作業にはバスケットボール部、バレー部の約60人の生徒さんが手伝ってくれました。個人的に劇団員と話し込んでいる姿もあり、また「星の王子さま」を観たという別の生徒さんも現れ、再会の驚きと喜びがありました。そんな生徒さんたちの姿を見て、先生が喜ばれている笑顔が印象的でした。



先生方、そして今日の公演を一緒に創ってくれた生徒さんたちに感謝!感謝!の思いを抱きながら、大阪に向かうフェリーに乗り込みました。

医者役 坂牧明

峡南高校

2000年のヘレン・ケラー公演から久々の公演です。2年後には近隣の学校と統合になるので、今回が3学年揃って最後の鑑賞行事となります。その体育館公演は約130人の生徒の皆さん、先生方、保護者の方、地域の方が観劇されました。



開演前、校長先生が、今まで豊かな心を育てるために3年に1度、芸術鑑賞行事が実施されてきたこと。今回が最後となること。今日の公演を記憶に残して下さい。と話されました。



カーテンコールでは生徒会長さんから、俳優がそれぞれプライドを持ってやっていたのに感動したとのメッセージをいただきました。
終演後は各クラスの行事実行委員の生徒さん、部活の生徒さんと先生方が片付けを手伝って下さいました。



演劇部の生徒さん3人は、ヘレン役の倉八と座談会。11月の文化祭に向けて、舞台づくりに向き合っているそう。そういったことでヘレンの役づくりに関して質問があったり、アニー役はじめキャスト、スタッフみんなが搬出している姿をいいなあと思ってくれたり。校長先生も開演前に、客席頭上の照明が劇場の仕込みと同じだと紹介されましたが、照明バトンのロープに関心を示したり。倉八も伝記ではなく、自伝でヘレン触れようとしたことを話したり、長い竹竿や滑車ロープを示しながら、照明の仕込みを説明したり。






福島成蹊中学高校

2005年の星の王子さま、2012年のヘレン・ケラー以来の公演です。
1,000人以上の高校生と最前列の中学生とで大きな体育館もぎっしり。先生方はギャラリーからも観劇。
開演前はとても元気な様子がうかがえました。

開演に先立ち校長先生から"共感する"ということが話されました。芸術鑑賞行事で演劇は3年に1度。ヘレンとアニーの演劇に対してどう観るかといった時、生徒の皆さんが既に心の中に持っているものがある。舞台に共感して、心を豊かにしてほしい。先生方の思いを話されました。



カーテンコールでは図書委員長の生徒さんが、ヘレンの周りの人びとがみんな、ヘレンを愛していて、そのことに感動したと話してくれました。





終演後は演劇部の生徒さんがバックステージツアーがありましたが、それより前に体育館に残ってらした先生方が興味深く舞台装置をご覧になりました。舞台が斜めになっていることを歩いて実感したり、美術幕が照明によって表情をかえていたこと、照明バトンはどうやって吊るされたか…時間があれば片付けをずっと見ていたいと言われながら体育館を離れられました。そしてアニー役の渋谷のガイドで演劇部の皆さんのバックステージツアーと座談会。11月2日コンクールを控えている皆さんからは、演技、時代背景、美術、照明など具体的な質問が。演劇部の皆さんの知性、真摯な態度を感じたそうです。



舞台の片付け搬出には男女バスケット部の皆さんが手伝って下さいました。





茂原北陵高校

学校名が長南高校だった1990年のハムレット以来の公演、になるはずだったのですが。
早朝から台風の影響を受けた大雨。警報も出て、公演先の長生村文化会館で準備中に公演延期となりました。
残念なことですが、いつか皆さんにお会いできる日を待っています。どうぞ無事に過ごされますよう、願っています。

 ビニー役 清水菜穂子


〈写真アップしました!〉2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本・九州ツアー【第5週目】

2019-11-03 18:20:52 | 全国巡回公演

【今週のブログ執筆にあたり、先ずは日本各地で甚大な被害をもたらした台風19号で犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
また被災された皆さまが一日も早く平穏な日常を取り戻せますよう劇団員一同、心より祈念しております。】

10月14日、台風の影響による道路状況なども把握しきれていない中、伊達政宗公の御膝下、宮城県は仙台市に向けて出発。

10月15日 聖ドミニコ学院中学校・高校
       16日 南陽高校
       17日 身延高校
       18日 小野高校


聖ドミニコ学院中学校・高校

前日夜、無事に仙台入り。
ぐっと気温が下がり(と言うかこちらでは普通だったのかも知れませんが…。)主に西日本地域を巡演していた私たちにとってはなかなかの温度差。

青葉城にほど近い仙台国際センターでの公演でした。



会場は女子校の生徒さんたちらしい和やかな雰囲気で客席が満たされていました。
ご担当の先生の穏やかな呼びかけにより拍手で開演。
高い集中力を持った客席で、開場中からかなり舞台に意識が注がれていたのが伝わって来ました。
ヘレンとアニーに対し、女性だからこそ分かる共感を抱いてくれたり、これからの生き方を見つけようとしてくれているように思いました。



カーテンコールでは生徒会長さんが「人との繋がりとは何かという事を考えるいい機会になりました。」と言ってくれました。





終演後のバックステージツアーやアニー・サリバン役の高階との座談会には20名くらいの生徒さんたちが参加してくれました。
上演中の凄まじいほどの視線とはうってかわってとてもリラックスして、「面白かったです!」「感動しました!」などそれぞれにキラキラした笑顔で話しかけてくれました。



“風"初の上演でした。

南陽高校

こちらも'“風"初めての上演です。



前日、仙台での公演を終えたあと南陽高校体育館にお邪魔し、道具の搬入をさせていただきました。
その際、男子バスケ部の生徒さん5人と2人の女子空手部の生徒さんたちが飛び入りで手伝ってくれました!
2階への搬入だったのでとってもとっても助かりました。
おかげさまで予定より早く終える事ができました。
お礼に、照明の坂野がまだ組み上がる前の特別枠で見学を提案。
すごく嬉しそうに見回って「楽しみにしてます!」と言ってくれたのが私たちのエネルギーになりました。



そして当日、開場前から興味を持って体育館に来てくれた生徒さんたちをまたまた坂野が舞台を案内しました。
入場時てっきり先生の整列指導かと思いきや、生徒さんがマイクに向かっていて驚きました!
そのまま諸注意などを伝えて校長先生にバトンタッチ、劇団や作者、松兼功さんの言葉などご丁寧に紹介して下さり、拍手で開演。
生徒さん一人ひとりがとても素直に、楽しみながら舞台に向かってくれました。
こちらもワクワクする時間をともに過ごせました。





終演後は バスケ部、バドミントン部、空手部などの皆さんが多大なる力を発揮して撤去作業のお手伝いをしてくれました。
同時に体育館のステージ上では、ヘレン役の倉八と3人の男子生徒さんが座談会。
後にアナグノス校長役の緒方のところにやって来て、俳優への興味や将来の事について話を聞きに来てくれたそうです。
これから日本だけに限らず、海外の人も含めていろいろな人と出会う中で自分の事を考える時間がたくさんあると思う、そこから夢を見つけていく事もできるのではないかと話したそうです。



とても明るく、元気のいい学校だなという印象を受けました。

身延高校

こちらは2009年の『Touch〜孤独から愛へ』10年振り、2度目の上演です。



身延町総合文化会館、身延山の麓に位置する客席数400でゆったりとしたきれいで居心地のいい空間を持った劇場。
と、そこに入って来るなり大声で
サッカーのテーマ曲(?)を歌う生徒さん、開場と同時にテンションMAX!
劇場って一番乗りで入ったら大声出したくなりますよね。
とっても気持ち分かります!
外ののどかな風景とは裏腹に一気に場内は賑やかになりました。
どんな生徒さんたちなのか、楽屋では期待が膨らんでいました。

大きな拍手で開演。
終始リラックスした雰囲気の中で細かいところまで反応を見せてくれる生徒さんたちでした。





終演後は演劇部の生徒さんとのバックステージツアー。
かなり力のある演劇部で大きな大会でもたくさん実績を残しているそうです。
ほとんど気づかないような細かいところまで熱心に写真に収めたり、アニー役の高階との座談会も盛り上がっていました。
撤去作業もそろそろ終盤という頃には「今度パンチカーペットを使うのですが、巻き方教えて下さい!」と聞きに来てくれました。
なぜかと思ったら、発表が終わり次第とにかく早くどけないといけないからと言う事でした。
高校演劇は時間との勝負もありますからね。





演劇部のバックステージツアーの様子は身延高校のTwitterでも紹介されています!

小野高校

今週最後のステージは、こちらも2010年の『Touch〜孤独から愛へ』久し振り、2度目の上演でした。
だいぶ秋も深まり、少し寒いくらいの体育館。
今年は3年に1度の大文化祭だそうで、栄えある初日を飾らせていただきました!
次の日からの地域公開に向けてのオープニングセレモニーから始まりました。
校長先生の開会の言葉に続き、2人の生徒さんによる文化祭の気運を高めようという漫才仕立てのプレゼンテーション。
それぞれの学年に「文化祭は楽しみですか〜?!」と大きな声で呼びかけ。
「お〜っ!」と応える生徒さんたち。
何名かの先生方も名指しで呼びかけられていらっしゃいましたが、さすがですね、ものすごく大きな返事を返されていました。
学校全体で向かっていっているモチベーションの高さが窺えました。



仕切り直して、校長先生の一言をいただき拍手で開演。

かなり高揚したセレモニーの雰囲気とはガラッと変わって、最初から食い入るように舞台に視線と身体を向けてくれました。



終演後は3年生各クラスから2名ずつ精鋭部隊と有志の皆さんが撤去作業のお手伝いをしてくれました。
とある女性の先生が「生徒たち皆んなが顔を上げていたのが凄いと思いました!本当に!びっくりしました!」と興奮して話しかけて下さいました。
自分の中にある何かとすり合わせたり、出会ったり、見つめ直したりしながら観てくれた結果だと思います。







今週もたくさんの出会いと、たくさんの言葉と、たくさんのエネルギーをもらい、そこからたくさんの発見をさせてもらう事が出来ました。
ほとんどの学校で台風により交通手段がダメージを受け通学できず、残念ながら今回鑑賞してもらえなかった生徒さんたちも少なくありませんでした。
仕方がないと言えば仕方ありませんが、非常に残念に思っております。
でも、どこかで出会える、出会いたいと思っています!
そして早期の復旧を願っています!

公演に向けて尽力下さった先生方、お忙しい中お運びいただいた保護者の皆さま、実行にあたって動いてくれた生徒会や文芸委員の生徒の皆さん、資材の搬入や搬出を手伝ってくれたたくさんの生徒さんたち、そして、今週私たちと出会ってくれた全ての人たちに心より感謝しております。

本当にありがとうございました!

またお会いしましょう!

ケート・ケラー役:仲村三千代


2019年 秋 『Touch~孤独から愛へ』九州ツアー 第五週目

2019-10-26 09:53:06 | 全国巡回公演

10月も後半になり、九州もだんだんと過ごしやすい陽気となってきました。

ツアー第五週目の今週は、

10月21日(月) [佐賀県]佐賀東高校・高志館高校 佐賀市文化会館

   23日(水) [福岡県]高稜高校 同校体育館

   24日(木) [熊本県]小国高校・小国中学校・南小国中学校 小国高校体育館

   25日(金) [大分県]中津南高校 同校体育館

での公演でした。

 

佐賀東高校・高志館高校

三年に一回の二校合同の演劇鑑賞会。風の公演も三年振りとなります。

佐賀東高校の演劇部は全国大会に何度も出場しており、劇団員の蒲原智城の母校でもあります。

「心臓が飛び出すほど緊張しています。」と、司会の高志館高校の生徒会長さん。しかし、舞台に上がると堂々とした態度で、客席を盛り上げてくれました。

公演は、開演前の賑やかさとはうってかわって、集中した視線を終始舞台に向けてくれていました。

カーテンコールでは、「人との絆と思いを大切にしていきたいと思いました。」という素敵な感想とともに佐賀東高校の演劇部の生徒さんと司会をしてくれた高志館高校の生徒会長さんから花束をいただきました。

終演後には、高志館高校の担当の先生と生徒会長さんが楽屋を訪ねてきてくれました。

一方、ステージ上では佐賀東高校の演劇部のみなさんが舞台見学を行っていました。顧問の先生も一緒になって、細かいところまで隅々と舞台装置、小道具などを熱心に見学していました。その後、座談会も行われ時間いっぱい楽しんでくれていました。

この日の公演が、両校のみなさんの大切な思い出となってくれることを願っています。

 

高稜高校

北九州市の二島駅前の小高い丘の上にある高稜高校の体育館での公演です。こちらの学校は二年前の『ジャンヌ・ダルク』以来、7回目の風の公演でした。

坂道を登り、二階にある体育館のため、公演前日に搬入を行いました。このときには、男子バスケットボール部の生徒のみなさんが、部活動後にも関わらず、お手伝いをしてくれました。

作業を終えると、担当の先生が「こんなに大変だとは思っていませんでした。でも、これが明日舞台になるんですね。」と、息を切らせながらも、生徒がこれから演劇に触れることへの期待を話してくれました。

本番当日、生徒のみなさんは、その先生の期待に応えるかのように、細かいところにもよく反応しながら、『Touch』の世界を楽しんでくれていました。

カーテンコールでは、生徒会長さんの「今日の演劇を見て、仲間との絆を大切にしたいと思いました。」という言葉とともに、生徒全員が立ち上がり、大きな声で「ありがとうございました!」とお礼を受けました。生徒のみなさんの思いに、こちらこそありがとうございました。

終演後の舞台撤去には、野球部、サッカー部、バレーボール部、剣道部、軽音部、生徒会の生徒のみなさんが元気に手伝ってくれました。そのおかげで、予想していた以上の速さで撤去が終わりました。ありがとうございました。

 

小国高校・小国中学校・南小国中学校

小国では、毎年合同で芸術鑑賞会を行っており、こちらも二年前の『ジャンヌ・ダルク』以来の再会となりました。

地元の木材を使って建てられた、あたたかみのある木造の体育館が今回も私たちを迎えてくれました。体育館の木の温もりと鉄とコンクリートの無機質さを感じさせる『Touch』舞台装置とが合わさり、独特の雰囲気を感じる劇場に変わりました。

雨のなか、バスに揺られて、中学校の生徒のみなさんが続々と高校の体育館に集まってきました。高校で昼食を済ませて開場を待ちます。

「教室で生徒に聞いてみたら、みんな前回の『ジャンヌ・ダルク』の事を覚えていて、今日も楽しみにしていました。」と、担当の先生が開演前におっしゃっていました。その言葉を聞くと、自然と力がみなぎります。

本番は、生徒のみなさんの無邪気な笑い声に包まれて、あたたかな空間が体育館に広がっていました。ラストシーンでは、あちこちから鼻をすする音が。きっとひとりひとりのなかで、なにかが起こってくれていたのではないでしょうか。

終演後の舞台撤去には部活動の生徒のみなさんがたくさん参加してくれました。

今回の『Touch』の話だけでなく、二年前の『ジャンヌ・ダルク』の話もしながら、あっという間に時間が過ぎていきました。

また、みなさんの元気な姿に会えることを願っています。

 

中津南高校

中津南高校は、三年ぶり5回目の風の上演でした。

こちらの学校は芸術に触れるという目的に加えて、人権教育の一環としての取り組みとして芸術鑑賞を行っています。

静かに食い入るように、熱心に視線を注ぐ生徒のみなさんの姿が印象的で、彼らの力強い拍手のなか幕を閉じました。

カーテンコールでは、生徒会長さんが「この先、孤独を感じたり、壁にぶつかることがあると思います。その時は、今日の演劇を思い出して、仲間との繋がりを大切に歩んでいきたいと思います。」と、熱いメッセージをみんなの前で語ってくれました。

終演後には、担当の先生が顧問をしている野球部と卓球部、柔道部、剣道部、生徒会、そして有志の生徒さん、本当にたくさんのみなさんがお手伝いをしてくれました。さっきまで見ていた公演が自分にとって何なのか、それぞれの言葉を劇団員に伝えながら、作業をしてくれました。

公演の記念に作った色紙を受け取ってくれたのは、カーテンコールで熱い感想を述べてくれた生徒会長さん。なんと名前は太一くん。太一から太一へ(笑)!

最後はみんなで記念写真。この日感じたこと、考えたことが、みなさんひとりひとりのこの先の人生の力に変えていってくれたらと思います。ありがとうございました。

 

今週は、どの学校もここニ、三年の間に風を上演した学校ばかりの再会の週でした。

そのなかで、印象に残った先生の言葉があります。

「ここの子たちは、芸術に触れる機会がほとんどありません。だからこそ、こうして芸術鑑賞会をとおして、本物に触れることができることは、子どもたちにとって大切なことだと思いますし、彼らを豊かにしてくれると思います。」

その言葉から、私たちが誰に対して、そしてどんな人たちの思いの重なり合ったなかで、一回の公演をしているのかをあらためて感じました。

今、若い観客たちに演劇を見せることの意味、若い観客たちが演劇を見ることの意味は何なのか。

一回一回の公演をとおして常に考え、その場で彼らとつくり続けていきます。

来週はいよいよ旅の折返しを迎えます。

 

文:フィリップ役 佐藤勇太

 


2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本ツアー【第4週目】

2019-10-24 00:54:00 | 全国巡回公演

 

トップの写真は姫路南高校さんから「ぜひ、使って欲しい!」ということでカーテンコール時にサプライズで頂いたうさぎのぬいぐるみ"ミナミちゃん"です。

生徒さんの刺繍入りです。ヘレンのおもちゃ箱に入っています。嬉しいサプライズを本当にありがとうございます!

 

 

 

お待たせして、申し訳ありません。2019年秋『ヘレン・ケラー 〜ひびき合うものたち』西日本・東日本ツアーの4周目のブログです。

まだまだ夏の空気が残る9月中旬に、岡山県で初日を迎えスタートした『ヘレン・ケラー〜ひびき合うものたち』の東日本・西日本巡回公演は、季節は秋を感じる時期に入りました。

 

 

10月8日  (火)【兵庫県】網干高校/姫路南高校 姫路市文化センター大ホール

10月9日  (水)【鳥取県】鳥取商業高校 同校体育館

10月10日(木)【愛知県】黄柳野高校  同校体育館

この4校の学校で公演を行ってきました。

 

巡回公演4週目の始まり、10月8日は2校合同公演で午前・午後の2回公演でした。

 

 

網干高校

午前の公演は網干高校での公演です。

開演の前には以前にもヘレン・ケラーの公演を一度見ているご担当の先生が「今日の公演を楽しみにしていました。」と劇団員に声をかけて下さいました。

公演中の網干高校の生徒さんは、開演の音楽が流れ始めるとピタッと静かになり、少し緊張感の漂う集中した劇場空間でした。

休憩をはさみ、2幕が開演すると今度はリラックスした状態で、いろんな表情を向けながら舞台に向かってくれていました。

カーテンコールでは素敵な花束と生徒会長さんがお礼の言葉を送ってくれ、言葉の中には「自分はヘレン・ケラーは三重苦の重い生涯を乗り越えた人、という認識だけでしたが、今日の公演を見てヘレンがサリバン先生と出会っていく中で一緒に生涯を乗り超えて行ったことを感じました。」

とありました。

終演後には生徒さんたちの送り出しにロビーに向かいました。

生徒さんたちは「ありがとうございました」「楽しかったです」と元気よく声をかけてくれたり、握手をしにきてくれたり、いろんな形で公演の感想を伝えてきてくれました。

最後にご担当の先生も声をかけにきてくださり、「過去にも一度見ているのですが一番自分の中にも響くものがありました。」と話して下さいました。

 

 

姫路南高校

午後の公演は姫路南高校での公演です。

前日の舞台仕込みから、ご担当の先生が演劇部の一年生の生徒さんたちと共に迎え入れてくれ、来てくれた2人の生徒さんたちは、自分たちの強い希望で保護者の方にも許可を得て「舞台の仕込みを手伝いたい」という意思できてくれました。

 

先生は生徒さんたちを公演はもちろん、舞台の裏側や風の仕事に触れさせたいという思いで生徒さんたちに声をかけて下さっていました。

生徒さんたちは大掛かりな舞台がどういう風に組み上がっていくのか、どれだけの道具が11トントラックの中に積まれているのか、最後の照明のあたりチェックまで興味を持ちながら、劇団員と一緒になって一生懸命に手を貸してくれました。

最後に手元の作業から離れ自分たちが組んだ舞台の全体を見て「すごい!」と驚いていました。

本番では一人一人が今出会っているものや感じていることを大事にしているかのように表情を変えながら、舞台上で起こっていることに体ごと向けて見てくれていました。

公演後には前日に舞台の仕込みを手伝ってくれた生徒さんたちに加え演劇部、放送部の6人の生徒さんが舞台の撤去作業に参加してくれました。

舞台をバラバラにする作業の前に、舞台見学を行い、作業の後には余った時間ではありましたが座談会を行いました。

生徒さんたちは自分がこれから向かうものへの不安や疑問、舞台を見て自分が感じたことをぶつけて来てくれました。

彼女たちから出てくる言葉はとても繊細なもののように感じました。

ご担当の先生は何度も風の公演を見て下さっていて本当にこの公演での生徒さんちの姿や今回の公演での繋がりをとても喜んで下さっていました。

ここで繋がった出会いがきっと新たな出会いへ広がっていくことを感じる、人の姿がありました。

 

 

鳥取商業高校

鳥取商業高校での公演は、鳥取県文化振興財団の主催で行われた公演でした。

人権学習の一環として、3年生のみ165人の参加で、鳥取商業高校の体育館で行いました。

生徒さんたちが人権学習の中で、障害を抱えている人の立場を実際に体験する学習を行っていることをご担当の先生から伺いました。

生徒さんたちはアイマスクをつけて"見えない"状態を経験したり、耳栓をして"聞こえない"状態を経験していて、その中で「ヘレン・ケラー」の舞台と向き合って欲しいという先生の思いと、鳥取文化振興財団の方々の鳥取の子供たちに本物の舞台に触れてもらいたいという思いが繋げた公演でした。

生徒さんたちは体育館に入ってくると、「うわーなにこれ!?」「すごーい!」と体育館に組み上がった舞台セットに驚きの声を上げながら元気よく入場して来ました。

 

本番に入ると一瞬にして賑やかだった客席は静かになり、ものすごく集中した様子で前のめりに舞台に向かっていました。

 

公演後にはほとんどの生徒さんたちが舞台見学に残り、舞台に上がって道具に触れたり、役者に声をかけてくれました。

生徒さんだけでなく先生方も一緒になって、舞台見学をしていました。

座談会にも多くの生徒さんが集まってくれ、自分自身が頑張ってることこれからやりたいことをヘレン・ケラー役の倉八にそれぞれの思いをぶつけている様子でした。

 

舞台見学後の撤去作業の中では本当に体いっぱい一生懸命に力を貸してくれ、劇団員や同じ学年の仲間たちとお互いに声をかけあいながらお手伝いをしてくれている彼らの姿に、彼らのチームワークを見たように思いました。

 

先生方もそんな生徒さんたちを褒めていました。

 

 

黄柳野高校

 

 黄柳野高校での公演は今回で4回目となる公演で、そのうち「ヘレン・ケラー」の上演は今回で2回目となります。

さらに、去年は「ジャンヌ・ダルク」を上演していて、2年連続の公演となりました。

先生からのご案内で昼食は学校内の学食を頂きました。食堂の入り口の目の止まりやすい場所には去年上演した「ジャンヌ・ダルク」の色紙が飾られていました。

入場時間前に何人かの生徒さんが舞台見学にきてくれました。

中にはこの日のために「ヘレン・ケラー」の本を読んで勉強して来た、という子や小学校のときに読んだ「ヘレン・ケラー」の伝記を思い返した、という子がいました。

 

本番中の彼らは自分の感覚で出会いたいものや見たいものに自由に向き合ってくれていたように思います。

カーテンコールでは代表の生徒さんが「ヘレン・ケラーがサリバン先生とぶつかり合いながら言葉に出会っていく姿に感動しました。」とあいさつしてくれました。

そのあと校長先生からのあいさつもあり、校長先生は舞台に向かう生徒さんたちを褒め、「涙が出そうになりました。」と熱のある言葉を我々劇団員、そして黄柳野高校の皆さんに伝えて下さいました。

 

終演後すぐにたくさんの生徒さんたちが舞台裏に来てくれそれぞれ役者やスタッフを捕まえて、自分が感じたことや受け取ったもの、思い返したことや自分の夢、いま夢中になっていることを話してくれました。

舞台の片ずけにも何人かの生徒さんが残ってくれ、「ジャンヌ・ダルク」の時もお手伝いに来てくれた3年生の女子生徒さんと生徒会の子たちが中心となって、最後まで一生懸命に手を貸してくれました。

黙々と手伝ってくれていた生徒会の子が最後に「自分は転校して来たんですが、前の学校でもこのヘレン・ケラーを見ました!」とその時の記憶を話してくれ、本当に再会の多い公演であったことを嬉しく思いました。

 

 

 

たくさんの自分以外の誰かを思う強い繋がりの中で出会っていること、そして人の願いが募っていく出会いや再会がここにあることを感じます。

出会った人たちが伝えて来てくれた思いや言葉を抱えて、待ってる人たちのところへ向かって行きたいと思います。

 

 

アニー・サリバン役 高階ひかり