「正三角形」NODA/MAP
作・演出 野田秀樹
2024/8/17 東京芸術劇場プレイハウス
野田秀樹さんの舞台は
モチーフにしている小説や事件や思想などがあって、
ああ、これのことか、とよくわかるときと
最後までなんだかよくわからないときがある。
これはひとえに私の知識不足からくることがほとんどだ。
今回のモチーフはドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」と長崎の原爆投下
父親殺しの嫌疑をかけられた、長男で花火職人の富太郎(松本潤さん)
次男で理系の研究者威蕃(イワン)に永山瑛太さん
三男で聖職者を目指す在良が長澤まさみさん
長澤さんは富太郎と父親(竹中直人)が奪い合う奔放な女性グルーシェニカの二役。
富太郎の弁護人が野田秀樹さん。
検事は竹中さんの二役。
富太郎の審理の場面から始まり、事件を回想したり、場面はクルクルかわる。
その時に活躍するのが養生テープ。
かつて養生テープがこんなに活躍した舞台があっただろうか(笑)
ころころ変わる場面、
言葉遊びのように次々に早口で紡がれるセリフの応酬、
二役の役者さんの早変わり、
時々現れて笑いをさそい場を乱すウワサスキー夫人(池谷のぶえさん)の存在感、
と前半はついていくのがやっとで、頭の中がぐるぐるする。
後半、一気に伏線が回収されて、脳内が整理されて、悲しいラストに向かっていくことがわかると、なんとも苦しくなってくる。
未来への希望を語る人々
マネキン人形みたいに無機質な動きで見え隠れする米軍のパイロット
聞こえてくる原爆投下のカウントダウン
静寂の中で舞台上の人々にゆっくりゆっくりと覆いかぶさる1枚の白い大きな布。
そして、人々の動きが止まる。
こんなに綺麗にスローモーションのように覆いかぶさるのかってくらいの恐ろしく美しい光景に、身動きもできなかった。
恥ずかしながら、今回のモチーフとなっているカラマーゾフの兄弟は読んでない。
また今回もわけがわからないのか?という不安を抱きつつ、奇跡の前から4列目で舞台を観ていた。
松潤の飛び散る汗までよく見える。
一緒に行ったのは息子と同年代のお嬢さん。
旧ジャニーズファンの彼女にして、彼女史上一番近い松潤なんだとか。
終演後の気持ちはなんて言ったらいいのだろう。
カラマーゾフの兄弟のそもそも、とかもうすっかり関係なくなっていた。
この夏の季節には色々な戦争に関する番組が放映させるが、そのどれよりも重く響いた気がする。
世界のどこかで今も無益な戦いが続いている。
そんなことが無くなる世界を願わずにいられない。
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