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1995年一橋大学本試第1問 30年戦争

2020年05月14日 | 論述問題
 ドイツを舞台とする宗教戦争としてはじまった三十年戦争は、ドイツに政治的利害 と領土的野心をもつフランスとスウェーデンなどの介入をまねき、多数のヨーロッパ諸国が関与する戦争となった。また、その講和会議はヨーロッパ最初の国際会議とされる。以上のような点に留意しながら、三十年戦争の結果と、それが後のドイツに及ぼした影響について述べなさい(400字)。



【字数配分設計】
1. 30年戦争の結果(200字):経過を書く必要はない。またドイツ以外の影響も結果として書ける。
条約の内容についてはアウグスブルクの和議の再確認すなわち領邦教会制が確立した。これにより教皇権や公会議の権威が及ばない主権国家が成立しそれらが国際法によって関係づけられた主権国家体制が成立した。ドイツ社会の荒廃。ハンザ同盟に代わってスウェーデン王国がバルト海沿岸地域を獲得し北海バルト海商業圏を支配した。フランス王国はライン川左岸にあるアルザス・ロレーヌ地方を獲得した。

2. ドイツに及ぼした影響(200字):ウェストファリア条約は「神聖ローマ帝国の死亡診断書」。神聖ローマ帝国がハプスブルク家皇帝によって集権化されることは失敗に終わったことでドイツ統一は遅れ1871年まで持ち越される原因となった。また代わって台頭したプロイセン王国を中心にドイツの統一が行われた。オーストリアはこれから排除された。


【留意すべき点】
上記の内容に以下の2点を加味して記述したい。
1. 宗教戦争から国際戦争へ転換した。:
①結果:ヨーロッパでは宗教戦争は収束し主権国家が主権の及ぶ範囲を主張して起こす国際戦争が発生した。例としてルイ14世の自然国教説
②影響:鉱物資源を有するアルザス・ロレーヌ地方は以後長期にわたってフランスとドイツの争奪地となった。

2. ウェストファリア会議は最初の国際会議である。
①結果:1625年グロティウスは『戦争と平和の法』を著し自然法が国家同士の関係にも適用されることを主張し、その影響を受けたウェストファリア条約以降は国家間の関係を調整する国際会議が開催された。
②影響:ウェストファリア条約で新旧両派の勢力が対等な関係を保障された。ドイツは領邦国家主権のもとドイツ統一後も連邦制をとり地方分権が維持されることに道を開いた。

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