“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

記憶力の向上

2013-01-25 23:23:44 | 日記
こんばんは。

今日は全く自分のための勉強なしでした。
あ、少しだけWEB問題集解いて、少しだけ漢検要覧眺めましたけど……机にじっくり向かえなかった。

本来しろねこの休暇日(うちは隔週で平日休みが来る)だったのですが、来週から始まる、うちに入る生徒の入試に備えて夕方まで全員出勤、更にうちのクラスの生徒の併願パターンの最終確認の資料を作成するため、夜までPCと睨めっこ、そこから明日までは、明日の授業のための添削作業です。さぼっても後が苦しいので、頑張るしかありません。

ところで記憶力に関するニュースがありました。
御覧になった方もいらっしゃると思いますが、
ショウジョウバエを使った東京都医学総合研究所のグループの実験で、空腹状態のときに記憶が向上するデータが得られ、それが人間にも当てはまるかもしれないのだそうです。
脳内で空腹時に或るたんぱく質が活性化するらしく、そのたんぱく質が、人間にもあるのだとか。

そこで思い出したのが昔、しろねこが高校生だった頃、母が或る日言った言葉でした。
「あんたって美味しいもの食べてのんびりしてる時より、食パンの耳しか食べてないときのほうが、試験の成績よかったよね」

……そういえば、うちの職場でも、学力上位層の子はあんまり休み時間にばくばくものを食べてはいないかも。長時間、割と飲まず食わずで自習に集中できるし。

しろねこも、喫茶店でよく勉強しますが、何かをやりきるまでは新たに注文しないで頑張るほうが、能率はいいです。

しかし、そのショウジョウバエの実験の簡単な説明を読むところ、ハエを絶食状態にして、或る臭いを嗅がせた後、ハエに電流を流して危険と臭いを関連づけるということで、ちょっと可哀想ですね……人間の記憶力の新薬開発のために、涙ぐましい生命の叫びがあるかと思うと、なんとも言えない気持ちにさせられます。

取り敢えずしろねこは、
記憶力が健全な範囲内にあるうちは、食事はそこそこにして漢字を覚えたいと思います。
明日は少しでも時間確保するぞー!

「絣」の読み

2013-01-24 23:58:02 | 日記
こんばんは。
しろねこの地域では大分雪が解けてきました。どことなく春の気配が感じられる数日でした。
1月初旬の冷え込みが嘘のようです。

さて今日はまた生徒が某大学(国公立)の過去問を解いたものを採点していました。
その中に、「絣」の読みを答えさせる問題がありました。
答えは「かすり」です。

これは残念ながら、しろねこの教えるトップ層の中にも読める人がいませんでした。
わざわざ非常用漢字の読みを幅広く演習することも少ないため、記憶が網羅されていないのでしょう。

間違いの中で最も多かったのが、「しま(縞)」。本文には「絣」の直前に、色とりどりの模様の織りの描写があるため、そこから「縞」を推測するのも、まあ無理もないでしょう。
次に多かったのが、「ます(桝・枡)」。う~ん、かなり違うと思うけど。

極めつけがなんと、


「もち(餅)」…!!


「并」繋がりなのは分かりますが 汗
前後には布地の話ばかりで、食べ物の話題なんてひとつもないのに、糸偏の字から食べものを連想するってどうなってるんでしょうか 笑
模様入りの餅??!


ところで、帰りに漢検四字熟語辞典(しろねこのは、2004年3月10日 初版第14冊発行です)を見ていたら、
135頁中段「眼光炯炯」の項の太字の意味の最後に、句点がないのを発見しました。
何度も見ている筈なのに今まで気付かなかったとは……。
まだまだ見逃していることが沢山あるのでしょうね。

旧字体の勘

2013-01-23 22:52:31 | 日記
こんばんは。

職場では国公立二次・私大対策が始まりました。
某大学の漢文は、旧字体や異体字が混在した状態で出題されます。
受験で必須の「与」→「與」なんかは知らないと困ることでしょう。

過去問の答案を採点していると、記述問題で、旧字体のキーワード(今回は「宝」の旧字体)を含んだ部分は、やはり書けていませんでした。
そこで漢検要覧から旧字体の頁を印刷し、勉強方法の説明を加えながら配布しました。生徒も配られた瞬間、「これ漢検のですか?」と質問。いざというときは、下手な参考書や細かい便覧より漢検や語検の参考書の紙面が見易いので、物量をこなしてほしいときには良い資料になることも多いんです。
(一生懸命教材編集していらっしゃる方、ごめんなさい。)

「旧字体の中で一番わかんないのが、旧字体の『旧』の字なのよ~、探してみて」

と言ってみたところ、目ざとい生徒が見つけた瞬間、
「す、すごい」
と苦笑したので、みんなもどこどこ?と、その生徒が教えた頁を見始めました。
「あ、ほんとだ」
「なにこれ」
と彼らは口々に驚嘆していて、こちらからそれを見ているとちょっと楽しかったです。

「旧」の旧字体は「舊」。知らないと余りに想像がつきませんよね。
大学でしろねこが文献を見ていて一番喫驚(びっくり)した字がこれです。
最終的に、なんであんなに簡単な字体になったんでしょうか。

しかし、今いきなり過去の形式に戻って旧字体に直す問題が出題されたら、きっと全然書けないだろうな……こわいこわい。
出題形式の枠に囚われない発想力と語彙力をつけないとなあ。
人生常に油断大敵、ですね。

平仮名表記の意味

2013-01-22 23:06:11 | 日記
こんばんは。

忙しいのは毎日ですが、
今日は久々に、下手をすると累積して引き摺りそうな疲労を感じた一日でした。
決定的に嫌なことは何も無いのですが、対処した一つひとつの重さが結構重く、今後の仕事の捗りや、同僚とのチームワークに影響しそうなことが多かったからかもしれません。
そんなわけで、敢えて一本早い19時台の新幹線で帰りました。
仕事は全然終わっていなかったのですが、30分でも喫茶店で漢字を復習う時間をとってから、また明日の授業のための答案添削に戻るという過ごし方でもしないと、何となく眠る前に後悔するという気がしたのです。
こういう日に自宅で勉強しようとしても、すぐに睡魔が襲ってしまうのです。

勉強は大して捗りませんでしたが、疲れは多少解消して、先程喫茶店を出て自宅へのバスの中にいます。
既に断続的にかなりの睡魔が襲ってきています。

ここ数日、些細なことでも何かここに書かないと、気持ちがふっつりと切れて仕事に流され切ってしまいそうな思いがします。
何か漢字についての関わりやその確認作業を継続していないと、と半ば憑かれたように執着しているのです。
かといって仕事を疎かにして好き勝手にはやはりできませんし、辛いところです。

ところで、
しろねこの母が私に小さめの国語辞典を与えてくれたのは、しろねこが小学生4年生あたりでした。
それまで、しろねこが言葉の意味を尋ねると、その場で母の言葉で説明してくれていたのが、
辞書を貰ってから暫くすると、自分で引けと言われるようになりました。
で、辞書に見出し語があり、まず平仮名で意味が書いてあるのが多いのを、
しろねこは長い間、子どもや字があまり読めない人でも、よく読めるためだと勝手に思っていました。

でも、実際はそういうことよりも、
その語、特に漢語の意味を訓で表現して説明するには、特定の常用漢字で意味を示すのではなく、純粋な訓として平仮名だけで示したほうが、その字の意味のイメージを特定の漢字の属性に縛られずに説明することができ、
漢字の勉強をするようになって漸く、そのことが感覚的に理解できてきたんだな、と最近改めて気が付きました。
非常用漢字に、常用漢字と同様の意味を持つものがいくつもあると把握して初めて理解できたことです。
高校生以前の頃は分からなくて、国語の勉強などでも、敢えて漢字で書き直して辞書を写したりしていたこともありましたが、それは語の意味としての訓を台無しにしてしまっていたわけです。

家についたので、眠るまで仕事します。

「易化」という語

2013-01-21 23:57:32 | 日記
こんばんは。

入試業界にいると、このシーズンよく耳にする言葉の中で、

難化/易化

があります。
センター試験の国語が難化した、だの、○○大学の数学が全体的に易化した、だのという使い方です。

さて、「難化」の読みは「なんか」でしょうが、
「易化」はどう読むのでしょうか。
「えきか」か、それとも「いか」か。

先日同僚から、
「どこの予備校の人も、『易化』を『えきか』と言っているのに、河合塾の人がこの間説明会で、『いか、いか』と連発するから、どちらが正しいのか判らなくなってしまった。
しかし少なくとも、今の世間の慣用表現は『えきか』だろう」
と疑問を投げ掛けられました。

改めてその場で考えてみると、「えき」だと「貿易」などで判るように、交換する意味です。
一方で「い」と読む場合は、「容易」などで判るように、やさしい、簡単だという意味です。

従って、河合塾の方の仰るとおり、「いか」で正しいのです。
現に、三省堂の辞書サイトには、確りと「易化」=「いか」と載っています。

では何故「えきか」の使用頻度が高いかというと、
推測ですが言いやすいし聞き取りやすいから、ではないでしょうか。
「えきか」なら同音異義語は「液化」くらいで、例えば「腋下」などは普通想像しないでしょう。

しかし、「いか」を耳で聞き取ると、「えきか」より連想する語が多くなり、意味がとりにくいのでしょうね。

似たような例を挙げると、
先日バスでバスカードが傷ついているのか、機械に通らないお客さんに運転手さんが、
「磁気がだめになっているんだよ」
と言うのを、お客さんが怪訝な顔で「じき?」と聞き返していました。

そんなわけで、漢検1級で学ぶ単語も、日常会話では口頭では通じにくいということを考えながら、
夜は四字熟語をまた少し復習った、という一日でした。