“氷姿雪魄”に背のびする……しろねこの日記

仕事の傍ら漢検1級に臨むうち、言葉の向こう側に見える様々な世界に思いを馳せるようになった日々を、徒然なるままに綴る日記。

「易化」という語

2013-01-21 23:57:32 | 日記
こんばんは。

入試業界にいると、このシーズンよく耳にする言葉の中で、

難化/易化

があります。
センター試験の国語が難化した、だの、○○大学の数学が全体的に易化した、だのという使い方です。

さて、「難化」の読みは「なんか」でしょうが、
「易化」はどう読むのでしょうか。
「えきか」か、それとも「いか」か。

先日同僚から、
「どこの予備校の人も、『易化』を『えきか』と言っているのに、河合塾の人がこの間説明会で、『いか、いか』と連発するから、どちらが正しいのか判らなくなってしまった。
しかし少なくとも、今の世間の慣用表現は『えきか』だろう」
と疑問を投げ掛けられました。

改めてその場で考えてみると、「えき」だと「貿易」などで判るように、交換する意味です。
一方で「い」と読む場合は、「容易」などで判るように、やさしい、簡単だという意味です。

従って、河合塾の方の仰るとおり、「いか」で正しいのです。
現に、三省堂の辞書サイトには、確りと「易化」=「いか」と載っています。

では何故「えきか」の使用頻度が高いかというと、
推測ですが言いやすいし聞き取りやすいから、ではないでしょうか。
「えきか」なら同音異義語は「液化」くらいで、例えば「腋下」などは普通想像しないでしょう。

しかし、「いか」を耳で聞き取ると、「えきか」より連想する語が多くなり、意味がとりにくいのでしょうね。

似たような例を挙げると、
先日バスでバスカードが傷ついているのか、機械に通らないお客さんに運転手さんが、
「磁気がだめになっているんだよ」
と言うのを、お客さんが怪訝な顔で「じき?」と聞き返していました。

そんなわけで、漢検1級で学ぶ単語も、日常会話では口頭では通じにくいということを考えながら、
夜は四字熟語をまた少し復習った、という一日でした。