「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

自宅待機中@鎌倉七里ガ浜(19) インド製カレー・パウダーを使い明治初期の日本のカレーライスみたいなのを再びつくってみる

2020-05-15 09:44:05 | 食べ物・飲み物
明治初期のカレーライスっておそらくこんなものだったろうなぁ~と想像されるものを作って食べた話を、今から7年前にこのブログで書いたことがある。

小菅先生の著書(↓)はとっても学術的で、日本のカレーライス発展の歴史を詳細に教えてくれる。



小菅先生の著書の内容を、私は7年前のブログ記事でまとめている。以下の赤い字の部分がそれだ。

現代の日本のカレーライスというと・・・
● ニンジン
● タマネギ
● ジャガイモ
を主たる具材とし、肉やシーフードを加えたものを想像なさるかもしれない。でも本日のはちょっと違うのだ。




小菅先生やその他様々な先生方の著書によると、その3種の野菜がカレーの具材として日本で普及するのは明治中期以降の話なのであぁ~る。

今回作るのはあくまで明治初期のカレーライスなのであぁ~る。だからタマネギ等は使わない。明治初期、カレーライスに使われた野菜と言えばタマネギなどではなく、長ネギが中心。さらにニンニクとショウガくらいだろうか。タマネギはお雇いガイジンのアメリカ人達が来日して、その生産に貢献して以降の野菜。あの「少年よ、大志を抱け」のクラーク博士もそうした人の一人だ。北海道の開拓民がそうした野菜の普及に大きく貢献した。そして今のニンジン、タマネギ、ジャガイモを中心にしたあのカレーライスにつながっている。

小麦粉をつけてとろみを出すあの特徴は、当時からそして今も健在だ。どうもそれは英国から来たワザらしい。インド料理では小麦粉を使ってとろみをつけることなどない。




以上が小菅先生の教えのまとめだ。

本日も明治初期のカレーライスをつくってみよう。7年前も今も私は似たようなことをしている。

だからいつもと同じように、本日もあれ出してこれ出して・・・。



とってもスパイシーに・・・。



なんてことは、7年前はしたが、今日はそれはしない。

なぜなら、今日の私には、Sさんって方からもらったインド製カレー・パウダーがあるからだ。



このミッタル社のスパイス・パウダーはすごい。

各種スパイス・パウダーを最適に組み合わせてあるよ。

明治初期に英国から入って来たカレー・パウダーってどんなものだったのだろう。

さて小菅先生の説明にある通り、タマネギ、ニンジン、ジャガイモは明治初期の段階ではカレーの具とはなっていなかった。当時は長ネギ。

長ネギを買って来て、使わねばならないのだ。

長ネギは私のリュックからはみ出す。



長ネギを切るのは面倒な作業だな。



でもまあザックザックと切る。



お米はバスマティライスとかジャスミンライスなんて使ってはいけない。



ジャポニカを使おう。明治初期なのだから。

ニンニクとショウガは当時からカレーに使われたらしい。



問題は次のものだ。

つまり、トマト。



カレーにトマトは必需品だ。タマネギと同じくらいの重要性を担う。

しかし明治初期の日本のカレーでは、どうもそれは使われなかったらしい。

現代の日本のカレー・ルゥを使ったカレーを作る時も、タマネギは別途用意するが、トマトは用意しない。

トマトの成分にあたるものは最初からルゥに含まれているんだろうね。

今回の調理では、明治初期の日本のカレーのレシピに逆らって、トマトを使ってみよう。



残りはサラダに入れてしまおう。



先ほどのインド製カレー・パウダーと小麦粉。



明治時代、英国からもたらされたらしい小麦粉でとろみをつけるワザ。

インドではこれはない。

日本のカレーライスでは、今も大なり小なりとろみが用いられているように思う。



軽く加熱したら終了。

バターを使う。



最近バターは原料不足らしい。価格が上がり、供給が不安定になっている。

バターで長ネギ、ニンニク、ショウガを炒める。



長ネギだよ。あくまで長ネギ。タマネギではない。

長ネギは加熱による変化がタマネギほどにはなく、その炒め作業は退屈だ。

さらにトマトも加えて炒める。

先ほど加熱済みのスパイス・パウダー +と小麦粉のブレンドを加えて、さらに軽く加熱。



水を加えて煮る。



ドガティ君がへばりついている。

赤みを増すため、パプリカを加えた。



小麦粉がとろみを強調するねえ。

明治初期には日本で使われなかっただろうコンソメを加えよう。



世の中が各方面で便利になったのだ。

米国産肩ロースブロック。



明治初期というと、牛か鶏か、中にはカエルなんてのも使われたようだ。

農林水産省のホームページにもいろいろとそんな解説があるよ。

とってもおいしそうでしょ、この豚肩ロースブロック。

実際塩コショウして焼いて食べればおいしい。



本当に焼いてみる。しっかりとね。



で、これでひと切れ食べてみる。

・・・うまい。

そして中華鍋へ。



明治初期に中華鍋でカレーを作ったひとはいないだろうねえ。

今もおそらくほとんどいないだろうね。



そしていつも使うマッカイのマーマレード。



チャツネってのは日本にかなり前から入ってきていたらしい。

しかし明治時代は、リンゴを擦って入れるのがポピュラーだったとか。

リンゴとオレンジは親戚みたいなもんだ・・・違うか。



最後に少量のガラムマサラをパラパラッと、振りかける。



できたぞ。

明治初期の日本のカレーライス・レシピに、多少は現代のノウハウを加味した、よりおいしいカレーライス。



コシヒカリが光る。小麦粉のとろみが強い。日本のカレーだ。

米国産ポーク肩ロースもまろやかでとってもおいしい。

サラダも食べようね。



ごはんにかけられている緑のものは、普通のパセリ。



パクチーなんて使ってないよ。

パセリは日本の洋食のベーシックな脇役。

あぁ、おいち。



インド製カレー・パウダーを使った明治初期の日本のカレーライスみたいなもの。

今日はちょっとだけ歴史的文化的科学的な調理風景でした。

以前このブログで紹介した米国人でラーメン店経営者であるアイヴァン・オーキン氏が日本のルゥを使った日本的カレーを作っているよ。



ちょっと変わった作り方だが、おもしろい。

オーキン氏は福神漬けに寿司屋さんで出て来るガリ(ショウガ)も付け合わせている。

日本のカレーは独自のコースで発展したが、そのおいしさに気づいた外国人も多い。

そしてその日本のカレーとそうでないカレーが、近年再び融合したりする。

レシピや食材や調味料って、互いが出会ってそこからまた発展するのね。
コメント (14)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする