日本共産党の志位委員長は23日、衆院本会議の代表質問で、安倍政権の「桜を見る会」などの政治姿勢、消費税10%増税、社会保障など暮らしの問題、ジェンダー平等問題と共に、「自衛隊の中東派兵問題」を追及しました。
その中で、志位氏は、次の「三つの大問題」を取り上げました。
【自衛隊派兵の三つの大問題】
「第一は、総理が、米軍によるイラン司令官殺害に対して、一言も批判を述べていないことー国連憲章違反の無法な先制攻撃、米国の無法な軍事力行使を是とするのか、非とするのか」
「第二は、今日の米国とイランの軍事的緊張の根源は、2018年5月、トランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したことにあります。~トランプ大統領に核合意への復帰を求めないのは一体なぜなのか」
「第三は、中東の緊張が著しく高まっているにもかかわらず、トランプ大統領がよびかけた『有志連合』に事実上こたえる形で、中東沖への自衛隊派兵を進めていることです。政府は、自衛隊は米軍に情報を提供し共有するとしています。かりに米国とイランに軍事衝突が起きれば、自衛隊は米軍とともに戦争することになるのではありませんか」
安倍首相は、「トランプ大統領とも、イランの核問題を平和的に解決され、地域の平和と安定が確保されるよう真剣あ議論をおこなってきた」と述べました。トランプ大統領への「イラン核合意へ復帰の説得」は一切なく、自衛隊の中東派兵というトランプ政権の「イラン・中東戦争への参戦」という結論を出したことが鮮明になった答弁でした。
安倍首相は20日の施政方針演説で、東京五輪を、国威発揚、憲法九条改憲に最大限利用する立場を繰り返しました。そして、自衛隊の中東派兵が進められています。
安倍首相が2018年2月9日、韓国・平昌冬季5輪の開会日に、韓国の文在寅大統領と会談し、北朝鮮が反発している定例の米韓合同軍事演習を平昌冬季5輪・パラリンピック後に延期したことについて、「延期する段階ではない」として、「予定通り実施することが重要だ」と発言したことを、当時の【ソウル聯合ニュース】が伝えていました。 同【ニュース】は、この発言に対して、「文韓国大統領が、『この問題はわれわれの主権問題であり、内政の問題』と反発」したことを伝えています。
この時期の緊迫した状況を、「朝日」1月19日付は、「読み違えれば戦争は起き得た」という衝撃的見出しで、当時の在韓米軍ブルックス司令官のインタビュー記事を掲載しました。
「-戦争の可能性をどうみていたか?」
「(ブルックス前司令官)18年2月には韓国で平昌冬季5輪があり、多くの国が関心を寄せていた。各国大使らに問われた際は『我々の目的は戦争ではない。金正恩朝鮮労働党委員長の考え方を変え、外交的な路線を定着させるのが目的だ』と答えつつ、『この現実と深刻さを過少評価してはいけない。意図してではなく、読み違えを通じて戦争は起き得る』と率直に伝えていた」
「-金正恩氏は最終的に対話路線へかじを切った」
「(同前)われわれが米韓合同軍事演習を5輪後に後ろ倒ししたことで、5輪は大きな成功を収めた。それが米朝対話にドアが開かれることにもつながったと思う」
「ー米国の専門家の中には『米朝交渉はすでに失敗した』という見方もある」
「(同前)私はその見方に同意しない。今は17年当時の北朝鮮の瀬戸際外交とは異なり、米朝と当局者同士のコミュケーションのチャンネルが存在する。正恩氏は対話の道を閉ざしていない」
こうした、戦争の瀬戸際で戦争を食い止めるために、あらゆる努力を惜しまない軍の司令官の対応と安倍首相の対応のあまりにも大きな違い、を深く考えさせられます。
志位委員長は、代表質問の最後に次のように、決意を語りました。
「安倍政権が発足して7年。政治モラルの崩壊、内政・外交の行き詰まりなど、安倍政権に、この国のかじ取りをする資格はもはやありません。他の野党のみなさんとともに、野党共闘の力で安倍政権を倒し、政権交代を実現し、新しい日本うくるために全力をあげる決意をのべて、質問を終わります」
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