8月30日付「しんぶん赤旗」に「『AI兵器』議論」に関する「主張」が掲載されました。 かねてから関心はあったのですが、深く考える機会がないままに過ごしていました。
「主張」によれば、「国連では非人道的な兵器を扱う特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みで2014年から対策を議論しています。 今回の報告書はこれまでの議論をまとめたもので、自律型致死兵器システムに関する事実上初めての国際指針となりました」と紹介しています。
今月20~22日に、「人口知能(AI)を搭載する自律型致死兵器システム(殺人ロボット)の規制に関する国連の専門家会合が、スイス・ジュネーブで開かれました。
この「国際指針」の内容は次のとおりです。 以下、「主張」より紹介します。
▽ 今後ありうる自律型致死兵器の開発や使用を含むあらゆる兵器システムに国際人道法を適用する。
▽ 兵器使用の判断には人間が責任を持つ。
▽ 自律型致死兵器システムに基づく新たな兵器の開発や獲得の際にはテロ組織による獲得や拡散の危険を考慮する。
▽ 兵器の考案、開発、配備などの際に危険性の評価や緩和に関する措置も考慮する
ーことなどを掲げました」
「しかし、報告書に法的拘束力はありません。 法的拘束力を持つ条約などによる規制や禁止の実現を目指す方針も明記されませんでした。 米国やロシアなど開発を進める一部の国々が、規制や禁止は『時期尚早』だとして強硬に反対したためです」
「日本政府は、禁止条約を求める主張はしていません」
「経済」誌8月号に、小金澤剛一東海大学教授が、「AIを軍事利用しないためにー破壊的自律型兵器の現状と禁止運動」の論文を掲載しています。
この「論文」では、米国防省の「自律型システム」についての「観点」からの「分類」を紹介しています。 以下、紹介させていただきます。、
★ 準自律型システム: 機械が状況を観測し、実行を準備し、実行するが、人間が情報を検証し、実行を支持するシステム。
★ 監督下自律型システム: 機械が状況を観測し、判断し、実行する。人間はそれを観察し、必要ならば実行をやめさせる。
★ 完全自律型システム: 人間がひとたび行動指令を与えた後は機械が状況を把握し、実行を決定し、実行する。 その間人間とのコミュニュケ―ションはない。
すでに、各システムを利用した「AI兵器」が実戦に使われていることも紹介されています。
そして、次のことが紹介されています。
「『完全自律型兵器』といえる、Harpyはすでに中国、チリ、インド、韓国が購入し配備されている。 無人ステルス戦闘機の開発競争は米国と中国で激しさを増している。 ノースロップ・グラマンが米海軍と合同で開発中の無人艦載機X47B(ペガサス)は空母への無人発着および飛行中の給油を成功させている。 中国は、X47Bと同等の自律性能を有する『彩虹7』を『中国国際航空ショ―』で発表した。2022年に実戦配備する計画である」
これらの、一連の動向には、核兵器に関することが直接触れられていませんが、いま、核保有国が開発に集中しているのは、「使いやすい」「低出力の」核兵器でもあります。
人類の生存に直結するこのような、「非人道的兵器」の研究、開発、実験、配備に反対する国際世論と運動も力強く発展しています。