昨日の衆議院外務委員会で、日本共産党の穀田恵二議員の質問に、河野太郎外相は、1965年の日韓請求権協定によって、個人の請求権は、「消滅していない」と答弁しました。 以下、「しんぶん赤旗」15日付記事を紹介します。
「大法院(韓国の最高裁)判決について、『日韓請求権協定に明らかに反する』としてきた安倍政権の姿勢が根本から揺らぎました。 穀田氏は外務省が日韓請求権協定第2条について『個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない』(柳井j俊二条約局長1991年8月27日、参院予算委員会)と答弁したことを示し、河野氏の認識をただしました」
「河野氏は『個人の請求権が消滅したと申し上げるわけではありません』と明言しました」「また穀田氏は、大法院判決で原告が求めているのは、未払い賃金の性急ではなく、朝鮮半島への日本植民地支配と侵略戦争に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制労働への慰謝料だとしていると指摘」
「これに関し柳井条約局長が92年3月9日の衆院予算委員会で日韓請求権協定により『消滅』した韓国人の『財産、権利、及び利益』の中に『いわゆる慰謝料請求というものが入っていたとは記憶していない』としたことをあげ、『慰謝料請求権は消滅していないということではないか」とただしました」
「外務省の三上正祐国際法局長は『柳井局長の答弁を否定するつもりはない』、『権利自体は消滅していない』と答弁しました」
「穀田氏は、『個人の請求権は消滅していない』と強調。 日韓双方が被害者の尊厳と名誉を回復するという立場で冷静で真剣な話し合いをすることがきわめて大切だ、と求めました」
「しんぶん赤旗」は同日付2面で、「ソウル=時事」の記事も掲載しています。
「韓国の李洛淵首相は13日、日韓関係の専門家ら12人をソウル市内の首相官邸に招き、最高裁が日本企業に元徴用工への賠償を命じた判決などに関し、意見を聴取し、対応を検討するため委員会を設置する方針を決めました」
「李首相は、席上、『政府は当面、水面下で静かに動く』と表明しました」
安倍政権は、10月30日の韓国大法院判決に関して、判決直後から冷静さを欠いた、発言を繰り返してきましたが、穀田議員の国会質問でようやく、幾分冷静さを取り戻した感があります。 しかし、両国の話し合いが始まったわけではありません。
外交問題には、大きな歴史的かつ国際的視点、冷厳な事実の検証に向き合う真剣な姿勢が強く求められます。 そうした点から考えてみて、私は、穀田質問は大変重要だったと感じています。