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宮応かつゆきの日本改革ブログ

●日本共産党
総選挙で市民と野党の共闘で政権交代を、共産党の躍進をめざします。

”ベルリン会談の深層” 「歴史(世界史)の進路にかかわる意味をもった」=スターリン秘史(第14章)

2014年02月07日 | 綱領関連

 「安倍政権が発足して以来、過去の日本の侵略戦争と植民地支配を肯定・美化する歴史逆行の勢力が、その本性をむき出しにし、大きな国際問題となっている」(第26回大会決議「第19節」)

 改めて、第2次世界大戦の成り行きを検証することが重要になっていると思います。 その点で、「前衛」誌に連載中の「スターリン秘史 巨悪の成立と展開」は重要な歴史の解明となっているのではないでしょうか。 「第14章 ベルリン会談の深層」は、「連載の一つの山場をなす」内容になっているのではないかと感じました。

 不破氏は、この章の冒頭、「ベルリン会談の研究のあたって」のなかで、次のように述べています。

 「これからベルリン会談の経過を見てゆくことになりますが、実は、この会談についてはたいへん奇妙な状況があります。 第2次世界大戦の成り行きを決める上で、きわめて重要な、ある意味では歴史の進路にかかわる意味をもった会談であったにもかかわらず、間違った解釈が定説となって、本格的な研究がおこなわれないまま来ているように見えることです」

 「その間違った解釈というのは、”この会談で、ヒトラーはソ連に三国同盟への加盟をよびかけたが、モロトフが首を縦に振らず、しかもとげとげしい対応をしたので、ソ連にはその気がなしと判断し、ヒトラーは対ソ戦に踏み切った”というものです」

 「これは、ヒトラーがこの会談にかけた思惑も、それにたいするスターリンの対応も、どちらをも見誤ったもので、こうした解釈では、40年11月のベルリン会談から41年6月のドイツの対ソ戦開始にいたる独ソ関係の推移がまったく理解できません」

 「だいたい、ドイツ側が、ソ連の対応について、モロトフの言動によって、決定的な判断をくだすということは、それまでの独ソ関係からいえばありえなないことでした。 39年以来の繰り返しの接触の中で、ドイツ側は、どんな問題でもモロトフには決定権がなく、最終的にはスターリンがことを決定していることを、よく承知していました」 

 「ヒトラーにとっても、問題は、ベルリン会談の報告を受けて、スターリンがどういう判断を下すかにあり、いわば固唾をのんでスターリンからの回答を待っていたというのが真相だったでしょう」

 そして、不破氏は、「第14章」の最後の節、「ベルリン会談をめぐる誤った評価がなぜ広がったか」の中で、次のように述べています。

 「(モロトフがリッベントロップの提案を拒否したという)こういう説が出てくる根拠はどこにあるのか。 私は、この説の最大の震源地の一つが、独ソ開戦後にスターリンがおこなったベルリン会談についての解説にあると見ています」

 「スターリンは、イギリスの首相チャーチルが1942年8月にモスクワを訪問して、最初の英ソ首脳会談が開かれた時、その会談を、ベルリン会談についての自己弁明というか、ソ連の立場の正当化をおこなう場として選んだのです」

 そこで紹介されているのが、チャーチルの「第2次大戦回顧録」です。(地下シェルターでのエピソード=(前衛3月号、217頁参照)

 「スターリンは、この地下シェルターでのエピソードを示すことで、スターリンとソ連が、ドイツ側の提案をまともに相手にせず、冷笑的態度で臨んだことの象徴的な出来事にしようとしたのです。 チャーチルにはそれがたいへん印象深かったようで、会談の経過そのもは、『ナチ=ソビエト関係』をほば忠実に追いながら、りッペントロップの提案についてのソ連の態度について、文書記録をまったく無視し、『予期された通り、ソビエト政府はドイツ案を受諾しかなった』の1行で片付けています」

 「ベルリン会談の内容」「スターリン、侵略国家同盟への参加を決断」「ヒトラー、『バルバロッサ作戦』の準備指令を発令」(対ソ作戦指令)」等の内容については、明日以降に紹介させていただきます。

 


”自然も社会も壮大な発展と進歩の歴史をもっている”ー「STAP細胞」発見に関わって

2014年02月02日 | 綱領関連

 日々の日本社会、安倍政治のもとで、多くの国民が生活の困難さ、歴史の逆流を感じ、未来への展望を探しているのではないでしょうか。 そうした中での「STAP細胞」の発見は様々な反響を呼び起こしています。 「STAP細胞」の意義、可能性への発言も相次いでいます。 そうした中で、小保方さんたちが「なぜ、こうした研究を思いつき、具体化できたのか」にも関心が集まっています。

 「神奈川新聞」2日付「社会面」に、「STAP細胞、偶然発見」という記事が掲載されました。 そのなかで、理研の笹井芳樹・副センター長が「『細胞の心を読む』目をもっていないとできない」と語っていることや、常田聡・早大教授が、「彼女は細胞生物学ではなく化学の出身。専門分野が違っていたのが斬新な視点で研究を進める原動力になった」と話していることを紹介しています。

 笹井氏の「細胞の心を読む」という評価に注目させられました。 iPS細胞やES細胞が、「外科的」作成方法とすれば、STAP細胞は、「内科的」作成法ともいえるのではないかと考えています。 その違いが、細胞そのものの生成と発展に寄り添った「細胞の心を読む」という言葉になっているのではないかと思います。  

 そして、もう一つが、「専門分野の違いの視点」です。 この場合では、「細胞生物学」からだけではなく、「化学」の視点から接近したことが新たな発見につながった、とうことになるのでしょうか。 この指摘も大事なものではないでしょうか。

 次の文章は、不破氏が、エンゲルスの「空想から科学へ」を講義した一節です。

 「宇宙そのものが、始原の状態から今日見るような銀河という巨大な星の諸集団の膨大な集まりという構造を持つまでには、現在の知見では137億年と推定される長い進化の歴史をもっています。 太陽系の惑星として地球が生まれたのが46億年前でした。 その地球上で変化する環境のもとで物質の進化が進み、核酸とタンパク質を根幹に生命機能を持つ物質・生命体を生み出し、その生命体が長い進化の過程を経て、思考能力を持つ生命体・人類を生み出しました。 人類史もすでに数百万年を重ねて、いまその進化の過程そのものを探求する自然科学的な知識を蓄積しつつあります」

 「私たちの現在の知識は、おそらく自然の歴史の探求のごく入口に立っているだけだと思いますが、いまざっと見ただけでも、自然が雄大で豊かな進化の歴史を持ち、現在なを進歩の道を歩んでいることは、明らかだと思います」(「古典教室」第2巻、97頁)

 

 

 


中国共産党との関係正常化から15年ー”理論の原点が共通であっても「二つの文明」の違いがある”

2014年01月24日 | 綱領関連

 今月15日、不破氏の著書「党綱領の力点」が出版されました。
 「本書は、第3期『特別党学校』での講義『党綱領の力点』(2013年3月17日)をもとにし~『月刊学習』2013年7月号~12月号に連載し~本にまとめるにあたって、いくつかの注を書き加えました」(不破氏)という内容となっています。

 先日(1月18日)終わった第26回党大会「決議」の理解を深める上で、本書は必読文献の一つであると感じました。 特に、「世界情勢論」「未来社会論」に関わって、認識を深めることができたように思います。

 本書は、「中国共産党90周年(2011年)にさいして、中国の通信社・新華社からメッセージを求められました」として、メッセージの内容を紹介しています。(「しんぶん赤旗」2011年7月2日付、93~94頁)

 「私がいまとくに注目しているのは、21世紀が、資本主義体制にとって、その存続の資格および能力が問われる世紀になるとともに、社会主義をめざす国ぐににとっても社会主義が本当に人類の未来を担いうる体制であるかどうか、その資格および能力が問われる世紀となるだろう、という問題です。 中国は、経済の発展水準からいってまだ発展途上の段階にあることは確かですが、世界の経済や政治のなかでの比重が大きくなれば、当然、そういう角度からの見方がいよいよ大きくなってくるでしょう」

 「経済政策の上で人民の生活の向上がどれだけ優先的な課題となっているか、国際活動で覇権主義を許さない世界秩序の確立にどれだけ真剣に取り組んでいるか、『人民が主人公』という精神が現実の社会生活、政治生活にどれだけいきているか、地球温暖化や核兵器廃絶など人類的な課題の解決にどれだけ積極的な役割を果たすか。 ごく具体的にいえば、こういう問題です」

 この問題提起は、「第26回党大会決議(28)”社会主義をめざす国ぐに”をどうみるか の②「否応なしに資本主義国との対比が試される」5つの具体的対比項目のなかに、新たに加えられた「人権と自由の拡大にむけて、自国が認めた国際規範に即した努力がなされているか」以外すべて盛り込まれています。

 このインタビュー記事を読んだ記憶で思い出されるのは、「覇権主義を許さない世界秩序の確立」の取り組みにふれていたことです。

 2010年10月、日本共産党は、「尖閣諸島問題 日本の領有は歴史的にも国際法上も正当」という見解を明らかにし、民党政権にも「日本政府は堂々とその大義を主張すべきである」と外交努力を求めていました。

 そして、本書で強く考えさせられたことは、15年間(1998年の関係正常化以来)の日中共産党の交流を踏まえた「総括的感想」として、次のように述べていることです。

 「同じく社会主義をめざし、科学的社会主義(マルクス主義)という理論の原点は共通であっても、歴史のなかで形成されてきたお互いの理論体系には、『二つの文明』ともいうべき違いがある、ということです。 したがって、現在起こっているいろいろな物ごとにたいする考え方、見方と対応についても、双方が同じ立場、同じ結論を引き出すというこにはならず、一致する場合、接近する場合、異なる場合も当然、起こります」

 「私は、この『二つの文明』が異なる価値観を持った『二つの文明』ではなく、科学的社会主義(マルクス主義)という共通の源流にたった『二つの文明』である以上、大きな接近は可能だし、むしろそこにこそ歴史の発展的な方向があると考えていますが、それにはやはり、大河の流れるような歴史的時間が必要であることを、よく心得ておかなかればならないと考えています」(126頁)

 


スターリン秘史ー第13章を読む。 不破氏 「1回ごとに戦慄を覚える。世界の歴史を書き変える思い」

2014年01月21日 | 綱領関連

 「前衛」誌2014年2月号鼎談「『古典教室』第3巻を語る」の中で、不破さんは、「スターリン秘史ー巨悪の成立と展開」について次のように語っています。

 「いま『前衛』で『スターリン秘史ー巨悪の成立と展開』という連載を書いていますが、ここで追求しているのは、理論の陰にあるスターリンの現実の政策と行動、とくに国際舞台での政策と行動です。 書いている私自身が、そのあまりのひどさに、1回ごとに戦慄を覚えます。 世界の現代史を書き換えているような思いがしますね」

 1年以上にわる連載を、多くの読者も驚きと「戦慄」の思いで読んでいるのではないでしょうか。 同時に、世界史の真実、「スターリンの巨悪」に向き合って、その「成立と展開」を明らかにし、科学的社会主義の本来の理論を復活させ、発展させる努力をつづけている不破さんにあらためて感謝しています。

 今回の連載の各箇所にも「世界の歴史を書き換える」ような内容が表れているのではないでしょうか。

 ヒトラーは、(1940年)8月1日、ドイツ空軍にイギリス本土攻撃を命ずる『あしか作戦』を発令しました。 「『あしか作戦』の発令に先立つ1940年7月31日、国防軍総司令部の作戦参謀長ヨードルは極秘の軍首脳会議をベルヒテスガーデンに招集しました」(「前衛2月号210頁)

 この会議で、ヒトラーは、対ソ戦開始を明言します。 「決定、それゆえロシアはこの戦争中に打倒されなければならない。 1941年春。 ロシアの粉砕は早ければ早いほどよい。 作戦は、ドイツがこの国家に、一息で重大な打撃を与える時にのみ意味がある。 少しぐらい土地を獲得しただけでは十分ではない」

 一方、日本では、どんな動きが起こっていたのでしょうか。 

 「1940年の日独伊三国軍事同盟の動きは、陸軍と外務省を中心に日本から起きました」(同誌222頁)

 「近衛内閣(1940年7月22日成立)の『日独伊枢軸』強化の方針は、一般的な意味での対独接近や軍事同盟ではなく、独特の内容と目標をもっていました。 それは、日本の対外膨張の目標である『東亜』の全域を日本の『生存権』と意義づけ、ドイツやイタリアがヨーロッパを自分たちの『生活圏』と』意義づけていることに対応させて、相手方の『生存権』を尊重し合うことを、三国同盟の主要な内容とするという構想です」(同223頁)

 この三国同盟にソ連を引き込み、スターリンを油断させ、一気にソ連を壊滅させる作戦が、ヒトラーのもとで展開されてゆきます。

 スターリンあてのリッベントロップ(ドイツ外相)書簡(1940年10月17日)には、「私は次のように述べたい。総統の意見によれば、4ヵ国ーソ連、イタリア、日本、ドイツーの歴史的使命は、遠大な視野に立った政策を採用し、世界的規模で自分たちの権益の境界を定めることによって、自国民の将来の発展を正しい水路に導くことにある」(同紙231頁)

 この書簡に基づくベルリン会談が、ソ連外相モロトフのベルリン到着のその日、(1940年)11月12日に開始されました。

 

 

 


「社会主義・共産主義社会の目標」”人類社会の『本史』(本来の歴史)が始まる”ー不破報告(下)

2014年01月11日 | 綱領関連

 不破報告は、このテーマの冒頭部分で、「私たちの党にとっては、社会主義社会・共産主義社会というわが党の目標は、かなり遠い目標です。 しかし、日本の世論にとっては、社会主義というとやはりソ連を思いだすのが普通の常識です。 われわれは、ソ連を社会主義とは異質の存在だったと見ていますが、われわれがめざしている社会主義とは本来どんなものかということを明らかにすることは、いまの仕事をやる上でも非常に大事な任務になっています」と述べています。

 未来社会論は、日常の活動、対話の中でも常に問われている問題です。

 不破さんは、この報告の結論部分で、来週に迫っている、第26回党大会議案に関連して、 「この未来社会論をより身近なものにするために、一つの具体的な提起をしています」と述べ、「社会主義が日本社会にどんな展望を開くかを具体的に示しました」として、次のように報告しました。

 「資本主義から社会主義に転換したら、この浪費(大量生産、大量消費、大量廃棄など)をなくしたら、いまの日本の到達している生産力の水準でも『すべての国民に健康で文化的な生活を保障する条件は十分に備わっている』、さらに経済のムダな部分を削りとって、国民に必要な生活のためのその労働をすべての国民が分担をしたら、すべての国民に自由な時間、『自由の国』が保障される。 そういう変革を実現する政治的条件をつくることは大事業だが、客観的には、これは決して遠い将来の問題ではない」

 ここで言われている「国民に自由な時間の保障」こそが、社会主義社会の目標になるという提起について、不破さんは、「報告」の前段で、マルクスの「発見」を指摘しています。

 「マルクスが、未来社会について、一番詳しく展開した分析は、実は『資本論』第三部にありました。 私たちは、そこに科学的社会主義の未来社会論のいちばん重要な、そして発展的な内容があると考えて、これを綱領の根本にすえました」として、さらに、次のように説明しています。

 「マルクスは、『時間は人間の発達の場だ』という言葉を残していますが、社会のすべての人間が自由な時間を持つようになれば、これを遊びに使うことも休養に使うことも自由ですが、自分の持っている知的、肉体的能力のすべてを発展させる人間的発達の条件が社会のすべての構成員に保障されるようになります。 いわば全社会が知的な活動をになうわけで、社会のすべての人間の能力が社会の発展のために活用される、まさに新しい時代が始まることになります。~中略~すべての人間に発達の機会を保障しながら、その力を活用して人間社会が前進してゆく、ここにマルクスは未来社会が本当に人類社会の『本史』、本来の歴史となる根拠を発見しました」

 人類の壮大な展望を切り開く立場から、現在の世界を、その中の日本の現状と発展の展望、可能性を、堂々と明らかにして、活動している政党が、日本共産党です。

 自民党も今月19日に、党大会を開き、2014年運動方針を決定します。 明らかにされた運動方針の最大の特徴は、侵略戦争への反省を投げ捨てる一方で、「戦争する国づくり」を進める最悪の路線です。 人間の命も能力も否定し、人間の自由も人権も奪う「戦争社会」です。 こうした、自民党型政治に日本の未来を託すことはできません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


社会主義理論研究の主要な到達点。1世紀を超える「『過渡期』をめぐる諸問題」。 不破報告(中)

2014年01月10日 | 綱領関連

 不破氏は、「本題の社会主義理論の研究の問題ですけれども、大きくいって、社会主義への過渡期の問題と、それから、目標である社会主義社会をどうとらえるかという、『二つの大きな問題』ついて報告したい」述べ、「『過渡期をめぐる諸問題』について」、「5つの問題を提起」しました。

 ここで問題とされている「過渡期の定義」について、不破氏は、「社会主義社会という目標についていえば、これは一口でいえば、人間による人間の搾取のない社会、それから、社会のすべての構成員が自由で平等な社会、これが大きな特徴だと思います。 マルクスは、社会主義の政権ができても一挙にこういう社会主義社会への移行ができるとは考えませんでした」

 「その過程を『過渡期』と呼び、それを”資本主義社会から社会主義社会への、あるいは共産主義社会への革命的転化の時期”と定義しています」

 その上で、「過渡期についてマルクスがなぜそれが長期の過程になると見たのか。 マルクスは、それを1世紀を超える期間になるだろうと推定していました」

 不破氏の提起した「5つの問題」は、次のような内容です。

 1、「生産者が主役」という原則 2、過渡期における市場経済ー資本主義部門との共存とその克服 3、過渡期における世界経済秩序の問題 4、革命の世代的継承の問題 5、過渡期の政治形態

 「1、生産者が主役という原則」について、不破氏は次のように説明しています。

 「ではなぜマルクスはその過渡期として、発達した資本主義国でも長期の時間が必要になると考えたのか。 マルクスは、社会主義的変革は、生産手段を社会の手に移しただけでは完了しないとし、生産現場で社会主義にふさわしい人間関係を確立する問題をなによりも重視したのです」

 「資本主義のもとでは、多数の労働者が資本家あるいはその代理人の指揮・命令のもとで作業をしています。 政権が変わって、今度は、資本家に代わって国家の官僚が命令し監督する体制ができた、これが社会主義だといえるかというと、マルクスはそうではないというのです」

 「彼(マルクス)は、その状態を『奴隷制の枷(かせ)』が残ったままだと、強い言葉で批判しました。 資本主義の社会で資本家がやっているのと同じことを社会あるいは国家の代表がやったのでは、生産現場が本当に社会主義の現場にならない、ということです」

 「社会主義というのは自由で平等な人間が共同するところに特質がある。 時間がかかっても、生産現場に社会主義にふさわしい新しい人間関係、自由で平等な生産者の共同という新しい関係をつくる努力がどうしても必要になる。 ここにマルクスが過渡期の研究でもっとも重視した問題がありました」

 ”社会主義をめざす国々”をどうみるか。という、党大会議案では、「いやおうなしに資本主義国との対比が試される」という問題提起をし、その第一に、「『人民が主人公』という精神が現実の社会生活、政治生活にどれだけ生きているか」を挙げています。

 こうした、徹底して、人間が人間として、その能力が最大限生かされ、尊重し合える社会。 その客観的可能性が日本にも存在していることを確信にしていきたいと思います。

 


「日本共産党の理論活動の歴史」 日本・ベトナム両党第5回理論会談での不破報告(上)

2014年01月09日 | 綱領関連

 第26回党大会が来週(15~18日)に迫る中で、「しんぶん赤旗」(日刊紙)は昨日から、「日本・ベトナム理論交流での不破団長の報告」を連載(上、中、下)しています。 この理論会談は、「新しい情勢における社会主義理論の発展」をテーマに昨年12月16~17日日本共産党本部で開かれたものです。

 この会談は、「第26回党大会決議案」を練り上げる上でも、重要な内容を含んでいると思います。 特に、「第6章 日本における未来社会の展望について」を理解し、確信にしていく上で、欠かせないものとなっているのではないでしょうか。 党外の多くのかたにも是非読んでいただきたいと思っています。

 不破団長の発言の一部は当時の「しんぶん赤旗」で紹介されていましたが、報告の詳細がいつ発表されるか、待たれていました。

 昨日は、「日本共産党の理論活動の歴史」が紙面1頁にわたって掲載されました。 不破氏は冒頭部分で、「私たちの党は『1961年に党綱領を制定しましたが、2004年に党綱領のかなり抜本的な改定を行いました。 来年1月が改定した綱領の決定からちょうど10年になるところです」と振り返り、日本共産党の「理論活動の大きな起点となったのは、1950年代に自主独立の立場を確立したことでした」と述べ、自主独立の立場の確立と党の苦難の内容について、次のように紹介しています。

 「私たちは『1950年にソ連の党と中国の党の共同による激しい干渉を受け、党が分裂し、国外から武装闘争路線を押し付けられるという、たいへん苦難に満ちた経験をしました。 その前の1949年の総選挙で35議席を得ていたものが、その干渉を受けた時期の1952年の選挙では全議席を失うという困難な事態も経験しました」

 「その苦難の時期を抜け出したときに、自主独立の立場、すなわち、相手がどんな大国であっても外国からの干渉を許さない、どんな問題でも日本の党の方針は自分の頭で考えて決定する、この立場を確立しました」

 私が、党活動に参加したのは、「61年綱領」が制定されて間もない時期でしたが、「自主独立の立場」の重要性は、その後のソ連、中国・毛沢東派の日本共産党への干渉・分裂攻撃と直接たたかう事態となり、理論と実践の両面で身に付けなければならなっかことを思い出します。

 その後の理論活動、綱領の改定が、ソ連、中国・毛沢東派や、アメリカのベトナム侵略戦争とのたたかい、90年代初頭のソ連の崩壊等歴史の激動のなかで鍛えられ、発展させられてきたものであることを、改めて感じさせられました。

 


「日本の未来社会への移行の過程の条件は憲法が土台となる」ー天皇発言に関わって

2013年12月24日 | 綱領関連

 昨日は天皇の80歳の誕生日でした。 天皇は誕生日の先立つ記者会見で、憲法に関する発言をしています。 「日本国憲法には、天皇は憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能は有しないと規定されています。 この条項を順守することを念頭に天皇としての活動を律しています」 

 この発言は、天皇が直接、自らの憲法上の立場、天皇制のあり方を語った点で、大変重要なことだと思います。

 日本共産党は、綱領で、憲法について、次のように、 「現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす」と明確に国民に約束しています。

 また、憲法の天皇条項については、「『国政に関する権能を有しない』などの制限規定の厳格な実施を重視、天皇の政治的利用をはじめ、憲法の条項と精神かたの逸脱を是正する」と明記しています。

 天皇は、同じ会見で、「最も印象に残っているのは先の戦争です。 前途にさまざまな夢をもって生きていた多くの人々が若くして命を失ったことを思うと痛ましい限りです。 戦後、日本は平和と民主主義を守るべき大切なものとして日本国憲法をつくり、さまざまな改革を行って、今日の日本を築きました」とも語っています。 

 天皇と安倍政権の憲法観の違いを感じます。 むしろ、日本共産党の当面の民主的改革の方向との一致性を感じます。

 そして、大会議案では、「日本のように憲法で国民主権、基本的人権がうたわれ、議会制民主主義が存在する社会を土台にするならば、未来社会において、それらが全面的に継承され、豊かに花開くことは、歴史の必然である」と述べています。

  日本共産党は、民主主義と人間の平等の原則の立場から、将来の天皇制については、次のように原則的立場を明らかにしています。

 「党は、一人の個人が世襲で、『国民統合』の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するもではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」と。

 

 

 


日本の未来社会は、”きわめて豊かで壮大な展望”がある。いまの経済力で、憲法25条が保障できる

2013年12月23日 | 綱領関連

 第26回日本共産党大会決議案は、「日本経済は、現在の水準でも、日本国憲法にいう、『健康で文化的な最低限度の生活』を国民すべてに十分に保障できるだけの経済力をもっている」と指摘しています。 この指摘は現実的で重要だと思います。 

 綱領は、「第2章、現在の日本社会の特質」の「6項」で、「日本独占資本主義は、戦後の情勢のもとで、対米従属的な国家独占資本主義として発展し国民総生産では、早い時期にすべてのヨーロッパ諸国を抜き、アメリカに次ぐ地位に到達するまでになった。
 その中心をなす少数の大企業は、大きな富をその手に集中して、巨大化と多国籍企業の道を進むとともに、日本政府をその強い影響のもとに置き、国家機構の全体を自分たちの階級的利益の実現のために最大限に活用してきた」と述べていいます。

 「決議案」は綱領のこうした一般的規定に踏み込んで、先のような分析・検討結果を示しています。 この現状を具体的に考えてみますと、第1に、現在の国民一人当たりの国内総生産(GDP)の水準がどの程度であるかということが、一つの指標になると思われます。

 日本国民一人当たりの名目GDPは、2012年は46,706USドルとなっていますが、現在の為替レ―トを1USドル=100円として計算しますと、4,670,600円となります。 これに家族数を掛ければ世帯収入となります。 平均家族数を4人とすれば、18,682,400円です。 月平均では、1,556,866円です。 こうした国民の収入を踏まえて、税金や年金・医療など各種の社会保険料、食料など生計費、教育費、住宅費等の支払いをしても、なお一定の文化的水準が見えてくるのではないでしょうか。

 また、日本の経済の異常さは、「大きな富が、少数の大企業に集中」していることです。
 私たちは、よく対話や宣伝の中で、「内部留保」の活用して、賃上げや雇用の改善、中小企業と大企業の公平な取引などを提案しています。 内部留保の大部分は大企業に貯めこまれています。
 その総額が270兆円を超える程になっています。 

 この総額は、2012年のGDPでフランスの2,613,000億円(世界5位)、イギリスの2,476,000億円(同6位)を上回っています。

 決議案は、「社会の現実がそうなっていないのは、財界・大企業の横暴な支配のもとで社会的格差が拡大しているとういう問題に加えて、今日の資本主義がきわだった『浪費型の経済』===繰り返される恐慌、大量生産、大量消費、大量廃棄、金融経済の異常な肥大化など===に、なっているためである」と克服すべき課題を指摘しています。

 その上で、「日本が、当面する資本主義の枠内での民主主義革命の課題をやりとげて、社会主義への道にすすむ場合には、発達した資本主義のもとでつくられた巨大な経済力の水準を引き継ぐことになる。 その場合には、現在の中国社会で進行しているような経済の急成長、それにともなう社会的諸矛盾の拡大という現象は決しておこならないだろう」と述べています。

 追記:国内総生産(GDP)と国民総生産(GNP)に違いについて(内閣府経済社会総合研究所)

  「GDPは国内で一定期間内に生産されたモノやサービスの付加価値の合計額。 ”国内”のため、日本企業が海外支店等で生産したモノやサービスの付加価値は含まれない。

  一方GNPは”国民”のため、国内に限らず、日本企業の海外支店等の所得も含んでいる。

 以前は日本の景気を測る指標として、主としてGNPが用いられていたが、現在は国内の景気をより正確に反映する指標としてGDPが重視されている」

 

 


党内外から関心が高まる”日本における未来社会の展望”論=第26回日本共産党大会近づく

2013年12月22日 | 綱領関連

 日本共産党第26回大会議案が、発表されて1カ月余りが経ちました。
 党内での大会議案を練り上げる討論、学習が続いています。 同時に安倍政権の暴走政治との国民と共同した闘いが続いていて、このたたかいの中で、更に大会議案が深められています。

 4年ぶり、現綱領を採択してから10年の日本共産党大会。
 この党大会決議案で、党内外がら注目されている「提案」の一つが、「第6章 日本における未来社会論の展望について」です。

 議案の冒頭には、「日本共産党がめざす未来社会論にかかわって、『中国と同じ社会をめざすのか』という疑問が、よく寄せられる。 中国やベトナム、キューバの現状をとうみたらいいのか、日本における未来社会の展望をどうとらえるか。 これは大きな問題である」と国民が日本共産党に求めていることに対する、「回答」として、綱領に立ち返って、解明し、発展させた内容になっています。

 志位委員長は、第9回中央委員会総会で、「大会議案の特徴について」報告しました。 
その中で、第6章について、「綱領に即して踏み込んだ解明を行いました」「この問題は、国民との対話のうえでも、たいへんに関心の高い問題だと思います。 決議案は綱領に即して日本共産党の立場について突っ込んで回答を示したものになっていると考えます」と強調しました。

 日本共産党の綱領は「第3章 世界情勢ー20世紀から21世紀へ」、第8項で次のように、「社会主義をめざす国々」について述べています。
 「今日、重要なことは、資本主義から離脱したいくつかの国ぐにで、政治上、経済上の未解決の問題を残しながらも、『市場経済を通じて社会主義へ』という取り組みなど、社会主義をめざす新しい探求が開始され、人口が13億を超える大きな地域での発展として、21世紀の世界史の重要な流れの一つとなろうとしていることである」

 綱領採択から10年、これらの国ぐにの経済は大きく発展しました。 特に中国は、この間、ドイツ、日本を追い抜いて世界第2の経済大国になり、米国にも迫りつつあります。(購買力平価のGDPでは、2012年米国の75%に達している統計もある) 
 しかし、国民一人当たりでは、名目GDPでは世界88位(2012年、日本 12位ー46706㌦、中国 88位ー6071㌦ 日本の約7.7分の1。「世界経済のネタ帳」より)に留まっています。

 「こうした国ぐにをどうみるか」というこに関して、「大会議案」は、「第1の角度」として、「”社会主義に到達した国ぐに”ではない」ことを明確にした上で、新たな立場を明らかにしています。 それは、「第2の角度 いやおうなしに資本主義国との対比が試される」という問題です。

 大会決議案は、この点を具体的に5点にわたって提起していることは、綱領を具体化させ、発展させたものといえるでしょう。

 「『人民が主人公』という精神が現実の社会生活、政治生活にどれだけ生きているか」
「国際活動で覇権主義を許さない世界秩序の確立にどれだけ真剣に取り組んでいるか」などです。
 これらの内容は、日本の未来社会の展望とも当然大きく関わってくる問題でもあると思います。

 そして、旧ソ連のような覇権主義や大国主義の誤りを「絶対に再現させないように」繰り返し指摘していることは、現実を踏まえたものでもあり、極めて重要なことだと思います。

 


「自主独立の立場の確立」が 、日本共産党の理論的発展の原点。”真剣勝負の論戦”を語る、不破氏

2013年12月21日 | 綱領関連

 12月19~20日の「しんぶん赤旗」は、「『古典教室』第3巻を語る」を連載しました。
 「古典教室」は、2011年1月から翌12年2月まで開いた「綱領・古典連続教室」(全12回)での「古典」の講義を不破さんが担当し、この講義を整理・加筆し「古典教室」として全3巻にまとめ出版されたうちの「第3巻」です。 「綱領」の講師は志位さんが担当しました、「綱領教室」についても既に全3巻にまとめられ、出版されています。 私も、この講座を受講した一人です。

 今回の「連載」も、不破さんと山口富男社会科学研究所副所長、石川康宏・神戸女学院大学教授3人のテイ談形式で語られています。 「連載」(下)「20日付」には、「古典教室」の最終回のテーマである「マルクス、エンゲルス以後の理論史」が取り上げられています。

 不破さんは、このテーマを選んだ理由について次のように語っています。 
「現在、われわれがこの古典教室でやってるように、マルクス、エンゲルスの文献を直接読み研究して、その精神と理論を正面から受け止め、その目で日本を見、世界を見る努力をしている党は、世界の共産党のなかでも少なく、日本共産党のこの態度は世界でも独特の位置を占めています」(「古典教室」第3巻149頁)

 日本共産党のこの「独特の位置」はどのように形成されてきたのでしょうか。
 そのことが、改めて不破さんが語っています。 「私は、その原点は、50年代にソ連、中国の干渉による痛苦の経験から教訓をひきだし、自主独立の立場を確立したところにあったと思います。
 スターリンの覇権主義の被害を受けた党は世界で多いのですが、そこから自主独立の立場ーどんな問題でも他国の共産党の干渉は許さなず、自分の頭で考え、自分で答えを出すーこの教訓を引き出して、それをあらゆる活動の根本に据えたのは、資本主義諸国の党のなかでは日本共産党以外にはないわけです。~中略~まず日本革命の戦略・戦術を日本自身の頭で考えて決める、という態度をつらぬいたのが最初でした。

 その後のソ連、中国毛沢東派の干渉との論争で、こうした、自主独立の立場が固められその理論が発展しました。 その渦中にいた不破さんが、石川さんの質問に答え、次のように話しています。

 「国際論争については、一つ一つが真剣勝負なんですよ。
 ソ連との論争にしても、送りつけてきた長大な書簡には日本共産党への非難・攻撃の論点が限りなくならべられています。 それへの反論はとなると、そのすべての論点を一発勝負で撃破しなければいけないし、相手方に反論の余地を与えるような中途半端な議論ももちろん許されません。
 中国の毛沢東派の革命論攻撃への反論にしても、これで完全に決着をつける力を持つだけのものが求められます。 まず干渉攻撃との論戦で鍛えられたというのは、正直な実感です」
 ・・・・・・・・・・・・・

 当時、入党してまもない自分でしたが、こうして発表された論文を必死で学習したことを思い起こします。 日常の党活動に欠かせない内容であったからでもあります。 

 そして、現綱領の作成過程での最大の難関が、「レーニンが『国家と革命』で展開した社会主義2段階論をのりこえることでした」「ドグマから解放されて、マルクスの理論的遺産を発掘してゆくと、そこには現代を考え、未来を展望する上で、実に豊かな内容があります。 私たちは党綱領野改定にあたって、マルクスのこれらの遺産を現代的に適用することに力をつくしましたが、これも私たちの党が半世紀前に自主独立の立場を確立し、それを活動の根底において活動してきたからこその到達点であることを確信しています」と述べています。

実感です。

 

 


「スターリン秘史」連載開始から1年、新しい歴史の解明との出会い。不破さんの意欲と熱意に感謝

2013年12月19日 | 綱領関連

 「前衛」誌に、不破哲三さんの「スターリン秘史ー巨悪の成立と展開」の連載が始まったのは、2013年2月号からでした。 2014年1月号で1年ー12回となりました。 

 不破さんは、「『スターリン秘史』の執筆にあたって」、「前衛」今年2月号で次のように述べていました。 「1991年のソ連共産党の解体、それに続くソ連政治体制の崩壊後、旧ソ連の党や政府の内部文書の流出が始まりました。 このことは、ソ連史の研究に、まったく新しい状況をつくりだしました」「私は、ソ連は崩壊したとはいえ、ソ連覇権主義のこの害悪をきちんと歴史に記録することは、これとたたかってきた私たちの日本と世界にたいする責任だと考え、『日本共産党にたいする干渉と内通の記録』の執筆にとりかかりました」とこの時期、1993年1月10から6月16日までの、「赤旗」連載を振り返っています。

 私もこの不破さんの連載を、読んだことを鮮明に覚えています。 今回の連載の動機となったのが、「ディミトロフ日記」との出会いだったとのことです。 そして、連載の目的を、「スターリンの覇権主義の形成と活動の全体像を描き出すことを意図したものです」「この角度からのスターリン問題の解明は、共産主義運動のなかでスターリン時代が持っていた意味を根本から明らかにすることに役立つだろうし、日本の私たちにとってだけでなく、世界の共産主義運動の、科学性、道義性、発展性を持った前進にも必ず資するだろうことを強く希望するものです」と述べています。

 今号ー第12章の中で、とりわけ印象に残ったことは、ナチ・ヒトラーの「ドイツの戦時体制への協力」です。 「スターリンは、この時期(「ドイツとイギリス、フランスの間では、戦争は宣言されているが、実際の戦争行為はないという、『奇妙な戦争』と呼ばれた時期)ヒトラーの戦争の同盟者であることを対外的には隠していましたが、実際の行動では重要な協力者の役割をはたしていました」

 「その第1は、通商協定を通じて、石油や穀物など、ドイツが戦争の準備と遂行のために必要とする物資、資源の大きな供給国となったことです。協定では、ソ連から供給される物資・資源の見返りとして、ドイツがソ連に提供するのは、機械など工業製品が主でしたが、それらは製造に時間がかかるとうことで、ドイツの供給分は10カ月ほど提供の時期が遅れるように契約されていました」

 「ドイツは、この契約条件を利用して、ソ連からの物資を急がせ、ドイツからの機械の提供は遅らせるという操作を意識的におこない、それを1941年6月の対ソ戦開始まで続けました。 結局、ソ連は、ヒトラーの対英仏戦のための軍需物資供給国となっただけでなく、ソ連自身に向けられた戦争の準備の相当部分を、対価なしに提供させられたという破目に陥ったのでした」(「前衛誌14年1月号 214頁)

 「これは、通商という形でのソ連からの経済支援が『ドイツの戦争経済』にとってまさに決定的役割をはたしていたことの当事者自身の告発でした」として、「(19)40年9月28日、独ソ接近の当初から経済問題での交渉にあたってきたドイツ外務省のシュヌッレの「覚書」が紹介されています。(同誌、214~215頁)

 スターリンの覇権主義の「巨悪」の根本的解明の一端を感じさせられました。

 


ベトナム研究代表団と不破社研所長が会談。「社会主義と過渡期の問題」などで意見交換

2013年12月12日 | 綱領関連

 「日本共産党の不破哲三社会科学研究所所長は9日、党本部で来日中のベトナムのホー・チ・ミン国家政治・行政学院のレー・クオック・リー副学長を団長とする代表団と会談しました」ー11日付「しんぶん赤旗」が報じました。 ベトナムは、「社会主義をめざす国」の一つです。 今秋には、志位和夫委員長が訪問しています。

 「ベトナム研究代表団は、ベトナムで行われている政治・経済の改革「ドイモイ」(刷新)に関する理論問題を解明する研究事業の一環として、各界との意見交換を行う目的で訪日しました。 日本共産党訪問にあたっては、社会主義と過渡期の問題、現代資本主義の限界、法治国家建設の問題、日本の経済・社会発展における日本共産党の役割についての質問が寄せられていました」(同紙)

 「不破氏は、最初に、『50年問題』をへて自主独立の路線を確立し、ソ連、中国からの干渉とたたかう中で、革命論でも社会主義論でもソ連流の『マルクス・レーニン主義』を総点検し、マルクス本来の立場を現代的に発展させ10年前に党綱領の改定にいたった日本共産党の理論的発展の歴史を紹介。 その上で社会主義と過渡期、未来社会像の問題、法治国家建設の問題などについて、日本共産党の見解を説明しました」(同上)

 不破さんが触れた、「50年問題」とは、どんな「問題」であったのでしょうか。 この問題が解決できなかったら、今の日本共産党はなかったのではないかと言われるほど重大な出来事でした。

 「1950年、ソ連のスターリンと中国共産党指導部が、武装闘争を日本共産党に押し付ける目的で干渉し、日本共産党の徳田球一書記長(当時)や野坂参三ら指導部の一部がこれに内通・呼応して、中央委員会を解体し、党を分裂させた問題。 日本共産党は深刻な打撃を受けましたが、58年の第7回党大会で、徳田らの誤りを確認して党の統一を回復し、61年の第8回党大会をへて、自主独立の立場を確立しました」(「同紙」より) 61年の第8回党大会で採択されたのが、いわゆる「61年綱領」です。

 不破さんの発言やベトナム代表団の発言の詳細は報道されていませんが、第26回党大会議案が社会主義をめざしている国は、「社会の発展段階ではなお途上国に属しながらも、世界の政治と経済に占める比重は、年々大きくなるもとで、いやおうなしに資本主義国との対比が試されるようになっている」と述べていますが、重要な提起ではないでしょうか。


独ソ不可侵条約がヒトラー・ドイツの世界大戦の引き金に。「スターリンの巨悪と展開」(第11章)を読む

2013年11月28日 | 綱領関連

 1939年9月1日、ヒトラーはポーランド侵略戦争を開始しました。 「8月31日ソ連最高会議が独ソ不可侵条約の批准を決定した翌日の9月1日、それを待っていたかのように、ヒトラーはポーランド侵略戦争を開始しました。 ~中略~これにたいして、イギリスやフランスも~中略~9月3日には、それぞれドイツに対して戦争体制をとることが声明されました。 ついに世界大戦が開始されたのです。 これによって、独ソ条約が平和への貢献であるどころか、ドイツのポーランド侵略に大きく道を開いて第2次世界大戦への引き金になったことが、明らかになりました」(「前衛」12月号212頁)

 「9月17日(同年)、赤軍は国境を越えて、ポーランド東部への侵入を開始しました。 そして、ドイツ軍とソ連軍は、双方の占領地域の境界線をあらかじめ相談しあっていたかのような調子で、なんの摩擦もなく、ポーランドの東西に併存することになりました。 そして、9月28日に、独ソ両国間でポーランド分割の境界線を決めた『独ソ境界ならびに友好条約』なるものが調印され、世界に公表されました。 こうなると、ドイツの対ポーランド戦の開始にあたって、ソ連とドイツとのあいだに、その形式はどうあれ、ポーランド分割の密約があったことは、おおいかくしがたい事実となりなりました」(同誌、222頁)

 「しかも、同じ日に、ドイツ政府とソ連政府は共同宣言を発表して、イギリスとフランスの政府が、『ポーランド国家の崩壊』と独ソ両国によるその分割を既定事実として承認し、これをもってドイツとのあいだの戦争状態を終わらせることをよびかけたのです。 そしてこの呼びかけが受け入れられず、戦争がなを続く場合には、『戦争の継続の責任はイギリス、フランスに属する』という嚇し的な声明までつきつけられていました」(「同誌、同頁)

 不破さんは、「第11章 コミンテルンの迷走」の締めくくりとして、コミンテルンでの戦争規定と各国共産党の方針の問題でスターリンが取った態度について述べています。

 「第1は、スターリンが、ドイツと結んだ東ヨーロッパ再分割の秘密議定書(これこそ独ソの政治同盟の核心をなすものでした)を完全に闇に隠したまま、ソ連のポーランド侵入、ドイツとの国境協定、ソ独両国政府宣言など、事実と行動を先行させる形で、新路線をコミンテルンと各国共産党に押し付け、最後には、ソ連とドイツの政治同盟に足並みをそろえる事実上の親ファシズム路線を、コミンテルンの公認の路線とするところまで、事態をみちびいたことです」(「同誌」230頁)

 日本共産党の第26回党大会決議案第6章は、覇権主義、大国主義の問題を取り上げています。 特に中国の将来展望のなかで、「覇権主義や大国主義が再現される危険もありうるだろう。 そうした大きな誤りを犯すなら、社会主義への道から決定的に踏み外す危険すらあるだろう。 私たちは、”社会主義をめざす国々”が、旧ソ連のような致命的な誤りを絶対に再現させないことを願っている」

 


安倍自民党政治対日本共産党と1点共闘の発展ー秘密j保護法案をめぐり各党の役割・配置が鮮明に

2013年11月21日 | 綱領関連

 秘密保護法案を自民・公明両党が今週中か週明けにも衆院通過を狙う動きを強める中で、みんなの党、維新の会との「修正」協議が続けられ、みんなの党との「修正」が合意されたと伝えられています。 また、独自案をまとめた民主党とも与党側は協議入りしたと報じいられています。 こうした動きについて、「修正内容は枝葉だけ」(「朝日」20月)などの批判があがっています。

 日本共産党の小池晃副委員長は、「修正の名に値せず、法律の実態も性質も変わらない。 今回の合意は、みんなの党が法案に賛成したいがために、国民の批判をかわそうと取り繕ったものだ。 廃案しかない」と述べています。

 日本の民主主義と平和をまもる憲法の基本原理をくつがえそうという「秘密保護法案」に対してのそれぞれの政党の役割・配置が鮮明になってきました。 日本共産党は、当面する国民的課題での国会論戦や草の根での運動に全力を挙げています。 同時に来年1月に4年ぶりに開催される第26回党大会を成功させる取り組みを行っています。 その重要な仕事の一つが、全党員参加の「大会議案」の討論です。 

 「大会議案」の第1章は、日本の政治状況の特徴を、「『自共対決』の本格的な始まりというべき新たな時期を迎えている」と分析しています。 そのポイントとして、「自民党と日本共産党との間の自民党批判票の『受け皿政党』」について、「『2大政党づくり』の動きが破綻し、『第3極』の動きもすたれつつある」ことを指摘しています。

 そして、安倍自民党政治について、「政治の表層では、自民党とその補完勢力が多数を握っている」が、「社会の土台では、『2つの異常』-『アメリカいいなり政治の異常』、『極端な大企業中心主義の異常』を特質とした自民党政治が、行き詰まりを深刻にし、崩壊的危機におちいっている」と述べています。

 いま、国会で緊迫を強めている「秘密保護法案」をめぐる攻防の根底に、国民多数が望んでいる「国民が主人公となる民主的、平和な政治」との対極に、安倍自民党政権(政治)が存在していることが鮮明に浮かび上がっているのではないでしょうか。

 こうした、政治のたたかいの決着は、国民が決めることになります。  安倍自民党政治の暴走がすすめば進むほど、国民と日本共産党との連帯、共同が強まり、広がっています。 「大会決議案」では、「革新懇型の共同」や「一点共闘」の発展を期待すると共に、次のように踏み込んだ展望を明らかにしています。 「政党戦線においても、日本共産党との連合の相手が必ず出てくると、私たちは確信するものである。 そのさい、私たちとの連合の相手が、従来の保守の流れも含む修正資本主義の潮流であることも、大いにありうることである」。 こうした生き生きとした政治の本流を発展させるために努力を尽くしたいと思います。