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眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ドアマン

2021-06-07 11:24:00 | 忘れものがかり
それぞれのドアから
人々が出て行く

後ろ手に閉めたドアが
跳ね返って開く

誰も後を振り返りはしない
出た後の世界に興味などないのだ
自分のゴミを置いていく者もいる

開いたままのドアを1つ1つ
閉めていくのが僕たちの仕事だ

「立つ鳥跡を濁さず」

そんな言葉もあったと思うが


普通にあるラーメン

2021-06-07 05:11:00 | 短い話、短い歌
「虫たちは光の下に集まってきます。けれども、私たちはそうではありません。自由研究は金を生むでしょうか。そうです。私たちに必要なもの、それは金の他にありません。安らかなものはすべて、夢も、希望も、金の下に集まってきます。テレビも人も車も、すべては金によって動きます。金にまみれ、金にひれ伏し、金に焦がれて踊るのです。私たちの汗も涙も金集めの道具に過ぎません。今まさに私たちの頭の中は金で埋め尽くされました。だけど、まだ足りません。もっともっと持ってきてください。一人一人が金の運び手となって、この国の中心に金を集中させてください。ブレーキは昭和の時代に壊れました。だから皆さんで一斉にアクセルを強く踏みましょう。潤わなければ何も始まりません。私たちは未来のために、命をかけて金を取りにいきます」

「はい、ラーメンお待たせ」

「どうも」

 ここのラーメンはこれと言って特長があるとは思えない。だけど、私は気がつくとよくこの場所に来ている。客はだいたい私を含めて2人か3人くらいのことが多い。何か落ち着く場所だ。私はこのテーブルが好きなのかもしれない。首の苦しげな扇風機がずっと回っている。スープを一口いただく。何か懐かしい味だ。ずっと昔に、どこかの商店街で口にした気がする。画面はそんなに美しくない。きっとブラウン管だ。

「続いてお天気情報です」

 できればなくならないでいてほしい。
 私は普通でいいと思う。そんなに長居するわけではないけれど。大将、どうか無理はしないで。




金のない暮らしの向こう祭典に群がる夏のゴールド・ラッシュ