じゅくせんのつぶやき

日々の生活の中で感じた事をつぶやきます。

「なぜ国家は衰亡するのか」

2010-01-02 23:04:00 | Weblog
★ 保守の論客として著名な中西輝政氏の「なぜ国家は衰亡するのか」(PHP新書、1998年)を読んだ。

★ 今から12年も前に書かれた本だが、その先見性には驚かされる。

★ 最初から中盤までは、イギリス、ローマ、中国、そして日本の江戸時代へと時空を超えた旅をするように感じた。

★ 数々示唆に富む指摘があり、面白かった。

★ 外国や日本の歴史をきっちり勉強されているから、その主張には説得力がある。私は「国家主義」的なものの考え方は嫌いだが、言うまでもなく歴史は私の好悪に関係なく推移してきたし、これからも推移していくであろう。

★ 日本と言う国が世界史の中で今後どう生き延びていくかを考えるとき、中西氏の主張は的を射ているように思う。

★ 中西氏の主張する「国家」が偏狭な国家主義でないことは明らかだ。グローバルな時代だからこそ、国家、国民としてのアイデンティティーを気高く持ちなさいと言うことなのだろう。

★ 「『国家目標』を喪った国に未来はない」という中西氏の主張はまさにその通りであろう。しかし、今日政権が変わっても行き当たりばったりの姿は変わらない。

★ 政治主導と言う名のまやかしも中西氏は見抜いている。

★ 「二〇世紀リベラリズムの清算と言う思想的な背景をもたないまま唱えられている規制緩和や改革は、もしこのまま進めば今後の日本に大きなツケとして残ることになるであろう」(203P)という予見は、小泉改革を経て現実のものとなっている。

★ 大正時代の政治家を評して「坊ちゃん世代」と批判しているが、これも、安倍、福田、麻生、鳩山の一連の政権を暗示する。時代はますます中西氏が指摘する大正期から昭和初期の政治不信の泥沼に入っていきそうだ。

★ 歴戦の将、小沢氏への評価はどうなのだろうか。

★ ともかく、中西氏が期待するように、日本人の大いなる叡智を結集し、難局を超えていかなければならない、と思った。
コメント