日本経済に起きている本当のこと糸瀬 茂日本経済新聞社このアイテムの詳細を見る |
★ 糸瀬茂氏が亡くなって7年が過ぎた。あまりにも早すぎる死だった。この金融エキスパートがもし今日生きていれば、日本や世界の経済状況をどのように分析し、どのような処方箋を書いたことだろうかと思う。佳人薄命と言うが、誠に残念だ。
★ 本書は糸井氏が1999年から2000年にかけて、テレビ東京の経済番組のインターネット版に書いたコラム集である。当時の時代を実に鋭く描いており、その論評は時を経て更に価値を高めている気がする。
★ 内容はなかなか高度で経済、金融の門外漢にはいささか難しいが、多額の財政赤字の暴露など今日的な問題がすでに多く提示されている。糸瀬氏は問題の先送りを厳しく戒めているが、小渕、森を引き継いだ小泉、安倍、福田の歴代総理は果たしてこれらの問題と真正面から向き合ったのだろうか。
★ 日々増大する財政赤字を目にすると、糸瀬氏の警告は彼らの耳には届かなかったようである。また、増税、インフレターゲットなど、糸瀬氏が最悪のシナリオと指摘する道を我々は歩もうとしている。
★ 大借金国家日本の前途は多難である。先達のいない旅は実に心細いものだ。