先生方といじめを実行してた連中といじめっこの親

「おい。これ以上はやめとけ。死んでまう」

　何回か、おぼろげな意識の中で聞いたことがある台詞。
　歯が溶けてすきっ歯になった、どこか焦点の合ってない目で、何回目かの殴打を止めた俺の同級生が、ちょっと中学生とは思えない、ゴツい男に止められる。止めたのは、うちの中学の「番長」である。

「壊れたら、もうサンドバックどつかれへんやろが」

　落ち着いて…。思い出す事ができない記憶。中学校の頃の話だが。
　無論、サンドバックとは俺の事で。血にまみれた俺の手首は、縄とガムテで拘束され、ゴツい木にぶら下げられていたのであった。

　俺の小学校、中学校時代は地獄であった。

　中学校では何人か、先生も含めて自殺しているし、他殺もあった。いや…。「あったともっぱらの噂」だった。
　トイレに入るとハイター臭。使用済みコンドームが放置されており、授業中の教室の中は紫煙で烟っており、麻雀牌をかき混ぜる音がする。そんな中、先生は黙々と授業を続ける。怖いから見て見ぬふりだ。


　中２男子死亡のいじめ事件。とうとう刑事告訴の道が開かれたようだな。

【時事】同級生3人を告訴＝暴行、恐喝などの疑い―自殺中2男子の父親・大津
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120718-00000120-jij-soci

　これでようやく、スタートラインにつけた。
　これまで、スタートラインに立つことすら、自殺した男子父親は許されなかったのだが、大きな進歩だ。これで、先生方が隠してた事は次々と暴露されるハメとなり、いじめ加害者の一族は社会的に死ぬ事となる。

　別に俺は、「先生は全員人間のクズだ」とは言わない。俺の学校にだって、何人かはそりゃ、正義感にあふれた先生はいたし、恐ろしげな不良どもに対抗できた人もいた。

　が、少なくとも俺が先生だったなら、あの時のごく一般的な先生方と同じで、絶対に見て見ぬふりをしていただろう。
　最近は、学校もそこまで陰惨ないじめがなくなったのかなと思ってたのだけど、やっぱ残ってたんだと思い知らされた。
　今の先生は、ちょっと生徒を小突いた日にゃ、モンスターな親共に逆に虐められ、せっかく公務員なのに、社会的地位すら奪われかねない。むしろ職業としての難易度は、暴力が許容されていた俺の時代より上がっているような気すらする。

　だから、あの大津のクズい学校関係者を見ても、多少仕方がないのかなぁと思うと同時に、（先生方が）気の毒だなぁと思わないでもないわけではないが…。
　それでも。本当に受理してもらえてよかったと思う。

　俺の場合は、親が何回も学校に抗議に行くと同時に、俺に対して「殴り返してこい！」と言って家を追い出すような状況だった為、「自己解決」がモットーであった。警察に頼ろうとか、考えた事もなかったが、今にして思えば、シンナーでラリった奴を相手に親も相当に無責任だったと思う。

　それゆえに、俺は自殺を計ったのだから。

　俺の経験則から言わせて貰えれば、学校の言い分もある程度は理解できる。被害者が自殺に至ったのであれば、加害者はいじめ実施者＋学校だけでなく、家族も同罪であろう。俺は、学校に行きたくなかった。不登校にすらなりそうだったが、親が強引に通学させていた。虐められてズタボロになって帰って来たら、「情けない」とか言われて家に入れてくれなかった。
　結局、自殺するって事は、家が「逃げ道」にすら、なってくれなかったのだ。
　死ぬほど学校がイヤなら、学校に行かなければいいではないか。ってわけで、ケアできなかった家族も、同じぐらいの比重で問題があったのではないかと俺は思っているのだが…。

　ま、今は世論がカンペキに味方だよね遺族の方々の。
　裁判員制度でやれば、普通に有罪になるんではなかろうか。器物破損や自殺幇助、恐喝、暴行。親も１億円近い損害賠償か。

　正直、俺の学生時代に、これぐらいの問題意識が欲しかったわ…。
　被害者の遺族が、ちぃ～っとも叩かれないのが、俺的に気になる点なんだけどね。その事については多分、この事件の加害者側の一端たる先生方も気がついてはいらっしゃるとは思うんだけど。

　どして、「お前がいうな」って絶対に言われるのわかってて、そんなコメント（被害者家族にも問題があったのではないかってやつ）すんのかなぁ。泣き寝入りしたくないだけなんだろうけどさ。
　つーかね。自分の罪を全て認め、粛々と事実究明に努めて、そのターゲットの中に被害者家族も含めるぐらいの事をやれば、こんな酷い虐めに遭わないですんだと思うんだけどな。先生方。

　基本的には、国民的怒りの矛先はいじめ実行者に向いてるんだから。好き好んで加害者側にまわってるとしか思えないんだけど。





いじめ逆襲マニュアル―殺されるぐらいなら殺せ!