経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

期待の裏切り方

2007年05月12日 | Weblog
企業の不振は、多くの場合、まず売れなくなる、という企業外の反応の変化に始まる。これは換言すれば消費者が、その企業なりお店に背を向けたことに他ならない。では、消費者をして、そうした反応、対応をなさしめた理由はなにか。外の人間には、個々企業の内部は、実のところわからない。
だから消費者の判断材料としての、1にその企業との接点を通じ、垣間見えてくるものや体感したもの。2に、その内部が流す、おそらくはその企業の都合の良いことを強調し、都合の悪いことを控えめに、といった加工情報、大きくはこの2つの情報により判断している、とみてよい。
この二つを持ってどう判断しているか。それは1と2の温度差の違い、この乖離である、と、私は考える。

これは普段私たちが、あまりにも言行不一致の人に対して、「あの人はいうことと、やることにあまりにも差があり、信用でできない。不信感を覚える」といったことで、敬遠するのと同じこと。

営業マンが得るときには、親切で良いこと言うが、後になると知らん顔。コスしたことが、最近の保険業界で多発すると、国民は怒り、消費者としてそうした企業へこぞって背を向け始めるのは、当然である。まさに言行不一致による不信感が、その企業、その業界だけではなく、消費全体への停滞感、不振感を招くのである。
こうしたことから、消費者の期待を高めることが中心であったことが企業のPRである、としたら、そのことにより現実との乖離がさらに開き、そのことで消費者の不振を招く恐れを、十分頭に入れなければ、逆効果になることを著している。

言葉を換えて言うなら、期待を高めて、それを裏切って、期待はずれさせたら、その落差の分、消費者の怒りは大きいと考えなければならない、ということである。
では、どうしたらいいのか。
その前に、念押ししておきたいことがある。「期待を裏切る」ことには、内容として2つある。消費者にとって良い方」と「悪い方」。さらに、2つある。高い方へ裏切るか、低い方へ裏切るか。この2つである。これをマトリックスで表現すればわかりやすくなろう。

○消費者にとって良いことを、その期待していることより高い方に3倍ぐらい裏切ればどうだろう。諸費者は、大感激して興奮するだろう。その感動を人に話すかも知れない。

○消費者にとって良いことを、その期待していることより低い方に3倍ぐらい裏切ればどうだろう。諸費者は、がっかりして、自分の選択を悲しむだろう。それは、その企業への怒りになるかも知れない。

○消費者にとって都合の悪いことを、その想像している程度より高い方に3倍ぐらい裏切ればどうだろう。諸費者は、大いに怒り、興奮するだろう。その怒りを人にぶっつけるかも知れない。

○消費者にとって都合の悪いことを、その想像している程度より低い方に3倍ぐらい裏切ればどうだろう。諸費者は、大いにその企業を見直し、自分の思いこみを見直してくれるかもしれない。その感想を、「おもったより、よかったよ」と人に言うかも知れない。

以上、納得されたら、これからの自分の企業なりお店のPR,、販促、イベントのやり方が、具体的に見えてくるはずである。