めちゃ久しぶりの映画館での映画鑑賞。Tジョイシネマ博多に初めて行きました。
ネイティブアメリカンのドキュメントというよりは、日本人アーティストの記録映画という感じでした。主人公となる加藤翼さんという若いアーティストさんは、「引き起こし」、「引き倒し」というアートパフォーマンスでダメージを受けた人々の力を一つにする瞬間や、達成感によってダメージに立ち向かう気分を作り出そうとしていました。
映画のなかで1830年頃から1985年まで続いたボーディングスクールの写真が出てきました。ボーディングスクールとはネイティブの子どもで5、6歳になると強制的にアメリカ政府が親から引き離して、一つの学校に寄宿させ、ネイティブの言葉を使うことや行事を行なうことを禁じ、キリスト教に改宗させ、名前をインディアンネームからクリスチャンネームに改名させ、英語を覚えさせ、白人の家政婦や使用人になるよう教育する学校のことです。ネイティブの文化や家族の絆を断ち切らせ、ネイティブ文化を消滅させようという政策でした。何百人か何千人か分かりませんが、ものすごくたくさんのネイティブの子どもたちが校舎らしい建物をバックにした集合写真がでてきました。子どもたちで笑っている顔は一つも無く、おびえたような寂しそうな顔の集合写真でした。
その性でアメリカ政府は収入の無いネイティブに謝罪し、現在も補償金を毎月払っていますが、ボーディングスクールから開放されたネイティブは故郷に戻っても親と話が通じないし、自分のアイデンティティがもてないために酒を飲み続け、アルコール中毒になり、自殺するネイティブが多いと聞きました(90年代)。その後居留区内にネィティブの文化が学べる大学を作り(90年代に4つの大学ができたと聞きました。)ました。この映画でたぶんそぷいう大学の一つが出てきました。
加藤翼という日本人アーティストの活動は凄いと思いました。映画の中で「引き倒し」というアートパフォーマンスでネイティブを監禁し苦しめたボーディングスクールの形をした小さな小屋サイズのオブジェを、ネィティブの人たちが30人くらいで引っ掛けられたロープを引っ張って、建物を引き倒すことで、今まで心にプレッシャーになっていたボーディングスクール時代の忌まわしい記憶から少し開放されたような気分になれたようでした。
金持ちが自分の力を示すために絵を買って壁にかけるアートではなくて、かってにやっている行動がアートでした。
期待した内容とは全く異なる内容でしたが、一人の芸術家の、行動が確かに誰かの心に変化をもたらしていました。上映時間は夜9時20分と遅いですが、関心がある人にはぜひ観ていただきたいと思いました。レイトショー扱いなので1300円でした。
ついでに博多駅ビル前のライトアップ写真もアップしておきます。