デンマークの幼稚園の先生の講演会や、レッジョ・エミリア展とかを聴いたり観たりしてから、これからの日本を良くしていくには、日本人という人種が飛躍的に賢くなるか、幸せの価値観の転換を図って行くしかないと思っていたところ、この和久洋三先生の講演の開催予定の新聞告知を観て、赤坂の中央市民センターに出かけてみました。
この日の和久先生は全国を講演中のご様子で、体調が悪かったようです。しかし講演内容は十分に面白く、僕の心に響いてきました。特に0歳から6ヶ月くらいの間に、お母さんが傍にいてくれて、「おっぱいが欲しい」とか「抱いて欲しい」といった赤ちゃんの欲求が理解され満たされることによって、オキシトシンやセロとニンという脳内物質が流れ、自分は愛されている、受け入れられている、理解されているという自己肯定感が得られるそうです。その親子の信頼感が生まれたとき、脳の「眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)」という部分が発達するのだそうです。この部分は1歳、2歳と成長していくのですが、今後の自己抑制能力、共感感情、プラス思考に大いに関係してくるらしく、他人への思いやりや配慮を生み出すとこなんだそうです。こういう脳の研究が進んでいることに驚かされます。
今から25年以上前、大脳生理学とか、グレンドーマンの「子どもの知能は限りなく」や「親学」というような本を読んで、子どもは誰でも天才になれるんだということをちょびっとかじりました。たぶん幼児向け知育玩具の広告を創らなければならず、何か知識が欲しかったんだと思います。その当時はまだ脳についての研究が始まったばかりで、まだ右脳と左脳、前頭皮質、海馬くらいの言葉が使われているくらいで、今みたいに細かい部位まで脳のことがわかっていませんでした。それが、少しずつ解明され、放送大学で幼児心理学まであるようになってきました。今後もっと科学的に解明され、また「幸せとは何」という価値観が哲学され新たな教育が生まれていくと思います。人間は自分が一番でいたいので、自分が受けた教育が実は間違っていたと否定されたくは無いので、規制の教育を変えるのは大変な作業となりそうです。
どちらにしても、日本は小学校から「〇か×の世界」に入り、間違えたくない、だからチャレンジしない、評価を恐れる子どもになって行きます。世界の問題には正解がいくつもあって、間違えることもあるけど、間違いから学び、またチャレンジしなさい。というような世界への転換が必要だと思います。
僕の知識は聞きかじりですが、最近「誰でもいいから殺したかった」というような事件が起きています。容疑者(犯人)の人の幼児期の環境がどうだったのか分かりませんが、赤ん坊のとき十分に抱かれること無く、泣いても抱いてもらえなかったとしたら、0歳保育を多くの赤ちゃんたちが受けて、母親に抱かれる時間が足りない子どもは増えているはずです。今後こういう事件が多発するようなら、0歳児から2歳児までを育てている育児費用をただにしたり、育児手当をあげることが真剣に検討されることを願っています。北欧では当たり前のことなので。
「生きる」ということは「脳に刺激を送ること」、脳は新しい刺激を欲しがる。特に快感を得られた体験は繰り返し行なわれ、もっと強い刺激を求める。というのが人間の本質です。
なんか久しぶりに僕の脳が喜ぶ講演だったので。幼児はゆっくり育てましょう。
なお和久先生の教室は全国各地にあります。http://www.w-playroom.jp/