(今回超長いので、お時間がある時ご覧ください。)
今日、大内士郎さんのご案内で今宿青木付近(昔は谷地区)を1時間40分ほど散策しました。まずは今宿公民館で、大内さんから薬草について簡単なレクチャーがありました。
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植物はいろいろな成分を持っているが、人に役立つ成分が多いものを善草、人に害を与える成分が多いものを毒草という。しかし、毒草にも使いようによっては、人に役に立つものもあり、本当に薬草の効能の知識を得たいなら、植物を漢方薬局へ行って、正しい使い方をきっちり学んだ方がいいと思うとのことでした。
薬草はたくさんあり何を薬草とするか諸説あり、日本薬草全書に記載されているだけでも560種ある。特に外見が善草か毒草か分からないほど酷似していたり、花を見ないと分からないものなどもあるそうです。その中で薬草の本で紹介して効能なども著者が注目している内容が書かれているだけで、植物と薬効が本によって異なることは一般的なことであるとのこと。次のレジュメは大内さんが今回のハイキング用にまとめてくださったレジュメです。
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いよいよスタートです。
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民家の庭の木も観察の対象でした。イチョウの種子ギンナンは咳止めや夜尿症に効くとのこと。昔、柏の葉は飯を盛る食器代わりに使われていた。
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道端の草にもいろいろあって、このヤブガラシの根は利尿や腫れ物に効くとのこと。またアマチャヅルというのに良く似ているそうです。
このあと、このヤブガラシは大内さんが「これ何?」と参加者に何度も聞くことで、参加者の多くが名前を覚えることになりました。
大内さんいわく「植物の名前を覚えると、今までただ道端の風景と見過ごしてきた同じ風景が名前を覚えた植物が目に付くようになってくる。歩いていても楽しいよ。」とのこと。
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ビワの葉は清涼・健胃・咳止めなどに効き、種子は鎮咳の薬の製造原料になるとのこと。
いつも見慣れているビワが咳止めになると聞くと、ビワの見方が変わってきます。
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クズは根を葛根(かっこん)というように、発刊、解熱、鎮痙薬に効き。花は葛花(かっか)といい二日酔いに効くそうです。アメリカで葛を土砂の表土流出を防ぐために植えたが、伸びすぎて他の植物に絡みつき逆に公害になっているというお話まで出てきました。葛は生命力が強いと覚えておきましょう。
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埴安(はにやす)神社に行く
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このお堂の中にある額は、亀井南冥さんのお孫さんの雷首さんがお書きになったものです。
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埴安神社の第一の祭神は埴安神(はにやすしん)です。埴安神はイザナミノミコトが最後の子供、火の神であるカグツチノミコトを生んだとき秘部を焼いてのたうちまわって亡くなった。死ぬとき嘔吐物や、排泄物が出たが、その嘔吐物や排泄物からも神様が生まれた。埴安神はそのとき出たうんこから生まれた神様らしい。土や肥料に関係が有り、農業や窯業の神様だ。今宿近くに大きな焼き物窯跡があることや、今宿や糸島は焼き物に関係が深い土地なのだろう。
蛇足ですがこの話を今宿小の生徒さんたちにしたら、「うんこの神様」とよんで尊敬しなくなって困ったと大内さんが笑っていました。尊敬はしないが親密さを増すでしょうね。
ちなみに上の説明プレートの文は大内さんが原文を書いたものとのこと。 さすが!
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近所にこのポスターがあった。10月2・3日が埴安神社の大祭です。
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彼岸花があちこち満開です。彼岸花は植えないと生えないそうです。一般に田んぼのあぜ道に植えられているが、彼岸花はねずみやもぐらがいやがる植物らしいです。
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ツユクサは根を陰干しして煎じて飲むと解熱効果があるとのこと。
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なぜ南天(ナンテン)が便所脇に植えられることが多いのかという話。
昔便所は南側に作ると、ガスが発生し匂いがたまらないので、一般に北や北東に作られていた。しかし北東は鬼門の方角とされ、そこから災いが入らぬよう、「転じて南となす」という意味でナンテンを植えたとのこと。面白い。運(うん)も付きそうだし。ちなみに、災いを祓う植物としてナンテンをお飾りでおせち料理に入れる地方もあるとのこと。
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ザクロはギョウチュウの駆除に効くそうです。中国では子宝に恵まれると繁栄のシンボルで、おめでたい植物なんだそうです。
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有名な治七のクリームパンの前を通り過ぎ・・・
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庚申様は仏教系の道の安全の神様で・・・
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テイカカズラのネーミングが面白い。藤原定家がなんとか内親王に恋をしたのだが、結ばれること無く二人とも亡くなって内親王の墓を抱くようにびっちりこびりつくように生えたカズラがあったことから、この名前になったという。
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イヌビワのイヌってにせもの、もどきという意味らしい。植物にイヌなんとかという名前の植物がおおいとのこと。ちなみに蛇足ですがイヌフグリはイヌのキンタ〇の意味でにせものではないとのこと(大内さんのジョークで笑うところでした)。
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今宿には自然がいっぱい残って散策するのに気持ちがいい道がいっぱいあります。
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ヤマザクラの樹皮にはブローチンといって咳止め効果が高く、日本の咳止め薬製造に使われているそうです。
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アカメガシワはカシワの一種で芽が若いときに赤いそうです。胃潰瘍や十二指腸潰瘍に効くそうです。
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竹は自ら毒を出し、他の植物が生えないようにして、地下茎を伸ばすが、密生しすぎると、自らの毒で枯れてしまうとのこと。
この通りの両側から竹がしなだりかかり、竹のトンネルみたいだったが、今は竹も落ち着いているとのこと。
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ハゼはウルシ科だそうです。マンゴーもウルシ科って知ってました?
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開けた田園地域に移ってきました。
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オオバコは中国では車前草といい、車に踏まれるようなところにも生えてくる強い草という意味らしい。植物は住み分ける能力がいろいろであり、人間も砂漠の民やエスキモーのように生きるところは様々だ。オオバコの葉は鎮咳、利尿、胃腸薬。種子は鎮咳、消炎、利尿、止瀉薬効果あり。
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ヒナタノイノコズチ。イノコズチにはヒナタノイノコズチとヒカゲノイノコズチが有りヒナタノイノコズチにはこぶがあるとのこと。中国名は牛膝(ごしつ)。利尿、生理不順に効くそうです。
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セイヨウタンポポは自分の花粉で受精するクローンで増えることができるそうです。
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ネズミモチは中国名は女貞子と書くそうですがその実は強壮・強精効果有りとのこと。
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ヘクソカズラ。葉っぱをこすると強烈な悪臭がし、あまりにも下品な名前が付いた。
日本を代表する牧野富太郎氏が植物好きの昭和天皇を案内して散策をされたとき、牧野博士が、下見で発見したヘクソカズラをできるだけ避けてエスコートされていたら、天皇がつかつかとヘクソカズラに近づき「この花は何ですか?」と牧野博士に訊ねられたそうです。牧野博士はその下品な名前を言うと天皇に失礼と思い、地方での呼び名の「サオトメガズラです。」と答えられたそうです。すると天皇はにこっと笑い「ヘクソカズラではないのか。」と答えられたそうです。天皇は正式和名をご存知で、牧野博士をからかったみたいです。面白いエピソードを大内さんが披露してくれました。
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ゲンノショウコが群生していました。これは珍しいことなんだそうです。ゲンノショウコは西日本では赤い花が咲き、東日本では白い花が咲くそうです。下痢止めの効果あり。
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さきほど庚申様が仏教の道の神様って書きましたが、これはサルタヒコを祭った神道系道の神様です。今宿にはすべて山側にあって、4つあるそうです。
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これはイヌタデ。蓼食う虫も好き好きのタデ(本タデ)のにせものです。本タデは葉を噛んでみると辛いそうです。イヌタデは辛くないそうです。でも、大内さんがこの辺はイヌのおしっこがかかっているかもしれないので噛まない方がいい(笑)とおっしゃっていました。
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ヤマモモは樹皮が収斂、殺虫、解毒薬、タンニンの原料になります。
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キカラスウリの根は天花粉、実は催乳(お乳が出やすくする)効果があること。
キカラスウリが茂っているところには赤いカラスウリは生えないらしい。キカラスウリ
がこのように群生するのは珍しいことらしいです。
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この花が何か聞き取れんかった。すいません。
そのあと、キツネノマゴ、イヌコログサと聞いたのですが、いろんな草がたくさん生えていて、どの草かかわかりませんでした。暑くて集中力が効かなくなってきました。
ちなみに「イヌコログサ」というのは猫人気がアップして「ネコジャラシ」という和名の方が一般的になってきたそうです。同じ植物にイヌとネコで別名がつくなんて面白い!そういう話は記憶に残るんですよね。
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田んぼなので日陰がありません。
次は「駒曳地蔵」がある常楽寺に行きました。大内さんでも付近に咲いていたこの植物は何なのか知らないとのこと。大内さんが、下見の後、この植物を調べてみたそうですが、分からなかったそうです。大内さんは薬草が専門で、観賞用の外来種がどんどん輸入されている現在、知らない植物もあるのだと教えてくれました。それほど、植物の世界は奥が深いのだろうと思います。
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この額は亀井南冥さんのお孫さんの雷首さんがお書きになったものです。
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常楽寺にはお堂があって、筑前今宿かるたで「駒曳いて刃の露と消えし人」と読まれた「駒曳地蔵」が安置されています。やっと本物を観ることができました。
商工会の依頼でで製作したリーフレットの「今宿そうつい店行っちゃっ店」で大内さんに寄稿していただいた「駒曳き地蔵」の説明文をここにコピペしておきます。
「駒曳き地蔵」
青木・常楽寺の境内にある小さなお堂の中に、馬を曳いた姿のお地蔵様が祭られています。弘化3(1846)年、青木の弥三郎という人の使用人・与助が主家に年貢米を納めての帰り、曳き馬が暴れ、たまたま通りかかった侍の着物を汚してしまいました。たったそれだけのことで理不尽にも与助は打首になってしまいました。村人に愛されていた与助は「駒曳き地蔵」として祭られ、今でも参詣者が訪れています。
身分差別の厳しかった江戸時代、NHK大河ドラマの「龍馬伝」でも見られたように武士の間でも上士と下士での差別は日常的だったようです。ましてや武士と百姓の身分差は大きく、武士にとっては、百姓や町人は虫けら同然に思われることもあったようです。
百姓や町人からの武士に対する粗相はお手打ちお構い無しという時代でしたが、現実に打首になることは稀なことでした。与助の馬にはかまの裾を汚された池上新之丞は、必死に謝る与助に対し手討にしようといきり立ちました。その時通りかかった武士が「ここはまず藩庁に引き渡しては」と取り成し、与助は今宿の牢屋に入れられました。村人をあげての助命の嘆願もむなしく、翌年池上新之丞の屋敷で若者与助は打首になりました。
これを知った博多聖福寺の和尚は大いに怒り、藩庁に怒鳴り込むとともに、青木村に赴き、与助の霊に対して「大観慈音」という戒名を贈って弔いました。
村人は「与助さんはわれわれの身代わりになって死んだ」「与助さんは観音様の化身だ」と言うようになり、長く線香の煙が絶えることがなかったそうです。
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駒曳地蔵前の地面に面白い種が落ちていました。この種「ニカニカ」という名前らしいのですが、赤いところは食べられるみたいです。今宿でも別の名前があるらしくて、「ジジババ」というらしいです。
たぶん赤いところを鳥が食べて青いところが遠く運ばれて地上に落ちるのではないでしょうか。
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いい一日でした。今宿の自然はじわっとくる優しさがありました。疲れずいい運動にもなりました。
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午前中でハイキングが終わりました。
大内さん、今宿公民館さん、参加者の皆様ありがとうございました。
ああ楽しかった。
平日のイベントなので年配の方か主婦の方しか参加できないのが、ちょっと残念です。開催日を土日か祝祭日にすれば親子や祖父祖母と孫で参加できるので、その方がいいのにと思いました。
今宿の自然や歴史を五感で感じて、今宿の良さを体感できると思います。今宿の良さを知ることが、今宿を愛し、今宿をもっと良くしようという情熱や感性を生み出すのだと思います。真剣に地域の自然を守る子供を育てたいなら、公民館や自治会に一考をお願いしていただけたらと思いました。
里山で遊んだことの無い子どもは里山を守りません。