国鉄民営化後「最悪の電車事故」と「民営化・合理化」は無関係か?

2005年04月25日 18時41分32秒 | 社会
電車脱線、50人死亡 300人けが 兵庫のJR宝塚線 (朝日新聞) - goo ニュース

 JR西日本の宝塚線(福知山線)の尼崎-塚口間で、快速電車が脱線、誠に痛ましい「脱線事故」が起きたものである。一瞬、昭和38年11月9日に起きた「鶴見事故」を思い出した。国鉄の電車が神奈川県の東海道線鶴見-新子安間で2重衝突し、死者161人の被害者がでた大事故である。
 高校2年生のときで、保健体育の教官が、横浜方面に向かう電車に新橋駅から乗った。何か予感がして、いつも乗る当たりから乗るのを避けて、1車両ずらした。横浜方面から東京に向かう電車が、教官の乗っていた電車に乗り上げるような形になり、車両が倒れ、教官は、土手に投げ出された。辺りには、被害者が散乱し、地獄模様だったという。「乗り上げた車両の下敷きになった車両が、いつも乗る辺りの車両だった。気迷いがなかったなら、その車両に乗り、即死していただろう」と話していた。
 毎日新聞に入社して初任地である浦和支局に配属され、当時のデスクが、横浜支局出身で「鶴見事故」が起きたとき、現場に急行して取材したときの苦労話をさんざん聞かされたものである。
 それにしても、いまの電車の運転手が、「1人」というのは、あまりにも無謀である。ベテランだから安心というものでもない。最近問題になってきている「無呼吸症候群」(新幹線の運転手の例もある)により、一瞬、意識を失ったり、脳梗塞などで急死したりする危険を予測していないのだろうか。
 今回の事故は、国鉄民営化後「最悪の電車事故」である。「鶴見事故」とは、時代も違うので、単純な比較はできない。「民営化・合理化」との因果関係はあるのか。事故の原因は、果して何だったのかは、国土交通省やJR西日本の事故調査委員会の調査結果を待たなければならない。
 だが、一つだけ、気になることがある。アメリカのレーガン大統領が昭和57年ごろから、「大規模な規制緩和」をどんどん進めて行ったなかで起きたことである。
 レーガン大統領は、金融業界をはじめあらゆる業界の「規制緩和」を徹底的に推進した。このなかには、当然、交通・運輸業界が含まれていた。幸い、鉄道では、大規模な事故は起きなかったが、航空業界で、事故が多発した。運賃をめぐり「値引き競争」など熾烈な戦いが繰り広げられた。経営者は徹底した合理化やコスト・カットなどにより、集客を図った。ところが、この裏側で「安全」のための費用を惜しんだため、墜落する飛行機が続出した。
 「規制緩和」と「安全性」との因果関係は、容易に証明できるものではないけれど、「地上」と「空」との違いことあれ、「安全性」への気の緩みや、手抜きがどんな悲惨な結果を招くかについて、検証しなくてはならないだろう。
 「合理化」は、コスト面から「安全」を軽視する危険性を孕んでいる。合併による再編と合理化が進む航空業界において、日本航空機が整備ミスなどにより国土交通省から、厳しく注意を受けているが、地上での大事故が、「空」へと波及しないことを願わずにはいられない今日このごろである。類が類を呼ぶ「凶兆」は、すでに日本航空はじめ航空業界から健在化しつつある。身内にパイロット(機長)がいるだけに、心配である。

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自民党は勝って「兜の緒」を締め、民主党は敗戦を「苦薬」にして前進を

2005年04月25日 18時16分22秒 | 政治
衆院補選、自民2勝 山崎氏、返り咲き 宮城・秋葉氏 (産経新聞) - goo ニュース

 衆議院「福岡2区」と「宮城2区」の補欠選挙が24日行われ、「福岡2区」では山崎拓元防衛庁長官(自民元、首相補佐官)が、返り咲きを、「宮城2区」では秋葉賢也・元宮城県議(自民新)が、初当選を果たした。いずれも民主党公認候補者を押さえての当選であった。
 総括すると、今回もやはり補欠選挙にあり勝ちな「低投票率」の下での「組織戦」だった。組織対組織の激突である。「自民+公明」VS「民主+労組」の構図だ。
 山崎氏は、前回総選挙で「女性スキャンダル」が災いして落選したものの、「資金と組織は健在、足らないものは議員バッチ」と言われてきた。今回は、「公明党の組織力と女性票」の力強い味方を得て、当選し、「公明党」に大きな借りを残した形となった。山崎氏の当選を最も喜んだのは、小泉首相であろう。山崎氏は、「小泉首相への恩返し」として「郵政民営化法案」の成立に命を賭けるつもりのようである。
 一方、完敗した民主党は、「無党派層頼み」の戦術で負けたことを深刻に反省すべきである。未だに「足腰の弱い幽霊政党」という弱点を克服していない。
 「福岡2区」の平田正源、「宮城2区」の門間由記子の両氏ともに、「小沢一郎政治塾」の出身者といい、小沢一郎副代表のメンツは丸潰れである。岡田克也代表は、責任追及の火の粉を一身に浴びなくても済み、内心「ホッ」としたのではないか。
 いまや有権者も「馬鹿なダボハゼ」ではない。「若い候補者を立てれば無党派層の支持を得られる」とか「スマートさを売り物にすれば、女性票を獲得できる」とかといった発想で迫られても、簡単には引っ掛からない。田中眞紀子元外相の「迫力ある演説力」をもってしても、ましてや「お涙ちょうだい」の戦術でも勝たなかった。やはり、有権者は、「実行力のありそうな候補者」を選んだのではないか。
 しかし、自民党は「2勝0負」のこの結果を手放しで喜んではいられない。山崎氏は、勝ったとはいえ、自らの「実力」で勝利したわけではない。「公明党」という援軍があったればこそ、「2議席」とも勝てたにすぎないからである。衆議院議員の任期が満了となる2年半後の間に政治情勢がどう変わるかわからない。公明党がいつまでも「味方」であり続ける保証はどこにもないのである。
 国会の勢力分野を冷静に見れば、自民党が「薄氷」を踏むような状況の下で政権運営している厳しい現実を再認識するだろう。「公明党」との連立により、辛うじて政権の座にへばりつけているにすぎないのである。「公明党」は、いつでも「現世利益」を求めて「勝ち馬」に乗る、変わり身の早い「中間政党」であることを忘れてはならない。自民党は勝って「兜の緒」を締めなければ、次期総選挙に大敗してしまう。
 民主党は、この敗北を「苦い薬」にして前進して行くしかない。選挙の原点である「ドブ板選挙」に徹していけば、次期総選挙で「政権奪取」への道が開かれてくる。
 今回の選挙戦と結果についての報道を振り返りながら、小沢一郎副代表の「政治の父」、田中角栄元首相が、「選挙の神様」と絶賛して心服した人物・兼田喜夫氏(自民党で長年、選挙を担当)が残した「選挙 票固め10ケ条」を読み直してみると、「基本」と「鉄則」の重要さを改めて思い知らされる。

 1.選挙は戦い、戦いは作戦。作戦の基本は、候補者のイメージ・アップ(相手候補のイメージ・ダウン)
  事前活動、緒戦、中盤、終盤を通じ、綿密な計画と陣営の訓練が肝要。投票の〆切まで全力を尽くせ。
 2.有権者の半数以上が婦人、婦人こそ人気づくりのメーカー。婦人は思いつめたら一生懸命、婦人を味方にしよう。
           (中略)
 10.人気だけでは決して勝てない。人気よければ陣営が緩み、対立候補に乗ぜられる。最後まで危機意識に燃え、強固な団結と強固な必勝の信念を持ってがんばろう。

 私は、ジャーナリストの立場から、この兼田氏の「選挙 票固め10ケ条」を基に選挙戦を分析し、結果を予測しているが、大いに重宝している。

コメント (3)
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