米国の次の標的は「北朝鮮」、日中首脳はたまには酒を汲み交わせるような関係に

2005年04月24日 18時59分17秒 | 反日問題
関係改善へ対話促進 日中首脳会談 (朝日新聞) - goo ニュース

 小泉首相が23日夜、中国の胡錦涛国家主席とジャカルタ市内のホテルで会談した。胡主席は、小泉首相に、
 ①歴史問題に関し、日本が今後、中国やアジアの国民感情を傷つけることはしない。
 ②台湾問題で「一つの中国」を堅持し、台湾独立を支持しないことを行動で示す。
 などを要請している。
 胡主席が、「台湾問題」について言及したのは、中国内で発生したこれまでの一連の「反日暴動」からみて、意外だった。「歴史認識」や「靖国神社」が最大の問題だったはずである。
 それをわざわざ胡主席が「台湾問題」について要請してきたので「やっぱり」という感を拭えない。
 福田赳夫元首相の直弟子である小泉首相が、岸信介元首相及び福田赳夫元首相以来の「台湾との緊密な関係」をついて、中国がいかに気にしているかが、改めて炙り出されたとも言える。
 日本にとって、中国が「1つ」であろうと「7つ」であろうと、つまり「1つの強大な大帝国」であろうと、四分五裂して「中国連邦」を形成しようと、基本的には関係のない、まさしく「内政問題」であり、どうでもよい。中国民族が好き勝手に決めれば、それでよい話である。それを強いて「1つの中国」に同調を求める背景には、北京政府の深刻な「危機意識」がある。
 北京政府は、アメリカの前国務副長官のグループが、ブッシュ政権誕生の直前にまとめたいわゆる「アーミテージ・レポート」に相当衝撃を受けたのではないか。そのサワリ部分を引用しておこう。
 「ヨーロッパでは、少なくとも今後20~30年間は大戦争は考えられない。しかし、アジアでは紛争の見通しは遠のいていない。この地域は次のような特色がある。世界最大、かつ最新装備のいくつかが存在すること、核武装した複数の大国、その能力を持つ国々が存在することだ。米国を大規模な紛争に巻き込む敵対関係は、朝鮮半島と台湾海峡にいつ何時でも起こり得る。インド・アジア大陸もまた、主要な発火点であり、どちらも核戦争にエスカレートする可能性を秘めている。アジア第4の大きな国であるインドネシアで混乱が絶えないことも、東南アジアの安定を脅かしている。米国は地域の国々とは2国間安保の一連のつながりで結ばれており、それが地域の事実上の安全構造になっている。将来、大いに有望だが、危険を内蔵するこの地域において、米国の2国間関係は今までに増して重要である」

 要するに、アメリカは、次の4つの地域でも「戦争」を予感していた。
 ①朝鮮半島
 ②台湾海峡
 ③インドネシア北方の南沙諸島海域
 ④インド・アジア大陸(中央アジア)
 ブッシュ政権は、発足当初から、この4つの地域のうち、「インド・アジア大陸(中央アジア)で戦争を起こす準備をし、実際に「アフガニスタン空爆」を行い、その勢いで「イラク戦争」に突入している。
 次に戦争を仕掛ける地域は、「朝鮮半島」、とくに「北朝鮮」であり、すでに着々と準備をしている。日本は、アーミテージ・レポートを受けて、自民党の国防族のドンである山崎拓元防衛庁長官を先頭に「有事立法の制定」を急ぎ、「防衛庁の国防省への昇格」を実現しようとしている。その先に「日本国憲法改正」、とりわけ「第9条の改正」という大目標の実現が横たわっている。
 アメリカ軍は、極東においては、朝鮮半島、台湾海峡、日本列島から、東南アジアからは、ベトナムのカムラン湾から、中央アジアからは、ウズベキスタンから、それぞれ中国を包囲して、人民解放軍の動きを牽制している。
 こういう軍事情勢の下で、小泉首相が、ブッシュ政権と親密な関係を結び、「日米同盟」を一段と強化しているのを見れば、北京政府が「恐怖」するのは、当然である。ましてや、「靖国神社への公式参拝」する姿から、中国人が「大日本帝国の復活」をイメージしたとしてもおかしくはない。
 実際には、日本民族は、「平和ボケ」して大概が「腑抜けた民族」になり下がっているにもかかわらず、中国人には、そうは映っていないのではないか。

 中国人にとって、今の日本は「アメリカ」という強大な軍事大国を「用心棒」に抱えた「軍事大国」に見えているのかも知れない。何しろ、大日本帝国は、ムッソリーニのイタリアが降服し、ヒットラーのドイツ「第三帝国」が敗れた後もなお、抵抗を続け、それでも降服せず、「原爆2発」を浴びて、ようやく無条件降服した実に「しぶとい軍事大国」であった。バーチャルな形にしろ、その恐怖は恐らくいまでも行き続けているのかも知れない。
 町村外相が24日午前のテレビ朝日の番組「サンデープロジェト」に出演して、次のようなことを明かしていた。
 李肇星外相との会談で、「あなたは、日本の教科書を読んだことがあるのか」と聞いたところ、「読んでいない」と答えたという。 これが本当なら、北京政府の首脳陣が、いかにいい加減な政権であるかに驚愕させられる。読んでもいない日本の教科書に対して、どうして「歴史を歪曲している」と言えるのか。「新聞記事」を真に受けて、付和雷同しているにすぎないのである。
 朝日新聞の藤原秀人氏・北京特派員が、24日付朝刊の「水平線/地平線」というコラム欄で「胡主席 デモはいつ知ったか」と題して、面白い指摘をしている。
 「党機関で働いたことのある知人はこう話す。『皇帝のようなトップには今も情報提供するのは難しい。よければ真意を疑われ、悪ければ責任問題になる。それなら何もしないほうが身のためだ』と言う。日本政府のなかにも『胡主席も温首相も当初は知らされていなかったと思う』という見方がある。反日デモへの対応は後手に回った」
 いつでも、どこの国でも、「本当の生情報」は、トップに伝わりにくい状況がある。トップに伝わるまでに「バイアス」がかかり、「ニセ情報」や「ウソ情報」しか伝わらないということがよく起こるという。途中に介在する関係者たちが、自分たちに都合のいいように、「生情報」を「加工」したり「改ざん」したりすることがよくあるからである。
 こういうことは、北京政府に限ったことではなく、日本の首相官邸でも起こっている。首相執務室が「情報真空地帯」に陥るのである。この結果、首相が事態を正確に把握できず、政権運営を誤ることがしばしば起きる。
 アメリカが、北朝鮮への総攻撃を着々と準備していると言われている現在、どんな「突発的な出来事」が起きて、「大戦争」にならないとも限らない。かかる最悪な事態を発生させないためにも、小泉首相と胡錦涛国家主席は、直通の「ホットライン」でいつでも連絡できるようにして意志疎通を図るとか、たまには、「炙ったイカ」を酒の肴に、日本酒か老酒を交わせるほどの誼を通せるような関係を早急に築くべきである。


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