世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●明治以降の日本 弱い国ほど、見せかけの「強い国家」をめざす

2017年05月20日 | 日記
激トーク・オン・ディマンドvol.11 反グローバリゼーションとポピュリズム 「トランプ化」する世界 (マル激トーク・オン・ディマンド)
クリエーター情報なし
光文社
戦争にチャンスを与えよ (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋
ポピュリズムと欧州動乱 フランスはEU崩壊の引き金を引くのか (講談社+α新書)
クリエーター情報なし
講談社


●明治以降の日本 弱い国ほど、見せかけの「強い国家」をめざす

 以下は、内山節氏の連載「たそがれる国家」の一部である。まあ、この第一章で近代国家の“終わりの始まり”に触れているが、今現在、我々は、個人的好みに関わらず寄って立っていた社会(近代社会・国家)が、スローモーションで衰退してゆく様を見ることになるのかもしれない。気づこうとして見ていなければ決して見えない、大きな大潮流時代の変化なのである。

 よくある“総論と各論問題”のようなものだが、近代社会や現代社会と云うもの、建前である理念を旗幟として、民主主義や自由主義の旗を押し立てているわけだが、実に禁欲的である。禅坊主やローマカトリックの司祭のようである。しかし、彼らの中に破壊坊主や小児性愛者が散見するように、本音がちらほら見えている。それでも、社会主義にならないためにはと云う恐怖から、建前と本音の大いなる矛盾を内蔵させながら、必死で、建前を守ることによってつくられたリベラル社会なのである。

 しかし、現実の社会は、民主主義、自由主義、公正、公平、平等等々とはかけ離れた、経済競争社会の歴史であった。不自由と不平等の上に成り立つのが、民主主義や自由主義の隠れた前提だとも言える。富国強兵や経済競争が、時代の寵児であったわけだから、そこには不自由と不平等が常に存在した。資本主義と云うもの、金が金に吸い寄せられ大きく育つ原理なので、金のニオイがしない所には寄りつきもしないように出来ている。

 無論、その状況を放置しておけば、大多数の国民は疲弊し、死滅するか、大衆蜂起によって内乱等が起きることになる。多くの労働者の生産労働で成り立っている強欲資本主義なのだが、死滅するとか、労働争議などばかり起こされるということは、生産が滞ることであり、資本にとっても死活問題になる。無論、国家も同様なことが言える。そこで、津々浦々への再分配(ほどこし)のテクニックが駆使される。

 この“ほどこし”が再分配で、社会保障の充実にあてられる。よくよく考えると、社会保障の充実も、実は、生産労働力を、生かさず殺さず穏当に確保する“資本”の知恵だともいえる。まあそれでも、応分の再配分が分け与えられるのであれば、民主主義と資本主義と云う水と油のような概念をベストミックスすることで、危ういながらも安定を保つことが出来る社会が実現する。第二次大戦以降の50年くらいは、大戦後の復旧復興で好循環していた。

 しかし、大戦後のインフラ整備などが一段落した後は、地球上に一時の平穏が訪れたのだが、それでは“資本”にとって何らのゲインもない安穏な世界が成就し、その強欲を満足させることは出来ないわけである。おそらく、その強欲は、一定の破壊と再生産(自由のための戦争)を希求しただろう。また、資本は、金融資本と云う新手の蓄財方法を生みだし、世界中の金融市場を駆け巡ることで食欲を満足させてきた。

 しかし、大戦後70年以上過ぎる辺りから、上述の自由奪還と云う名目の諍いを意図的に追加してゆく場所もなくなり、遂にはイスラム圏諸国と云う迷路でも、資本が要求する戦争を企てることになった。金融経済市場も、米欧日の金融緩和政策の限りを尽くし、“資本”の際限のない食欲を満足させようと試みているが、グローバル化した資本の資質は、金融資本を駆使する専門家の守備範囲を逸脱して、予期せぬ方向に暴走する勢力となっている。マネーがモンスターになってしまった。

 つまり、アメリカと云う覇権国家の若輩さが露呈して、収拾のつかない世界が現れつつあると云うのが現状と認識できる。若輩にして移民国家であるアメリカと云う国が覇権国であると云うことは、危機を穏便に終息させる能力も機能も知恵も持ち合わせていないので、グローバル化した民主主義や資本主義は、本来の正体を見定めること不可能な現実に直面している。こうなると、自由主義や民主主義が欺瞞的に持ち合わせていた“建前と本音”の本音が剥き出しになって、理念を主張するリベラルな勢力は衰退してゆく。

 残されたのは“本音”だけなのだから、もうこれは弱肉強食の世界である。この弱肉強食の原理は非常に単純明快なので、力のある者と単細胞の者達から好まれる。それがいま現在だと言っても過言ではない。口先だけの理念は、我が国の安倍晋三の発言を聞いていれば明快に理解出来る。最終的には、津々浦々において、社会保障を削減し、消費税を上げ続け、再配分と云う概念を取り去り、自助・共助で民は生きてゆけと云う世界に向かっている。

 ということは、国家と云うものの成り立ちの根底が覆る。つまり、国家が国家であるための、主な要素がなくなることになる。ヨーロッパ、アジア或いは太平洋地域において、国家に代わるブロック傾向が出ているのは、国家消滅の端緒と見ても良いのだろう。地政学的に見た場合、日米豪ニュージーランド、イングランド、スコットランド等々は、国家と云う線引きが地図上でもわかり易いのだが、ヨーロッパ・中東・ユーラシア、アフリカ、南米などは、国家が国家である機能を失った時、容易に、その国家の国境と云うものが限りなく薄い線になってゆくことを暗示している。

 このように、地球上にグローバリズムが蔓延することで、国家の構成要素が幾つか欠落するようになると、国家とは何なのだと云う問題が意識されるようになる。国家が、自国の国民生活への関与を薄め、民は勝手に生きてくださいとなると、税金を払っている意味も欠落する。当然、その時々の政権は支持を失ってゆくが、次の政権も同様に支持を失う。つまりは、その国を司る政府がなくなる。要するに、無政府状態の国家が現出する。まあ、原理的に考えると、国家の喪失が、どのような形で進行するかは夫々だろうが、グローバリズム拡大と再配分資源の枯渇と云うふたつの要素は、国家や国境の意味を、限りなく喪失させる。

 欧米型民主主義とは、“武士は食わねど高楊枝”の風情がある国家体制と言って良いのだろう。民主主義と云う理念(建前)を前面に押し出し、現実(本音)を抑制することで、弱肉強食になる人間社会を平準化させ、国家などの体制を維持しようと云うシステムだ。こういう風に考えてみると、民主主義も、広義な視点に立つと社会主義の範疇に属していることが歴然とする。社会主義の中に、薬味として、ほんの少々“自由競争”を加えたに過ぎないことに気づくのである。

 武士が高楊枝でいられるのは、三食を一食で済ましている程度のもので、空腹ではあるが飢餓ではない。しかし、建前を維持する為の再配分機能が、一部富裕層に富が偏在することで機能不全に陥ると、次第に状況は飢餓に向かう。つまり、建前の崩壊が起きて、民主主義体制の維持は困難になる。こうなると世の中は、本音だけが剥き出しになりギスギスした社会が現れる。このような状況になると、全体主義が抬頭する土壌が生まれるし、内向き国家も抬頭する。このような視点で、現在の世界各国の政治のダイナミックで出鱈目な現象は、その予兆と観察することが出来るのだろう。

 内山氏と筆者の考えは同一ではないが、一定の枠内において、脆い政治体制である民主主義の崩壊が起きていると云う社会の大きな変動が起きていると云う視点で一致する。内山氏は、この流れが国家の黄昏と見定める。筆者の目から見た場合、現在は民主主義の弱体化を、国家のブロック化現象で乗り切ろうとしているように見える。しかし最終的に、その試みも黄昏を迎え、国家の多くは孤立に向かうような気がしてならない。日本などは、孤立に最も必要な条件を備えた国家であり、そうすることでバランスの取れた国家体制が生まれるように思えてならない。日本が、欧米型の民主主義、自由主義を真似ようとした試みの黄昏が近づいている。歴史認識が欠如した司馬遼太郎史観“維新礼賛”の没落も近い。内山氏の連載は当分続くようなので、続編も、当ブログで逐次参考引用させていただく。


 ≪ 人類史の曲がり角!? 私たちは今、どのような時代を生きているのか
 【新連載】たそがれる国家(1)内山節

■はじめに
:次第に国家が意味を失っていく、いま世界はそんな時代に入りはじめたのではないだろうか。
:20世紀終盤にソ連が崩壊したとき、旧ソ連はいくつかの国に分解した。それが何を顕しているのかといえば、旧ソ連が国家としての意味を失っていたということである。だからそれは分解することになった。同じ時期に旧ユーゴスラビアやチェコスロバキアも分解している。それらの国もまた、国家としての意味を失っていた。
:このときは社会主義の崩壊として語られていたが、もうひとつ見逃してはいけないことは、国家の虚無化がすすんでいた、それ以前の国家が存在意義を失っていたということである。国家は黄昏化がすすむときがある。
:このときの動きは、これからの時代を先取りしていたのかもしれない。イギリスはこれからスコットランド、北アイルランド、ウエールズ、イングランドに分解していくかもしれない。ベルギーもふたつの国になる可能性を秘めているし、カタロニア地方はスペインから独立するかもしれない。そうなればバスクもまた独立をめざすことになるだろう。
:この地がイギリスであるメリットがスコットランドにとっては薄れてきたように、これからはいろいろなところで国家の虚無化が意識されていく。中国でも、少なくともチベットやウイグルでは独立が模索されつづけるだろう。
:日本をみても、沖縄にとっては日本である利益よりも不利益の方が大きくなっている。日本であるがゆえに国策によって基地を押しつけられる。とすれば独立して基地を撤去し、跡地をこれからの沖縄のために使う方が有利だと感じられける時代がはじまるのかもしれない。
:このような動きをへて、世界はどうなっていくのであろうか。

 * * *

:その前にもうひとつ、次のようなことも述べておかなければならない。それは独立という問題だけではなく、すべての人たちにとって国家の有効性が薄れてきていることである。
:今日ではあらゆる国で格差が拡大しているといってもよい。しかも先進国ではどこの国でも増税や社会保障水準の引き下げが議論されている。国家は国民にある程度の安定した基盤を提供する機関ではなくなってきた。国民にとっては、国民である有効性が低下してきたのである。
:さらに国家もまた、以前と比べれば政策の有効性が失われている。
:たとえば現在、日本、アメリカ、EUなどは、かつて例がないほどの金融緩和を継続している。これほどの緩和をすれば、インフレ化するのが普通である。ところがどこの国でもインフレは起こっていない。
:そのことは国や中央銀行が、金融のコントロール機能を喪失していることを意味している。そうであるのなら、インフレが発生したときにも国や中央銀行はインフレに対するコントロール機能をもちえない可能性が高い。
:多くの人たちが期待しているほどには、国家はその役割を果たせなくなっているのである。とするとこのような意味でも、国家の黄昏化、虚無化がはじまっていることになる。
:だがこのような変化が、制度的な国家を弱体化させるとはかぎらない。

 ■強い国家/弱い国家
:かつて1930年代にファシズムが台頭した。ドイツ、イタリア、スペイン、日本だけでなく、フランスでもファシズム政権が生まれる寸前までいっていた。
:このファシズムが指向したのは「強い国家」である。国民をひとつの政治潮流の下に統合し、政治、社会、経済などのあらゆる分野で国民総動員体制がつくられていった。
:しかしこのとき生まれたファシズム国家は、はたして「強い国家」だったのだろうか。
:そうではなかった。「強い国家」があるとするなら、それは持続性のある国家のことであり、この視点からみればファシズムは持続性のない「弱い国家」を生みだしたにすぎなかった。
:それは最近生まれたIS(イスラミック・ステイツ)が、彼らが主張したようにひとつの国家だとみなせば、制度的には批判を許さない「強い国家」をつくっていても、持続性のない「弱い国家」であるのと同じである。
:はっきり言ってしまえば、日本もまた明治になって「弱い国家」をつくったといってもよい。そしてその弱さは日露戦争によって拡大され、昭和に入るとさらに高められていった。
:日露戦争によって国民統合がすすみ、日本は「アジアの盟主」、「列強の一員」としての入り口を確立した。昭和に入ると、このかたちはますます高められていく。それは表面的には「強い国家」を成立させたかにみえた。だがその国家はたちまち崩壊していくことになる。持続性がなかったのである。
:仮に敗戦という事態がなかったとしても、この国家は持続しなかったことだろう。明治以降の日本は、ひたすら「弱い国家」をつくることになってしまった。
:このことに示されているように、根本的には「弱い国家」でありながら、表面的には「強い国家」が形成される。それは歴史上で繰り返し発生してきた。
:国家が黄昏れていく、虚無化していくとは、国家が持続する意味を低下させていくということである。だからそのような時代には、地域の独立運動も起こってくるし、国民にとっての国家の有効性も失われてくる。さらに国家の政策的有効性も低下していく。
:だがそのような時代には、表面的な「強い国家」を指向する動き、より強い国民統合をめざす動きも生まれ、この動きが勝利すれば持続性のないさらに「弱い国家」が形成されるのである。
:かつての社会主義圏の国家もそのようなものであった。それは表面的には「強い国家」であったが、根本的には持続性のない「弱い国家」だったといってもよい。
:さらに述べておけば、表面的な「強い国家」を指向する動きが強まってくる時代は、その奥で国家の黄昏化、虚無化が進行している時代だということである。
:国家の意味が低下していくから、その「危機」を克服する方向として「強い国家」がめざされ、その動きがさらに「弱い国家」を生みだしていってしまう。そしてそれは、最終的には、ひとつの時代の国家の崩壊をもたらす。かつてのファシズムや社会主義国家がそうであったように。

 ■トランプ現象の背景
:なぜそのようなことが起こるのかといえば、意味を失っていく国家があるにもかかわらず人々が国家に依存しようとすれば、その動きは国家により強力なものを求めてしまうからである。
:それは今日のアメリカ大統領選のトランプ現象をみてもよくわかる。なぜトランプが一定の支持を集めつづけるのか。その根本的に理由は、国家としてのアメリカの虚無化にある。
:ドルを基軸通貨とし、圧倒的な軍事力、経済力、政治力をもって世界に君臨したアメリカは過去のものになった。そしてそれは国内的には格差と新しい貧困や疎外感をもたらし、国家の黄昏化、虚無化を推し進めることになった。
:一部の国民には、この虚無化を発生させてしまった「犯罪人」として、これまでの「支配階級」が映っている。これまでの政治家、マスコミ、社会の既成のリーダーたち、そういった人たちがアメリカの黄昏化を招き、クリントンはその一人としてみえている。だから彼女は、その資質もあるにせよ、嫌われた大統領候補なのである。
:そしてその心情は、既存の国家を改革し、より「強い国家」を、「強い国家」の下での自分たちの地位の回復をもたらしてくれる大統領を求めることになる。
:その役割をトランプが果たしてくれるとは信じられなくても、そこにしがみつくしかない人たちを大量に生みだすほどに、いまではアメリカという国家の黄昏化、虚無化がすすんでいると考えればよい。
:だがそのような時代には、国家に依存しない自分たちの生きる世界を再創造しようという動きもでてくる。実際水面下では、日本でも、諸外国でも、その動きはさまざまなかたちでひろがっているのだが、そのことについては後に触れることにしよう。

■近代世界の終わりの始まり
:かつて、世界がグローバル化していけば国家の役割は低下するという意見があった。だがそれが幻想であることは、この間の歴史が証明している。
:確かにこの数十年の間に、企業の国際化や人、物の国境を越えた移動、通信のボーダレス化などは飛躍的に拡大した。だがそのことによって政治家も企業人も、さらにはそれぞれの国の人々も国家を不要とするような行動原理を確立することはなかった。むしろグローバル化した世界のなかでの国家間競争、そこでの支配権をめぐる争いが激化しただけである。
:中国経済のグローバル化が中国中心主義を低下させることはなかったように、あるいはアメリカがアメリカ中心主義を放棄することがなかったように、グローバル化はグローバル化した世界の下での「強い国家」をめざす動きをむしろ加速させた。
:国家の役割は、グローバル化によっては低下しない。だがいま世界ではじまっているのは、国家の黄昏化であり、虚無化である。その意味で根本的な弱体化がはじまっているといってもよい。内部から腐っていくように、国家の意味が低下していく。
:とすると、それはなぜ起きたのだろうか。
:そういう変化をとおして世界や社会はどのように変わっていくのだろうか。 そしてこれからも国家の虚無化が進行していくとするなら、それは近代世界そのものを終焉させていくことになるのではないだろうか。なぜなら近代世界とは、人々が国家の下に結集することによってつくられた世界だからである。その国家が虚無化してしまえば、近代的世界自体が土台を失うことになる。
:そういう思いをもちながら、私はしばらくこのテーマを追いかけてみることにする。
  ≫(現代ビジネス:国際―連載“たそがれる国家”・内山節)



 

明治維新の正体――徳川慶喜の魁、西郷隆盛のテロ
クリエーター情報なし
毎日ワンズ
シドモア日本紀行 (講談社学術文庫)
クリエーター情報なし
講談社
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

●米国の脳と心臓、軍産複合体とCIA トランプ大統領はメッセンジャー

2017年05月12日 | 日記

 

広告業界という無法地帯へ
クリエーター情報なし
毎日新聞出版
電通と博報堂は何をしているのか (星海社新書)
クリエーター情報なし
講談社


●米国の脳と心臓、軍産複合体とCIA トランプ大統領はメッセンジャー

 米国が英国に代り世界の枢軸国になって以降の歴史をつくづく眺めてみれば判ることだが、アメリカ合衆国と云う巨大な国の骨格部とそれを動かしているセクションは、我々がニュース等々で目にすることが多い、ホワイトハウスの面々ではないと云う事実に出くわす。

 その昔、ソ連邦・ゴルバチョフ書記長、大統領によるソ連邦の大改革、ペレストロイカ(立て直し)において、国家体制を立て直そうとしたわけだが、保守派や強大な官僚組織の抵抗に遭い、改革はソ連邦の体制をグチャグにし、その体制の崩壊に至った。政治家としてのゴルバチョフを評して、成功と失敗が拮抗することになった元凶の一つが官僚機構だった。特に、テクノクラート(高級技術官僚)だったが、世界的に、国家や大きな組織を運営する為の必要悪のように、官僚制は存在する。この官僚制は、自由主義な民主主義体制においても、多くの体質的な問題が浮上し、民主主義そのものをなし崩しにしてしまう性格を有している。

 ≪ 官僚制(かんりょうせい)は、比較的規模の大きい社会集団や組織における管理・支配のシステムである。一般に官僚制という場合は、「近代官僚制」のことを指す。(Wikipedia)≫と云うものなので、社会集団の管理支配システムなのだから、余程注意深く社会が対官僚体制をチェックしなければならない。ところが、この官僚体制をチェックする更なるチェック機構を設けることは、屋上屋を重ねる愚に繋がるため、有益ではない。

 官僚制は、権限の原則、階層の原則、専門性の原則、文書主義という規律に基づき粛々と業務を遂行する行政システムで、主に国・地方自治体各省庁役所を舞台に行われている有効なシステムである。専門性、文書主義に精通しているので、民主主義によって選出された立法府の議員たちにとっては、なくてはならない存在でもある。立法府の下請けのような地位でありながら、選挙で選ばれた議員たちの知恵袋な存在でもあり、時に、その主客が転倒することも屡々だ。

 屡々と表現したのは、皮肉的表現で、多くの場合は、立法を行政がコントロールすることが常態化している。下出に出ながら、官僚たちに都合の良い一条が加えられるなどは日常茶飯事である。また、法律にグレーゾーンを紛れ込ませることで、役人による裁量行政が実行出来る法的根拠を手に入れることにも長けている。当然、屋上屋を重ねることで、省益権益の増強に努めるのは宿痾的でさえある。省益権益の増強は直接間接的に個人の利益誘導にも繋がっている。汚職とか、そう云う犯罪に関係なく、自己を正当化した上で、自分の利益の為に動ける職業は官僚くらいのものだ。

 その結果、民主主義国家においては、この官僚の存在が、欠くべからざるものである、と同時に、民主主義が機能不全に陥る獅子身中の虫を、必要悪として抱えるジレンマを持つ。彼らは常に自己増殖を科せられた人種である。実質50歳定年のような現在の人事では、定員数を増殖させる必要よりも、ポストを増殖させる課題が常に突きつけられている。半分は被害者な面もあるが、民主主義国家の国民から見れば、反民主的勢力でもある。

 安倍政権などは、このような官僚制の問題点の克服に、彼ら官僚の最も興味の対象である人事権を掌握、彼らを意のままに操ろうとしているのだが、敵もさるもの引掻くもので、安倍主導の法案であっても、行政、ここでは官僚が政治家を御する、様々な条文や条項が埋め込まれ、数年後、数十年後にしっぺ返しを喰らい、政治家自身の自由を奪う。過去においての政治資金規正法しかり、現在進行中の共謀罪にも、安倍を貶める罠が埋め込まれているかもしれない。

 民主主義においては、立法府の議員(時に政党など)や行政の長である総理大臣は、実はうたかたの身であり、永遠と云った確固たる継続性を持たない。それに引きかえ、官僚制は半ば永遠であり、そのシステムは継続的である。どちらが強いかは、自ずと答えが見えている。このような仕組みは、民主主義国家においては、多かれ少なかれ存在する。日仏などは典型的だが、米中においても、彼らの力は侮れない。アメリカが、軍産複合体やウォール街やイスラエル勢力からの影響を強制的に受けるのは当然のことなのだ。

 お隣の韓国と云う国は、官僚制の醸成が不十分な国であったため、大衆の情緒や集団的抗議で政権が倒れることがある。このような現象が好ましいものかどうか、判然とはしないのだが、或る意味で、半民主主義的ではあるが、実は準民主的である皮肉を見ることが出来る。アリストテレス以来、あらゆる民主制が試みられているのだが、未だ解に至っていない。筆者などは、これだけの歴史的検証実験によっても正解のない民主制には、どこか重大な欠点があるのではと懐疑的になる。かといって、独裁制が良いとも思わない。賢人な絶対君主制が理想だが、賢人は滅多にいないし、継続性がない。以下の記事は、上述コラムを書くに至った、きっかけになった記事。


≪活気づく米軍需産業 専門家「今ほど楽観的な状況ない」
 「米国第一」を掲げるトランプ米政権のもとで、軍需産業が活気づいている。同盟国などに防衛費の負担増を求める一方で、恩恵を受ける米防衛産業大手の株価は過去最高水準で推移。こうした効果を見込んで企業に要求を突きつけるトランプ流の「ディール(取引)」が透けて見える。
 「今後4年で相当なプログラムが進んでいく。エキサイティングな時だ」
 3月下旬、ホワイトハウスに近いホテル。広々とした宴会場に集まった軍需業界や投資会社などの数百人を前に、国防総省のシェイ・アサド防衛価格局長はそう訴えた。
 トランプ政権が誕生してから100日超。トランプ氏の政策に期待をかける業界の一つが軍需業界だ。  4月初めにワシントン郊外で開かれた軍需業界のイベントの会場には、米航空機大手ロッキード・マーチンやボーイングなど大手企業がブースを出し、空母や戦闘機シミュレーター、ドローンなどの模型が所狭しと並んだ。参加した金融業界のアナリストは「今ほど楽観的な状況はないよ」と興奮気味に話した。
 トランプ政権は2月末、国防費を540億ドル(約6兆円)増やす方針を打ち出した。政権の貿易政策を担う国家通商会議(NTC)は、貿易と安全保障という二つの分野の「つなぎ役」を担い、防衛産業という米国の「製造業」の底上げを狙う。
 NTCのナバロ議長は3月、米紙のインタビューで、「我々が相当な貿易赤字を抱える国は、赤字を減らすために製品や分野ごとに協力する必要がある」と指摘。「化学品、トウモロコシ、潜水艦、航空機など、我々からより多く買えば目標は果たせる」とし、日本などに米製品輸入拡大を求める考えを示した。
 米商務省の昨年の報告書によると、2015年の世界の防衛費は約1・7兆ドル(約190兆円)で、米国が約4割を占める。報告書は「中東での紛争激化やテロによる世界情勢の緊迫化は、世界の軍事費を押し上げ、米国の軍需輸出企業の世界市場での機会につながる」と指摘する。輸出先は首位のサウジアラビア、台湾、豪州と続き、日本は6位。米国の航空・防衛産業の輸出額は、米国のモノの輸出全体(約1・5兆ドル)の1割近くを占める。
 トランプ氏は選挙中、北大西洋条約機構(NATO)を「古い同盟」と呼び、加盟国に防衛費の負担増を求めた。NATO加盟国の防衛費の増加は、米国の軍需産業という、世界最強の「製造業」を潤わせることにつながる。
 これは一方で、国内企業に対し軍需産業を活性化させる代わりに、政権の言うことを聞けというトランプ流「ディール」でもある。
 トランプ氏は、メキシコに工場を移転させる計画だった空調機器大手キヤリアに対し、「大量の雇用流出だ」と批判。計画を見直させた。キヤリアの親会社のユナイテッド・テクノロジーズ(UT)は、世界有数の軍需企業でもある。
 さらにトランプ氏は、ロッキードに最新鋭戦闘機F35が高価すぎると主張し、値下げを認めさせた。ボーイングに発注した大統領専用機エアフォースワンも高すぎるとして「発注はキャンセルだ」とツイートするなど、何度も批判した。
 一見「いじめ」に見えるが、海外への武器や装備の輸出で恩恵を受けるのは、こうした軍需産業。ロッキード、ボーイング、UTの株価は今、いずれも過去最高水準で推移している。
 ただ、トランプ氏の主張通りに政策が進まなければ、期待が急速にしぼむおそれもある。
  ≫(朝日新聞デジタル:ワシントン=五十嵐大介)


 ≪ 偽旗合州国
Finian Cunningham 2017年4月25日
:大胆な偽旗やプロパガンダ行為、より一般的には、組織的な真っ赤なウソを広める上でアメリカ合州国政府は世界をリードしている。法外な国際法違反の戦争や侵略を正当化するためだ。
:現大統領で全軍最高司令官のドナルド・トランプ自身が欺瞞的なアメリカ諜報機関の標的になり、"ロシア工作員との共謀"で非難された。認めるのはまれなことだが、今週、ワシントン・タイムズはトランプに関するアメリカ諜報機関書類は"虚構だらけ"と報じた。
:ところが皮肉にも、トランプは、今やシリアや北朝鮮との紛争をあおる破廉恥なアメリカ・プロパガンダのパイプ役を演じている。
:後者の場合、アメリカによる狂った挑発の結果、いつ何どき世界大戦が起こりかねない。今週のアメリカ原子力潜水艦朝鮮半島配備もトランプによるもう

■一つの無謀な挑発だ
:今月初めの化学兵器攻撃事件とされるものを巡り、トランプ政権はシリアに対し更なる経済制裁を課した。スティーヴン・マヌーチン財務長官は "徹底的経済制裁"は"無辜の男性、女性や子供に対するシリア独裁者バッシャール・アル・アサドによるぞっとする化学兵器攻撃"に対するものだと述べた。
:ロシアのゲンナジー・ガティロフ外務副大臣は、4月4日にシリア政府がイドリブ県で化学兵器を使用した証拠が無いのだから、最新のアメリカ経済制裁 "根拠がない"と述べた。
:実際、MITの兵器専門家、アメリカ人のテオドール・ポストル教授など何人かの評価の高い国際的権威者は、化学兵器攻撃事件に関するアメリカ公式説明を切って棄てた。アメリカ政府と欧米マスコミが提示している唯一の"証拠" は、犠牲者とされる人々のビデオだ。つまり、アルカイダとつながるテロリストと、ホワイト・ヘルメットとして知られる連中の広報機関が提供したビデオだ。このテロ集団は、サウジアラビアとカタールの金で資金を得て、アメリカ、イギリスとフランス軍諜報機関が作ったものだ。
:だから、4月4日のイドリブ化学兵器攻撃事件は、アメリカの対シリア軍事攻撃を誘発するため、欧米が支援する代理テロリストがしかけた"偽旗"というのが一番もっともらしく思える。言い換えれば、子供を含む無辜の人々が致死的化学剤により殺害された背筋の凍るような光景のビデオ丸ごと、欧米マスコミによる宣伝用のものなのだ。これは初めてのことではない。2013年8月のダマスカス近郊での"化学兵器攻撃"事件も、おそらくテロ集団による、もう一つの背筋の凍るような策略だ。
:だから、アメリカ大統領は自国の諜報機関が画策した偽旗事件を引き合いにして、4月7日の対シリアミサイル攻撃命令を正当化しているのだ。そして今我々は、更なる常軌を外れた対応で、アメリカ政府が対シリア懲罰的経済制裁を課するのを目にしている。
:きわめて重要なのは、化学兵器攻撃事件が起きたとされるハーン・シャイフーンでの、ロシア、イランとシリアによる公正な現地調査実施要求を、アメリカ、イギリスとフランスが阻止している事実だ。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣が指摘してる通り、事実は、シリアにおける政権転覆という連中の狙いの邪魔になるので、欧米列強は、実際、一体何が起きたのか知りたくないのだ。
:シリアに関するエセ説明にテコ入れする方法として、今週アメリカ・マスコミは北朝鮮がシリア政府に化学兵器技術を提供しているとする "記事"を報じた。例によって、検証可能な証拠は提示されておらず、更なるこけおどしの主張やでっち上げの説に過ぎない。
:しかし、これがどういうことになるのかは分かる。大統領や、アメリカ諜報機関が支配するマスコミに言わせて、欧米諸国民をおびき寄せ、偽りの論理や偏見を抱くよう、アメリカ当局が、侵略を正当化する法的、道徳的付託を得るために、アメリカ諜報機関が手を尽くしているのだ。北朝鮮-シリアのでっちあげられたつながりは、好都合にも一石二鳥を可能にする。
:プロパガンダ活動をする"報道機関" により支援され、煽られる、アメリカ政府のだましのパターンは典型的手法だ。戦争、紛争や侵略を仕掛ける連中の覇権への野望を推進するため、アメリカ支配階級は、歴史上、偽旗や歪曲や露骨なウソを、終始何度も繰り返し、駆使してきた。
:近代国家として1776年の建国以来、歴史の95パーセント以上の期間、外国に戦争をしかけてきたアメリカ合州国のような国は、必然的に、そうした何十年も続く戦争行為の驚くべき実績を可能にすべく、付随する戦争挑発プロパガンダ体制が必要なのは全く当然だ。
:例えば、1898年、ハバナ湾で、アメリカ戦艦の一隻メイン号を意図的に沈没させ、米西戦争を始めるのに利用した事件をあげることができる。あの戦争は、アメリカが、西半球における帝国主義大国として登場するための鍵だった。
:1915年、アイルランド沖での民間客船ルシタニア号沈没は、ドイツをはめるための意図的な破壊活動の一例で、アメリカは、それを第一次世界大戦参戦に利用した。
:より最近では、事件自体、アメリカ諜報機関が仕組んだプロパガンダ妙技である可能性が高いニューヨークの9/11テロ攻撃の報復として、アメリカによる戦争を売り込むため、アフガニスタンはアルカイダ・テロリストを匿っているやら、イラクの大量破壊兵器やらというアメリカのでっち上げの主張が持ち出された。
:アメリカ当局が偽旗事件を仕組んだもう一つの露骨な例は、トンキン湾事件で、これは、アメリカがベトナム戦争をエスカレートする口実として役だった。1964年、共産主義北ベトナムが、アメリカ海軍艦船に発砲したとされるでっち上げがされたのだ。この出来事で、アメリカ政府は、ベトナムに通常の軍隊を派兵することが可能になった。この10年戦争で、約50,000人のアメリカ軍兵士と、300万人のベトナム人が亡くなった。唯一恩恵を受けたのは、アメリカ大企業とペンタゴン戦争機構だけだ。
:もちろん、戦争行為や犯罪を隠蔽するのに、ウソの口実を使うのはアメリカだけということはない。だが歴史のあらゆる客観的研究からして、戦争挑発を推進するための偽旗やウソやプロパガンダの最大の広め屋としては、アメリカが比類無く傑出していることに疑いの余地はない。世界中の何十もの国々を破壊し、何千万人もの死者をもたらしている戦争挑発行為だ。
:現在、我々は、アメリカが率いる戦争の瀬戸際にいる。シリアは化学兵器を巡る露骨な偽旗を仕掛けられているが、欧米が支援するテロ集団による不快なへたな芝居である可能性が非常に高い。
:欧米が支援する代理テロリストを打ち破るため、シリアと理にかなった同盟を組んでいるがゆえに、ロシアとイランも、論理の延長上、アメリカ・プロパガンダ体制により、"悪の枢軸"の一部として中傷されている。
:最も不安に感じられるのは、北朝鮮に対するアメリカの偽旗工作だ。どこの国とも戦争をしていないこの小さな独立国は、実際は、アメリカによる攻勢 - 原子力潜水艦や戦艦がその沿岸を航行する攻勢の被害者だ。
:ところが、地球丸ごと破壊するのに十分な何千発の核兵器を保有する国のトランプ大統領は、北朝鮮に"世界最大の脅威"とレッテルを貼っている。
:何より、戦争をしかけ、人々を抹殺するため、終始ウソをでっちあげる支配者が支配しているのだから、アメリカ合州国が、地球上最も危険なテロ勢力だ。全軍最高司令官とされるドナルド・トランプ大統領本人さえ、アメリカのウソの標的だ。これ以上混乱させられることがあり得ようか?

*本記事の見解は、もっぱら筆者のものであり、必ずしも、Sputnikの公式な立場を反映するものではない。 Finian Cunningham (1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、彼の記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまでは、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務。彼は音楽家で、作詞家でもある。彼は約20年間、The Mirror、Irish TimesやIndependentを含む主要マスコミで、編集者、筆者として働いた。 記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/201704251052983749-the-united-states-of-false-flags/

----------

ロシアを専門とする先生が、Sputnikはロシア国営放送なので、ロシア政権に好都合な虚報を流すことがあると発言していた。 不思議なことに、〇×は日本国営放送なので、日本政権に好都合な虚報を流すことがあると発言した立派な方を見た記憶がない。 ならずもの国家、テロ支援国家と他国を呼び、天に向かって唾を吐く宗主国。 同じ価値観を持つといって、宗主国の侵略戦争に協力して派兵する戦争法案を推進するため、文句を言う連中は一般国民ではなくし、しめつける共謀罪は必要不可欠。 大本営広報部大政翼賛会、しつこく「北朝鮮の挑発」を言い続ける。特に昼間の痴呆番組。少女殺人事件、老人侵略戦争事件。ゴールデンウイーク・グルメ情報。森友問題は、学園の虚偽申告による補助金取得問題ばかり。国有地の違法値引きには触れず、当事者は別荘でゴルフを楽しんでいる。
これ以上混乱させられることがあり得ようか? 呆導、見続ければ本当に阿呆になれるだろう。眺めている小生も既にそうだ。 筆者は95%としているが、以前翻訳した下記記事では、93%となっていた。 アメリカは、その歴史のうち93% - 1776年以来の、239年中、222年間が戦争 ポール•’クレイグ•ロバーツ氏の論説の末尾に加えた小生の駄文に、コメット様から以下コメントを頂いているが、ポール•’クレイグ•ロバーツ氏の論説へのコメントとして扱うことが、ポール•’クレイグ•ロバーツ氏の意思にそうかどうか小生にはわからないので、本記事中にコピーさせて頂く。小生、Cunningham氏がここであげているアメリカによる陰険な偽旗挑発行為を含めた意味で「危機のでっち上げ」と書いている。
 ポール•’クレイグ•ロバーツ氏の論説もブログ主様の解説もよく理解出来ます。
 ただ、今回の北朝鮮危機「でっち上げ」問題について気になる事があります。USSカール•ビンソン空母打撃群に日本の海上自衛隊駆逐艦「あしがら」と「さみだれ」が合流して、日本海で「共同訓練」を行っている事です。これはスプートニクにもロシア•トゥデイにも書かれていたので間違いないと思います。また、横田基地から飛び立った高高度偵察機ドローンが北朝鮮核施設上空を飛行したことも事実でしょう。これに対し北朝鮮の金正恩総統が、米国、韓国、日本を名指しして、ミサイルのターゲットにする、と警告しました。今回はまだ何も起こっていませんが、もし米軍が戦争を意図して、ミサイルを「誤射」した場合(例を挙げれば切りが無い)米国、韓国につづいて日本にも危機が及ぶ可能性はゼロではありません。言葉の使用上の問題として、「危機のでっち上げ」という表現は誤解を招くおそれがあると思っています。  ≫(マスコミに載らない海外記事より)

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/05/post-43f4.html


東芝 大裏面史
クリエーター情報なし
文藝春秋
日本中枢の狂謀
クリエーター情報なし
講談社
コメント   トラックバック (1)
この記事をはてなブックマークに追加

●グローバルと呪文唱えて罠に嵌る日本人 企業も政治も

2017年04月29日 | 日記

 

不寛容社会 - 「腹立つ日本人」の研究 - (ワニブックスPLUS新書)
クリエーター情報なし
ワニブックス
田中角栄 政治家の条件
クリエーター情報なし
ビジネス社
国ゆたかにして義を忘れ (河出文庫)
クリエーター情報なし
河出書房新社


●グローバルと呪文唱えて罠に嵌る日本人 企業も政治も

 以下のコラムの主である山田厚史氏は、老害、親米企業家・西室泰三氏をやり玉に、その企業家としての重大なる責任を厳しく追求している。その点に関して、何ら異論はない。ただし、東芝も日本郵政も、この超親米な西室と云う一人の無能な企業家の大罪であると同時に、日本の企業人全体に言える、アングロサクソン・コンプレックスのようなDNA的な問題が隠れて存在していることも忘れてはならないのだろう。

 アングロサクソン・コンプレックスは伝染病のように広がり、富士フイルム、 第一三共、キリン、リクシルと一流企業が海外投資案件で痛い目に遭っている。おそらく、例示した企業以外にも、軽く痛い目に遭っている企業もあるのだろう。思いおこせば、バブル全盛時には、三菱地所がロックフェラー・センタービルを買収したり、日本のバブル資金で、全米の主だったビルすべてを買えるとまで言われた。しかし、その買収で、企業価値を高めた事例はゼロだった。西室氏も、この程度の歴史は知っていたはずだが、米国信仰が目を曇らせてしまったのだろう。

 バブル期は、金が湧き出てくる感じなのだから、社員への“おすそ分け”もかなりなものだった。給与賞与もさることながら、交際費、タクシーチケット等々、経費予算もふんだんにあった。つまり、津々浦々にトリクルダウンしたのである。しかし、その後、このバブル期の反省から、トリクルダウン的な振舞いをやめてしまった企業は、その金を、内部留保と云う形でしまい込んだ。法人税も引き下げられ、意味なく内部留保金は増えていった。

 バブル崩壊後、日本の企業に、節約志向文化が定着した。その間、世界を取り巻く経済事情は、自社の業務拡大や事業強化と云う世界的潮流のM&Aに、日本企業も巻き込まれることになる。この時、アングロサクソン的な自己評価は、安倍晋三並みの自画自賛なことを、日本の企業人は忘れてしまうようだ。その内部留保していた金は、自社社員の汗と涙で積み立てられたという自覚もなく、M&A仲介業者の売り込みを鵜呑みにし、M&A後の、自社の雄姿などを思い描く。そして、半数以上は、利益どころか、負債で汲汲になると云うことだ。

 特に、アングロサクソン系の企業買収は、殆ど成功していないかもしれない。つまり、日本企業人のM&Aは、その企業の総資産表そのものを買うことで、その企業は自分のものだと思ってしまう。しかし、現実は、困難がつきまとう。先ずは、M&Aした企業の業務に精通した専門職が不足しており、本業の技術的知見、現地人材の人事マネージングなど、現地において、実際に飛び込まなければならないのだが、日本のサラリーマン社長の多くは、金で買うイコール自分のものだと錯覚する。M&A成立は、被買収企業の買収効果を得る土俵に昇ったに過ぎず、そこから相撲を取ることを忘れているのが実態。

 ゆえに、”えっ!聞いていなかった!そんな負債があったのかい?えっ!そんな子会社があったのかい?” そこに、買収企業の負債の山が隠されていたとか、もう散々な目に遭うと云うことだ。しかし、日本電産やソフトバンクなどの買収を見ていると、日本人サラリーマン社長の買収劇は、幼稚園児が金を握って買い物をしている甘さが露呈する。政治の世界でも、グローバルな政治家の世界展開は、安倍晋三は極端で話にならないが、金を配りに行くことと心得ているようだ。過去の哲学者の名前など云われても馬耳東風、白人貴族社会の血統に晒される彼らとは、真の会話など何ひとつ出来ないのが真実だろう。

 筆者の感じる範囲では、日本人がM&Aに向かない人々と云うこと。創業社長によるM&Aが概ね成功裡に推移していることを考えると、サラリーマン社長のM&Aは危険が一杯と云うことになる。個人的な感想になるが、島国で、日本人中心の企業文化で生きてきて成功した人物は、M&Aに向かない人々、そんな印象を受けてしまう。或る意味、このような性向は、グローバル世界において、適材適所ではない人々と云うことになるようだ。


≪日本郵政4000億損失、元凶はまたも元東芝・西室泰三氏

 


 日本郵政は豪州の物流会社トール・ホールディングの資産を洗い直し、4003億円の損失(減損処理)を明らかにした。鳴り物入りの「戦略的買収」は、わずか2年で財務を揺るがす「お荷物」と化し、日本郵政の2017年3月期決算は赤字に転落する。
  「疑惑の買収」を主導したのは当時社長だった西室泰三氏。東芝を泥沼に引き込んだ米国の原発メーカー・ウエスティングハウス(WH)の買収を画策した人物だ。
 法外な値で海外企業を買い、やがて損失が露呈し、カネを外国に吸い取られる。そんな経営者が財界の顔役となり、老いてなお巨大企業を渡り歩く。日本の産業界は一体どうなっているのか。

 ■構図、巨額さ、役者までもが
既視感のある日本郵政の減損
 25日記者会見した日本郵政の長門貢社長は、「買収した時の価格がちょっと高過ぎた。リスクの把握が楽観的だった」と語った。  買収価格は6600億円。当時から「高い買い物」と言われた。現時点の資産価値は2600億円ほどで買収価格との差、約4000億円が「のれん代」として計上されている。
 のれん代とは、トールを買収すれば将来これだけの利益をもたらすだろう、と「取らぬタヌキの皮算用」を金額にしたものだ。
 アジアに展開するトールのネットワークと日本郵政の潤沢な資金が融合すれば、4000億円ぐらい取り戻せる、と日本郵政は説明していたが、「絵に描いたモチ」だったことが明らかになった。
 トールは金の卵を産むアヒルではなく、従業員2000人の削減を迫られるメタボ体質の企業でしかなかった。
 2015年に決めた買収は、「ほとんど西室社長が一人で決めた買収だった」と日本郵政の関係者はいう。この年の秋に郵政3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の上場が予定されていた。
  「政府の保有株を段階的に放出するため、株価を上げるためのお化粧が必要だった」
 日本郵政のOBは指摘する。政府の収入を増やしたい財務省の意向を踏まえ、郵政グループを実態より大きく見せる「化粧道具」にトール買収が使われたというのだ。
 郵政グループは利益の80%以上を郵便貯金が稼ぐ。郵貯は昔のような優遇措置がなくなった。規模は年々減っている。上場に弾みをつけるため、国際物流進出という大風呂敷を広げ、買収で売り上げと利益を膨らませたのである。
 目先の「打ち上げ花火」に6000億円が使われたということだ。描いてみせたシナリオは、 「国内の郵便事業は頭打ち。成長を求めれば海外しかない。郵便で得た知見を国境を超える物流に生かせば国際企業になれる」
 どこかで聞いたセリフではないか。 「国内の原発には限界がある。世界市場に打って出るしかない」  東芝が米国でウエスティングハウスを買った時のうたい文句とそっくりだ。

■カネさえあればの安易な買収
実効支配できず損失だけが残った
 東芝はWHを6400億円で買った。ライバルの三菱重工が「企業価値の3倍の値段だ」と驚くほど気前のいい買収だった。決断したのは当時の西田厚總社長だが、西田を社長に据え、背後で操っていたのが西室だった。相談役でありながら実権を握り、経産省や米国政界と通じ、裏で買収を画策した。
 考えれば分かることだが、東芝にはウエスティングハウス(WH)を支配する力はない。日本の原子力産業は米国の技術で育った。原子力は軍事技術であり、WHは原子力空母や潜水艦などを抱える機密情報の塊だ。米国が日本の自由にさせるわけはない。
 資本関係は親会社であっても、実際には「弟会社」。東芝は「口出しできない株主」でしかなく、アメリカ人経営者のやりたい放題を許し、巨額の損失だけを押し付けられた。
 カネさえあれば買収は可能だ。しかし経営の実効支配はたやすいことではない。
 西室は日本郵政で過ちを繰り返した。トールの買収を決めた2015年2月は、東芝の不正会計はまだ表面化していなかったが、社内では社長・会長が号令を掛け、決算の粉飾が常態化していた。経営陣を追い込んだのは無理して買ったWHだった。「絵に描いたモチ」は食えず、ひた隠しする損失が財務の重荷になっていた。西室はその事実を知る立場にあった。
 東芝の原子力部門は、「原子力ムラ」でもたれ合い、リスク感覚は希薄で、海外ビジネスの怖さが分からない。気が付くと、甚大な損害が発生していた。
 トールも同じ。国内の郵便事業で育った日本郵政は国際物流など分からない。「現地のことは現地で」という西室流の甘い経営がトールを弛緩させ、損失を膨らませた。 「半径10キロ内の配送業でしかない郵便事業と、船やジェット機で国境を超える国際物流は別物。言語も文化もの違う大企業を、国内しか知らない素人が支配するなどできるわけはない」と関係者は言う。

 ■海外M&Aの裏に内部留保あり
その原資は従業員の汗と涙
 富士フイルムは、このほど3月期決算の延期を発表した。海外子会社で会計の不正処理が発覚し、その調査が終わらず決算ができないという。東芝がWHの足を取られているのと同じことが富士フイルムでも起きている。
 ゴキブリ1匹、裏に100匹というが、海外M&Aが活発化する裏で、不正会計やガバナンスの欠如が日常化しているのではないか。
 第一三共はインドで製薬会社を買ったが4500億円の損害を出した。キリンはブラジルで1100億円、LIXIL(リクシル)はドイツで660億円を失った。日本企業は外資金融のカモにされている、と金融界で言われている。 「手っ取り早く国際市場に打って出るには合併・買収しかありません」とけしかけられ、その気になる。同業他社が皆やっているので、やらないと不安になるらしい。
 内部留保を抱えこみ、使い道に悩むキャッシュリッチの企業がM&Aでカネを毟られているのだ。
 そんな経営者が必ず言う言葉がある。「時間を買った」。生き残るために技術革新が必要だ。人を育て開発体制が強化する時間はもうない。手っ取り早く技術やノウハウを得るには会社ごと買うしかない――。
 なまじカネがあるから、その気になる。年間利益の10倍を超える買収さえ珍しくなくなった。結果は、死屍累々である。
 金持ち企業の失敗、と他人事のように、笑っている場合ではない。M&Aブームは企業のリストラや社員の非正規化など、企業の現場で起きている様々な問題と裏表の関係にあるのだ。
 バブル崩壊でペシャンコになった企業は、1990年代からリストラに励んだ。手を付けたのが人減らし、給与カット、従業員の非正規化である。
 実質賃金は90年代半ばから下がり始めた。従業員の取り分を示す労働分配率はこのころから急速に下降した。会社の取り分である内部留保はどんどん膨らむ。バブル崩壊や銀行の貸し渋りに懲りた経営者は、企業の貯金を殖やすことで安心感を買った。
 おかげで日本企業の内部留保は370兆円(2016年)と空前の規模に膨らんだ。ところが副作用が目立つようになった。競争力の低下である。人員削減でベテランが居なくなり、現場は荒れ、従業員の士気は低下した。新技術や新製品を産み出す力が衰えた。肥料も水もやらず収穫ばかり急いだ結果、現場は干からびてしまった。

■近視眼の経営者と 「親米財界人」の罪深さ
 そこを金融外資が狙う。「カネはあるがチエがない」という弱みが企業にあった。
 本来なら国内の労働環境を改善し、研究開発体制を再建するのが経営者の役割だろう。そんな悠長なことをする時間がない、次の決算で頭がいっぱい、という短期業績主義が産業界の主流になった。
 内部留保370兆円のかなりの部分は従業員の犠牲の産物だ。汗と涙が企業の貯金を殖やした。そのカネが外国企業の買収に充てられる。汗と涙の結晶は海外に流出する。その投資で利益を稼ぐ、というならまだ許せる。6000億円投資して4000円損した。背徳行為ではないのか。
 日本郵政は国内で商売している。津々浦々の郵便局が、職員を減らし非正規に代え、預金を集め、郵便を届け、ツメに火を灯すようにして稼いだカネである。国内の儲けは国内に還元するのが好循環経済の原則ではないのか。
 国内のカネを海外で使えば、国内消費を減らし、外国の消費を増やすことになる。M&Aブームは労働現場の疲弊によって生まれ、その失敗は国富を流出させる。
 東芝を見れば分かるだろう。米国原子力業界の不始末を東芝が引き受け、宝物である半導体部門を外資に売る。その失敗が日本郵政で繰り返された。
 西室泰三は「親米財界人」として評判が高い。経済摩擦や通商交渉の裏で動いた人物として知られている。 「日米同盟」と呼ばれる今日の日本とアメリカの関係は「同盟」と呼ぶような「対等な関係」でないことは読者諸兄もご存じだろう。その関係は、経済にも投影する。親米財界人は、米国に都合のいい人物であることが多い。
 長かった米国勤務をバネに東芝で社長・会長として君臨した西室は、日米財界人会議の日本側の座長を務めた。やがて東京証券取引所の会長になり、民営化される日本郵政の社長に収まった。 「老害経営者」ともささやかれるほどの人物を、そこまで押し上げた力は何か。西室は、誰のために、何をしたのか。その航跡は改めて書く。 (デモクラシータイムス同人・元朝日新聞編集委員 山田厚史、文中一部敬称略)  ≫(ダイアモンドONLINE)

暗い時代の人々
クリエーター情報なし
亜紀書房
ワシントン緊急報告 アメリカ大乱
クリエーター情報なし
日経BP社
日本はなぜ原発を拒めないのか──国家の闇へ
クリエーター情報なし
青灯社
コメント   トラックバック (1)
この記事をはてなブックマークに追加

●何かが違う、米英・EU・露中・中東アフリカvs日・豪・ASEAN ・南米

2017年04月26日 | 日記



アメリカで感じる静かな「パープル革命」の進行とトランプ大統領誕生の理由
クリエーター情報なし
シャスタインターナショナル
新政権で米国はこう変わる! トランプ解体新書 (日経BPムック 日経ビジネス)
クリエーター情報なし
日経BP社


●何かが違う、米英・EU・露中・中東アフリカvs日・豪・ASEAN ・南米

 見出しは、ザックリとした括りだが、どこか前者と後者には、言うに言われぬ温度差を感じる。それが何なのか、筆者は充分には理解していない。大局的な感想だが、前者は苛立つように国や社会が熱く動いている。後者は、前者同様なファクターでは動いてはいるのだが、どこか情熱的ではない。良く言えば、牧歌的な感じだ。牧歌的とは穏当な表現で、気づいていない国家や人々と云う感じだ。結局は、メディアが正当な批判能力に欠けている国々と云う側面も、ありそうだ。

 無論、局地的には、冗談じゃないと云う激しい闘争が繰り広げられているのだろうが、メディアなどを通じて知る限り、情熱や情念や怨嗟や理念のようなものに突き動かされ、ダイナミックに、且つ暴力的に動いている地域と、そうではない地域と云う印象を持つ。

 この差は何なのだろうと考えるのだが、明確な答えは得られていない。民主主義、自由主義の後進性に由来する面もありそうだが、一律ではない。敢えて探すとなると、対米関係の距離感などにポイントがありそうだ。日豪は完璧に、アメリカの属国と認定しても良いので類似性がある。南米は、対米において、親米反米感情が拮抗した地域であり、且つ距離の近さから、米国諜報機関の訓練場のようにもなっている。また、カストロやゲバラの影響を受け、日豪やNATOのように、イエスマン国家になり得ない国家的環境があるのだろう。常に、南米では、どこかで国家的抗争が起きているが、常にCIAの関与が噂されている。

 日豪と形態こそ異なるものの、米・英・EU・露・中・中東・アフリカ等々の国々の、米英覇権型世界に影響を与える勢力圏からは遠ざけられている。その意味で、ASEANにも、同様の臭いがある。残念ながら、日豪、ASEAN、南米や韓国などは、米国の支配が強すぎて、抵抗する手立てをほとんど持っていないと考えても良いのだろう。無論、抵抗することが不可能ではないのだが、アメリカナイズされた、行政機関や社会習慣、国民が、雲のように覆っているアメリカ支配を痛みとして感じない以上、抵抗は自ずと限られる。つまりは、哲学と縁遠い、怪しげな民主主義を鵜呑みにした国家や地域の共同体意識は、ひどく脆弱だ。

 米・英・EU・露・中・中東。アフリカなどで起きている、政治変革や内戦やテロなどには、時代の流れを感じる。グローバルな世界構築が、限界点に達したうめき声が、この地域にはある。日本の安倍などは、未だに、グローバルな世界構築は永遠なりと、突き進んでいるわけだが、今や世界の潮流は、その落とし処、次なるフェーズ探しに悶々としているのだ。この、世界的流れを、肌で感じない、日本の国民、政治家、行政機関等々は、結局意志なき共同体、謂わばロボット装置のような人間の塊りと云う認識で終わるのかもしれない。いま現在の安倍政権などは、実際問題、世界の流れに逆らって生きている、そんな感じの政権だが、過半数の支持を得て安泰なのだから、治安が好くても、米・英・EU・露・中・中東、アフリカなどから、何歩も遅れた国地域なのだな、そんな感慨を持つ今日この頃だ。

*以下は、世界が時代への温度差で、奇妙に二分化されている事情に関して役立ちそうなコラムを参考掲載しておく。


≪ 私たちはどんな時代を生きているか〜世界を覆う新しい「戦争の構造」
蔓延する武力紛争、危機的な国際秩序





 ■アレッポ陥落が象徴するもの
2016年はアレッポ陥落の知らせによって終わることになった。
:この12月、欧米系のメディアやSNS、あるいは国連機関やNGOは、アレッポに関するニュースやアピールなどであふれかえった。われわれが生きる時代の象徴のひとつが、シリアのアレッポだろう。
:アレッポで見られたのは国連やら国際社会の人道主義やらの限界だけではない。
:そこには、アメリカの力の低下のみならず政策の迷走が大きくかかわっていた。あるいはロシアやトルコやイランの地域的な影響力が明白になっていた。そして中東内部の宗派対立の図式に沿った分断が色濃く反映されていた。
:さらに言えば、中東の諸国に代表される20世紀国民国家の存在の脆弱性が劇的なまでに露呈されていた。
:冷戦終焉直後の1990年代初頭に歴史的な最大値を記録した世界の武力紛争数は、その後の約20年間でゆっくりと減りつづけた。しかしその傾向は、過去5年間ほどの間の急激な武力紛争数および紛争犠牲者数の増加によって、終止符を打たれた。
:今日の世界では、冷戦直後の記録を抜く数の武力紛争が発生している。われわれは歴史的な数の武力紛争が蔓延している時代に生きている。その傾向を牽引しているのが、中東であり、シリアである。
:2001年の9.11以降、アメリカのブッシュ大統領は「体制変換」を狙う軍事行動で中東に「民主化のドミノ現象」を起こそうとした。その後、「アラブの春」と呼ばれた大衆運動が巻き起こった。
:しかし2010年代の6年間において、中東の独裁政権の崩壊は、「混乱のドミノ現象」しか生み出さないことが明らかとなった。
:拙著『国際紛争を読み解く五つの視座―現代世界の「戦争の構造」』(講談社選書メチエ、2015年)においては、冷戦終焉とともに世界標準のイデオロギー体系となった自由主義を標榜する米国およびその同盟国群が維持している国際秩序にたいして、いくつもの深刻な挑戦がなされていることを論じた。
:2016年の世界情勢は、その国際秩序が、さらにいっそう深刻な危機にさらされた年であったと言えよう。

■自由主義的な国際秩序にたいする挑戦
:『国際紛争を読み解く五つの視座』では、自由主義陣営が中心となって維持している国際秩序にたいする挑戦を、地域ごとの特徴を持つものとして描き出した。
:東アジアには勢力均衡論、ヨーロッパには地政学の理論、中東には文明の衝突論、アフリカには世界システム論、アメリカには成長の限界論という視座を適用し、各地の紛争の構造的な背景も明らかにすることを試みた。この視座は、2016年の世界をふりかえる際にも有効だろう。
:東アジアでは新たな超大国・中国の台頭が、伝統的な地域の勢力均衡を揺るがせている。
:7月、国連海洋法条約(UNCLOS)にもとづく南シナ海仲裁裁判所が、中国の領有権の主張を退ける判決を下した。ところが提訴国であるフィリピンに生まれたドゥテルテ大統領は、むしろ中国に配慮を示して多額の援助を受け入れながら、反米的発言をくりかえした。
:2015年末からおこなわれている米海軍による南シナ海における「航行の自由」作戦も、その効果は不明瞭である。
:ヨーロッパでは、ウクライナ情勢が硬直化している間に、シリア問題への対応をめぐるロシアとトルコの間の駆け引き、難民大量流入をめぐるヨーロッパ諸国とトルコの間の駆け引きが顕在化した。そのなかでマッキンダー流の地政学でユーラシア大陸の政治情勢を見る視点が、いっそう重要になった。
:「ハートランド」としてのロシアの南下姿勢と、それを食い止めようとするヨーロッパ諸国のロシアへの根深い警戒心、そして両者の中間に立つ位置を占めるトルコの存在感は、2016年も顕著であった。
:なお6月にイギリスでEUからの脱退の是非を問う国民投票が実施されたが、ブレグジット派の勝利によって、史上初めてEUが拡大を停止し、縮小しはじめることになった。これは地政学的意味における「海洋国家」群と「大陸国家」群の再編を予兆させる大きな歴史的分岐点になりうるだろう。
:ユーラシア大陸の東と西で、勢力均衡や地政学の視点から理解すべき権力政治の動向が激しくなっている。
:いずれの場合でも、欧米諸国を中心とする諸国が既存の国際秩序の維持を目指す一方で、有力な非欧米国がその秩序に挑戦しているという流れが出てきている。

■イスラム世界内の「文明の衝突」
:よりいっそう激しい政治動向を見せたのが、マッキンダーの言う「世界島」の中央に位置する中東であった。
:2016年はサイクス・ピコ協定締結100年目にあたったが、あらためて中東の政治秩序の脆弱性に注目が集まった年でもあった。
:イラクからシリアにかけて広がる戦乱は依然として甚大であった。イスラム国の組織的勢力は削ぎ落とされているが、壊滅したわけではなく、むしろ組織化されていないテロが拡散する傾向がある。シーア派とスンニ派の対立構造は、イエメンなどを舞台にして、中東の至るところで激しいものでありつづけた。
:統計上はイランとサウジアラビアでは紛争が起こっていない扱いになるが、両国の間では地域的覇権争いが激しい。
:イランの東側であるアフガニスタンとパキスタンから、北アフリカのリビアなどにかけてのイスラム圏は、現代世界の紛争地帯の中核だ。
:文明の衝突論は、あまりにも通俗化されてしまった。文明の存在を実体的に考えすぎるならば、それは非現実的なフィクションでしかない。戦うのは常に人間であり、文明ではない。
:しかし本来の文明の衝突論で問題なのは、文明といった概念で表現しうる人間集団のアイデンティティが、現代世界の紛争に大きく関わっているという認識だ。
:もともとサミュエル・ハンチントンが1990年代前半に文明の衝突の着想を得たのは、当時のボスニア・ヘルツェゴビナの紛争などからであった。それはアイデンティティの境界線をめぐる闘争が武力紛争を引き起こす、という見かたであった。
:ところがハンチントンは、世界的規模の文明の衝突をめぐる議論では、西洋文明vsイスラム文明という対立図式に焦点を定めた。少数の過激主義者がいるだけでイスラム文明は西洋文明と対立していないというエリート層の公式見解を、ハンチントンは否定した。
:2016年の大統領選挙で勝利したドナルド・トランプは、ハンチントンに親和性のある見かたを持っているだけだとも言える。
:今日の中東では、紛争が地域に内在するかたちで頻発している。おそらくは対テロ戦争の勃発にともなうアメリカの中東への直接介入が、流れを変えた。 中東内部に西洋文明の暴力が入りこんでしまえば、中東内部において文明の衝突の現象が誘発されるようになる。そしてヨーロッパ人が定めた国境線を超えたイスラム主義の運動が必要だという議論が勢いを持つようになる。さらに、そのことがかえってイスラム文明の内部の紛争も誘発するようになる。
:拙著『国際紛争を読み解く五つの視座』で論じたが、イスラム文明圏の統一が目指されるがゆえに、イスラム世界の代表の地位を得るための中東内部の紛争も劇化するのである。スンニ派対シーア派という対立図式が非常に重要なものとなるのも、文明の代表をめぐる争いが切実なものとなっているからだ。 文明の衝突論は、対テロ戦争の時代における西洋対イスラムという対立図式だけでなく、真正なイスラムの代表をめぐる地域内の「内戦」の構図にもかかわる視点なのだ。
*イスラム国という具体的な政治運動は長続きしないかもしれないが、同じような現象はくりかえされるだろう。なぜなら終わりの見えない対テロ戦争の国際政治構造が、文明の代表をめぐる地域内の戦いもまた誘発するからである。

 ■中東の紛争構造に影響されるアフリカ
ところでアフリカに目を向けてみるならば、過去数十年の間、一貫してそうであったように、依然として紛争多発地域だ。しかし20年前と比べてアフリカが変わったのは、南部アフリカが平穏化したことである。
:代わって北・東・西アフリカで新たな紛争が起こりつづけている。サハラ砂漠の南側のサヘル地域が、紛争多発地帯として立ち現れてきた。マリ、ナイジェリア、チャド、スーダン、南スーダンなどが、具体例である。
:厳密にはサヘルには属さないが、政治的には同じようなサハラ砂漠を越えてくる中東の影響を受けやすい帯に属する紛争地域として、さらに中央アフリカ共和国、ソマリアなどの紛争地が存在している。
:基本的な構図として、北アフリカでは「アラブの春」以降の中東の混乱が、継続して発生している。サヘル地帯の諸国では、イスラム過激派勢力が台頭し、紛争状態が蔓延している。ボコ・ハラム、AQIM、アル・シャバブなど、アルカイダやイスラム国の影響を受けているテロリスト勢力が紛争に大きくかかわっている。今日のアフリカの戦争は、中東を震源とする紛争構造に大きく影響されながら進展しているのだ。
:1990年代以降、世界の地域紛争分析の主な対象は、アフリカだった。甚大な「格差」が広がる「世界システム」の中で、冷戦終焉の余波を最も激しく被ったのがアフリカだった。
:中東を震源とする「対テロ戦争」が継続中の現代世界においては、別のかたちをとりながら、アフリカは新しい時代の構造的な影響を激しく受けているのだとも言える。

 ■対テロ戦争とトランプ大統領
:過去25年ほどにわたって、多くの識者が同時代を「冷戦終焉後」の世界と描写してきた。近年は、新しい冷戦が始まった云々といった言説で、「冷戦終焉後の後」の国際社会が語られる場合が見られるようになった。
:だが世界の紛争状況を見るかぎり、「冷戦終焉後」の時代はすでに相当前に終わっていたと言うべきだろう。すでに新しい世界戦争の構造が発生している。
:われわれは、「対テロ戦争」という終わりが見えない新しい構造的な世界戦争の時代に生きている。「対テロ戦争」とは、中東で、アフリカで、アジアで、ヨーロッパで、アメリカで、甚大な影響をまき散らしている世界的規模の構造的な戦争のことである。
:アメリカではトランプ政権が誕生する。「アメリカ・ファースト」を掲げる大統領の就任によって、アメリカは数々の国際協調の場面から撤退することになるだろう。自由主義的価値規範の世界的な広がりを推進していた冷戦終焉以降のアメリカの外交政策に、トランプは大きな変化をもたらすだろう。
:しかしそれは、日本のマスコミが言う「孤立主義」の政策だけをトランプが採用することを必ずしも意味しない。中東で大規模な軍事介入を試みるということはないだろう。しかしそれでも安全保障面でアメリカが「対テロ戦争」の構造から逃げ出すことは想定しにくい。
:むしろ「対テロ戦争」の構図の中で、勝ち抜くことを目指していくだろう。そのとき、戦争の構造は、いっそう強くわれわれを縛りつけることになるだろう。
:日本の高校の教科書で「孤立主義」と描写されている「モンロー主義」が導入された19世紀前半のアメリカでは、たとえばアンドリュー・ジャクソン(第7代大統領。ちなみにジェームズ・モンローは第5代大統領)が白人男子普通選挙を導入して「ジャクソニアン・デモクラシー」を進めた時代だった。
:そのジャクソンは、インディアン(ネイティブ・アメリカン)にたいする大量虐殺や強制移住を主導する苛烈な人種差別主義者であった。
:トランプもまた、国際協調主義からは逸脱するとしても、なお経済面において、そして軍事面において、アメリカの利益を確保するかたちで無限の「成長」を追い求める大統領になるのではないか。
:トランプの言説を見ても、安全保障政策にあたるトランプ政権の閣僚の顔ぶれを見ても、「対テロ戦争」の構造は、トランプ政権下のアメリカによって弱められることはないと予測するのが妥当だ。
:2017年を通じて、アメリカの同盟国である日本は、その現実を思い知らされることになるかもしれない。

*篠田英朗――1968年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。同大大学院政治学研究科修士課程修了。ロンドン大学(LSE)で国際関係学Ph.D.取得。広島大学平和科学研究センター准教授などを経て、現在、東京外国語大学総合国際学研究院教授。専攻は国際関係論、平和構築。著書に『国際紛争を読み解く五つの視座』(講談社選書メチエ)、『集団的自衛権の思想史―憲法九条と日米安保』(風行社)、『国際社会の秩序』(東京大学出版会)、『平和構築と法の支配―国際平和活動の理論的・機能的分析』(創文社、大佛次郎論壇賞受賞)、『「国家主権」という思想』(勁草書房、サントリー学芸賞受賞)、『平和構築入門』(ちくま新書)などがある。
 ≫(現代ビジネス:東京外国語大学教授・篠田英朗)



 

総力取材! トランプ政権と日本 (NHK出版新書)
クリエーター情報なし
NHK出版
「トランプ時代」の新世界秩序(潮新書)
クリエーター情報なし
潮出版社
コメント
この記事をはてなブックマークに追加

●イカレテる安倍官邸 何ごとも「問題ない」の糞官房長官

2017年04月16日 | 日記



スノーデン 日本への警告 (集英社新書)
クリエーター情報なし
集英社
グローバル・ジャーナリズム――国際スクープの舞台裏 (岩波新書)
クリエーター情報なし
岩波書店
なぜメリル・ストリープはトランプに噛みつき、オリバー・ストーンは期待するのか ハリウッドからアメリカが見える (幻冬舎新書)
クリエーター情報なし
幻冬舎


●イカレテる安倍官邸 何ごとも「問題ない」の糞官房長官

 稲田朋美と云うドアホ防衛大臣が、こともあろうか4月26日からGW利用で、アジア外遊?まさかと思うが、本当のようだ。ドアホの上に、状況判断に気配りさえ出来ない無神経女のようである。サングラスで腐れかけた目は隠せるだろうが、腐れかけた頬っぺたも心根も隠せない、いっそブルカを被るべきと思ったが、ブルカでも不十分だろう。

 かと思えば、お得意の第二立法府である“安倍閣議決定”で、こともあろうか、あのナチス、ヒトラーの獄中著書「我が闘争」を、条件付き(「教育基本法等の趣旨に従っていること等の留意事項を踏まえた有益適切なものである限り、校長や学校設置者の責任と判断で使用できる」)だが、部分的引用であれば教材としての活用を否定しない。そう言えば、「教育勅語」においても、教材使用を否定しないと閣議決定した。レベルの高い水準における判断であれば、それなりに高尚な判断だが、安倍内閣が、このような閣議決定をした場合、“カッコイイじゃないか”という、戦争モノ嗜好を助長する“百田尚樹レベル”であり、高尚な教育思想から来るものとは思えない。単なる“好戦嗜好”に過ぎない。

 まあ、嘘をついても 証拠を隠滅しても 忖度行政(裁量行政)させようと 文書を真っ黒にして情報開示だ!と言おうとも 戦渦寸前に防衛大臣が日本脱出しようとも 米露と二股外交しようとも 友達に国有財産ディスカウントしようとも “モンダイナイ、問題ない“と官房長官のひと言。糞菅の問題ないのイントネーション、秋田弁なのか、韓国弁なのか、酷く耳障り。これが、安倍晋三の「美しい国」であるなら、広辞苑の“美しい”或いは“国”の項目は、早急に書き変えなければならない。

 ところで、数少ないリベラル論壇のエース古賀茂明氏が、週刊プレイボーイの連載コラムを読んでみた。現時点の判断と云う意味では、極めて常識的模範コラムなのだが、どこか心許ない。古賀氏の主張においては、相手が、キチガイであったり、根っからの悪であったり、やむにやまれぬ苦渋の選択等々の事情が考慮されていない点が気がかりだ。国家の安全保障や外交を、相手側の性善説に立脚していることは、本来正しいのだろうが、世界を見渡す限り、国家性善説には、諸手を上げて賛成する気にはなれない。

 それでは、追加の米国・トランプ政権の、あらゆる事態を想定して、選択肢をテーブルに並べる国家安全保障の考え方も参考に、筆者の、根本的考えを述べておきたい。おそらく、社会学者の宮台真司氏の、「重武装中立」に近いものになるようだ。核保有に至るかどうかを議論する必要はない。持っても持たなくてもいいのだが、いずれにしても使えない武装が核保有だ。ただ、核保有国と対立が激化する国際情勢になれば、その保有も是とする。

 日本が重武装する以上、それ相当の国家財政上の負担は余儀なくされる。しかし、世界にも稀な自然豊かで農業や林業、漁業に恵まれた国土で、工業国であるとか貿易立国を自負している明治維新以降の西洋文明にひれ伏すような国家観は大いなる間違いだ。大都会、東京、大阪までを特区とするくらいの水準に、チェンジするのが日本の本来の国家観だ。大きくなり過ぎたコミュニティには、血の通う社会は生まれない。共同体の縮小は、喫緊の課題と云える。

【 --話は変わり、外交戦略として重武装中立化を提唱しています。
宮台:従来はアメリカの核の傘の下で、防衛費を削って利権配分にいそしむことができた。簡単に言えば敗戦国として旧敵国の言うがままに近代化をし、アメリカに従うのが習い性になった。しかし、対米追従が日本に豊かさをもたらすという時代は、20年前、1988年の第2次竹下内閣時の日米構造協議で終わった。
 もはや重武装中立化が外交カードとして有効だ。アメリカは小泉内閣のときに憲法改正を要求してきた。その代償は重武装化による対米中立とたきつけたら、アメリカは突如、憲法改正要求をやめた。これは、現実に重武装中立化するかどうかではなくて、それを外交カードとして使えることを意味する。

--日本のあり方では、柳田國男に盛んに言及していますね。
宮台:『定本柳田國男集』が出版されているので、「風景の話」を読んで検証してほしい。生涯後期にイネの文化の本質は何であったかに議論の中心が移っていく。これは、自分たちの社会が成り立つ本質はどこにあるのかということ。公共性というのが今日的な意味では枠組みになるが、どういう道具があればみんながコミットメントするか、と考える。
 それは簡単に言えば日本の場合は国土ないし国土保全。いっしょに同じ空間にずっと長くいられることから人間関係に強い関心が生じる。国土、つまり自分たちの生きている風景や風土にコミットメントする。これが日本人の生きる動機のガソリンといえる。
 国土が荒廃したり、便利で、生涯賃金が高ければいつでもどこにでも移動すると思うようになれば、日本におけるパブリックコミットメントはなくなる。

  --「原点」に回帰を促す。
宮台:基本は農業振興。OECD加盟国の多くは耕地面積が6割ある。それが日本は1割をきる。日本は他の先進国より階級や宗教、血縁へのコミットメントが薄く、相対的に国土へのコミットメントが深い。日本こそ耕地面積比率が高くあるべきなのだ。これは食糧安全保障の観点からだけではない。農業は景観や人間関係を保全することにも役立つ。
 農業利用の土地生産性はどこの国でも例外なく低い。それがわかっているから多くの国は、税金で農家の所得の大半を賄う。農民は国家公務員に近い。フランス8割、イギリス7割、アメリカは6割の現金収入が税金だ。農産物の価格支持はやらない。逆に所得が保証されているので農産物価格は高くしなくていい。その状況の下で貿易をするので農産物が国際競争力を持つ。
 日本も四の五の言わずにそうすればいい。予算も人員も利権も張り付き総組み替えしないとやれないが、いずれはそうなる。そうならないと日本は生き残れない。
 ≫(聞き手:塚田紀史 撮影:代 友尋 =週刊東洋経済抜粋)】

*上述のようなことも踏まえて、古賀氏の意見を読んでみる。

 古賀氏の【支持率も史上最低というトランプ大統領。北朝鮮クライシスを演出することで、米国民の関心を内政から外政へと転換したいと考えても不思議ではない。「今こそ団結を!」と訴え、求心力を取り戻す作戦だ。】に付け加えると、議会運営上、共和党右派を取り込む必要が喫緊の課題になっているホワイトハウスとしては、彼らの言い分に沿った行動が求められているのだろう。フェイクで構わんから、世界の警察の地位は確保せよと。

 古賀氏の【北朝鮮は、いつか米国に攻撃され、イラクやリビアの二の舞いになるのではないかと恐れている。このアメリカの脅威に対抗するために、米本土を狙う核ミサイルの開発を行なっているのだ。】に付け加えると、最近の米国は、根拠の乏しい戦争を繰り返している。警察官と云うよりは、火付け盗賊的ならず者国家そのものになっている。遠くベトナム戦争があるが、911以降アフガン、イラク、リビア、ウクライナ、シリア、南米社会主義国との諜報戦‥等だが、どれをとっても、本来の正義や義憤によって、戦いが行われている歴然たる証拠がない。証拠の殆どは、マッチポンプ的であり、米軍が出動するために用意された証拠に基づいている。つまり、米国が動かなければ、自由主義と民主主義によって、最低限の平和が保証されていた国々で、アメリカの言うアメリカンデモクラシを強要するための戦争であり、軍産複合企業の業績に寄与する戦いに終始している。到底、日本に人が理解している正義の警察官ではないようだ。

 古賀氏は【北朝鮮は、いつか米国に攻撃され、イラクやリビアの二の舞いになるのではないかと恐れている。このアメリカの脅威に対抗するために、米本土を狙う核ミサイルの開発を行なっているのだ。】イラク、リビア、北朝鮮などに関しては、CIAによる現地のNPOやNGOを利用する選択が不可能なので、即奇襲攻撃になるわけだが、一応民主主義を標榜する国家では、CIA等々米国の影響下にある様々な機関が、その国家を支配コントロールする。日本や韓国豪州も、この手の国家であるが、当該国家の人々の多くは、まさか、自国が、あらゆる手法でコントロール下にあるとは思っていない。ウクライナはじめ、党欧諸国、南米諸国などは、この米CIA等のコントロールが有効打になっている。安倍官邸も、完璧なコントロール下にある。

 古賀氏は【トランプ政権が北朝鮮を攻撃すれば金正恩委員長はすぐ対米報復に動く。しかし、米本土を攻撃する能力はないので、ターゲットの最有力候補は在日米軍基地ということになるわけだ。】たしかに、常識的に考えると、北朝鮮のミサイルは米軍基地(三沢基地)を目標とするだろうが、貧者の一灯ではないが、彼らも知恵を絞るに違いない。米軍基地攻撃では、一気に総攻撃を喰らい、早々にフセインのイラク状態になるだろう。しかし、米軍基地周辺であれば、攻撃したのは日本本土であり、米軍攻撃ではない。弘前や大舘辺りに落とせば、反応しなければならないのは自衛隊、つまり、安倍官邸なのである。逆に、安倍はトランプさんに、参戦してくださいとこいねがう立場になる。案外、北朝鮮が本当に撃つとしたら、エクスキューズの余地が残る、日本のどこかの確率の方が高そうだ。

 今回のカールビンソン空母打撃群のプレゼンスは、単に脅しを掛け、北朝鮮の核開発やICBM構想を諦めさせる積りだった。しかし、金正恩の過剰反応で、ミサイルが日本本土に落ちたとして、米国は、どのような行動に出るか、不確かだ。米国にとっての国益を考えれば、日米同盟発動とは一線を画す可能性は大いにある。筆者は、米国は、日米安保の適用外と判断すると考えている。つまりは、こう云う場合に、日本はどのような対抗軸を持ちうるか、そういう問題である。

 中国、北朝鮮、ロシア、アメリカなど安保問題周辺国は、おいそれと、核による戦争に突っ走るとは思えない。常識的な範囲の武器、高性能の爆弾投下はあるだろうが、あくまで通常兵器の枠内、悪くても化学兵器、生物兵器の範囲だろう。つまり、核抜きの、高性能兵器と汚い兵器が想定される。敵国領土に上陸するというよりは、海空中心の空中戦と情報戦(ネット関連)になるだろう。このような範囲だけでも、日本の自衛隊は単独で装備されていない。日米は一心同体状況にあるわけだが、当然猛烈な主従関係にある。関係する他国に対してのコケオドシとしては、一定範囲通用するが、コケオドシの範囲以上ではない。

 古賀氏は【今、日本がすべきことは、敵基地攻撃能力を保有して、この戦争に加担することではない。まずトランプ政権に無謀な北朝鮮攻撃はやめろと忠告することだ。そして同時に金正恩委員長に対して、日本がトランプ政権に攻撃を思いとどまるよう説得するから、北朝鮮も自重してほしいと外交サインを送るほかない。】と平和主義な解説をしているが、筆者は、米国も北朝鮮も“ならず者国家”だと分析しているので、古賀氏の考えは穏当であるが、妥当性はないのだと思う。同氏にしてみれば、ポジショントークの一種だと思うべきである。

 赤旗の記事なので、丸々信じるわけにはいかないが、核兵器保有と云うのは、真面目に維持管理すると、酷く金を喰ううシロモノだと言える。米国を例に取ると、【【赤旗ニューヨーク=山崎伸治】今後10年の米国の核兵器関連経費が、最大6610億ドル(約52兆円)となるとの試算を米国の非営利組織(NPO)がこのほど明らかにしました。】一年間に5兆円と云うことです。それで、この核兵器、保有すると強気になれる兵器だが、殆どの場合、“無用の長物”となる可能性が大きいものである。あるぞあるぞと思わせることで、意味のある兵器かもしれない。

 まあ、核兵器保有は無意味としても、ミサイルを撃ち込まれたら、それを迎撃するミサイル防衛システムは、重武装すべきだろう。専守防衛の立場は明らかにしながらも、攻撃されたら、倍返しする能力を単独で保持していると云う態勢は必須と考える。この考えにおいては、アメリカと云う国は、近い将来、トランプが初心で語ったように、内向的国家にならざるを得ないと考えているからだ。

 グローバリズム経済と自由主義経済の限界が見えている以上、覇権国の地位は、次第に低下するもので、ステート概念が強まり、各国が障壁作りに躍起になる筈である。世界の右傾化は、家に閉じこもることと同義だと解釈すべきである。ある日、米国は日米安保を維持することに疲弊する可能性が大いにある。古賀氏は【敵基地攻撃能力は百害あって一利なし】と言うが、日本は「伝家の宝刀は持っているが、出来れば抜きたくはない。」こんな国家の安全保障体制が構築されることが望ましい。無論、核は保有しない。

 核爆弾の撃ちあいは、最終的に人類の破滅、ハルマゲドンなわけで、核を保有してようといまいと、結果は同じだ。早目に滅びるか、10年後に滅びるか程度の差である。悠久の歴史を考えれば、同時と変わらない(笑)。日本に広島長崎の100倍の威力の原爆を100発撃ち込まれ、放射能だらけの火の海となり、日本人は死滅する。しかし、偏西風は地球上を巡り、永遠に周回するわけだから、結局、全員死に至る。堀江貴文君は火星に向かうだろうが、火星で飢餓に苦しみ、同じく死滅するのじゃなかろうか?


≪ 日本は敵基地攻撃能力を保有すべき? 原発や東京が攻撃に晒され、戦場になる!
 今年に入り、ミサイル実験を繰り返す北朝鮮と、その挑発に激しく反応するトランプ米大統領。
 それを背景に安倍政権内では「敵基地攻撃能力」論が高まっているが、『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は「日本を戦場にしてはいけない」と危機感をあらわにする。
* * *
 自民党の安全保障調査会が、安倍政権に「日本も敵基地を攻撃する能力を持つべき」との提言を行なった。この背景には北朝鮮・金正恩党委員長とトランプ米大統領の間で過熱する挑発合戦がある。
 今年に入り、北朝鮮はミサイル実験を繰り返している。しかも、アメリカ本土を射程に入れた大陸間弾道ミサイルの完成も近い。さらに、かなり大規模な6度目の核実験も行ないそうだ。
 これにトランプ大統領が激しく反応している。米中首脳会談を目前にした4月3日には、「中国が解決しなければ、われわれがやる」と、北朝鮮のミサイル基地への「先制攻撃」を示唆するかのような発言をした。
 政権発足以来、選挙中の公約が次々と議会に拒否されるなど、さえない状況が続き、支持率も史上最低というトランプ大統領。北朝鮮クライシスを演出することで、米国民の関心を内政から外政へと転換したいと考えても不思議ではない。「今こそ団結を!」と訴え、求心力を取り戻す作戦だ。
 実は、米朝はいまだ戦争中である。米朝が戦った朝鮮戦争は53年に停戦になっただけで“終結”はしていない。北朝鮮は、いつか米国に攻撃され、イラクやリビアの二の舞いになるのではないかと恐れている。このアメリカの脅威に対抗するために、米本土を狙う核ミサイルの開発を行なっているのだ。
 在日米軍を攻撃対象にすると宣言しているのも、まさに北朝鮮の敵は米軍だということを明示するためだといってもよい。
 トランプ政権が北朝鮮を攻撃すれば金正恩委員長はすぐ対米報復に動く。しかし、米本土を攻撃する能力はないので、ターゲットの最有力候補は在日米軍基地ということになるわけだ。
 このとき、トランプ大統領は、盟友・安倍首相に「一緒に戦おう」と声をかけるだろう。安倍首相は、日本は攻撃を受けていないという理由で参戦を断れるだろうか。首脳会談で異常なまでのトランプ氏へのすり寄りを見せておいて、いまさら「別行動」などとは口が裂けても言えないはずだ。「存立危機事態」を宣言して参戦するだろう。
 そうなれば日本は、まさに米国と並んで北朝鮮の敵となり、米軍基地だけでなく、日本全土の原発や東京などの大都会が攻撃されることになる。
 先制攻撃でミサイル基地を全滅させればよいという主張もあるが、北朝鮮のミサイル技術は進歩している。一度に4発ものミサイルを移動式発射台から同時に撃つ能力も誇示したばかりだ。VXガス搭載ミサイルが何十発も飛んでくるかもしれない。そのうちの数発でも撃ち損じれば、国内の犠牲者数は数千人単位になるかもしれない。
 日米韓の協力で、北朝鮮に勝つことは可能だろう。しかし、数千人の犠牲者を出して、「勝った」と喜べるのか。
 今、日本がすべきことは、敵基地攻撃能力を保有して、この戦争に加担することではない。
 まずトランプ政権に無謀な北朝鮮攻撃はやめろと忠告することだ。そして同時に金正恩委員長に対して、日本がトランプ政権に攻撃を思いとどまるよう説得するから、北朝鮮も自重してほしいと外交サインを送るほかない。
 日本を戦場にしてはいけない。敵基地攻撃能力は百害あって一利なし。逆に日本の安全を脅かしかねないシロモノなのだ。

●古賀茂明(こが・しげあき) 1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年に退官。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)。インターネットサイト『Synapse』にて「古賀茂明の時事・政策リテラシー向上ゼミ」を配信中 ≫(週プレNEWS 4/15(土))


プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)
クリエーター情報なし
中央公論新社

 

中国のフロンティア――揺れ動く境界から考える (岩波新書)
クリエーター情報なし
岩波書店

 

世界から格差がなくならない本当の理由 (SB新書)
クリエーター情報なし
SBクリエイティブ




コメント
この記事をはてなブックマークに追加