世相を斬る あいば達也

「デモクラシーの限界 その先にあるもの」という視点に立って世相を斬る。唯我独尊の誹り怖れず

●ないものねだりの民主主義? 人類に、英知があるとは思えない

2016年07月02日 | 日記
帝国議会と日本人――なぜ、戦争を止められなかったのか(祥伝社新書) (祥伝社新書 472)
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●ないものねだりの民主主義? 人類に、英知があるとは思えない

今夜は引用文が長いので、筆者の考えはさて置くことにする。正直、民主主義を評価するほど、民主主義を信奉していない筆者が、とやかく言うのは差し控えたい。ただ、小田嶋隆氏の、独特な独白的警句は、色んな考えに行きつく、民主主義及び直接民主主義の危険な側面を炙り出しているし、参議院選における反知性的候補や、都知事選における同様な候補が、どの程度の票を集めるのか、非常に興味深い。敢えて、参議院選比例区の誰とか、都知事選候補の誰とかは、言わずもがなである。

結論として、小田嶋隆氏は、ウィンストン・チャーチルの≪It has been said that democracy is the worst form of government except all the others that have been tried.≫(民主主義は最悪の政治形態らしい。ただし、これまでに試されたすべての形態を別にすればの話であるが。)に行きついたようだ。いく分長めにチャーチルの1947年の演説を引用すると、
≪Many forms of Gov¬ern¬ment have been tried, and will be tried in this world of sin and woe. No one pre¬tends that democ¬racy is per¬fect or all-wise. Indeed it has been said that democ¬racy is the worst form of Gov¬ern¬ment except for all those other forms that have been tried from time to time.…≫
(筆者意訳:多くの政府が様々な政治形態を試みました。そして、贖罪に満ちたこの世界は、今後も試行錯誤を繰り返すでしょう。誰も、民主主義が万能な政治形態などとは言っていない。それどころか、最悪の政治形態とも言われている。しかし、これまでに試されたすべての形態を別にすればの話であるが……)となる。

ただ、チャーチルが見聞きしたことのない政治形態は、1947年当時であることも考慮に入れておくべきだ。第二次大戦の戦勝国であり、アメリカと並び称される連合国の雄であったわけだが、「大英帝国」を失うと云う歴史的悲劇も味わっている。当然、それ以降の英国は、世界の覇権をアメリカの奪われ(譲り)、国連の常任理事国と云う地位に甘んじている。そして今、英国は、民主主義の一つの選択肢、「国民投票」と云う直接選挙で、EUと云う壮大な歴史的試みから、ドロップアウトすることを選択した。これが、吉と出るか凶と出るか、それは問題ではないと筆者は思う。「自分のことは、自分で決める」それが許されただけ、英国は健全だとも言える。

我が国で言えば、「改憲勢力」が勢いづく英国の「国民投票」の結果だろう。小田嶋隆氏が指摘するように、今夏の参議院選、都知事選の某候補たちの集票いかんでは、改憲発議などしても、「国民投票」で拒否するから、現時点では、安倍自民党の好きなようにさせておけば良い、という論法が否定される可能性も視野に入れておくべきだ。「こんな馬鹿な!」叫んでも、あとの祭りなのだから。怖いと思うよ、民主主義も直接選挙の「国民投票」も。平安時代に藤原氏が「陰陽道」に憑りつかれた気持ちも判らないわけではない(笑)。民主主義以上の精度を持つ政治形態があり得るか、多くは否定的だが、特殊な時代、特殊な国や地域によっては、民主主義並みか、それ以上精度のある政治形態は、有るのだと思う。


 ≪  “良識ある”民主主義の愚かな決定
 英国がEUから離脱する、と、国民投票で決まった。
 なんと言っていいのやら。適切な言葉が見つからない。
 Webを掘り進めて、各メディアに掲載されている解説記事を読んで、内外の有識者のコメントに耳を傾ければ傾けるほど、何が起こっているのかがわからなくなる。
「何を言ってるんだ。結論は極めてシンプルじゃないか」
 と言う人がたくさんいることは知っている。
 そういうふうに自信を持って断言できるタイプの人は、おそらく日本で同じような国民投票が行われることがあったのだとしても、同じように自信に満ちた態度で一方の結論を選ぶのだろう。  私はそういうタイプではない。
 わからないことはわからない。
 しかも、直感で理解できないことについては、考えれば考えるほどわからなくなる。昔からそういうことになっている。
 なので、現時点では、英国のEU離脱そのものについて何かを言おうとは思っていない。
 どちらかといえば、彼の地の国民投票がEU離脱を選択する結果に落着したことへの、内外の反響から浮かび上がってくる感慨についてあれこれ書いてみたいと思っている。
 まずひとつ目は、今回の投票結果を踏まえて「ポピュリズムの怖さ」という言い方が蔓延していることの不気味さについてだ。
 もう少し詳しく言うと、ここしばらく、メディアに載る記事やテレビの中で紹介されるコメントの中で「民主主義」という言葉と「ポピュリズム」という言葉が、無造作に使い分けられている感じがして、そのことがずっと気になっているということだ。
 なんというのか、投票や世論調査の結果で、望ましくない結果が出た場合に、その結果をもたらした調査の過程や投票の背景を「ポピュリズム」という 言葉で分析している同じ人間が、望ましい投票結果については、「民主主義の勝利」「民意の重い選択」という言葉でそれを賞賛している感じがしているわけです。
 悪い結果はポピュリズムの作用で、良い結果は民主主義の成果だと言っているその人たちの中で、両者の区別はついているのだろうか。区別がついているのだとして、その区別の根拠は、自分にとっての結果の好ましさ以外に、何があるのだろうか。
 「民主主義」と「ポピュリズム」を分かつものの正体について、はっきりとした言葉で言及している人は少ない。
 実際、メディアを通してものを言う人間にとって、このあたりの議論は墓穴になりかねない。
 なんとなれば、「民意」や「民主主義」とされているものについてうっかりものを言うと、「愚民蔑視」「大衆蔑視」「選民思想」と決めつけられてしまうからだ。
 なので、多少とも世間知を持った人々は、通常、民意や民主主義や投票結果に苦言を呈する時には、「ポピュリズム」という言葉を使う。そう言っておけば、少なくとも表面上は、民主主義を批判したことにならず、その主体である民意を否定したことにもならないからだ。
 マズいステーキを食べさせられた客が、それまで「熟成」と言っていた言葉を翻して、「鮮度」という言い方でシェフを罵倒する態度に似ていると言えば似ている。
 民主主義自体を、直接マナイタに載せる論者もいると言えばいる。 
 舛添要一前都知事がテレビのワイドショーや週刊誌上で総叩きに遭っていたタイミングの6月16日に、古市憲寿という社会学者が、以下のような一連のツイートを配信している。

《舛添騒動を見ていて浮かんでくる言葉は「これが民主主義だ」。メディアスクラムはある面では事実だけど、それが視聴率や部数を稼ぐのも事実。メディアはみんなが見たいものを伝えてきただけ。そう、これが民主主義だ。》(こちら)

《まあだから、都知事選にまた50億円かかるのも、次の知事ももしかしたらまた2年くらいで辞めて50億円かかるのも、そのときワイドショーで「舛添さんのほうがよかった」みたいな声があがるのも、まあ仕方ないと思いますよ。これが民主主義だから。》(こちら)

《小さな悪が吊るされる炎上社会がどうなのという話もあるけど、それは裏を返せば社会を揺るがすような大事件がこの数年起きていないということでも ある。当事者にとっては凄惨で辛くても、サリン事件や311並みの事件や災害が起こってないから、小さな悪が標的にされるわけで。》(こちら)

《どんな社会にもお祭りは必要で、確かに舛添さんによってここしばらく社会は一つになってたもんなー。誰とでとその話題ができるという意味で。》(こちら)

 古市氏の中に、字義通りに受け取れる内容以外のどんな意図があったのかは私の知るところではないのだが、一読者として、一連のツイートの行間から大衆蔑視のニュアンスを感じ取らないでいることはむずかしい。
 書いてある通りのことを素直に読むと、古市氏は、
「舛添騒動を愚劣だとか言ってるインテリの皆さんは民主主義をやたらと称揚している人たちでもあるわけだけど、でも、舛添さんみたいな人をリンチにかけて楽しむことこそがあなたたちの大好きな民主主義の実相なんじゃないの?」
 的なぶっちゃけ発言をカマすことで、世間の有識者から一本取ったつもりでいるかに見える。
「いや、いくらなんでもそこまでバカじゃないだろ」
「中学二年生のシニカルなオレ様カコイイ日記じゃあるまいし」
「社会を嘲笑する社会学者って、動物虐待をやらかす動物学者より始末に負えないぞ」
「深読みする必要ないだろ。一段高いところに立ったものの言い方をしてみたかったってだけだよ」

 あえて親切な読み方をすればだが、古市氏は、「民主主義」という言葉が聖域化している現状を揶揄する意味をこめて、あえて「ポピュリズム」という言葉を使わずに、民主主義の危うさを指摘したのかもしれない。
「民主主義民主主義ってあんたたちは宗教みたいにありがたがっているけど、君らの言う民主主義っていうのは、まさに舛添リンチ報道を主導しているこれのことだよ」
 と。
 とすれば、その見方には一理あると思う。
 たしかに、民主主義は万能ではない。うっかりすると典型的なポピュリズムに陥る。そうでなくても、常に正しい選択をしているわけではない。むしろ結果から見て、誤った選択肢を選ぶケースの方が多いのかもしれない。
 とはいえ、時に誤った選択をし、少なからぬケースで感情にかられた決断に傾くのではあっても、それでも民主主義は、権力の暴走への安全弁として、確保しておかなければならない最後の砦ではある。
 賢明で寛大で隅々まで目の届く独裁者が下す決断の方が、素早く、合理的で、なおかつ多くの場合正しいのだとしても、権力が属人的な振る舞い方をすることの危険性は、やはり無視できないからだ。
 私が、いまここで、民主主義について、教科書に載っているみたいなきれいごとを並べ立てていることに関して
「なにをいまさら」
「お花畑チューリップ帽子演説おつかれ」
「はいはい、民主主義サイコーね」
「ソレ、デモクラ音頭でタコ踊りったらアヒャヒャノヒャ」
「こいつのお説教が終わったら起こしてくれ」
 的な反応を示している読者は、少なくないはずだ。
 彼らは「きれいごと」がきらいだ。
 そして、その「きれいごと」が大嫌いな彼らにとって、ユナイテッド・キングダムでこのたび起こっている出来事の一部始終は、民主主義というきれいごとがまさにその馬脚をあらわしている意味で一大痛快事ということになる。
 私が憂慮しているのはそこだ。
 EU統合の理念が傷ついたことも問題なら、連合王国の枠組みが崩壊の危機に瀕していることも大問題だし、それらとは別に世界経済がこの先しばらくの間混乱しつづけるであろうことも、大変に心配な事態ではある。
 ただ、私は、そうした表面上の影響よりも、今回の国民投票を通じて、「民主主義」という看板への信頼が毀損されたことが思いの外大きな損失で、今後、このことは、民主主義を軽んじることになるわれわれ自身へのしっぺ返しとして静かに進行するのだろうと思っている。
 民主主義のような理念は、それが万人に信頼されることによってはじめて正しく機能する設定になっている。
 その運用のされ方は、不換紙幣が信用によってその価値を保っている姿に似ている。
 説明する。
 日本銀行が発行している貨幣(紙幣)は、日銀を含む金融システムへの絶対の信頼を前提としてその価値を維持している。たとえば、日銀が消費税込み の108円硬貨だとか1万800円紙幣を発行するみたいな頭の悪い施策を連発して、信頼を失ったら、貨幣は貨幣としての価値を失うことになり、経済システ ムはその日から機能しなくなるだろう。
 同じように、デモクラシーを基本に据えた統治システムも、民主主義的な選択という最も根本的なところについて、われわれが疑念を持ちはじめるや、その安定性を減ずることになる。
 国民投票によって「愚かな」(少なくともそう見える)決断を下してしまったのが、ほかでもないわが国の議会制民主主義のモデルとなった国である英国であった点もなかなか痛い。
 ネットの書き込みを見ると、英国の投票結果を見て勝ち誇っている人々がたくさんいることがわかる。  彼らは一体何に勝ったのだろうか。
 たぶん、「良識」に、だ。
 いけ好かないインテリや、いい子ちゃんぶりっ子のマスコミの連中が二言目には説教ったらしく振り回している伝家の宝刀たる民主主義がものの見事にやらかしたのだから、これが痛快でないはずがない。
「おお、民主主義やるじゃないか」
「まったく民意さんったらお茶目なんだからぁw」
「昨晩からUK祭りで寝てません。楽しすぎます」
 という感じの彼らのはしゃぎっぷりは、必ずしも対岸の火事だからという理由だけで亢進しているものではない。
 彼らは、自分たちの嫌いな「良識派」や「インテリ」や「マスコミ」や「おサヨクさま」がうろたえる事態なら、なんであれ歓迎するのだ。
 民主主義の根幹を支える「民意」の一部には、常に破滅を志向する人々の呪詛が含まれている。
「ざまあみろ」
「そらみたことか」
 という、見物人を喜ばせる誰かの転落は、どんな場合にでも一部の人々を狂喜させる。
 舛添騒動に寄せられた古市氏のツイートの中にも、そのことを指摘した部分があったのだが、ここで大切なのは、 「どんな社会にもお祭りは必要で、確かに舛添さんによってここしばらく社会は一つになってたもんなー」
 と、クールに指摘しているこの言葉自体が、実は生け贄を屠る「祭り」の一部分になっていることだ。結局、彼のツイートは 「ボクは、そこいらへんの良識派なんかじゃないよー」
 という、半笑いのマニフェストを含んでいるわけで、「祭り」には、この種の自己肯定が欠かせなかったりする。
 で、その「祭り」が、民意の中で一定以上の影響力を持つに至った時、民主主義は自壊する。
 古市氏の一連のツイートは、舛添リンチ報道を揶揄するとともに、そのリンチ報道の非道を嘆いてみせる良識派の言いざまをも嘲笑している点で、二重の意味の呪詛を含んでいる。
 そして、これら「祭り」全般に見られる「呪詛」(他人の不幸を望み、他人の失敗を嗤う心情)こそが、現代のポピュリズムを、単なる人気者万歳の脳天気なものから、より悪質なものへ変化せしめた正体なのだ。
 今回、いわゆる有識者のコメントの中にも「ポピュリズム」批判を通じて、「民主主義」への疑念を示唆するものがいくつか見られる。
 特にワンイシューについて直接国民の声を聴く制度である「国民投票」には、数多くの疑問の声が寄せられた。
 私自身、二者択一の選択を迫るタイプの国民投票(住民投票)は、 投票者(国民や住民)の感情を煽る政治宣伝が横行する。 議論が単純化し、両極化し、敵対化し、相互不信化する。 投票が終わった後に、分断と対立が尾を引く。 現状維持と改革の二つの選択肢が提示された場合、現状維持を求める人々よりも、改革を志向する人々の方がより高い確率で投票所に足を運ぶことになる。 ワンイシューの課題とは別の理由で、単に現状への不満のはけ口として現状否定の結論を選ぶ有権者が一定数現れる。
 といった理由から、穏当な結果に落着しにくいと考えている。その意味では、安易な国民投票(住民投票)の乱発には賛成したくないと思っている。
 だが、それはそれとして、私は、英国の結果を見たネット民が、英国民を嘲笑し、民主主義の敗北に快哉を叫ぶ姿に、とても「いやな感じ」をおぼえている。彼らが愚民を罵倒し、低学歴を揶揄し、貧困層を攻撃し、移民に対して残酷な言葉を投げかけているのを眺めながら、民主主義が後退している実感を拭い得なくなっていると言っても良い。
 民主主義を無効化するのが愚民の存在である点については、彼らの言う通りだ。
 たしかに、愚民による民意が政策を動かすに足る力を持った時、民主主義は衆愚政治に姿を変えるのだろう。
 しかし、では、どんな考えが有権者を愚民に変えるのかといえば、おそらくそのうちの最も大きなものは、愚民蔑視思想であるはずなのだ。
 もう一歩踏み込んだ言い方をするなら、愚民とは愚民を蔑視している当の本人を指す言葉だということになる。
「愚民どもに政治の実権を握らせてたまるものか」
「愚民を排除しないとこの国は滅亡する」
 というこれらの言葉の「愚民」を「移民」に入れ換えても、スローガンの意図はほぼ変わらない。そして、このスローガンは、世界中の街角で叫ばれ始めている。
 英国で起こった今回の出来事を、私は、終始、「もしうちの国で同じようなことが起こったら」という目で見ていた。
 で、投票の結果を確認した上で、現在私が抱いている感慨は、大変に暗いものだ。
 英国をはじめとするヨーロッパ諸国と比べて、移民がもたらす摩擦や軋轢が圧倒的に少ないわが国において、排外的な活動が一定の支持を集めていると いうこのことだけを見ても、私は、近い将来、この国で実施されるかもしれない国民投票の結果を楽観できない。当然だ。私たちの国には愚民を排撃しようとする人間が多すぎる。
 そして彼らの数が増えた結果も、まごうかたなき「民主主義による決定」だ。
 とりあえずは、東京都知事選に立候補している有名な排外主義者がどの程度の票を集めるのかを注目している。
 票数によっては、荒川の向こう側に移住することも検討しなければならないと思っている。 (文・イラスト/小田嶋 隆)
 ≫(日経ビジネスONLINE>スキル・ライフ>小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明 )

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●富裕層の儲けは滴り落ちない 累進課税強化に舵を切れ

2016年07月01日 | 日記
これから始まる「新しい世界経済」の教科書: スティグリッツ教授の
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●富裕層の儲けは滴り落ちない 累進課税強化に舵を切れ

個人的には、税の支払いが増えるだろうなと思うが、以下のコラムを読んでいくうちに、世界各地で、21世紀革命などが勃発して、地球規模でギロチン処刑の蔓延が起きるくらいなら、一割ほど納税額を増やされても痛くも痒くもない。富裕層の底辺に位置する筆者でさえ、そう思うのだから、ホンマ者の富裕層の人間も、内心そのように思っているに違いない。棲んでいる社会が荒み、拳銃か仕込み杖でもステッキ代りにしなければならない社会になるのであれば、転ばぬ先の杖ではないかと思う。

アメリカ世論(イデオロギーと言っても構わな水準)は、完全に四分五裂状態で、二大政党制と云う枠組みが炉心溶融してきている。グローバル金融経済世界に、何らかの再構築が起きない限り、この傾向は、一段と鮮明になるだろう。EUも、英国離脱によって、危うい構築物であったEUそのものの、危機も視野に入ってきている。このグローバル経済構造は、システムとして世界中で組み立てられ、稼働しているわけだから、どこの誰かの制御で、簡単に止めることは不可能な状況になっている。将来的に、英国がどのようになるのか明確ではないが、グローバル経済構造と云う大きな枠組みから抜け出すことはない。

世界は、グローバル経済構造と云う「蟻地獄」に嵌ってしまい、だれ一人抜け出せない状況になっている。少なくとも、カッコつきの「国際社会」と「普遍的価値」を標榜する限り、この地獄と最後までつき合う羽目になるだろう。無論、その枠組みから抜け出す決心を、国または、国民がするのであれば、「孤立主義」を特段責め立てる第三者もいないだろう。「自分のことは、自分で決める」「世界とは、許される範囲で友好につき合う」そう云う条件付きで可能だろうが、孤立主義状態の北朝鮮の例があるだけに、二の足を踏む国や国民が多いだろうから、全世界が、行きつくところまで行かないと、“自ら足抜け”する可能性は殆どない。

そうなると、不寛容社会は益々激化し、極右、極左、イデオロギー・テロリズム、そして管理国家的政府と云う構図の対立は激化する。四者が四様の行動を起こすわけだから、その帰結が、国家や国連が制御する範囲を簡単に超越してしまうだろう。国家と国民の闘争、庶民と金持ちの闘争、白人と移民の闘争、漂流する難民‥等、一定の富を有している人間であれば、このままの世の中が、徐々に変化を遂げることを望むだろう。しかし、意外に、国家や政府と云うものは臆病で、既得の流れに待ったをかける勇気がないものだ。正直、坐して死を待つのが、国家の体質なのではないかと思う。

そのようなテーマに、超一流の富裕層が先手を打って、高額所得が、高額所得者に、「正義のある課税をすべき」と主張しはじめている。かなり前から、このような意見はアメリカで散見しているが、今年になって、あらためて表面化している。(*注:但し、これら富裕層は、革命的累進税率になるのを忌避する意味合いも含まれている点は留意すべきだ。)日本では、パロマ文書事件を契機に、OECD方式など、まだまだ、効果があるとは言えない状況で足踏みしている。資産の捕捉率を上げるなど論理的にして、役人の増える政策も主張されるが、素朴に累進課税を強化することで、相当の改善は期待できる。

≪「税金をもっと払いたい」 ニューヨークの富豪らが州知事に要望書
 米国ニューヨーク州の富豪たちが貧困層を助けるため、自分たちが納める税金を引き上げてほしいと要望したと話題になっている。
 3月21日、米ニューヨークの富豪40人余りが、自ら「金持ち増税」を要求した。経済活性化と貧困層救済、社会基盤施設拡充のために、より多くの税金を納めることが自分たちの義務であり責任だというのだ。
 富豪らは、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事とニューヨーク議会議員に送った書簡で「ニューヨーク州内の一部の都市では貧困児童の割合が 50%を超え、ホームレスが8万人を越える現実が、私たちは恥ずかしい。まだ多くの人たちが21世紀に必要な技術を持っていないまま、経済的な苦痛を受けている」と明かした。
 さらに、「上位1%所得者たちが、もっと多くの税金を負担し、その金で貧困児童とホームレスたちを助け、必ず必要な社会基盤施設を拡充してほしい。人と社会基盤施設に対する投資が新しい雇用を創出して、深刻な所得不平等を解消できるだろう」と話した。
 彼らは「公正な税率のため、上位1%の税金計画(1%Plan for New York Tax Fairness)を提案する」、「私たちのような上位1%の富裕層に、さらに高い所得限界税率を賦課してもよい。私たちはもっと多くの税金を納める能力もある」と強調した。
 この書簡には、ロックフェラー家のスティーブン・ロックフェラーやウォルト・ディズニーの孫娘で平和運動に関心を傾けている、アビゲイル・ディズ ニー、慈善事業家であるエルスペス・ギルモアなど年間所得が66万5000ドル(約7422万円)を超える所得上位1%の金持ち40人余りが署名した。
 彼らが提案した税率は、富裕層増税を推進する民主党の法案よりずっと破格的だ。米国の上位1%に当る年間66万5000ドルの所得を上げる人には 7.65%の税率が適用される。続いて、年間所得が100万ドル(約1億1161万円)、200万ドル(約2億2322万円)、1000万ドル(約11億 円)、1億ドル(約111億円)以上に該当する区間の税率は8.82%、9.35%、9.65%、9.99%に上昇する。このような増税案が可決されれば、22億ドル(約2456億円)の追加税収を確保できると推定される。
 ニューヨーク州の現在所得税率は2017年に満了されるため、新しい州所得税法案をまとめている。
※1ドル=111.61円で換算  ≫( NEWSALT>未分類>「税金をもっと払いたい」)

我が国でも、国税当局が、富裕層2万人に対して、10項目課税強化基準の設定に乗り出している。日経新聞は、≪大口資産家の選定基準が将来下がる可能性もある。締め付けの厳しい日本から税率の 低い新興国などに脱出する富裕層は今後も増えるだろう」≫と最後に締め括り、富裕層への課税強化は、富裕層の海外流出に繋がると警鐘を鳴らしているが、予定調和な言いぐさである。日本の住み易さを充分にわきまえ、それを満喫している高齢富裕層が、おいそれと、日本語の通用しない国にヨタヨタと出ていく可能性は、実は僅かに過ぎないだろう。

≪ 「富裕層2万人」 課税強化で10の選定基準(真相深層)
国税当局が富裕層の課税強化に乗り出している。1月に所得税や相続税の最高税率を引き上げ、7月には有価証券1億円以上の保有者の海外移住による課税逃れを防ぐ「出国税」を導入した。国の借金が1000兆円を超えるなか、「取れるところから取る」という強い姿勢が垣間見える。国税当局が注視する富裕層(大口資産家)とは。その選定基準が取材で明らかになった。 国税庁は、職員向けに税務調査の事務マニュアルに当たる「個人課税事務提要(事務手続編)」という文書を作成している。日本経済新聞の「税金考」取材班が情報公開請求したところ、開示された文書にある大口資産家の選定基準の部分は、「正確な事実の把握を困難にする恐れがある」との理由から「黒塗り」 にされ、非開示だった。
 このため、複数の国税OBらに取材した結果、国税当局による大口資産家の「10の選定基準」が判明した。
■「7年一巡」目安
 主な基準は「経常所得の合計金額1億円以上」「相続(遺贈)財産5億円以上」「有価証券の年間配当等の収入金額4千万円以上」「所有株式800万株(口)以上」「貸金の貸付元本1億円以上」など。
  「継2(けいに)」。税務署では大口資産家の資産状況などの資料を「継続2管理事案」という区分で管理するため、大口資産家はそう呼ばれている。ある国税 OBは「各税務署は継2の『個人調査ファイル』を作り、資産状況や資金の流れを厳密に管理している。東京都心なら1税務署当たり500件以上はあるはずだ」と明かす。
 税務署の調査官は、「確定申告書」 や所得2千万円超の納税者に提出を義務づける「財産債務明細書」、金融機関などが個人との取引内容を報告する「支払調書」などの資料を基に対象者を抽出。 その中から保有資産の収益性や流動性が高い人物を重点対象としてリストアップし、「7年一巡」を目安に税務調査しているという。 別の国税OBは「富裕層の多い東京では対象者を絞り込むため設定金額を高く設定している。地方では東京の半額程度でも対象者になる可能性が大きい」と指摘する。今回明らかになった選定基準などについて、国税庁は「コメントは差し控える」としている。
 では、大口資産家は国内に何人いるのか。正確な統計はないが、2013年の国税庁の申告所得税標本調査によると、申告納税者のうち所得1億円超は約1万6千人。高額の財産を相続した人などを合わせれば、国内の大口資産家は「少なくとも2万人は超えている」というのが国税OBらの共通した見解だ。
 ■納税額の18%
 所得1億円超の納税者は、約623万人の納税者全体のわずか0.3%にすぎないが、納めた所得税額は全体の18.3%に当たる9820億円に上った。富裕層は国内外に資産を持ち、高度な節税対策を講じているケースが多いため、国税当局は税務調査の体制も強化している。
  各税務署では約10年前まで所得税などを担当する「個人課税部門」と、相続税などを担う「資産課税部門」が別々に大口資産家を調査し、選定基準もバラバラだったとされる。しかし、個人の資産運用の国際化と多様化が進むなかで縦割りの弊害を防ごうと、今は選定基準を統一し、資料は一元管理している。
 国内外に数十億円規模の資産を持つ「超富裕層」については、昨年7月から東京、大阪、名古屋の各国税局に専門チームを設置し、部門を横断して情報を収集している。
  富裕層の節税対策などを手掛ける田辺国際税務事務所の田辺政行税理士は「大口資産家の選定基準が将来下がる可能性もある。締め付けの厳しい日本から税率の 低い新興国などに脱出する富裕層は今後も増えるだろう」とみる。国税当局と富裕層の「にらみ合い」は始まったばかりだ。
 ≫(日経新聞:(真相深層・高岡憲人)


パナマ文書が一時日本中を騒がしたが、サミットでも重大のテーマとはならず、有耶無耶なテーマ羅列の一つに埋もれた。国税当局の富裕層課税強化も、氷山の一角過ぎる。資産に注目するだけでは不足で、年収基準で、累進税を引き上げることで、税収の30%水準が実現するだろう。消費税の数%の引き上げなどは、「課税の正義」を完了してからで充分だ。また、肥大した霞が関官僚組織の解体も重要なテーマであり、それこそ、「増税する前のやるべきことがある」なのだ。パロマ文書によると、日本からケイマンに2015年現在の証券投資残高は「60~70兆円」に達している。この金が、金をタックスヘイブンの地で利益を積み重ね、税は無税だ。


≪ 富裕層の「税金逃れ」を封じれば消費増税は不要になる

■広く、浅く、取り易い徴税の惰性 から脱却し
「強い者に強い徴税」へ
6月冒頭、安倍首相は2017年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを、2019年10月へと再度延期することを決めた。安倍首相は記者会見で「財政健全化の旗は降ろさない」と明言し、改めて「19年10月には必ず引き上げる」ことを強調した。
 安倍首相は2年半、30ヵ月間の再々延長で、引き続き消費税増税への執念を見せている。しかし、それよりも最優先すべき政策課題は富裕層の野放図な「税金逃れ」の実態にメスを入れることではないか。「税金逃れ」には厳罰をもって重税を課すなど、富裕層の「税金逃れ」を徹底的に封じて、それを税収の新たな有力財源に育て上げていく発想の転換により、懸案の租税負担の公正化とともに、平準化を期するための法整備を急ぐことが先決ではないのか。
 先に公表された「パナマ文書」で、富裕層の「税金逃れ」の呆れた実態と共に、歴代の行政府が中長期にわたって税金のかからない海外のタックスヘイ ブン(租税回避地)の大がかりなからくりの存在を知りながら、有効な対抗策を打てずに結果として放置してきたという事実は、この機にもう一度検証されるべきであろう。行政府のそうした怠慢が、皮肉にも日本に発想の転換を迫り、その緊急性を示唆しているとも言える状況だ。
 増税延期に伴い、ならば代わる財源を何に求めるべきかの議論が本来あって然るべきであったが、その後に続いた舛添要一・前東京都知事の辞任騒動、 世界の金融市場を混乱に陥れた英国のEU離脱騒動、そして目前に迫っている参院選といった重大ニュースの陰に隠れて、素通りしてしまったかのように見える。
今回は、改めてこの点に焦点を当てて考えたい。
 考えてみれば、これまで税務当局が見逃してきた富裕層の「税金逃れ」封じを徹底し、とりわけ目にあまる相続税の捕捉率の低水準を抜本的に改善し、 向上策を図るだけでも、日本の税収は一挙に、大幅に潤うはずだ。そうすれば、消費増税はもとより中長期的には消費税そのものが不要になる、ということも決して夢物語ではなく、不可能ではない。
 長年の懸案であった「社会保障と税の一体」改革が目指す恒久財源の確保が期待できるだけでなく、租税負担の不公正、悪平等に伴う深刻な格差拡大の是正にも大いに貢献できるため、行政府は不退転の決意で直ちに取り組んでほしい。 税務当局をはじめ、行政府が中長期にわたり、「パナマ文書」が公表したような富裕層の「税金逃れ」の呆れた実態を掌握していながら、手を拱くだけ で、ほとんど放置してきた社会的な責任は重大である。これを機会に、行政府は国家百年の計に立って、安易に取り易い非富裕層から広く浅く徴税する、現行の 「弱い者いじめ徴税」の惰性から脱却すべきだ。
 富裕層の「税金逃れ」を決して見逃さない、強い者にも強い徴税を行う体系を根本的に組み直し、本来の所得再分配機能を取り戻せるよう、租税負担の公正化と平準化へ向けた抜本改革に、真剣に取り組んでほしい。
 ■富裕層の税金逃れを炙り出せば
 消費増税の数倍の効果が出る?
 行政府の試算によると、消費税率を8%から10%へ増税するのに伴い、期待されている税収の増額分はわずか5.8兆円に過ぎない。元国税調査官の 証言によると、「海外に資産や所得を移せるレベルの富裕層の『税金逃れ』の実態は計り知れず、行政府のやる気次第では、それを炙り出す効果は5.8兆円の 数倍に及ぶ」という。
 そんな宝の山を見逃がしたままで、その穴埋めをより安易に一網打尽で捕捉できる消費税とその増税に求めることは、「経国済民」の根幹であり社会基盤でもある徴税体系の本来の趣旨と狙いに相反する、反社会的な愚策であると言わざるを得ない。
 国内外の経済情勢はなお不透明で、2年半となる30ヵ月先であれば、日本が懸案のデフレを脱却し、消費税の増税を受け入れるだけの客観情勢が整ってくると思うのは単なる願望であり、その保証は何もない。
そんななかで近い将来、消費増税を断行する政治的な判断は決して「新しい判断」とは言えず、無謀な蛮勇に過ぎない。GDP(国内総生産)の屋台骨である個人消費が伸び悩むなかでの消費増税は、より多くの善良な国民を委縮させ、国力を劣化させて、アベノミクスの第3の矢である成長戦略に水を差し、足を引っ張るだけで、経済の歯車を悪循環させかねない。
 パナマ文書によると、「海外に資産や所得を移せる」レベルの富裕層は税金のかからない海外のタックスヘイブン(租税回避地)を利用して「払うべき 税金を払わずに、いわゆる税金逃れ」をするだけではない。各国の税務当局が富裕層の「税金逃れ」を未然に防ぐためとして、富裕層に課税する税率を大幅に引き下げ、租税の負担は「税金逃れ」のできないレベルの非富裕層に押し付け、しわ寄せを強いているという、二重、三重に不公正で悪平等な徴税実態が、同文書から明らかになってきた。
 パナマ文書とは、パナマの法律事務所であるモサック・フォンセカの膨大なデータが、南ドイツ新聞社に持ち込まれたもの。同新聞社がデータを分析する ため、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)に協力を呼びかけ、世界76ヵ国、107の報道機関から約400人の新聞記者が参加して、1年前から調 査、分析を進めている秘密文書である。日本からも共同通信と朝日新聞の記者が各1名ずつ参加して、分析作業は今も続いている。
 ファイル数にして1150万件に及ぶ膨大なデータには、過去40年間にわたる21万件のタックスヘイブンでの取引データが記録されている。その中 には、ロシアのプーチン大統領をはじめ、英国のキャメロン首相ら現役の政治家や経済人、アスリート、芸能人など、世界中の著名人が含まれている。アイスラ ンドのグンロイグソン首相が辞任に追い込まれるなど、パナマ文書の公表に伴う波紋も広がっている。
 ■パナマ文書で暴き出された
 合法的な「租税回避指南」の実態
 そもそも、タックスヘイブンとは何か。税金がかからないか、ほとんどかからない国や地域のことであり、一般に「租税回避地」と訳されている。登録 された口座情報などを秘匿して、他国には開示しない「秘匿性」が利用する者にとっては大きな利点になっている。このため、法人であれ個人であれ、その区別 なくタックスヘイブンに住所さえ登記すれば、誰にも知られずにその恩恵を享受できる仕組みである。  各国に子会社を置く多国籍企業をはじめ、ヘッジファンドなど国際金融市場で活躍する投資会社の多くは、タックスヘイブンに本籍を置いて、法人税の 節税やその回避に布石を打っている。個人にしても今や「資産や所得を海外に移せる」レベルの富裕層は「税金逃れ」のため、タックスヘイブンの積極的な利活用が常態化しつつある。
 ただ、情報の秘匿性を悪用すれば、法人、個人を問わず、誰もが租税回避のための資産隠しや所得隠しがいとも簡単にできるため、合法的に租税を回 避、脱税することが可能で、乱用されないとも限らない。その意味で、各国の税務当局としては誠にありがた迷惑であり、見過ごすことができない抜け穴であるため、対策に頭を痛めており、手を拱いている。
 特に、タックスヘイブンが合法的な租税回避を指南し、ほう助するコンサルティング機能を備えているため、お手上げ状態である。当然のことながら、 犯罪がらみや汚職がらみの資金、さらにはロンダリング狙いのアングラマネーなどの逃げ場としても利活用され、いわばダーティマネーの吹き溜まりとも言われている。
■世界中の富が吸い寄せられ
 出口の見えない私的な「埋蔵金」へ
 しかも、公表されたパナマ文書は、氷山のごく一角に過ぎない。タックスヘイブンは今や主な国・地域だけでもケイマン諸島、ヴァージン諸島、香港、 シンガポール、ルクセンブルグなど、国際金融市場の隅々へ浸透し、深く根を下ろしている。そのため、世界中の大企業をはじめ、個人でも「資産や所得を海外に移せる」レベル以上の富裕層にとっては、決して非合法ではなく、合法的な節税スキームとして利活用されている。
 しかし、「非合法ではなく、合法的」であるからこそ、問題なのである。企業が大きくなり、本社をタックスヘイブンに移すと、母国では税金が取れな くなるため、それだけ母国の税収は減り、不足する。所得や資産が増えた個人についても、タックスヘイブンにそれらを移して隠されると、母国での課税が難しくなる。世界経済の成長と発展とともに、国際社会はどれだけの大企業や富裕層を次々と誕生させてきたか、その数は計り知れないが、その多くがタックスヘイブンを直接的・間接的に利活用してきたことは間違いなかろう。
 本来は母国の税収を潤沢にするはずであった莫大な所得や資産の多くが雪崩を打ってタックスヘイブンに流れ、隠されて、そのほとんどが出口の見えない私的な「埋蔵金」と化して、迷宮入りしていく実態は看過できず、公益に反する反社会的な経済行為と言える。
 タックスヘイブンの起源は古く、19世紀にまで遡るが、国際社会の中でその存在と利活用が世界各国の税収を圧迫し、世界経済に悪影響を広げ、直接の被害が表面化してから半世紀余。IMF(国際通貨基金)によると、今や世界の銀行資産のうち半分以上が、また多国籍企業の海外投資のうち3分の1以上 が、タックスヘイブンを経由していると見られている。
 IMFの2010年の発表では、南太平洋の島嶼地域におけるタックスヘイブンに限っても約18兆ドル(当時の円換算で1944兆円)もの資金が吸い寄せられていた、と見られている。これは、世界のGDP(国内総生産)のおよそ3分の1に相当する巨額な資金量である。国際NGO(非政府組織)の税公正ネットワークは、全世界のタックスヘイブンには2010年末時点で、およそ21兆ドル(同2270兆円)から32兆ドル(同3450兆円)もの金融資産 が保有されていると分析している。
 さらに、欧州の大企業の99%がタックスヘイブンに子会社を保有している、とも報告している。米会計検査院も、アメリカの大企業の83%がタックスヘイブンに子会社を保有している、と発表している。世界経済にいかに多大な影響を与えていることか、想像に難くない。
■海外資産保有申告者はわずか約8000人、
 相続総資産に対する相続税はたった2%
 パナマ文書に登場する日本の企業や富裕層の個人名はわずか400余に過ぎないが、これは日本の企業や富裕層の多くが、タックスヘイブンとしては免税の面で「最強」であり、秘匿性の面で「本丸」とされているカリブ海上のケイマン諸島を利活用しているためである。BIS(国際決済銀行)の発表による と、2015年の時点で同諸島に投じられた日本の資金量は63兆円に及んでいるが、これは日本の国税総収入にも匹敵する巨額な資金量であり、無視はできな い。
 日本には、億万長者がおよそ100万人以上はいるとされており、5000万円以上の海外資産を保有する者には申告する義務を負わせているが、正直に毎年申告している者は、今のところわずかに約8000人しかいない、とされている。仮に、100万人の億万長者が全員海外資産を保有していたとして、申告者がそのうちの約8000人なら1%以下だ。これはあまりにも少なく、非現実的な数字である。実際には、申告者のおおよそ10倍から数十倍はいるものと見られている。しかし、これらの富裕層の海外資産には、タックスヘイブンの秘匿性の厚い壁に阻まれて、日本の税務当局が接近し、介入できる余地はない。
 このため、所得や資産を海外に移せるレベルの富裕層の99%以上がまともに税金を払わずに済んでおり、それができないレベルの非富裕層に租税の負担が押し付けられ、しわ寄せが起きているのが現実である。日本の徴税体系が長い間、国際的な大がかりなからくりに絡め取られ、ほとんど野放し状態で続いて きていることの方が不思議ではないか。
 相続税逃れがその典型例である。パナマ文書で明かされた安全保障会社セコムの創業者・飯田亮最高顧問とその親族をはじめ、5年前にマスコミを賑わせた消費者金融の武富士の創業者・武井保雄元会長夫妻などは、タックスヘイブンを利活用して、相続税などの「税金逃れ」に成功した億万長者の事例である。 武富士に至っては、当時の贈与に関する「海外の財産は、海外在住の人に贈与する場合は贈与税がかからない」という特例の抜け道を利活用して、無税ですり抜けた強者である。長男へ贈与した株式の時価総額は、推定2600億円。普通に贈与していれば、1300億円の贈与税を支払わなければならないところを無税で済まされては、税務当局としても無念であったに違いない。
  タックスヘイブンによる相続税逃れがいかに急増しているか。その実態はおおよそ把握できていないが、相続税の税収が全く伸びず、年間で総額1兆円が やっとのペースで低迷しているとは驚きである。日本には現在、およそ1700兆円に及ぶ個人資産があり、少子高齢化の下で相続は引きも切らずに続いているにもかかわらず、だ。全国の相続資産に対する相続税の割合はわずか2%に過ぎず、98%はそのまま相続した遺族の手に渡ることになる。その主因がタックス ヘイブンにあることは、言うまでもない。
 ■「焼石に水」では意味がない
 OECDの制裁ルール導入は奏功するか?
 OECD(経済協力開発機構)が国際的な「税金逃れ」を防ぐため、悪質なタックスヘイブンに対する制裁を検討することになったが、これは一歩前進とはいえ、どこまで国際的な連携体制を組めるか、課題は多い。
 タックスヘイブンに開いた口座などの情報提供に非協力的な国や地域を「悪質」と認定するルールを構築して、各国が制裁措置を発動できる体制を整えることが狙いで、差し当たり20ヵ国・地域が対象になる見込みである。
 OECDでは、悪質かどうかを判断するため、複数の基準を設ける予定である。1つには、各国の税務当局が富裕層らの口座情報を年に1回ずつ自動的に交換する国際ルールを構築し、2017年から運用・実施するが、これに参加しない場合は悪質と認定する。
 2つには、海外の税務当局から特定の口座情報の提供を要請された際、非協力的な場合も悪質と認定する。これは、税の透明性を審査する国際組織の評 価基準を満たせるかどうかで判断する。2015年の評価では、パナマをはじめミクロネシア連邦、インドネシアなどが悪質とされている。
 事業実態のないペーパーカンパニーの取り扱いも焦点の1つであるが、当初は実質的な所有者の情報開示は努力義務にするなど、個人情報の保護に配慮 しながら開示方法を検討し、数年後には制裁基準に含める予定である。すでに欧州には、富裕層がタックスヘイブンに資産や所得を移しても母国並みの税金を課すなど、未然の防止策で独自の制裁を設定している国・地域もあるが、これらの取り組みも国際連携を強化して、効果を上げていく必要がある。
 OECDでは、6月30日から京都で開催する租税委員会で悪質行為を認定するルールづくりの協議に入る。7月には中国・成都で開催する G20(20ヵ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)でも採りあげ、さしあたり日米欧や中国など40を超える国・地域でタックスヘイブンのブラックリストの共有を目指すとしている。
 果たして、効果のほどはどうか。これらの取り組みを「焼け石に水」で終わらせてはならない。日本国民は、消費増税延期騒動の陰に隠れてしまった富裕層の「税金逃れ」封じの是非を、国を挙げて議論していかなければならない。  
≫(ダイアモンドONLINE:経済・時事>DOL特別レポート・嶋矢志郎 (ジャーナリスト) )

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●岡田は強く要求すべき 首相は早急に「年金の運用実績を公表せよ」

2016年06月30日 | 日記
未来からの警告! 2017年 超恐慌時代の幕が開く
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●岡田は強く要求すべき 首相は早急に「年金の運用実績を公表せよ」

おそらく、今、日米の財政経済当局は、英国EU離脱問題を、リーマン・ショックにしない為に、非公式にだが、あらゆる手を講じているだろう。それが、日米の財政経済の根本的解決ではないが、地獄に落ちる寸前から抜け出そうと、あらゆる手法で市場に介入しているに相違ない。まあ、国際社会としては、それなりの妥当性はあるのだが、その非公式な市場介入資金の原資が何であるかによっては、棄民的行為になる可能性がある。

民進党の岡田代表は、風前のともし火政党にしては、紳士面に徹している。それに引きかえ、一強政治を謳歌する安倍晋三は死に物狂いである。幾分、気が狂ったのでは、と訝るほど、自分の精神状態や欲望を曝け出している。安倍の演説は、心身ともにマイクに向かって情熱を叩きつけている。岡田は滑舌が悪いのか、一言一言、確認しながらマイクに向かっている。演説を聞く限り、演説内容の真偽がどうのこうのではなく、情熱を感じるのは安倍晋三の方だ。所謂、パッションだが、21世紀は、善悪の別なく「反知性主義」な社会になっているのだから、感情に訴えるしか手段がなくなりつつある。

アメリカでも、英国でも、EUでも、中国でも、韓国でも、ASEANでも、「寛容社会」から「不寛容社会」に変貌している。このことは、倫理や道徳、宗教などの見地からは、恥ずべきものであるが、世の中の「空気」がそのようになっている以上、その「空気」に訴えることは、当然だが日本においても有効だ。今の日本も世界も「情動に流される」空気が蔓延している。このような世紀において、殉教者のような顔で、正しい道だけを訴えても、不寛容化した有権者の心に届く言葉とは言えない。

ポピュリズムが悪いなどと言っていたら、永遠の野党は保証されるが、改憲勢力2/3議席を阻止できない可能性がある。ほっておいても、最悪の状況は回避できると思い込んでいるフシがあるのが不安だ。安倍晋三のように、演説の中で嘘っぱちを言うのは罪だが、与党の痛いところを、ずけずけと突きまくることは、時代の要請として「あり」だろう。“宗教政党と連立を組むことは野合ではないのか” 安倍は既に“気を付けよう、甘い言葉と民進党。民進党には、もれなく共産党がついてくる”と公言しているのだ。逆手に取るなら、“自民党にはもれなく公明党がついてくる”“共産党がついてくるから、ひ弱ではない”そのくらいの「反知性主義」を選択する勇気がないと、ブレークスルー出来ないだろう。

安倍晋三は、異様に「日本共産党」を怖れている。論理的根拠は殆どない。未だ、国民に刷り込まれた「アカ」と云う洗脳を利用している。岸信介から、「共産党にだけは注意せよ。彼らは怖ろしい」その子供時代からの洗脳に嵌ったままの人なのだ。気取っていたら、間違いなく負ける。“民進党には、共産党も、市民もついている。大臣ポストを要求しない人々がついている”このくらいの事は、今のような世相なら許される。また、行政上、GPIFの運用実績の公表は選挙後になっているが、それを選挙前に公表せよ、と演説内で要求することは出来る。

塩崎厚労相は「長い目で見て欲しい」だそうだが、社会保障の充実が、積立金の横流しで、喫緊の年金資金に影響があるなど、もっての外だ。幾ら損しているのだ、と言うだけでも、実損に気づく有権者は出てくる。痛いところを探しまくって、塩を塗りたくるのだ。「反知性時代」においては、その方が効果がある。名誉棄損で訴えられるくらい、泥をかぶる態度のない野党党首では、有権者は、頼る気にならない。トランプ旋風が吹いているのも、「反知性主義」に徹しているからだ。安倍政権や日本会議も「反知性主義」に徹している。民進党の将来など、思考の中に入れるのは100年早い。今は、安倍政権の弱味、傷口を徹底的に攻める時である。中国問題も、弱味なのだ。TPPも胡散霧消状態、当然弱味でもある。TPP反対だけじゃなく、「どうすんの?安倍さんTPP!」と叫んでやればいい。
以下に、世田谷区長兼ジャーナリストの保坂展人氏のブログを参考引用しておく。

≪ 「イギリスのEU離脱」と「年金資金の運命」
 6月23日に行なわれたイギリスの「EU離脱」をめぐる国民投票は、僅差ではありましたが「離脱」(51.89%)が「残留」(48.11%)を破 りました。24日に、深夜のイギリスから伝えられる開票状況を、私もひやひやしながら見守っていました。多くの人が予想した通り、ほぼ伯仲している速報に驚きながら、最終的には「残留」多数の投票結果となると見ていましたが、結果は「離脱」でした。そのニュースが流れた瞬間、東京のマーケットにも激震が走 りました。

「株価 ことしの最安値を更新 - NHK 首都圏 NEWS WEB
24日の東京株式市場は、イギリスのEUからの離脱の賛否を問う国民投票で、午後になってイギリスの公共放送BBCが離脱の票が多数を占めることが確実になったと伝えたことを受けて、全面安の展開となり株価は一時1300円以上下落し、1万5000円を割り込みました。 日経平均株価の終値は23日より1286円33銭安い1万4952円2銭で、下げ幅は2008年のリーマンショックによる世界的な金融危機の際を超える大幅な値下がりとなりました。」

 株式市場の下落幅はリーマンショック時を超えるものでした。一時は99円台にもなった急激な円高には、今も歯止めがかかっていません。国民投票の結果、 「EU離脱」を決めたイギリス国内でも動揺が広がっているようです。「国民投票の再投票を求める署名」が始まり、イギリスがEUに離脱を通告しようとする 過程で、さらなる論議が広がるかもしれません。

 イギリス国民投票の翌日、自らが所有するスコットランドのゴルフ場に来ていたドナルド・トランプ氏は上機嫌でした。共和党のアメリカ大統領候補が確実視されるトランプ氏は、まさに、我が意を得たりと記者会見で語りました。 ドナルド・トランプ氏、EU離脱に伴うポンド急落を喜ぶ「自分のビジネスが儲かる」
 「イギリスのEU離脱は起きると思っていた」、とトランプ氏は24日スコットランドの、自ら所有するゴルフ場で報道陣に語った。「イギリスの国民投票と、 私の選挙戦は、実によく似ている。人々は自分の国を取り戻したいのだ。国民は国境を求めている。どこからやって来たのかもわからない人々を自分の国に受け 入れたいと思わないだろう」
 またトランプ氏は、「イギリスポンドの貨幣価値が下がると自分のビジネスは儲かる」とも発言した。 トランプ氏は、イギリス国民投票に自身に対しての「追い風」を感じたのだと思います。「反移民感情」が勝利することで、アメリカ大統領選挙での「トランプ勝 利」につなげたいという思惑もあってのことでしょう。しかし、トランプ氏が立っていたのはスコットランドです。2年前の2014年、イギリスからの独立をめぐる住民投票で僅差で競り合った地であることを、どのくらい意識していたのでしょうか。

 今回のイギリス国民投票のスコットランドでの投票結果は圧倒的に「残留」(62%)が「離脱」(32%)を上回っています。EUを離脱するイギリスと袂を分かち、独立して残留への道を探ろうという議論も出てきています。

【EU離脱】スコットランド「独立の住民投票をもう一度」
イギリスの欧州連合(EU)離脱派が勝利した国民投票結果を受け、イギリスの連合王国を構成するスコットランドのニコラ・スタージョン首相は、「スコットランドの地位をEU内で保証するため」、EUに対し、協議を早急に始めたい意向を示した。

 理性より感情を優先させ、正確なデータより単純なたとえ話が好まれるのは、トランプ氏のたび重なる「暴言」だけではないようです。勢いよく、断定的に語られ る政治家の言語に「うそ」があったら、どうなるでしょうか。イギリス国民投票を終えて、明らかになったニュースの中で、「離脱派のうそ」が問題となってい ます。

英EU離脱:公約「うそ」認める幹部 「投票後悔」の声も - 毎日新聞
 「離脱派のキャンペーンで起きた間違いの一つだ」。離脱派を引っ張ってきた一人、英国独立党(UKIP)のナイジェル・ファラージ党首が24日のテレビ番組であっさりと間違いを認めたのは、英国がEU加盟国として支払っている拠出金の額だ。
投票前、離脱派は拠出金が週3億5000万ポンド(約480億円)に達すると主張していた。与党・保守党のボリス・ジョンソン前ロンドン市長らが全国を遊説したバスの側面にも、巨額の拠出金を「国民医療サービス(NHS)の財源にしよう」と書かれていた。
一方で残留派は、EUから英国に分配される補助金などを差し引くと、拠出金は「週1億数千万ポンドだ」と反論。ファラージ氏は番組で残留派の主張が正しいことを事実上、認めた。

 メ ディアは、荒唐無稽で刺激の強い話を好みます。トランプ旋風が巻き起こったのは、意図され計算された「暴言」「暴論」を放出し続け、トップニュースとして メディアに消費させる醜い共依存関係です。居酒屋での話なら相手にしなくても、大統領候補が堂々と語れば、根拠なき嘘でも「正当化」され、日頃のうっぷん を晴らす「気分転換」になり、信じてみたくなる。「EU離脱」を決めたイギリス国民投票の後で、私は読者から次のようなメールをいただきました。

  『排除する』ということだけが拡がっていく恐ろしさを見ているみたいです。イギリスを半分にわってしまいました。私たち人類は、『自分とは明らかに違う他者』は本能的に受け入れられないのでしょうか?
 「英国EU離脱」...不安で仕方がないです。話し手の見た目よく、内容がわかりやすく断定的な物言いで、さらに断片的なフレーズが仮想空間にばらまかれ拡散することで、人々があんなに簡単に煽られていくことに恐怖を感じました。 そして、日本は参議院選挙の最中です。選挙が始まって1週間、すでに自民党は、各党党首が集合する党首討論は行なわないと決めています。対立点を語らず、憲法改正も論点から消して、静かに「現状肯定」「安定志向」の思考で大多数を占めて、勝利をもぎとる作戦のように見えます。
  投票率は低くていい、世間の関心はそこそこでいいのだと。こうして、巧妙に議論を回避して、衆参で3分の2の議席を確保したら、いつものように「豹変」することは十分ありえると思います。そんな今だからこそ、「経済を良くしてほしい」「景気が大事」「財政出動を期待」等の日常感覚から、改憲を深刻に懸念することなどないだろうと思っている人たちに、今回の選挙で重要な争点となるはずの「年金制度」に注目してほしいのです。

東京新聞:<有権者発>英ショックで年金不安 積立金の損失必至、株運用拡大の落とし穴
「英国の国民投票でEU離脱派が勝利し、株価が大幅に下落した。年金積立金の損失が莫大(ばくだい)になっているのではないか」 =川崎市川崎区の無職男性(57)
 国民が支払った厚生年金や国民年金は独立行政法人「GPIF」が運用しています。残高は百四十兆円。近年、株への運用を増やしており、英国の国民投票で離脱派が勝利したことに伴う株価の急落で積立金が目減りしているとの不安が有権者から出ています。

 年金資金の行方について、私は年頭から強い危機感を持っています。この危機感の内容については、次の2本のブログに書いた通りです。

・「年金積立金」のハイリスク運用に歯止めを(2016年1月16日)

・「株価急落で年金削減」の悪夢を回避するために(2016年2月19日)

 参議院選挙はまだ前半戦です。マイナス金利を受けて、年金資金の株式運用を拡大する方向の議論さえあります。さらには、例年であれば年金積立金管理運用独立 行政法人(GPIF)がすでに発表している、「運用実績の公表」が、参議院選挙後の7月末に先送りされています。
 「根拠なきデマ」をつぶすことができるのは「根拠ある事実」のみです。これからの日本の年金制度の持続可能性にかけて、野党は総力をあげて、政府・与党に「年金資金運用実績の情報開示」を求めるべきです。

 この間の株式市場の下落と年金資金運用の関係については、すでに影響を受けていること認める塩崎厚生労働大臣の発言も出ています。「長い目で見てほしい」とのことですが、「長い目」で見ることのできる「運用実績」をまずは国民の前に明らかにすることで、株式運用を拡大してきた現在の運用方法の是非を論議できるはずです。ここまで発言するのなら、「重要な国政選挙の最中なので、来月末に予定されていた実績発表を前倒しします」と言 わなければ、議論になりません。

「年金積立金に損失? 塩崎大臣「長い目で見て」」 News i - TBSの動画ニュースサイト
イギリスのEU離脱問題で日本でも急激に株安が進み、年金積立金の運用に損失が出ているのではないかという指摘について、塩崎厚生労働大臣は「短期的な評 価損はありうるが、長い目で見ることが大事」という考えを示しました。 
「短期的な変動に伴う評価損は十分ありえる。長い目で見て年金受給者にとって必要 な資金を確保できるかどうかという観点でやっている」(塩崎恭久厚生労働大臣)

「2016年7月、あの時に何も知らずに、大丈夫だと信じてしまった」という嘆きを広げないために、徹底した与野党論議を望みます。  ≫(ハフィントンポスト:ブログ>世田谷区長・保坂展人)

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●普遍的価値のメルトダウン 米国政党の細胞分裂、英国EU崩壊細動

2016年06月29日 | 日記
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●普遍的価値のメルトダウン 米国政党の細胞分裂、英国EU崩壊細動

いま現在、我々は、20、21世紀と、世界のリーダー国であった“欧米文化”の劇的な変化を目撃している。謂わば、100年近く世界に君臨していた「米英同盟」と云う欧米文明の柱が30%程度抜け落ちた。そもそも、全盛期に比べれば、30%は落ち込んでいる「米英同盟」なのだから、概ね、欧米勢力の力は、全盛に比して半減したと解釈して良いだろう。

明治維新以降、欧米に見習えと、死に物狂いで追いつき追い越せをしてきた、明治維新以降の日本の大方針の根底が崩れてきた。この事は、今後の我が国の行き先に対する思考過程において、重要な要素を占めると理解するのが自然だろう。しかし、日本は、自由な思考と言論が保証されていた時間からでさえ、「閉ざされた言語空間」に身を置き、“安近短志向”と、ポピュリズム一辺倒の政党政治の人気投票に明け暮れ、中央集権体制と云う最も手直しが迫られていた“アンタッチャブル空間”への視線を、政府も国民も“見ざる聞かざる言わざる”で過ごしてしまった。

参議院選の選挙演説では、与野党ともに“英国EU離脱騒動”を取り上げるが、ことの本質や深刻さについて、多くを語ることはない。無論、選挙中に、そのような難解な問題を応援演説に取り込むことは意味がないが、演説している側も、聞いている側も、本音では、“あの世の話”だと思っているフシがある。与党は「成長と分配問題」と叫んで、支持を訴える。野党は「分配と成長問題」だと支持を訴える。日本語の意味合いから行けば、与党は成長に優先権があり、野党は分配に優先権がある。しかし、聞き方によれば、与野党が、国民が重視する「争点」に擦り寄っているだけに見えてくる。

安倍も岡田も、欧米覇権体制にしがみ付いているのは明白であり、現状の政治状況から推し量ると、目糞鼻糞の選挙戦と言える。無理やり、与野党の相違点がほじくり出せば、「大日本帝国憲法に戻る」か、最低でも、現状の「日本国憲法で行く」のかと云うことだ。まあ、“国家ありきか、国民ありきか”の違いである。その前に、これからの世界が、どのように動いていくのか、その方向性が見えてこないと、きっと判断はつかないのだろう。ゆえに、最後は「空気」が雌雄を決するのだろうが、あまりにも、ブラインドな状況で、国民は選択を迫られている。

米国では、共和党が、ドナルド・トランプ候補に乗っ取られ、今では、“共和党保守と共和党紛い”に二分された。民主党は、漸く本命クリントンが大統領候補の座を射止めたが、ウォール街代表のクリントンが、オキュパイウォール街の思想的背景の人物の一人、エリザベス・ウォーレン上院議員を副大統領候補の一人として、認知せざるを得なくなっているので、どうにか民主党は体面を保ったが、実情は「金融勢力と反金融勢力」が同居するわけだから、大きな支持を背景に生まれる政権ではなく、とても不安定だ。参考引用コラムは、英国のEU離脱騒動を扱ったものを二本、参考引用する。興味のある方は、じっくり読まれることをお薦めする。ただし、筆者は両コラムに賛同はしていない。

PS: 笠原氏のコラムは安定的だが、後の神野氏のコラムは不安定感があった。蛇足だが、ひと言申し上げておく。


 ≪ イギリスEU離脱の世界史的インパクト〜私たちが受け取るべき「2つの重大警告」
   歴史はまた繰り返すのか?

 ■EUの存在意義がパラドックス化
「イギリスさん出て行かないで!」
・世界中が懇願する中で、イギリスは23日に実施した国民投票で欧州連合(EU)離脱という選択をした。
・歴史は動いた。否、明らかに大きく後ずさりした。相互依存を強める世界において国境のない新たな統治モデルを追求するという歴史的な実験「ヨーロピアン・ドリーム」はその輝きを失ったのである。

* * *

・イギリス離脱が持つ意味を最もよく物語っていたのは、EUの事実上のリーダーであるメルケル独首相の記者会見での悲壮な表情だろう。
・“イギリス国民の決定を残念に思う。欧州と欧州統合プロセスにとって今日は分水嶺となるだろう。我々は取り乱すことなく、冷静であらねばならない” そう語ったメルケル首相自身が動揺していた。
・EUは今、創設以来最大の危機にある。ほぼゼロ成長が続く経済、10%近い失業率、未解決のギリシャ債務危機、難民危機、続発するテロ、加盟各国で台頭するポピュリスト政党……。
・イギリスの離脱はEUの遠心力を加速させ、EUが解体に向かうシナリオさえ排除されなくなった。「ベルリン=パリ=ロンドン」のトライアングルにより微妙に保たれてきたEUのパワーバランスは瓦解した。
・欧州統合プロジェクトとは元々、知恵に長けたフランスが戦争責任のトラウマから脇役に徹するドイツの経済力を生かして牽引してきたプロジェクトだっ た。そこに現実主義・合理主義的なイギリスが途中参加し、EUの市場経済化や外交・安全保障面でイニシアチブを取ってきたという経緯がある。
・ユーロ危機を契機に欧州の指導国となったドイツ。イギリスがいなくなれば、フランスの影響力低下とあいまって、ドイツの存在感ばかりが際立ってしまう。またしても、欧州につきまとう「ドイツ問題」という亡霊の登場である。
・二度の大戦を引き起こしたドイツを「押さえ込む」ことが目的だったはずのEUは、その存在意義がパラドックス化する。ショイブレ財務相は独誌シュピーゲル(6月10日)のインタビューでドイツの苦悩を次のように語っている。
・“人々はいつもドイツにリーダーシップを求める。しかし、ドイツが指導力を行使した途端に我々は批判されるのである。EUはイギリスがいることによってバランスがとれていた。イギリスが関与すればするほど、欧州はうまく機能してきた” ・欧州の「ドイツ恐怖症」は消えていない。歴史を振り返れば、19世紀後半の「栄光ある孤立」などイギリスが欧州と距離を置くとき、大陸欧州は不安定化してきた。
・「歴史の教訓は、イギリスの孤立主義はしばしば、欧州大陸の分裂と結びついてきたということである」 ニーアル・ファーガソン米ハーバード大教授はこう指摘している。
・記者会見で悲壮感を漂わせていたメルケル首相の心中はいかほどだったか。ドイツの歴史に誠実に向き合いながら、欧州のリーダーシップを取らざるを得ないというジレンマ。その心中、察して余りあった。
・イギリスは、欧州統合プロジェクトの初の脱落国家となった。離脱は、世界がかつて理想として仰ぎ見たヨーロピアン・ドリームを終焉させるだけでなく、EUが背負った「歴史の清算」という至高の目標すら台無しにしかねないのである。

■2つの大きな警告
・前回のコラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48954) で、イギリスでは国民投票を行う法的義務はなく、キャメロン首相の判断(勝てるという誤算)により今回の国民投票は実施された、と説明した。自らが信じる 「国益」「国際益」をリーダーシップで守る努力を放棄したキャメロン首相に対する歴史の評価は、極めて厳しいものとなるだろう。
・それでは、イギリスの国民投票が歴史に刻んだ教訓、警告とは何であろうか。国民投票に至るプロセスとその結果を振り返るとき、イギリスの経験は世界に2つの大きな警告を発しているように思う。 以下、順に説明したい。
・第1の警告は、移民問題のタブー視は国家基盤を危うくするということだ。 世界に激震を走らせている「イギリス・ショック」の原点は、2004年に遡る。東欧など10ヵ国がEUに新規加盟したときだ。
・EUはヒトの移動の自由と「EU市民」としての平等な扱いを加盟国に義務づけている。しかし、加盟国はこのとき、東欧の人々への7年間の就労制限を認められた。ほとんどの加盟国がこの権利を行使する中、当時のブレア労働党政権は門戸を開放するという寛容な政策を取った。
・その結果、イギリスに住むEU移民は2004年~2015年の12年間に100万人から300万人へと急増することになる
・しかし、問題の本質は移民の規模ではない。イギリスが門戸を開きながらも、移民を単なる労働力とみなし、決して歓迎することなく、さまざまな不満の声を放置してきたことこそが「移民問題」という危機の本質なのだ。
・イギリス政府は、移民の低賃金労働(搾取)を看過し、「移民に仕事を奪われている」という労働者層の不満や、医療や教育、公共住宅など公共サービスの低下で不満を強める国民の声と真剣に向き合ってこなかった。
・そして、イギリスでも移民問題を論じることはタブー視されるようになった。移民問題は容易に「人種差別批判」へ転じてしまうからだ。背景には、行き過ぎた「政治的公正さ(ポリティカル・コレクトネス)」が幅をきかせる社会のムードがある。
・こうして、EU離脱を掲げる「英国独立党(UKIP)」などポピュリスト政治が増殖する社会的土壌が生まれ、それが、大英帝国の歴史への誇りを背景にしたナショナリズムの盛り上がりと一体化。国民が現状への不満を国民投票にぶつけるという今回の事態を招いたのである。
・イギリスのEU離脱の引き金がいかに引かれたかを見極めるとき、そこに浮かび上がるのは、移民問題をタブー視してきた労働党や保守党など既成政党の姿勢である。
・イギリス政府が門戸開放の一方で、それに見合うだけ、国民の不満にもっと声を傾けていれば、離脱という最悪の事態は避けることができただろう。
・イギリスはもともと移民に寛容な国だった。第2次大戦後、旧植民地からの移民にはイギリス国籍を与えてきた。「イギリス国民とは誰か」と問うとき、 「イギリス国王の下に集う人々」と言うほどオープンであり、イギリスに住む英連邦(旧植民地など加盟約50ヵ国)の住民には選挙権を与えているほどだ。
・そのイギリスが極めて短期間に「不寛容な国」へと変質し、経済的な損失を覚悟の上でEU離脱という「自傷行為」に走ったことは、世界への大きな警告である。

■エリート主義の敗北
・2つ目の警告は、「過半数民主主義の限界」と「エリート主義の敗北」である。
・国民投票の結果は離脱支持51・89%、残留支持48・11%で、その差は4%にも満たない。EU離脱の是非という国家の進路を大きく変えるような決定が、1票でも半数を超えればよい過半数民主主義で下されることは何をもたらすのだろうか。
・象徴的だったのは、投票日の翌24日、ロンドンの国会議事堂前で残留派の人々が掲げていたボードだ。そこには、「イギリス人であることが恥ずかしい」と書かれていた。
・EU離脱をめぐる国民投票は様々な二項対立で説明されたが、その一つが「残留支持のエリート層と離脱支持の庶民層」という構図だった。
・ボードの主張は、“理性的なエリート層”の“感情的な庶民層”への侮蔑を示したものとも受け止められ、投票結果がイギリス社会の分断を決定的にすることが深く懸念される。国民のほぼ半数が反対するEU離脱が社会を不安定化させることは間違いない。EU加盟問題が永久の決着をみたということにも決して ならないだろう。
・解体の危機すら指摘されるEU、欧州統合のプロジェクト自体がその証左である。
・冷戦終結後に政治統合へ大きく舵を切り、現在のEUの基本条約となった1992年のマーストリヒト条約はそもそも、承認を求めるフランス国民投票で はわずか51%しか支持されていない。統合の旗振り役であるフランスで半数の支持しか得ていないにもかかわらず、エリート層が強引に推進してきたのが近年の統合プロジェクトの実態だ。
・例えば、単一通貨ユーロの導入はその典型だろう。金融政策は加盟国で統一しながら、財政政策は各国でバラバラという構造は、大学の経済学の授業レベ ルの知識でさえ、「うまくいくはずがない」と判断できるものだろう。統合推進派は、そのユーロを輝かしい理想の象徴としてアピールしてきた。そして、そのユーロが今も、ギリシャのみならず、スペインやイタリアなどを緊縮財政で苦しめている。
・イギリスの国民投票は、EUの政治家、エリートへの強烈なウェイクアップ・コールになった。離脱という結果が突きつけたことは、グローバリゼーションという大状況の下で、庶民層とエリート層では社会、世界が全く異なる「プリズム」を通して見えているということだ。
・だから、キャメロン首相を始めとした残留派やオバマ米大統領、IMF(国際通貨基金)や世銀といったエスタブリュシュメント層がいくら離脱に伴う「経済的損失」や「国際的な地位の低下」を訴えても、キャンペーン戦略としては功を奏さなかったのである。

 ■「世界で最も複雑な離婚劇」は始まったばかり
・EUのトゥスク大統領(欧州理事会常任議長)はこう語っている。
・“完全な統合を急ぐという観念に取り憑かれ、我々は庶民、EU市民が我々と(統合への)情熱を共有していないということに気付かなかった”
・EU首脳がここまで率直に反省の弁を述べたのは初めてだろう。
・イギリス人は本来、保守的な国民である。急激な改革ではなく、漸進的な進歩を求めてきた人たちだ。それだけに、多くの予測に反してEU離脱という過激な結果が示されたことは、一層衝撃的なのである。
・その結果が意味することは、「エリート主義の敗北」である。アメリカ大統領選であれよあれよという間に共和党候補となったドナルド・トランプ氏をめぐる「トランプ現象」、大陸欧州で勢いを増すポピュリスト政党の台頭と合わせ、その潮流は不気味である。

* * *

・イギリスのEUからの離脱という「世界で最も複雑な離婚劇」(フィナンシャル・タイムズ紙)は始まったばかりだ。
・1973年に加盟したイギリスが欧州と43年間にわたって積み上げてきた無数のブロックのひとつひとつを、いかに全体を崩壊させずに引き抜き、両者の間にどのような新たな橋を築いていくのか。
・イギリスでは「ブリクジット省」の創設が必要になるのではないかと指摘されるほど煩雑で、未知の領域に入っていくプロセスである。この離婚劇は、世界にとっても、経済面は言うに及ばず、国際政治の面においても極めて高くつくものとなるだろう。

* 笠原敏彦 (かさはら・としひこ) 1959年福井市生まれ。東京外国語大学卒業。1985年毎日新聞社入社。京都支局、大阪本社特別報道部などを経て外信部へ。ロンドン特派員 (1997~2002年)として欧州情勢のほか、アフガニスタン戦争やユーゴ紛争などを長期取材。ワシントン特派員(2005~2008年)としてホワイトハウス、国務省を担当し、ブッシュ大統領(当時)外遊に同行して20ヵ国を訪問。2009~2012年欧州総局長。滞英8年。現在、編集委員・紙面審査 委員。著書に『ふしぎなイギリス』がある。
 ≫(現代ビジネス:オトナの生活>笠原敏彦・賢者の知恵)


 ≪ 離脱しないかも? 英国のEU離脱を歴史視点で完全理解
■イギリス国民、EU離脱を選択!
 2016年6月23日は、ひょっとしたら将来の教科書に載ることになるかもしれません。イギリスにおいて国民投票が行われた結果、国民は「EU(欧州連合)からの離脱」の意思表示をしたためです。
 1952年にECSC(ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体)が誕生して以来、幾度となく改組・統合を繰り返しながら、これまで加盟国が加わることはあっても、一 度として減ったことがなく育ってきたEUが、ついに後退しようとしています。これにより、歴史が大きくうねる可能性があります。
 これからイギリスは、EUは、世界は、そして日本はどう影響を受け、展開していくことになるのか? 世界中がその動向を固唾(かたず)を飲んで見守り、早くもたくさんのアナリストたち侃々諤々(かんがんがくがく)、多くの議論を戦わせています。しかし、 その議論もおそらく一般の方々にはチンプンカンプンなのではないでしょうか。
 現状の国際情勢を理解するためには、何よりもまず、歴史的背景を踏まえることが必須なのですが、どうもその一番大切なところが、おざなりになっているようです。
 そこで本コラムでは、他の解説とは一線を画し、本コラムのコンセプトでもある「歴史的背景を踏まえてニュースを読み解く」を実践していきたいと思います。

■法的拘束力はない! 国民投票の役割
 まず、勘違いしてはならないのは、今回の国民投票には「法的拘束力はない」ということです。この点について、イギリス国民ですら意識から飛んでいるのか、知らされていないのか、すでにEU離脱が「決定事項」であるかのように、「残留派」と「離脱派」で熱狂と落胆が入り交じっています。
 しかし、イギリス議会が今回の決定を無視・黙殺しても、法規上は、なんら問題はありません。そのうえ、首相のキャメロン保守党党首・野党筆頭のコービン労働党党首をはじめとして、議会は労働党も保守党も強く「残留」を望んでいます。
 実のところ、今回の国民投票の政治的役割は、残念ながら「民主主義精神に従って、国民の信を問い、これを国政に反映させる」というものではありません。そう叫ばれているのは、あくまで “国民向けの建前”です。
 今回の国民投票に政府(議会)が期待していたのは、「国民投票の結果を政府の意思に追従させ、これにより政府の意向に逆らう反対派を黙らせる」ことでした。

■フランス革命直前期に酷似
 ところが結果は、政府の意に反したものになってしまいました。こうした現在のイギリスの政治状況を歴史的視点でひも解けば、「フランス革命直前のフランスの政治状況」とそっくりです。
 たとえば、今回の国民投票はロンドンを中心として、ブリテン島東南部が洪水を伴うほどの豪雨と雷雨に見舞われ、投票にも支障を来たすほどでした。まるでこの先のイギリスの「暗雲」を象徴しているかのようですが、これは、フランス革命の直前、マリーアントワネットとルイ王太子(後のルイ16世)の結婚式の日、前日までの晴天が嘘のように豪雨・雷雨になったことを彷彿とさせます。
 現在のイギリスで問題になっているのは「EU離脱問題」で、当時のフランスで問題になっていたのは「特権身分課税問題」であり、議題こそ違いますが、このときのフランス政界も「絶対に特権課税などさせない!」という固い意思統一がされていたにもかかわらず、あえて「三部会」を開催させています。その背景には、歴代蔵相(テュルゴー・ネッケル・カロンヌ・ブリエンヌら)がこぞって「特権課税!」を叫ぶため、あくまでも彼らを黙らせるための方便という理由がありました。
 この「三部会」が、今回のイギリスの「国民投票」に相当します。
 三部会もまた、イギリスの国民投票同様、「法的拘束力」などなく、ただ、政府の意向に添った結論を出させることで、反対派を黙らせようとしただけです。 しかも、「法的拘束力はない」ということを当時の第三身分(一般市民)たちは知らず、三部会で決定されたことは必ず執行されると信じていたところまで、現 代のイギリスとそっくり。
 まさに「歴史は繰り返す」とはよく言ったものです。

■国民投票の結果は実現するか?
 今回のイギリスでも、「離脱派」はすでにEU離脱の執行が決定したかのように熱狂し、「残留派」はこの世の終わりのように失望していますが、先程も述べたように、国民投票にはなんら「法的拘束力」はないのですから、まだまだこの先どう転ぶかはわかりません。政府は、なんやかんやと難癖つけて、これを反故(ほご)にする可能性は充分に考えられます。
 とはいえ、いくら「法的拘束力がない」からといっても、理由もなく黙殺したのでは、「ならば、何のために国民投票なんぞやった!?」と国民の怒りが爆発する可能性は非常に高い。それがイギリスの衰亡のきっかけになる可能性すらあり、たとえ反故にするにしても、よほどうまくやらなければなりません。

■反面教師、フランス革命の成り行き
 フランス革命直前のフランスでも、政府ははなから三部会を利用しようとしていただけで、万が一にも政府の意向に沿わないようなら、これを圧殺するつもりでした。
 ところが、「三部会は法的拘束力も持たない」「そもそも決議方式が理不尽で第三身分に勝ち目はない」と知った第三身分議員たちが騒ぎ始め、政府はその鎮静化に失敗してしまいます。そのため、彼らはやがて三部会とは別に「国民議会」を結成し、「我々は我々の意見が認められるまで決して解散しない!」と宣言 (テニスコートの誓い)、それがフランス革命へと発展していくことになります。
 政府がひとつ判断を誤ったせいで、これからフランスは10年にわたり血で血を洗うような収拾のつかない「フランス革命」へと突入し、その中で数千人の首がギロチン台の露と消えていく(ロベスピエールの恐怖政治)ことになります。
 そのフランス革命もようやく沈静化してきたかと思ったら、今度はナポレオンという独裁者が現れ、それからさらに10年、ヨーロッパを巻き込む大戦争時代へと突入していき、今度はロベスピエールなど比ではない100万人もの命が戦場に散っていきました。ナポレオン亡きあとも、革命騒ぎ(七月革命、二月革命など)がひっきりなしに起こり、政治は混迷を極めます。そうした革命騒ぎがようやく落ち着いたと思ったら、再びナポレオン(三世)が台頭し、その独裁時代が18年もつづくことになります。
 こうした悲惨な歴史を歩むことになった契機は、「三部会の扱いを誤った」からです。
 従って、「国民投票には法的拘束力がないのだから、イギリス政府はこれを反故にするだろう」と主張している人もいますが、話はそう単純でもありません。 ひとつ対応を誤れば、たちまちフランスの二の舞となるかもしれないのですから、反故にするにしても極めて慎重を要します。

■ふたつの世界大戦
 それでは、そもそもEUとは一体なんでしょうか。
 時は18~19世紀の帝国主義時代に遡ります。当時、産業革命の成果を背景にした白人列強が、次々と有色人種の国々をその隷属下に置いていきました。し かし、「エサ(植民地)」が豊富にあるうちはまだ良かったのですが、20世紀初頭、これをほとんど食い尽くしたとき、最終的に彼らが行き着いた所は “共食い”でした。
 その “共食い ”こそが「第一次世界大戦」です。4年半にもおよぶ凄惨な大戦ののち、彼らは、その荒廃したヨーロッパの惨状を目の当たりにして愕然となります。 ――こんな悲惨な戦争をもう一度やったら、我々ヨーロッパは二度と立ち直れないほどの打撃を被ることになるぞ!
 ところが、その反省も虚しく、彼らは第一次世界大戦が終わって(1918年)からわずか20年と経ずして、もう一度 “共食い”を始めてしまいます。しかも、第一次世界大戦など比較にならないほどの大規模で。
 それこそが「第二次世界大戦」です。大戦後、二度目の興廃したヨーロッパを目の当たりにしたとき、彼らはみずからの蛮行に茫然自失します。

■最終的な目標形態はアメリカ、ヨーロッパ統合構想
 そうした絶望感が蔓延する中、当時のフランス外相シューマン(1948~52年)がひとつの構想を提唱をします。 ――なぜ我々は “共食い ”を抑えることができないのか?
 それは、偏在している地下資源をひとつの国が独占しようとしたり、相手国から奪おうとするからである。そうならないために、地下資源を加盟国間で共有化し、これを人口比別に均霑(均等分配)するような組織を作ろうではないか。そうすれば、二度とこんな “共食い ”は起きないだろう。
 こうして1952年、まずは加盟国間の「石炭と鉄鋼」を共有する「ECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)」が発足することになりました。
 しかしながら、「時すでに遅し」。この二度にわたる大戦がヨーロッパに残した傷は深く、以後ヨーロッパは20世紀後半をかけてじわじわと衰えていくことになります。その衰勢たるや、目を覆わんがばかりで、主導権はアメリカに奪われ、ついこの間まで“たかが極東の貧乏小国”と小馬鹿にしていた日本にまで抜かれ、中国にも抜かれ、あれよあれよという間に、ヨーロッパは再び、17世紀以前のように “地球の辺境”へと戻っていく様相を呈してきます。
 こうなれば、「弱者は群れることでその身を護る」もの。そこで、初めこそ「地下資源(石炭と鉄鋼)の共有」という理念から始まった共同体(ECSC)で したが、その適用範囲をどんどん拡張していき、EEC(欧州経済共同体)、EURATOM(欧州原子力共同体)と発展させ、やがてはこれらを統合して EC(欧州共同体)へと広げていきます。
 のみならず、その共同範囲を経済活動に限定せず、外交や司法にまで範囲を拡げ、EUとして生まれ変わり、その加盟国もECSCの6カ国から始まって現在 28カ国まで増やして、ヨーロッパのほとんどの国が参加するまで成長させていきます。そこには「もはやヨーロッパに昔日の面影はなく、これからもヨーロッパが国際社会に発言権を保ち、米・日・中と肩を並べていくためには、連合して当たるしかない」という心理が働いています。
 その最終的な目標形態は「アメリカ合衆国」。アメリカ合衆国が「国家(州)の連合体(United States)」であるように、ヨーロッパもこれを理想として、「ヨーロッパ合衆国」を目指して生き残りを図ったのです。

■“ヨーロッパ合衆国”の実態はぐらつく積木
 しかし、アメリカが「合衆国」としてうまく運営できたのは、その全州に「我らアメリカ人」という国民意識が厳然としてあり、それが強力な“接着剤”となっていたからです。
 たしかにアメリカの一つひとつの「州」を見れば、その独立意識はかなり強いものがありますが、その“接着剤”のおかげで、「外」に対しては「50州でひ とつ」として動くことができます。例えるなら、50のパーツの積木(州)で「城(国)」を組みあげるのに、「接着剤(国民意識)」で貼り付けながら組んであるようなものですから、パッと見、バラバラのパーツの寄せ集めのように見えながら、実は驚くほど強固なのです。
 これとは対照的に、ヨーロッパ諸国には「我らヨーロッパ人」という統一的、強固な “国民意識”はありません。ただ、イギリス人、フランス人、ドイツ人、スペイン人、ポーランド人といった、各国バラバラの国民意識があるだけです。いわ ば、ヨーロッパ統合とは「アメリカ合衆国のように50(ヨーロッパに存在するすべての国の数)の積木で“ヨーロッパ合衆国”という城を築こうした」ような ものなのですが、致命的な違いは「接着剤(国民意識)を使っていない」という点です。
 これはもう「致命的」といってよいものです。たとえ“接着剤”を使わずとも、一応は、積木(ヨーロッパ諸国)で城(EU)を築くことも可能でしょう。しかしそれは、一見立派に見えても、ホンの少し揺れたり、風が吹いたりしただけで、アッという間に揺らぎ、歪み、崩れ落ちてしまう程度のモロいものにすぎません。
 今現在のEUの姿はまさにこの「ぐらつく積木」状態です。これでは「ヨーロッパ合衆国」など夢のまた夢、EUが崩壊するのは時間の問題だったと言えましょう。

■EU崩壊による国際的被害
 どんな巨塔も、崩壊するときは一瞬です。ひとたび崩れはじめたが最後、その直前までの巨塔の偉容からは、想像もできないほどあっけなく崩壊していくもの です。「9.11」のときの「世界貿易センタービル」がそうであったように。そもそも世界貿易センタービルは、ジェット機が突っ込んだごときでは決して倒壊しないように設計されていたはずでした。
 そうした観点から見たとき、こたびの「イギリスのEU離脱」が現実となったとき、それが「ボーイング767」となって、EUが一気に崩壊する可能性は否定できません。そうなったとき、巨塔の崩壊に巻き込まれて、周りの者も無事では済まないでしょう。
 それはヨーロッパはもちろん、日本に、世界に、どのような影響を与えることになるのか。マスコミを見ておりますと、アナリストたちがいろいろ論じ、「世界恐慌が起こる!」など、さもすさまじい悪影響となって日本を襲うがごとく不安を煽り立てています。しかし筆者は、無傷では済まないでしょうが、騒ぐほどの被害はないと見ています。

■大禍の前は平穏
 なんとなれば、嵐の前は静かであり、津波の前は潮が引くといいますが、物事「大禍の前は平穏」であるものだからです。たとえば、すこし前に「ウクライナ問題」が世界のニュースを駆け巡ったことがありました。あのとき、世界中のアナリストたちがこぞって警鐘を鳴らしていたものです。 ――このウクライナ問題が基軸となって、第三次世界大戦となる可能性が高い!  しかしこうした喧噪の中、筆者はさまざまなところで広言していました。 ――これが第三次世界大戦に発展することはない!
 事実、筆者の言ったとおりになりました。筆者は、国際政治学の専門家ではありません。にもかかわらず、なぜそう断言できたのでしょうか。それは、「世界中の専門家が警鐘を鳴らしていたから」です。
 歴史をひも解くと、「大きな危機が訪れる直前」というのは、自分たちが「危機の直前にいる」ことを誰ひとり気づいていないものです。たとえば、あの第一次世界大戦が起こる直前、いえ、勃発したあとであっても、この戦争が「人類史上初の総力戦」となって、歴史に刻まれるような大戦になろうなどと予想していた者は、誰もいませんでした。
 また、この大戦終結の10年後(1929年)にやってきた「世界大恐慌」にしてもそうです。この「世界大恐慌」の到来を予測できた人など、世界でも本当に指で折って数えるほどの人たちだけで、後は株価の狂乱に酔っている者たちばかりでした。
 時の合衆国大統領ハーバート・フーヴァーなど、大恐慌が直前まで迫った半年前、「我が合衆国の繁栄は永遠につづくであろう!」とぶち上げていましたし、 実際に大恐慌が起こった後も、それが大恐慌と認識することすらできず、「ただ風邪を引いただけだ!」とうそぶき、経済無策をつづけ、傷を深めていったものです。
 そして、さらにその10年後(1939年)に起こった「第二次世界大戦」にしてもそうです。現在では、「1939年9月1日、ヒトラーによるポーランド進撃をもって、第二次世界大戦の勃発!」と見なしますが、実はこの時点では、英仏はもちろん、ポーランドに電撃戦をかけたヒトラー本人ですら、これが「世 界大戦」になるなどと露ほどにも思っていませんでした。
 ヒトラーは、ポーランド進撃の完了をもって、そのまま戦争は終息すると考えていたのです。

■専門家に予測できる破局は起こらない
 このように、大破局というものは「誰もそれを予測していない」ときに起こるものであって、アナリストたちが「危ない!」「危ない!」と大合唱していると きには起きないものなのです。なんとなれば、誰も予測していないときというのは、それが起こらないようにする対策もまた為されないからです。ストッパーが なければ、岩はどこまでも坂道を転げ落ちていくだけです。
 逆に、専門家たちが、「起こるぞ!」「起こるぞ!」と警鐘が鳴らしているときというのは、危機感にあおられて政治家や経済人たちが立ち上がり、破局に至らないように死に物狂いで東奔西走して対策に当たるため、破局は起こらないか、起こっても最小限の被害で済むものなのです。
 つまり……  今回、イギリスの離脱が本当に国民投票の通りに実現するかどうかは、まだ現時点では未知数です。しかしながら、たとえ今回イギリスが国民投票の結果を無視して離脱しなかったとしても、すでに見てまいりましたように、EUには根本的にして致命的な欠陥があるため、未来はありません。今回のことがウヤムヤになったとしても、遠からずEUは崩壊することになるでしょう。
 しかし、その日本への影響はアナリストたちがあおるような大禍とはならないと筆者は予測しています。彼らの予測はあくまで「何ひとつ対策を取らなければ最悪の事態はこうなる」ということであって、警鐘が鳴らされていれば、人は対策を練ります。従って、必要以上に不安がる必要はないでしょう。

*神野正史 予備校世界史トップ講師、世界史ドットコム主宰  歴史エヴァンジェリスト。「スキンヘッド、サングラス、口髭」の風貌に、「黒スーツ、黒Yシャツ、金ネクタイ」という出で立ちで、「神野オリジナル扇 子」を振るいながら講義をする。誰にでもわかるように立体的に、世界の歴史を視覚化させる真摯な講義は、毎年受講生から絶賛と感動を巻き起こし、とてつも ない支持率。近年はテレビや講演会でも活躍。著書の『世界史劇場』(ベレ出版)はシリーズで大人気。『最強の成功哲学書 世界史』(ダイヤモンド社)、最新刊『戦争と革命の世界史』(大和書房)も好評発売中。


   


≫(日経BPnet:BizCOLLGE>スタディールーム神野正史のニュースは「世界史」に学べ!)

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●「内閣支持率37%、不支持42%と逆転」(毎日・東京調査)

2016年06月28日 | 日記
自由という牢獄――責任・公共性・資本主義
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●「内閣支持率37%、不支持42%と逆転」(毎日・東京調査)

27日東証日経平均は、薄商いの中、当初の一般的相場観と、逆さまな動きをした。市場関係者の多くにも、首を傾げる者があちこちで見かけた。為替が円安に振れたのなら、理屈に一理あるが、101円台の円高である。ここまで、状況証拠が揃うと、財務、日銀の口先介入にとどまらず、先物や現物株を、官製が投信を通じて介入した可能性が高い。実際問題、同日のNY株式市場ダウ平均は、一時300ドル下げていた。

つまり、欧米市場が下げ相場の中で、東京だけが上げ相場になったと云うことは、虚飾の相場を編み出しているようだ。まあ、1300円暴落から、300円回復だから、焼け石に水だがね。上海取引所の怪しさを非難していられる立場ではないようだ。噂によると、GPIFの損害額は、最低でも10兆円。最悪な場合、15~20兆円に膨らむ可能性もある。この発表は、参議院選後だと云うが、ウイキリークスが早めに暴露してくれないものだろうか(笑)。参議院選対策と雖も、やり過ぎは「国家の犯罪」だと思う。国民の年金基金を削ってでも、安倍政権の経済政策の正しさを、株価だけで馬鹿な国民に伝える手法は厳に慎むべきだ。

つくづく、安倍政権というやつは、嘘つきだ。ありとあらゆるサイトに行くと、自民党のバナー広告が矢鱈と目立つ。開くページの殆どに【 政治は国民のもの 自民党 】と云う、最も安倍自民党政権から対極的意味合いのある、標語を掲げている。厚顔不遜を絵に描いたような連中のなせる業だ。笑い事ではないが、ついつい笑ってしま自分を叱りつけたい。【 政治は国民の富を奪うもの 国家のための政治が自民党 】と変えるのが筋だ。

英国離脱決定のニュースが世界中を駆け巡る前日、22日、23日に行った、毎日新聞の選挙情勢調査が面白い。毎日は、意識的に24日を外したのかどうか判らないが、阿鼻叫喚の24日以前の段階でも、安倍内閣への支持率は落ちだしたようだ。選挙演説では、自民党幹部は、「日本だけは、アベノミクスのお蔭で、リーマン・ショック並の大波に呑み込まれない手立てを打っている」と、嘘の上に嘘の厚化粧を施している。株式市場は27日月曜で大納会を迎えるわけではない。投票日の前々日、7月8日まで9日間もあるのだ、幾らなんでも息が切れ、息途絶えるやも知れぬ(笑)。

年金損害額30兆円などと云う喜悲劇は聞きたくもない、見たくもない。勿論、問答無用だが、安倍に2/3議席を与えてしまえば、知らぬ顔して、安倍は居座るだろう。国民の懐から、15~30兆円盗んだ首相がだ。そうそう、毎日の調査に目を向けよう。

 ≪ 毎日新聞調査 改憲反対45% 安倍内閣支持42%
毎日新聞が22、23両日に実施した特別世論調査で、参院選後、憲法改正の手続きを進めることへの賛否を聞いたところ、「反対」との回答が45%で、「賛成」の36%を上回った。安倍内閣の支持率は42%、不支持率は35%だった。 2013年の前回参院選時の特別世論調査では「賛成」(46%)が「反対」(34%)を上回っていた。今回の参院選の結果、改憲勢力が参院で、改憲案の発議に必要な3分の2以上の議席を得る可能性が出てきたが、世論は慎重意見が強い。
 比例代表の投票先で自民を挙げた人では「賛成」(58%)が「反対」(28%)を大きく上回った。公明を挙げた人も「賛成」(44%)が「反対」(38%)より多い。
 これに対し、民進を選んだ人は「反対」が75%に達し、「賛成」は18%。共産を選んだ人も80%が反対した。比例代表でどの政党に投票するか決めていないと答えた人では、「反対」(47%)が「賛成」(29%)より多かった。
 内閣支持層は「賛成」58%、「反対」28%。不支持層では「反対」74%、「賛成」17%だった。
 年代別にみると、30代までは賛成が反対より多く、40代以上では逆に反対が賛成を上回った。  主な政党支持率は、自民33%▽民進13%▽共産6%▽公明5%▽おおさか維新4%−−など。「支持政党はない」と答えた無党派層は25%だった。【今村茜】

 調査の方法 22、23日の2日間、コンピューターで無作為に数字を組み合わせて作った電話番号に、調査員が電話をかけるRDS法による調査を、JNN と協力して実施した。福島第1原発事故で帰還困難区域などに指定されている市町村の電話番号は除いた。選挙区ごとの目標回答数は、改選数1=500▽同 2=750▽同3、4=1000▽同6=1200。全国の有権者2万7500人から回答を得た。 ≫(毎日新聞)


現状では、≪安倍内閣の支持率は42%、不支持率は35%だった。≫は概ね妥当な数値だろう。本来、今回の参議院選における、もっとも重要なの争点は「改憲」なのだが、安倍自民が「改憲は争点ではない」と強弁する以上、マスメディアの堕落から考えても、改憲を争点化して訴え続けてるだけでは、票の掘り起こしには繋がらない気がする。やはり、景気と社会保障だ。この改憲、景気、社会保障の割合を、20:40:40程度にする方が得策である。野党側にとって、“イギリス・ショック”はお天道様の差配かもしれない。大切にすべきだ。

改憲に関する調査では、≪ 年代別にみると、30代までは賛成が反対より多く、40代以上では逆に反対が賛成を上回った ≫と云うのが気になったが、彼らの投票率が上がれば重大事だが、彼らの投票率が上がる可能性は低い。ただ、徴兵制や、実際に自衛隊が戦地に赴き、犠牲者を出す段階になれば、ゲームや映画感覚から、リアルに投影できるのだろう。ある程度は、社会的にあり得る現象だ。多くのゲームには、バトルがつきもので、彼らはその魅力に嵌る無責任さが特徴でもあるので、見逃しておくしかない。進撃の巨人にせよ、百田の『永遠の0』など一連の戦争モノを流行させたのは、それなりの戦略なのだろう。

以下は、毎日の選挙調査・東京地域版の記事である。今回の参議院選の争点を尋ねたところ、「社会保障(年金医療)」が28%。次に「憲法改正」が17%で続いた。以下、「アベノミクス」12%、「安全保障関連」7%、「消費税」7%、「子育て支援」7%、「原発エネルギー問題」6%などなど、メディアリテラシーの安定感を感じる。この東京の有権者が、あの舛添要一を都知事に選んだのかと思うと、同じ都民には思えない。

ちなみに都民の内閣支持率は37%で、不支持が42%と逆転した。情報力の違いか、自民推薦の石原、猪瀬、舛添が任期途中で統制を投げだした影響があるのか、定かではない。また、不支持の42%の数値が世論を充分に反映しているとしても、田中康夫が、まさか大阪維新の会だとは知らずに投票する人も出てくるだろうから、42%=野党連合と判断するのは早計だ。ただ、2013年の参議院選前には、安倍内閣支持が51%で、不支持が28%だったことを思えば、さま変わりだ。主に、情報をNHKなどテレビに頼る人々の多い地域とは異なるので、東京の傾向が全国津々浦々とは行かないだろう。 不支持42%、支持は37%  安倍晋三内閣を「支持しない」と答えたのは42%で「支持する」の37%を上回った。2013年の前回参院選情勢調査時は、支持(51%)が不支持(28%)を大きく上回っていたが、逆転した。


≪ 毎日新聞総合調査(その2止) /東京

◆重視する争点
年金・医療が最多の28%  参院選の争点は何かを尋ねたところ「年金・医療」が28%と最も高く「憲法改正」が17%で続いた。その他は▽アベノミクス12%▽安全保障関連法8%▽消費増税7%▽子育て支援7%▽原発・エネルギー政策6%−−などとなった。
 安倍内閣の支持層では、年金・医療とアベノミクスがいずれも27%で最多。憲法改正は安全保障関連法や子育て支援、消費増税と並び8%にとどまった。一方、内閣不支持層は憲法改正が30%で最も多く、年金・医療が29%で続いた。
 年代別にみると、18・19歳では消費増税が過半数を占め、30代は子育て支援が34%で最多。他の年代はいずれも年金・医療が最も多く、社会保障政策への関心の高さを示した。  

◆憲法改正 反対、大幅に賛成上回る
 憲法改正手続きを進めることへの賛否は、反対が51%と賛成の32%を大きく上回った。賛成40%、反対42%と賛否がほぼ拮抗(きっこう)した2013年の前回参院選情勢調査時から、状況に変化がみられる。
 支持政党別にみると、憲法改正に向け国民の合意形成に努めるとしている自民支持層は6割が賛成。公明支持層は賛成と反対がいずれも4割弱で拮抗。
 一方、改憲勢力による3分の2以上の議席獲得阻止を掲げる野党は、民進、共産のいずれも8割が反対。支持政党による考え方の違いが鮮明になった。
 年代別では、18・19歳と20代で賛成が反対を上回り、30代以上の年代はいずれも反対が賛成を上回った。  

◆安倍内閣 不支持42%、支持は37%
 安倍晋三内閣を「支持しない」と答えたのは42%で「支持する」の37%を上回った。2013年の前回参院選情勢調査時は、支持(51%)が不支持(28%)を大きく上回っていたが、逆転した。
 支持政党別では、自民支持層の8割以上が安倍内閣を支持した。公明支持層は5割強だった。一方、民進、共産両党の支持層では、いずれも内閣不支持が8割以上を占めた。無党派層も6割近くが不支持で、2割弱の支持を大きく上回った。
 憲法改正手続きを進めることに賛成する層の内閣支持率は7割近く、反対層は不支持が7割近かった。  年代別では、18・19歳と20代、40代で支持が不支持を上回り、他の年代で不支持が支持を上回った。
 ≫(6月24日付毎日新聞・東京版)


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