世相を斬る あいば達也

民主主義、資本主義とグローバル経済や金融資本主義の異様な違いについて

●象徴天皇に関し、有識者の不見識に逃げ込む無責任政府

2016年12月02日 | 日記

 

セカンドハンドの時代――「赤い国」を生きた人びと
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岩波書店


●象徴天皇に関し、有識者の不見識に逃げ込む無責任政府

 以下、時事通信が伝える政府による「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)の有識者ヒヤリングが、一通り終わったと云う記事である。政府が設置した有識者会議そのものも、構成する有識者自体も、何らの選出根拠などないわけで、所謂、過去のエスタブリッシュメントな人々の寄せ集めであり、何処までいっても既得権益内の人々の利益代表に過ぎない。この利益代表イコール国民の総意に近づくかどうか、今ひとつ曖昧だ。

 屋上屋を重ねるばかりの有識者のヒヤリングまで、ご丁寧に行ったという馬鹿げた記事だ。ピンからキリまで、資格自体が不明な人々の、意味不明なご意見を並べられても、何ら参考にもならない。混乱を助長するだけだろう(笑)。日本国憲法の成立過程に難癖をつけたり、国家神道の立場上の天皇観を語る信仰上の感想、感情であり、ヒヤリングしなければならない水準のお話とは思えない。こんなことは、今井敬、御厨連中も判っているのだろうが、安倍政権の心のバックボーン、日本会議や神道政治連盟への配慮だとすると、愚にもつかない回り道である。

 日本会議や神道政治連盟の思い込み、望みなどの天皇観は、正直、所謂、国民の総意と云う概念とは異なる世界に棲んでいる人々の話で、同じ土俵上で展開させる意見とは全く違う。また、仮に、異論が存在するとしても、生前退位賛成と同数程度、反対意見があるようなシンボリックな反対意見数の異常な誇張である。

 今上天皇が、最も日本国憲法における「象徴天皇」を実践してきた、張本人であること、この事実を無視して、テメエらの「気分」など、国の金を使って聞くだけ無駄だ。世界で初めて、その意図するところを充分理解する努力と実践を行ってきたのが、現在の天皇なのであるから、その「象徴天皇」を身を持って全身全霊務めたご本人の意見こそが、最も重要視されるべきで、感覚であり、意見である。

 今上天皇としては、おそらく、このような「本人」ではない人間や、国民の総意とは思えない人間たちの意見にそれなりの意味があるような演出をすると予測していたのだろう、イレギュラーではあるが、政府の、このような卑怯奇天烈なプロパガンダ手法に対抗して、今上天皇の友人が、天皇の心の内を分析するような手法まで用意していた。要するに、天皇家にとって、安倍政府の天皇観は、どうも現皇室と親和的ではない方向を示している。


≪「変わらぬ形を」 おことば公表前、学友に打ち明け
 天皇陛下が退位の意向がにじむおことばを公表する直前の7月21日、恒久的な制度による退位を望む考えを学友に打ち明けられていたことが分かった。摂政に否定的な考えも明言したという。学友は麻生太郎副総理兼財務相の紹介で、官邸で退位問題を担当する杉田和博官房副長官に会い、陛下の気持ちを伝えた。
 学友は学習院の高等科まで陛下と同級生だった明石元紹氏(82)。明石氏によると、7月13日に陛下の退位の意向が報じられた約1週間後の7月21日午後10時過ぎ、陛下の身の回りの世話をする宮内庁職員から自宅に「陛下がお話ししたいとおっしゃっている」と電話があり、陛下が電話に出られた。
 陛下は退位について「ずいぶん前から考えていた」としたうえで、「日本の歴史は長いが、途中で(天皇が)代わった例はいくらもある。生きているうちに譲位をしてもびっくりすることでもない」と話したという。制度のあり方について、陛下は「国のための制度がある以上、合理的でいつも変わらない形にならないと意味がない」と恒久制度を望む気持ちを打ち明けたという。
 また摂政については、昭和天皇が皇太子時代に務めた例を挙げ、「天皇と摂政をそれぞれ支持するグループができて日本が政治的に二つに分かれるみたいなこともあったらしい」と指摘し、「よくないんじゃないか」と話したという。
 明石氏は杉田氏と約1時間面会。明石氏が「法律の問題があるかもしれないが早く実現してほしい」と要望したのに対し、杉田氏は「一代限りの退位ならまとめることはできるが、恒久法という形は難しい」との考えを示したという。
 陛下は8月のおことばで、摂政に否定的な考えを示し、「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」と述べている。 ≫【毎日新聞:田辺佑介】


≪9人容認、7人慎重=有識者、1月後半に論点整理-政府、特例法で調整-天皇退位
 天皇陛下の退位などについて検討する政府の「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」(座長・今井敬経団連名誉会長)は30日、首相官邸で5回目の会合を開き、皇室制度や憲法の専門家からのヒアリングを終えた。専門家16人のうち、9人が退位に賛成・容認、7人が反対・慎重論を唱えた。制度化については、賛成・容認論者のうち4人が恒久的な制度とするよう主張、残り5人は一代限りの特例法による対応に理解を示した。
 これを受け、同会議は12月7日以降、4回にわたりメンバー間で論点を整理し、来年1月後半をめどに公表する考えだ。
 退位の是非に対し、専門家の賛否は分かれたが、政府は陛下が82歳と高齢であることを踏まえ、詳細な制度設計に踏み込まずに済む特例法による対応が望ましいとの考え。来年5月の大型連休前後に関連法案を国会に提出する方向で調整を進める。
 菅義偉官房長官は30日の記者会見で、「議論が一定の段階に至った時点において、与野党も交えた議論も考えてもらいたい」と述べ、論点整理の公表後に与野党に諮る意向を示した。
 ヒアリングは11月7、14、30日の3回に分けて実施。退位とその制度化の是非や公務負担軽減策など8項目について見解を聴いた。最終回の30日は、憲法の専門家5人から意見を聴き、百地章国士舘大院客員教授ら4人が退位賛成または容認、八木秀次麗沢大教授だけが反対した。

 


≫(時事通信)


老いる家 崩れる街 住宅過剰社会の末路 (講談社現代新書)
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●ウクライナ危機を逆手に取られ苛立つ米国の次なる妄想外交

2016年12月01日 | 日記

 

黒い巨塔 最高裁判所
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講談社


●ウクライナ危機を逆手に取られ苛立つ米国の次なる妄想外交

 以下、米シンクタンク、ウィルソン・センター・ケナン研究所の副所長のWilliam E. Pomeranzの、プーチン・トランプ蜜月の分析が面白い。ものごとを、裏返しに眺めるように人々とを誘導すれば、ウクライナクーデターを画策し、ロシアにおけるプーチンの大統領権限を確実なものにしたと云うシナリオがあった如き前提を提示しうるのだから、インテリジェンスの世界は棲みにくい(笑)。

 オバマとメルケルによるヒステリック外交が、G8と云う世界の枠組みを歪め、教条的外交の教科書でも読まされているような、不愉快な数年を世界は過ごしてきた。 Pomeranz氏の分析に則ると、ロシアが経済制裁で危機に陥ってのも、もしかするとプーチンの戦略であり、クリミア併合は既定の路線であった。出来れば、アメリカは、ロシアにウクライナ東部と云う負の遺産を抱えさせようとしているのだが、本気で抱えると、プーチンは名乗り出ないのは面白くないと言っている。

 その上、欧米中心の経済制裁を受けることで、プーチン大統領は権力を集中させるナショナリズムの恩恵を受け、権力を堅固なものにしている。また、欧米の品質の高い商品が市場に出回らないことで、ロシアの競争力のない製造業は息を吹き返し、市場原理とは異なる形で、経済が回りだしている。経済は、回りだせば、それなりに成長もするわけで、西側世界市場と異なるが、そこそこ満足な、ロシア独特の市場が限定的に出来上がる。その内、後進的だった商品競争力も、徐々に復活の方向に動いてきている。

 結局、この米国のシンクタンクの副所長の恨み節は、米国主導で、ロシア・プーチンを貶めようとした画策が、プチンに裏を掛かれ、すべて、負の筋書きばかりが残されたウクライナクーデターだった。欧米の経済制裁が、皮肉にも、プーチンへの権力の集中を生み、クリミアまで併合され、お荷物ウクライナ東部を受け取ろうともしない。シリアクーデターの意趣返しの積りだったウクライナでも、一本取れないとなると、米国務省の知性は世界に恥を晒したままと云う状況が続く。このコラムでは、トランプ大統領と争うことが難しいプーチンの立場は、皮肉な漁夫の利ポジションから脱落するのではないかと、都合の良いシナリを描いている。逆に言えば、オバマ政権における、ロシア外交は、ことごとく失敗していると白状したようなコラムだと言える。


≪ コラム:プーチン大統領、トランプ氏との「蜜月」が生む代償
[21日 ロイター] - 成功した政治家というものは通常、そこに至る過程でそれなりの幸運に恵まれているものだ。ドナルド・トランプ氏が次期米大統領に選出されたことで、ロシアのプーチン大統領は最高の幸運を手にした。 孤立が続く代わりに、プーチン大統領は改めて「米ロ関係の再起動」の機会を得るだろうし、認識された影響圏、国内問題への不干渉、米国との対等な関係など、複数の長期的な目標にも実現可能性が出てくる。

だが、トランプ氏が本当に交渉上手なら、プーチン大統領は、反米的な姿勢、経済における保護主義など、自身への権力集中を支えてきた中心的な政策をいくつか犠牲にせざるを得なくなるだろう。

また米国との関係改善を進めるなかで、以前からの問題がさらに複雑化する可能性も高い。特にそれが顕著なのがウクライナ東部をめぐる問題だ。相当の数に上るであろう成果を数える前に、プーチン大統領はそれが自分にとってどのような結果を意味するのかを考える必要がある。

プーチン大統領はこれまで、1つの基本的な前提をもとに外交政策を組み立ててきた。つまり、国際社会におけるロシアの主要な、そして実際には唯一のライバルは米国であるという前提だ。すべての政策、演説、外交協議、ニュース番組は、この中心的な命題を軸としていた。

だが、その「敵」、あるいは少なくともその最も歪んだ虚像が突然消えてしまったら、どうなるだろう。

プーチン大統領にとって、プロパガンダを次々に生み出す源泉は「傲慢で厚かましい、力に取り憑かれた米国」に代わるものはない。

代替として分かりやすいのは「ロシア・ナショナリズム」だが、依然として多民族・多宗教のロシアでは、分断をもたらす可能性が高すぎる。それどころかプーチン大統領は先日、ロシアにおける諸民族間の関係に取り組むような新法の必要性を論じたほどなのだ。もっとも、この法案は、国家理念の統合に力を注ぐのではなく、どうやらロシアの国家構造における緩慢な官僚的煩雑さに対処するものになりそうだ。

プーチン大統領としては、欧州やイスラム国など、米国以外に敵を探すこともできるかもしれない。だが、それらが超大国のライバルとしてお馴染みの米国と同じ程度にロシア国民を刺激してくれる可能性は低い。プーチン氏は反米的な姿勢を軟化させるかもしれないが、そうすることにより、国家統合を進めるための頼りになる数少ない材料の1つを失うリスクに直面する。

 皮肉なことに、もしトランプ大統領が対ロ制裁の解除を決定すれば(そして欧州連合もすぐに後に続けば)、プーチン大統領の経済戦略もやはり混乱に陥ってしまう。ロシアによるクリミア半島併合とその後のウクライナ東部への軍事介入をめぐる米国の制裁に対抗して、プーチン大統領側でも報復的な制裁を課し、欧州連合(EU)及び米国からの食料輸入を禁止した。これは国内の食料生産者に大きな追い風となった。

またプーチン大統領は、電子機器、ソフトウェア、工作機械、製薬など多数の製品に関して、経済主権の名のもとでロシアの製造企業を優遇し補助金を与える輸入代替制度を開始した。

輸入代替制度を支える経済的な論拠は、依然としてかなり疑わしい。ほぼ確実に、品質の劣る、競争力の低い製品が出回ることになるからだ。だが、トランプ大統領が制裁制度の終了を提示し、その引き換えに、ロシアによる報復的制裁の解除とロシア市場への無差別のアクセスを求めてきたらどうなるだろう。

プーチン大統領は、そうした取引の一環として保護主義的な政策を解除せざるをえず、それによって、ロシア国内に新たに生まれたチーズ、ソフトウェア、医薬品などの生産者を西側企業との競争に晒すことになる。プーチン大統領の経済戦略全体が解体され、今後何年かは国家による保護を享受できるという前提で行動していた国内生産者からの反感を買うことになるだろう。

制裁が急に解除されると、プーチン氏のもう1つの計画、つまりウクライナ方面でも障害が生じる。制裁は2015年2月にウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの首脳たちのあいだで合意された「ミンスク2」和平プロセスと密接にリンクしている。欧州諸国は、この合意の実施に向けた進捗が見られるまで制裁を続けると主張しており、そのためにはロシア、ウクライナ双方の具体的な行動が必要になる。

前線からの重火器の撤去も含め、分離主義勢力による休戦の実施を監視する責任はロシア側にある。ウクライナ側に求められる譲歩は、それよりもはるかに厳しい。ウクライナ政府はドネツク、ルガンスクにおける地方選挙を承認し、これらの地域に相当の自治権を与えなければならない可能性がある。

だが、「ミンスク2」合意が十分に実施される前にトランプ大統領が制裁解除を決定すれば、ウクライナとしては、分離主義勢力に対処するうえで、はるかに自由に動けるようになるだろう。実際、ウクライナ側の識者のなかには、ドネツク、ルガンスク両地域にはあっさり自治権を与えてしまい、ウクライナを政治的な再統合というコストのかかるプロセスから解放しようという提案も出ているほどだ。

:ウクライナ政府がウクライナ東部から手を引く決定を下せば、プーチン大統領にとっては大きなジレンマになる。ロシア政府はウクライナ政府に干渉する口実を失い、一方で、ウクライナ東部の統治に関して、行政・財政面での長期的責任を引き受けることになる。

ウクライナ政府によるそうした動きを座視する代わりに、プーチン大統領が、ロシア軍部隊が介入していることはもちろん常に否定しつつも、ウクライナに対する軍事的な圧力を再び強める可能性は非常に高い。

トランプ大統領と、その現実主義のアドバイザーたちが、ロシアの主張する影響圏について不干渉政策を採用する可能性は高いが、新たな戦闘が始まると、特にプーチン大統領がロシア政府によるウクライナ情勢への介入を国民の目から隠したいと思うのであれば、当然ながら新たなリスクが生じることになる。

したがって、トランプ氏の勝利によってプーチン大統領はいくつか難しい選択を迫られる可能性がある。

プーチン大統領はあいかわらず柔軟性のある政治家であり、ロシア経済の深刻なリセッションから回復する時間を稼ぐための必要な休息として米ロ関係の改善を喜んで受け入れるかもしれない。とはいえ、プーチン氏の人気は対決型の外交政策と保護主義的な措置と直結している。外敵がいなくなれば、プーチン氏は自分の政策への支持を集めるために別の方法を見つけなければならない。経済運営における成功に頼ることはできないだろう。ロシア経済開発省は10月、ロシア国民の生活推移順は2035年まで改善しないだろうと発表している。

ロシア政府は明らかにトランプ氏の当選を喜んでいるが、トランプ大統領政権への期待を抑えるようにも努めている。これは健全な交渉戦術なのかもしれないが、同時に、プーチン氏が彼にとっての優先順位の調整に時間を要していることの表われとも考えられる。米国の新政権との取り決めが、彼の外交政策、経済戦略、国民からの支持基盤の主要な柱をひっくり返すとなれば、なおさらだ。

*筆者(William E. Pomeranz)は外交政策の米シンクタンク、ウィルソン・センター・ケナン研究所の副所長。 *本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)
 ≫(ロイターコラム)

汝の名はスパイ、裏切り者、あるいは詐欺師 インテリジェンス畸人伝
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マガジンハウス
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●腹七分目の美学 守銭奴にひた走る経済人と経済学者の醜さ

2016年11月30日 | 日記



さらば白人国家アメリカ
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講談社


●腹七分目の美学 守銭奴にひた走る既得権者の醜さ

 いま地球上で、グローバリズム信者だと堂々と口に出来る国の頂点に、日本と云う国は存在しているようだ。日経の世論調査でも、「トランプ大統領歓迎せず」が56%であったり、安倍内閣の経済政策、外交安保等々の政策も、市場関係者を歓ばせ、輸出企業を一服させる効果はあったが、それら効果は一過性であり、今、残された問題はマイナス金利や歪んだ金融市場の姿である。

 しかし、現状を容認するることが大好きな日本人は、内閣が、各論において、自分の考えと異なる方向の政策を打っていても、「まあ、イイか。野田の民進党よりはマシだろう」くらいの支持を表明している。事実、その考えは正しいかもしれない(笑)。多くの日本人は、今の日本政府の政権運営と世界を驚嘆させている反グローバリズムの動きが、全く逆な方向に向かっているくらいは知っている。

 米国追随政権運営以外の選択を知らない日本政府は、世界全体のベクトルが変わってきていると気づいても、オリジナリティがないのだから、ポカンと口を開けて傍観するほかない。日本政府も、与野党に関わらず、米国あっての日本。その米国が方向性を失っているのだから 、傍観が唯一の選択なのだ。自己決定を放棄した国の憐れさが、際立っているのが、今の日本だと言えるような気がする。

 英国、米国と云う第二次世界大戦後の世界の枠組み作りに強く関与し、事実指導的立場であった両国の国民が、そのアイデンティティに「NO」を突きつけた事実は、単なる偶然である筈がない。政党こそ違うが、ビル・クリントン、ジョージ・ブッシュ、バラク・オバマと3代に亘って、米国ホワイトハウスは、ウォールストリートと軍産複合企業群、多国籍企業群の執事のような政治を展開したのだから、グローバルと云う幅の広い方向性から、グローバリズムと云う狂信的イデオロギーの鎧を身につけ、敵味方を鮮明に色分けする特異性を発揮した。

 経済学においては、このグローバル経済における原動力は、フロンティアが存在し、その地に、投資を集中することで、厚みのある利益を生み、先進国もフロンティア地域も潤うメカニズムが成立した。しかし、最大にして最高のフロンティアであった中国は、世界のフロンティア地域から、一気に世界経済を牽引する一大勢力の樹立に向かって、その姿を明確に世界に見せつけている。

 グローバル経済の成長メカニズムの一つに過ぎなかった、20世紀最後のフロンティア国である中国が、米英中心に栄華を極めてきたグローバル経済と云う経済領域の枠組みを乗り越えて、グローバリズムと云うイデオロギーな色彩の強い、マンネリ化した欧米主義を温存しようと云う勢力と、もう、グローバリズムに糊代は残っていない。兎に角、新しいフェーズに入るためには、欧米型グローバリズムのイデオロギーから抜け出そうと云うのが、英国、米国、EU,中国、ロシア等々で、反グローバリズムな思想的動きはムーブメントから、パワーへと移行している。

 この動きに、驚くほど鈍感な国が、日本であることは、確実だ。正直、主だった先進国が、エスタブリッシュメントのあるべき姿を模索せざるを得ないと考えている最中、兎に角、20世紀的な欧米型付加価値に逃げ込めば、目立たずに「よい子」でいられるに違いないと云う、コウモリのような生き方が、もう通用しない21世紀が始まっていることを、言論人らがサボタージュして、誰一人語ろうとしていない。無論、マスメディアも全員走りだしている列車にブレーキを掛ける気力はない。日米大戦に突き進んだ大日本帝国と、何ら変わっていない日本人の組織を、我々は眺めているようだ。東京新聞が奮闘はしているが、多勢に無勢なのが日本の勢力図である。

≪ 米TPP離脱 グローバリズム是正を
 トランプ次期大統領の離脱明言でTPPは実現困難になった。発言の底流にあるグローバル化の歪(ひず)みを是正し修復しなければ、自由な貿易は前に進めないどころか、保護主義へと転落しかねない。
 世界中の新聞、テレビ、雑誌、ネットにあふれる論評、解説がトランプ氏の米大統領当選の衝撃を物語っている。
 なかでも重要な指摘のひとつに「歴史の転換点」がある。
 第二次世界大戦後、自由、人権、民主主義という理念、価値観を掲げてきた米国は内向きになり、外交も安全保障も経済も米国にとって損か得かという「取引」「米国の利益第一主義」に変容していく。米国が主導してきた国際政治、経済の枠組みの終わりという見方だ。
 冷戦終結後の一九九〇年代以降、米英を中心に加速した経済のグローバル化は、多国籍企業が富の偏りや格差の拡大を意に介せず利益を追求する貪欲な資本主義、マネーゲームの金融資本主義に化けた。負の側面が露(あら)わになったグローバル化は、その意味を込め「グローバリズム」と呼ばれるようになる。
 トランプ氏を大統領に押し上げたのは、グローバリズムに押しつぶされる人々の既得権層に対する怒りだった。これを黙殺して貿易の自由化をさらにすすめる環太平洋連携協定(TPP)からの離脱は、当然の帰結といえるだろう。
 貿易立国の日本は戦後、関税貿易一般協定(ガット)や世界貿易機関(WTO)を成長と安定の土台にしてきた。このため自由貿易の停滞や保護主義の台頭を懸念する声は強い。
 だが、米国をTPPから離脱させる力は、過剰な利益追求や金融資本のマネーゲームに振り回され、暮らしが破綻に追い込まれつつある中低所得者層のぎりぎりの抵抗にある。その事実を直視しなければいけない。
 二十四日の参院TPP特別委で安倍晋三首相は「自由で公正な経済圏を作っていく。日本はそれを掲げ続けねばならない」と審議を続ける理由を説明した。
 強者の自由が行き過ぎて弱肉強食となり、社会の公正は蔑(ないがし)ろにされてTPPは行き詰まった。
 グローバリズムの欠陥、その象徴である経済格差を「公正」という価値観で是正しない限り、自由な経済は前に進めない。新たな対立を生みだして世界を不安定にする保護主義の台頭を防ぐことはできない。 ≫(11月28日付東京新聞社説)

移民の経済学
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東洋経済新報社

 

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●カストロはまだ90歳だった 歴史的人物に含めていた後悔

2016年11月28日 | 日記

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●カストロはまだ90歳だった 歴史的人物に含めていた後悔

 今夜はお疲れ気味なので、11月27日の日経新聞の記事をなぞりながら、何となくの感想を語ることで勘弁して頂く。朝起きると、胃カメラと大腸検査をWで受けるので、幾分ナーバスだ(笑)。

 社会主義を理想のイデオロギーとして半世紀、キューバ革命を実践していたフィデル・カストロ氏が亡くなった。個人的には、カストロの亡きあと、オバマとキューバが手打ちするのは勝手だろうが、どこかローマ法王は余計な親切をしてしまったのではないかと、必ずしも納得出来ない感情が残されている。アメリカとの雪解けで、明確にキューバ社会が経済的メリットが見えているのなら、まあ、仕方ないかの気分だが、そのメリットは殆ど見えていない。しかし、カストロやゲバラは、既に伝説の人だったので、カストロ氏が、まだ90歳であったことに、妙なリアリティーを感じている。

 原発推進の役人組織・経産省が、福島原発廃炉・賠償金の想定総額を、11兆円から、20兆円になるとして、財務省などと交渉する流れになっているそうだ。10年後には、50兆予算となって、有識者らの会議の俎上に乗ってるのだろう。同省が設ける有識者会議には報告するらしいが、唯々諾々役所の論点整理に乗るだけの有識者は、もう日本と云う社会には不必要なのではないだろうか。我が国は、デモクラシースタイルを学んだ欧米のパラダイムシフトに、もっと敏感であるべきだ。有識者と云うものは、最も現行の社会が普遍であることを望んでいる目付のようなもので、変化の危機において、最も役立たずな人々なのである。

 陛下の生前退位を巡る政府の有識者会議(座長今井敬)による、16人の専門家への意見聴取を実行している最中のようだが、退位そのものを否定するする立場のイデオロギーを持論とする人々の意見を聞くことが必要かどうか、疑問がある。彼らは、天皇の個人的意志を認めるべき立場にはない人々であり、合理的論理性があると云うより、“でなければならない人々”名のだから……。まあ、桜井よしこ氏や渡部昇一氏などはガス抜きでご意見聴取の必要性があったのかもしれない(笑)。

 配偶者控除の制度設計には、殆ど興味がない。根本的に、我が国が、100年後、どのような国であるべきかの、国民的コンセンサスの欠片すら見たことがないので、年収が103万であれ、150万であれ、あるべき社会の共通理念もなく、税制改正を屁理屈で弄り回しても、社会に与える影響はマイナスの部分がメインとなり、プラスの効果はスポイルされるだろう。

 トランプ次期大統領が決定後、理屈抜きで過激な「円安」が続いている。日米の金利差を考慮しても、動きは急すぎるし、ヘッジファンドの悪戯相場の最中にあると読むべきだろう。円安≒輸出増、このワンパターン連想ゲームも健在で、欧米中心に、相当のパワーでパラダイムが揺すぶられていると思うのだが、小生の感受性が強すぎるのか、怖がり過ぎなのか、まあ、半々で影響しているのだろう。まだまだ、目についた記事はあるが、この辺で寝ます。


 

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●煮え湯を飲む覚悟 領土棚上げで日ロ経済協力の先攻

2016年11月27日 | 日記

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●煮え湯を飲む覚悟 領土棚上げで日ロ経済協力の先攻

 以下、ロシア・スプートニク日本の記事を読むまでもなく、トランプ大統領の出現によって、ロシア・プーチン大統領側の対日姿勢が僅かではあるが、変ってきていると思える幾つかの事実が報道されている。国家間の外交上存在する問題は、そもそも論で双方の国に温度差がある。国家間の外交上の親密度は、敢えて男女関係で例えれば、愛人関係に近く、決して夫婦関係を望んではいけない領域の次元にあると考えておくものなのだろう。

 ≪ 岸田外相、プーチン大統領と会談へ調整
 日ロ両政府は、岸田文雄外相が12月2日にロシア・サンクトペテルブルクを訪れ、プーチン大統領と会談する方向で最終調整に入った。プーチン氏が北方領土問題の解決を急がない姿勢を鮮明にする中、同月15日に山口県で行われる日ロ首脳会談に向けて交渉加速を働きかける狙いだ。
 日本政府関係者が明らかにした。岸田氏は同月3日にモスクワでラブロフ外相と会談する予定で、その前にプーチン氏にも会い、北方領土問題を含む平和条約交渉の進展に理解を求める考えだ。サンクトペテルブルクはプーチン氏の故郷。
 プーチン氏は今月19日にペルーで行った安倍晋三首相との会談で、ロシアの領有権を前提に北方領土で合弁事業などを進める「共同経済活動」を提案。20日の記者会見では「平和条約締結の準備で駆け出すようなことをあまりしたくない」などと述べた。 ≫(朝日新聞デジタル)


 領土と云うものは、現に実行支配している側にとっては、前にも後ろにも、変らなければならない必然性はない。我が国が、実効支配している尖閣諸島の支配の形を、自らの意志で変えてしまった等と云う出来事は、本来の外交処方箋からは導き出せない、いびつな意思決定だった。この件を詳細に語る積りはないが、歪な思想を持つ政治家の個人プレイによって、火中の栗を拾う行為をした事実は消えないだろう。我が国は、凪状態の海原に渦をみずから作る国なのだから、ロシアが、その時々の世界情勢に鑑み、解決のエネルギー分散を変更しようとするのは、当然と見るべきだ。国家間の外交において、卑怯とか裏切行為とかのレベルで議論するレベルでは、外交そのものが出来ない国ですと白状しているに近い。

≪ なぜロシアは択捉・国後にミサイルシステムを配備した?
 ロシア大統領府のペスコフ報道官はクリル諸島へのミサイルシステム配備について、露日間の関係発展に影響が出てはならない、と述べた。日本の菅官房長官は、プーチン大統領の訪日準備にも日露間交渉にも影響は出ない、との考えを示した。
 一方、防衛省防衛政策局長の前田哲氏は、クリル南部への地対艦ミサイルシステム配備はロシア艦隊の太平洋への展開を確実化するものであり、極東におけるロシア戦略潜水艦部隊の行動圏を確保するためのものである、という見解を示している。
 22日、太平洋艦隊の公式新聞「軍事当直」の報道で、沿岸用ミサイル複合体「バル」と「バスチオン」がクリル諸島のイトゥルプ(択捉島)、クナシル(国後島)両島に配備されたことが明らかにされた。配備の正確な日時は明らかにされていないが、これが2011年に始まった一連の配備計画の一部であるのは明らかだ。それは、極東に、沿海地方南岸から北極に至る統一沿岸防衛システムを創設するという計画である。23日には岸田外務大臣が声明を出し、日本は事情を調べてしかるべき措置をとる、と述べた。
 来月プーチン大統領が訪日することを考えると、南クリル岩礁の二島に現代兵器を配備するというのはあまり時宜を得た行動とは言えない、と一部のメディアは報じている。が、戦略技術分析センターのワシーリー・カーシン研究員は「これは計画通りのことであり、単に諸島における軍事ポテンシャルを低下させないために行われることである。日本はもう長いこと、ロシアを潜在的な敵国と見なしてはいないし、今、日本との関係は非常に良好に推移している。しかし南クリルはやはり係争領土であり、そこに軍部隊は保持されるのだ。次世代兵器は計画通り、南クリル全域に配備されていくことになる」と話している。
 また、極東研究所日本研究センター長ワレリー・キスタノフ氏も、北東アジアの安全保障環境について語った。「今、軍拡競争が起きており、緊張が高まっている。領土問題を含め、大量の二国間係争があり、それぞれ緊迫化している。北朝鮮の核実験は日米韓の三角形による軍事協力の強化の口実になっている。韓国に次いで日本にも米国の対ミサイルシステムTHAADが配備されるという話もある。ロシアが極東における防衛ポテンシャルを強化するのは、主に米国のこうした計画を警戒してのことだ。」
  極東研究所日本研究センター上級研究員ヴィクトル・パヴリャチェンコ氏はスプートニクに対し、日本は今回のことをあまり心配しなくてよい、と語った。「なぜ他ならぬ今、このような騒ぎが突如持ち上がったのか。ロシアの東の国境付近における安全保障について決定が下されたのは1年前のことで、公式にも発表されていた。二島へのミサイルシステム配備は、ロシア軍の再装備及び国防ポテンシャル強化戦略の枠内で行われていることだ。1990年代から現在まで、ほとんど本格的な兵器はなかった。今問題になっているミサイルは防衛的なもので、これを攻撃用に作り変えることはできない。もちろん国境強化の意向は主権強化の願望を意味する。しかし、それは、1956年にソ連と日本の間で結ばれた条約をはじめとする国際条約の枠内で、我々が日本と交渉を行えない、ということではない。」
  日本の専門家の見解はどうか。東京財団研究員で、ロシア政治に詳しい畔蒜泰助氏は次のように指摘している。「この計画そのものはロシア国防省によって今年3月に発表されており、『年内には実施する』ということも併せてオープンになっていた。その意味では、事前の計画が実施されたにすぎないと言える。一部の日本の報道にあるように、プーチン大統領の訪日を目前にしたタイミングで、ロシア側がミサイル配備をぶつけてきた、というわけではないし、日本政府はこの点を理解している。ただし、日本の世論は別だ。
 それでなくても、先日のペルー・リマにおける安倍首相とプーチン大統領の会談で、特に領土問題に関しては、日本国民は『あまり期待している通りの方向には進んでいないようだ』という感触を受けている。そのタイミングでミサイル配備の報道があったために、さらに世論が過敏に反応する可能性がある。ぺスコフ大統領報道官も発言していたが、ミサイル複合体の配備が日露関係進展の流れに水を差すべきではない。日本の世論に影響が出ているのは確かだが、日露政府の間でちゃんとしたコミュニケーションがなされていれば、悪影響は最小限にとどめられるだろうし、そのように努力すべきであると考えている。」
 ペルー・リマにおけるAPECでプーチン大統領は、ロシアと日本の間に平和条約がないことは時代錯誤であり、それが両国の前進を妨げている、との見解を示した。「ロシアも日本も平和条約締結を誠実に望み、どうすればそれが叶うか、方法を探している。ひとつ確かなことは、この志向をあらゆる手を尽くして支持しなければならない、ということだ」とプーチン大統領は述べた。 興味深いことに、南クリル諸島におけるミサイルシステム配備のニュースは今日に至っても、ロシア国防省公式サイトに掲載されていない。 ≫(スプートニク日本)


≪ 冷水浴びせたプーチン発言 ナイーブな楽観主義的な対露政策を見直せ 新潟県立大学教授・袴田茂樹
12月にプーチン大統領が訪日し、山口で公式の首脳会談、翌日東京で実務会議が行われる。安倍晋三首相は当初、山口での会談に拘(こだわ)った。「静かな環境でゆっくり」つまり、平和条約問題を2人でじっくり懇談したいからだ。しかし経済協力にしか関心のないプーチン氏は、当初は東京での公式会談、それが無理なら山口と東京の双方を望んだ。大型経済代表団同伴が理由だ。結局首相はプーチン氏に押し切られた。
≪役者は露側の方が数段上≫
 9月6日、プーチン氏は記者会見で露記者の「東京でも伊勢志摩でもなく、なぜ山口なのか」との質問に「詮索したくないが、日本は米国追随だからだ」と答えている。伊勢志摩云々(うんぬん)の質問は素人的に見えるし、プーチン氏の答えも異様だ。だが私はこの質疑応答は奥が深いと思う。
 日本は今年先進7カ国(G7)の議長国だ。伊勢志摩サミットの後、同じ場所で首脳会談をすれば議長国が露をG7同様に扱う、つまり制裁の環(わ)を破ることになる。東京訪問にも裏がある。国家元首が公式に東京を訪問した場合、国賓として天皇陛下が会見される。
 これは最高の待遇であり、露がG7の制裁下にある状況では不適切だ。露側は首相が東京での会議を決断する前に、わざわざ「天皇陛下との会見は不要」と日本側に伝えている。首相がプーチン氏の東京訪問を渋るのは会見を避けるためで、それは米国の圧力故だと露が見ていることを示している。
 今年9月にサウジアラビアの国内序列では第3位のムハンマド副皇太子(31)が訪日した際、彼は若いにも拘(かか)わらず最高実力者なので、例外的に天皇陛下が会見された。もちろん安倍首相の配慮だ。こうなると、プーチン氏の東京訪問は、首相に対して「シンゾウ、お前は俺をムハンマド以下に扱えるか」との挑戦状を意味する。
 東京での会合は実務会議だとして天皇陛下と会見を行わないなら、その分首相は経済協力により熱心にならざるを得ない。露側に押し切られたと言ったが、会見が行われるにせよないにせよ、露側の方が役者が数段上の感がする。
≪一挙に冷え込んだ期待値≫
 さて、日露首脳会談と今後の日露関係を考えたい。露の通信社は19日のリマでの会談については平和条約を無視して専ら日露の経済協力進展のみを報じた。今年筆者はロシアで大統領府関係者や国際問題専門家たちと私的に話した。
 最も強い印象は、北方領土問題解決に関する日露の大きな温度差だ。わが国では2島先行論、2島+α論、共同統治論、さらに一部のロシア問題専門家は「2島どころか4島返還シナリオも動き始めた」とさえ言う。多くのメディアも、官邸やその周辺からの情報と称して、領土問題解決の期待値を高める楽観論を多く流した。
 これとは対照的に、露で話した人で、プーチン氏訪日で北方領土問題が具体的に前進すると考えている者は皆無だった。親日的なある専門家は、「たとえ色丹、歯舞が日本に引き渡されるとしても、100年か200年以上先のこと」と述べた。最近、国後島などへのミサイル配備も報じられた。
 日本側の楽観論に冷や水を浴びせたのが、10月末のソチでのプーチン氏主催によるバルダイ会議および今回のリマでの首脳会談後のプーチン氏発言だ。ソチでは平和条約締結に期限を決めるのは有害だとし、「日露間には中露間のような高い信頼関係はない」として、日本がもっと対露協力・信頼醸成に努力するよう促した。
 リマでは、「われわれは平和条約締結を前のめりで急ぎたくない」と暗に安倍批判をした。また、条約締結への道は簡単ではない、クリルは第二次大戦の結果今はロシア領だとし、さらに、56年宣言に基づく2島返還に関しても、何を根拠に、その後どちらの国の主権下に置かれるのか、いかなる条件で引き渡されるのか宣言には書かれていない、とも述べた。これらの硬い発言によって、わが国の楽天的幻想あるいは高い期待値も一挙に冷え込み、メディアの論調も一変した。
≪平和条約は「ふり」にすぎない≫  
実は、これらの強硬発言はプーチン氏自身が近年幾度も繰り返しているのだが、わが国ではメディアも官邸も経済省庁も無視した。あるいは知らなかった。そして、露が求める経済協力に熱心に励めば、目的の平和条約締結の諸条件が生まれるとナイーブに信じ全力をあげて努力している。 しかしこの対応は明らかに逆効果だ。つまり、露側としては平和条約の重要性は強調し大いに関心があるふりをしながら、その締結は無期限に延ばす方が、日本からいつまでも多くの協力を得られるからだ。近年のプーチン氏の言動がすべてそれを証明している。
 ではわが国は露にどう対応すべきか。異なる意味で、これまでの発想にとらわれない新アプローチが必要である。長期的な日露関係の安定も対露経済協力や対話継続も重要だ。しかし現実を直視すれば、ナイーブな楽観主義に基づく対露政策は見直すべき時である。 (新潟県立大学教授・袴田茂樹 はかまだしげき) ≫(産経新聞コラム)


 安倍・プーチンの蜜月情報に、日本の外交筋も、メディアも、墓穴の中で騒いでいただけと云う事実が輪郭を現した。おそらく、トランプ大統領が出現しようとしまいと、プーチン訪日による“サプライズなプレゼント”はないのだろう。ロシアが、日本を外交的に喜ばせなければならない理由がない。中ロと日露では、米国プレゼンスの違いが、議論するレベルにも達していないのだから、二国間の信頼度云々など、語るだけ無駄な状況と言うべきだろう。温度差があり過ぎる二国間問題を少しでも前進させようと、工夫を重ねることは、結果的に、後々重大な重荷になる可能性がある。であるならば、現時点おいては、ロシアやプーチンが望む外交問題の解決への協力を第一義と捉え、オバマとメルケルの意地悪に苦しむ大国を助けるだけで充分だろう。外交とは、時間軸を輪切りにしたとき、常ウィンウィンと云う年輪が見えるものではない。

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