佐藤功の釣ったろ釣られたろ日誌

釣り・釣りの思い出・釣り界のこと・ボヤキ.etc

マリアナ諸島・テニアン島の釣り・その1  1978年3月 

2009-06-03 16:44:46 | 釣り
離島遠征と言っても海外にまで釣りに行くなんて・・と釣りをしない人からみたらアホとちがうかと言われそうなテニアン島の磯釣り。

「テニアン」というと必ず「ケニア」と聞き返されるし、どこにある島?とまた聞かれる。

「広島に原爆を落とした飛行機が発着した島」というと、歴史に強い人ならば納得するが、それ以外の人は「?」となるので、グアム島の横にあるサイパン島の鼻の先にある島と説明すると解ってもらえるようだ。

日本からグァム島経由でサイパン島に着き、その空港で7人乗りのセスナ機をチャターするために、お互いに解らない英語と日本語で交渉して2機確保。人様と荷物(200キロ)に分かれてテニアン島に飛んだ。

10分とかからないくらいの近いところで、今さっき飛んで島を離れたかなと思ったら、もうすぐに降下していると言う距離。

そのテニアン空港たるや、バラック小屋で現地の人らしい女性が一人ですべての業務をやっている。今はどんな空港になっているだろうか?。現地でガイドをしている若い日本人の萩島青年がマイクロバスで迎えにきてくれた。

島の南部の、サンノゼ村にあるオリネシアロッジに向かう途中、現地の市長でロッジのオーナーでもある人の自宅により、長男のお嫁さん(実は日本人)と可愛いお嬢さんの歓迎を受けた。

飛行機を3度も乗り継いでやっとついた目的地。初めて乗ったセスナの助手席では、座席の横にある扉を上空に飛び立つまで手で押して開けておけと言われておっかなびっくり、体の横に何もないというのは、いい気持ちのしないものです。

夜釣りであるために、全員少し眠ろうと言うことになったが、期待の方が大きくてなかなか眠れない。早めの夕食を呼ばれた後、小型トラックの荷台に釣り具とともに全員が乗りこんで島の西側にあるガーデン岬に向かった。その北側にあるフレミング磯が、今夜から我々が挑戦する磯である。

サイパン島のグラトーの磯によく似た磯で、足下から海面まで10メートル以上ありそうな切り立った磯である。その水面上4mぐらいから内側に切れ込んでいる完全なオーバーハングの磯というか、手の平だけが海面上に突き出ていると言う感じの磯である。

サイパン島のグラトーの磯と同じようであったが、太平洋の波が下から突き上げてくると乗っている棚が時々揺れたので気色悪かったが、ここはそれほどでもない。

今回の遠征は北摂FCのメンバーで簗瀬氏、花田氏、榎木氏、弓削氏、と私の5人である。今はこのうち私と弓削氏の2人以外の方々は次の世に旅立たれた。寂しいかぎりである。

まだまだ開拓されていないこのフレミングの磯、ジャングルをジープで抜けてくる途中で見かけた大トカゲ、そしてヤシの木に登っているとばかり思っていたヤシガニが磯の岩の中にいたり、日本では見ることのない大自然での釣り。

この暑さのなかでの巨大魚とのやり取り、考えただけでも武者震いがおきてくる。
折から太平洋の彼方へ刻々と沈んでいく大きな太陽に向かって第一投を振り込んだ。リールはセネターの4.0、道糸はトトの100番、エサは日本から持ち込んだサバ、アジにサンマである。

磯の先端に立つと180度見渡す限り遮るものがない紺碧の海。ベタ凪で太平洋に
映える夕焼けは何ともいえない美しさがある。

この豪竿を曲げて上がってきた第一号は、いつもながらの嫌われ者でスポーツフィイッシングとしては格好の1.5mほどのサメで、よいしょと磯の上に放り上げた。

サイパン島の夜釣りでイヤというほどこのジョーズ君には振り回されたが、このテニアン島でも同じように悩まされるのかなーと思っていると、簗瀬氏が大あわせの後、一気にリールを巻き上げた。水面を割って顔を見せたのは1mまでもいかないが90センチクラスのアカマス。

この魚は大変馬力のある魚で、並みの力ではとても一人で立ち向かえないのであるが、怪力の簗瀬氏にかかればこの魚もオダブツである。

この魚を釣った人でなければ、この魚の力は分からないだろうが、3匹も釣ると本当に疲れてしまう。

そして全員の竿にアタリが出だして入れ食いの状態となってきて、お互いに肩の入れあいになって、一人では対処できない状態がしばらく続いた。

ここの磯はたいへんもろくて、ピトンが打てない岩なので日本から持ち込んだ接着剤を使用してピトンを固定しなくては竿が置けないのである。

このようにしてピトンに掛けてあった弓削氏のクエ竿を何の苦もなくへし折って逃げていった魚がいた。道糸だけなら何度も引きちぎられているが、一瞬にこのごついクエ竿を折り曲げていく魚、どんなのがいるか想像がつかない。釣り荒れしていないテニアン島、さすがである。

そんな時、私が投入したときにトトの糸がパーマになってしまった。この忙しい時にと思いながらもパーマを解いていたら、突然その糸が走った、あれだけがんじがらめであった糸が、一瞬の内に解けてアレヨ、アレヨという間に出ていった。

もう糸がないと思われたときに魚の走りが止まった。一気に100m以上は出て行ったであろうが、そこで体勢を立て直して巻きにかかった。あの勢いで糸が出ているときにストップでも掛ければガイドを引きちぎってリールごと持っていかれるであろうから。

こんな勢いで走っていった獲物は何であろうかと暴れまわるのをあやしながらどうにか見えるところまで引き寄せてきた。上からライトを照らしてみると、優に1mはあるイソマグロであった。

このフアイトある魚とのやり取りの後、小休止としガイドの萩島氏が差し入れてくれたニギリメシをほおばったが、その時の水の上手かったことは生涯忘れることはないだろう。

そして全員が次から次へ掛かってくる魚に振り回されてクタクタになり、誰からともなくこのゴツゴツした岩の上で体を横たえていつしか眠ってしまった。

肌寒さを感じ、ふと目を覚ますと夜明けが近い。午前4時30分、みんなを起こし、熱いコーヒーで体を温め、朝一発の大物に再挑戦することにした。

空がうっすらと明るさを取り戻してきた頃、簗瀬氏の穂先のライトが激しく上下した。よし来たとばかりに両手に竿を持ち「ヨイショー!」と大きくあおったが、その途端に煽ったぶんだけ引き戻された、両足を岩に踏ん張りながら魚の引きに耐えているが、すさまじい勢いで今にも引き倒されそうになっている。

ガイドの萩島氏が見かねて肩を入れたが今にも竿は折れそうに曲がっている。ひょっとすると待望のヒラアジか?。仲間全員の目が点になっている、今回の釣行では、まだ1匹もヒラアジが上がっていない、ヒラアジでありますようにと念じつつ、この強烈な引きに耐えて上がってきたのはなんと大サメ。

突進力はないのだがパワーはすごい。怪力の持ち主の簗瀬氏をもってしてのこのファイト、スポーツフィッシングにはもってこいなのかもしれないが、3mからなると、ちょっとやそっとのことでは無理な相手である。

この朝の納竿まえにきたサメは、榎木さんの竿を引きずりまわして後、みんなで引き上げたが、優に5、60キロはあっただろう。こいつを記念撮影してその日の釣り納めとした。

写真は松永正津氏の獲物の魚拓です。

明日は、「海上釣堀王」の撮影に三重県のベン屋さんにいきます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする