ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2024.3.29 フェスゴ2回目7日後のこと 旅は4日目 アドリア海の女王、夢の浮島ヴェネチアフリータイムの過ごし方

2024-03-30 04:26:06 | 

 昨夜は今回の旅行で一番遅い時間の就寝となった。なんとなく時差ぼけから脱して起きていられるようになったのか。日付が変わる前に眠りに落ちたようだったが、夫が先に軽い鼾をかき始めた。
 そして、1時間ほど眠ったかどうかの時間に腹痛で目が覚める。貧血や低栄養の症状を少しでも改善せねば、と昨日は結構頑張って食べることが出来て、頭痛も減ってきたと嬉しく思っていた矢先のこと。やはり食べ過ぎだったか。下痢ではないけれど、軟便。

 少しスッキリしたと思ったが、その1時間後、少しウツラウツラとしたのにまた腹痛。今度はあっという間に下痢になった。お手洗いから出られない。すっかり水様便。このところ平らだったお腹が少し丸みを帯びてきたなと思っていたのに、またしてもぺっちゃんこになってしまった。動けない。1時間ほどお手洗いに滞在したか。ようやくベッドに戻る。夫は気持ちよさそうに眠っている。

 夜中の3時。予定ではまだ4時間は眠れるのだが、腹痛が収まらず、なかなか入眠できずじまい。隣の夫が気持ちよさそうに鼾をかいているのが憎らしい。
 夫は6時まで一度も目が覚めなかったという。羨ましい。私はかくかくしかじかで、と夜中にお腹を壊した話をする。もう眠れない。ノロノロ起きて身支度をする。

 階下のレストランへ朝食に降りる。お腹はすっかり空っぽだ。胃が痛むような感じ。数名の宿泊客が並んでいたがほどなくして案内される。天井を見ると、ルーフガーデンになっており、眺めが良い。卵料理やハム、ベーコン、サラダにフルーツ、ヨーグルトとクロワッサンやケーキなどのベーカリーが沢山並んでいる。恐々ととって少しずつお腹に入れる。生絞りのオレンジジュースが美味しい。食後はカプチーノを頂く。

 今回の旅で初めて、出発時間に囚われずに済む朝食だ。昨日も一昨日も集合時間があったので、朝食は慌ただしさを免れなかった。今朝は気分的にリラックス出来た。明日も集合時間があるので、自由行動日、大切な時間だ。

 レストランでは、同じツアーの二組のご夫婦とお一人の男性の姿を見かけたが、今日は皆さんどうするものやら。フィレンツェまで電車で往復するという強者もいた。途中、添乗員のTさんがお顔を見せてくださったので、明日の確認等を済ませる。

 部屋に戻って母にMeet通話。なかなか出ないので諦めて切ろうとしたところ、ようやくキャッチしてくれた。日中にLINEで写真を送ったところ、何やらこちらの真夜中に不在着信等があった。時差があるのに困ったものだ。ともあれ元気そうだったので、ほっとする。部屋の様子や部屋から眼下に見える運河の様子等を実況中継して、また自由行動の日に連絡するからねと通話を切った。

 さて、自由行動、今日は何をするか、どこに行くかだが、無理せずこの辺りをそぞろ歩きすることに。
 今回の旅で初めて、雨降りでない一日の始まりだ。薄曇りだが、気温は一桁からせいぜい10℃あったかどうかの昨日迄に比べて、5,6℃高い。夫は薄いジャンパーに着替えている。私はなんとなくお腹が心配で、まだ冬のコートが脱げないが、さすがにインナー二枚重ねはなし。
 まずはリアルト橋を目指す。以前は木製だったが16世紀末に現在の石造りに変えられたという。ガイドブックには、一日中人で溢れて活気に満ちているとあったが、本当に押すな押すなの凄い人である。橋の両脇にはアクセサリーやお土産、カーニバルのお面等の洒落たお店が軒を連ねている。ちょっと覗きながらも絶対スリに注意!の場所である。

 それにしても、どこを見ても絵になってしまうので、ついつい写真撮影のタイミングが増える。橋からは市民と観光客の足、ヴァポレット(水上乗り合いバス)やゴンドラが行き交う様子が楽しい。水辺のカフェやレストランでは遅い朝食を摂っている人たちが沢山。

 次なる目的地は魚市場。旅先では必ず市場を外さない市場フリークの夫である。アドリア海で取れた魚介類を始め、野菜や果物も並び、赤黄緑紫オレンジと色彩の洪水。トマトの種類が多く、見慣れない野菜も色とりどり。
 香辛料のお店も並んでいる。深海魚のちょっとグロテスクな顔が凄い。生臭い匂いに飽きたところで、夫が、喉が渇いたからどこかでお茶をしようと言う。どうもお腹が心配で、そういう気分になれない。

 自分のお土産にムラノガラス製の小さなゴンドラの置物と、ガイドさんから美味しいとお勧めされたお菓子屋さんでゼリーのお菓子を買い求め、一旦休憩したいとホテルの部屋に戻ってきた。
 お掃除がまだだったので、お茶を淹れて一服して仕切り直しだ。特にどうしても行きたい処もないが、今日が昨日の日程だったらよかったな、と思う。雨風の中、鐘楼に上ってハラハラすることもなく、見晴らしも良かっただろうに。とはいえ、こうして時折日差しが差す傘不要の日になってくれたことは有難い。街の全く印象が違う。

 少し休んで水分補給してちょっとだけ元気になる。厚い冬のコートを脱いで、風を通さない春物のコートに着替えて、再びホテルを出る。こんなことが出来るのもホテルの立地が良いからに他ならない。
 さて、そろそろお昼の時間だ。徒歩5分もかからないサン・マルコ広場に行ってみると、昨日とは比べ物にならない人出。満員電車並みである。押すな押すなという感じで、辟易する。
 街歩きしていてとにかく腹立たしいのは歩きタバコが多いこと。建物内での禁煙が徹底していることで、逆に外は無法地帯なのである。これは政策として片手落ちではないか。喫煙場所をきちんと作ればよいのに、と思う。
 せっかく外気を吸いながら、いきなり煙が顔にかかる感じの不快さといったら。どんどん不機嫌に無口になってしまう。マスクをして歩けばよいのかもしれないけれど、それはそれで息苦しい。

 サン・マルコ広場に面した“カフェ・フローリアン”の列に並ぶ。殆ど待たずに窓際の席に案内された。創業1720年、現存する最古のカフェだそうだ。常連だったというゲーテやプルースト、カサノヴァの名前を見るにつけ、この店が積み重ねてきた歴史に圧倒される。
 カフェ・ラッテの発祥の店というが、今日は夫も私もオリジナルの紅茶をチョイス。ポットには優に3杯ほど、さらに差し湯、ミルクとレモンもたっぷりついている。クロワッサンサンドイッチやホットサンドイッチをシェアする。銀のトレー一杯に載せられた食事と飲み物はテーブルをはみ出すほど大きい。相変わらず空腹は感じながらもお腹が心配で、1対3で夫に頑張ってもらう。

 ガラスがトントンと鳴る。ん?と顔をあげると、なんと添乗員のTさんと夫と同郷のNさんが二人で手を振っている。びっくり。いやはや、よくぞ探してくれました、である。お互い中からと外から写真を撮りあいっこ。
 お手洗いと支払いを済ませ、再び散策開始。

 何処を歩いても空気を汚す煙草吸いが多いので、不機嫌になる私だ。ハイブランドが軒を連ねる通りを歩きながら、そこかしこにある立派な教会に入ることも忘れない。中にいれば煙を吸うことがないのだが、外に出た途端、煙が暴力的に襲ってくる。

 夫が船に乗って対岸のサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会に行ってみないかと言うが、どこも人が多く、なんだかとても疲れている。足裏も痛いし、明日はまた皆さんについていかなければならないし・・・、と写真だけ撮ってホテルに戻らせてもらうことに。

 それでも5時間近くの外出で、万歩計は既に1万歩を超えていた。お腹に力が入らず、寝不足がボディブローのように効いている。せっかくだから、もう来ることはないだろうから、という気持ちはあるが、今回はとにかく来られたことだけで十分幸せなので、“欲張らない”が私の中のキーワードだ。ゴンドラにも乗って迷路のような街を十分歩いたし、もうこれで十分。

 部屋に戻ると綺麗に整えられた部屋が迎えてくれる。昨日と打って変わって窓を開けていても部屋が暑いくらいだ。ちょっとウトウトとしていたら、夫は本格的にお昼寝中。
 夕飯を食べに出かけないと、だが、そもそもイタリアンは大好きなのだが、お腹のことを考えると、うーん、また重たい食事はどうしたものやら、である。

 夫がガイドブックで見つけた、小さな橋のたもとにあるトラットリアに行ってきた。予約なしで混雑していたけれど、幸いにも入口の2人席にすぐに通された。ヴェネツイア料理が充実とのこと。お勧めのムール貝やアサリのワイン蒸し、魚介のフリット、ラザニアを注文し、デザートまで楽しんだ。どれも美味しかった。ウエイターは陽気なおじさんで、皆、赤いベストをお揃いで着ていた。

 そんなこんなで2連泊のヴェネツィアに早くも別れを告げ、明日は午前中花の都フィレンツェに移動する。
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