ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2015.11.30 がんになってからでも遅くない、自分に伝えたい10のこと

2015-11-30 21:19:05 | 日記
 ハフポスト日本版で気になる記事を見つけた。以下、長文だが、転載させて頂く。

※   ※    ※(転載開始)

キンバリー・フィンク がんサバイバー、がんや慢性疾患の患者をつなげるウェブサイト「Treatmint Box」設立者 投稿日: 2015年11月26日 16時18分 (ハフポスト日本版)

がんになる前の自分に伝えたい、10のこと
 がんになる前に知っていれば良かったのに、と思うことがいくつかあります。それを知っていれば、将来に可能性を見つけ出し、今日、明日、さらにその先の日々を受け入れる助けになるでしょう。がんになる前の自分と話せるとしたら、私はこの10のことを伝えたい。

1. いつもポジティブでいる必要はない。
 弱気になる日もあります。でも大丈夫。いつもポジティブでいる必要はありません。苦しみを抱えていてもいいし、失ったものを嘆いてもいい。調子の悪い日があってもいいのです。

2. 新しい考え方を取り入れる。
 がんになる前の自分に戻りたいと思うのは自然なことです。だけど以前のようにはいかないこともある。それを受け入れましょう。思い描いていた人生や、一番大切にしていたものを、がんは大きく変えてしまう場合があります。だから過去の自分と現在の自分に折り合いを付けるために、変化を受け入れるのは自然なのです。

3. 治療は予定した通りには進まない。
魔法の杖はありません。治療は時間がかかるものです。長い時間をかけて向き合っていかなければいけません。なるようになる、と気付くまでに多くの痛みを感じることでしょう。それに治療は順調に進むものではありません。体調が良い日もあれば、起き上がるのがつらい日もあります。三歩進んで二歩下がるような気持ちで前へ進み続けましょう。

4. 治療の方法は千差万別。
 治療には決まった方法も予定表もありません。回復の仕方はそれぞれ違います。がんを経験した人たちには、それぞれ違った生き方があります。感情的な痛みにどう対処するか、どういった治療をするかが生き方を大きな影響を与えます。ある人に合う方法が、別の人に合うとは限りません。がんに支配され、自分自身や生き方を左右されないために、自分にあった治療法を見つけましょう。

5. がんと戦っている以外の自分を発見する。
 がんになる前の自分を思い出せなくなると、心身ともに消耗してしまいます。でもそんな時間は段々少なくなります。気持ちが落ち込んでしまうと大好きだったものを忘れてしまいます。それを思い出すようにしましょう。夢中になれる新しいものをみつけましょう。

6. 命には終わりがあるという事実を受け入れる。 しばらくは将来について考えられないかもしれません。計画を立てたり、20年先の人生を想像するのも嫌かもしれません。人生はめちゃくちゃで計画を立てるのも予測するのも不可能だと感じる時もあります。だけど「命には限りがある」という事実を受け入れれば、力が沸いてきます。その事実に立ちすくんでしまうことも、受け入れて前へ進むこともできます。受け入れられれば、ストレスの多い世の中でも心を平和に保てるのです。

7. がんを克服した人たちとつながる。
 友人や家族に理解してもらえないと感じる時は、同じ気持ちを持っている人たちとつながりましょう。がんを経験すると世の中が軽薄でばかばかしく感じてしまうことがあります。それは孤独なことです。そんな時、気持ちを理解してくれる人はあなたの助けになります。自分は一人ではないと気付けば勇気付けられ、治療を続けるための力の源となるのです。何より避けなければいけないのは、苦しみの中で孤立してしまうことです。

8. 自分に優しくする。
 弱い自分に優しく寛大になるのは難しいことです。苦しみから抜け出したいのに、前へ進む方法が見つけられないかもしれません。意志の力で弱さを克服できないのは、想像以上につらいものです。だけど弱い自分に優しく寛大になってください。あなたはこれまでに多くを乗り越えてきたんです。焦ってはいけません。

9. 毎日を精一杯生きる必要はない。
 限られた時間しか生きられないとわかると、毎日を精一杯生きなければいけないと思ってしまうかもしれません。でも、そんなプレッシャーを抱えながら毎日を過ごすことはできません。掃除や買い物をしなければいけない日もあります。いつ死んでもおかしくないと知っても、日常が止まるわけではありません。生きている実感と止まらない日常のバランスをとれるようにしましょう。

10. 悲しみは癒しだ。
 失ったものを悲しんでもいいんです。悲しめば、生きていることに感謝していないように見えるかもしれないという理由で隠さないでください。悲しみは、隠すと大きくなってしまいます。変わってしまったことや失ってしまったものを悲しみながら、感謝の心を持つことはできるのですから。

(転載修了)※    ※     ※

 それぞれについて、本当にそうだ、と思う。そして、何より、がんになる前に知っておきたかったといわずとも、なってからでも十分間に合うと思う。がんになって、随分長いこと再発治療を続けてきている私だけれど、この10のことを思えば、これからの人生、もっと素敵に過ごすことが出来ると思う。以下、自分に当てはめて書いておきたい。

1. いつもポジティブでいる必要はない。
 このことについては、既に何度も書いてきている。ポジティブでいる必要がない、というよりポジティブでいられない日がある、と言った方が正しいと思う。治療を続けながら、いつもいつも調子が良いというのはありえないとも思う。それでもめげずに、朝の連続テレビ小説の主題歌ではないが、今日思い通りにいかなかったら、明日また頑張ろう、でいいと思う。

2. 新しい考え方を取り入れる。
 がんになる前の自分に戻りたい、そう思うかと問われてちょっと躊躇う。もちろん11年前の初診が間違いで今もなお元気でいたら、間違いなく別の人生を歩んでいただろう。けれど、がんになったこと、そして再発したことについてはもうすっかり受け容れている。そして、がんになったからこそ気付いたこと、得たことも少なからずある。人生全て自分の思い通りにはならない。だからこそ、人智の及ばない部分に畏れを抱きつつもそれを受け容れ、折り合いをつけながら日々を送っていくことが今の私にとって自然なことだと思う。

3. 治療は予定した通りには進まない。
 そう、なるようになると思えば肩のチカラは大分抜ける。もちろん、魔法の杖があったらな、と一度も思わなかったといえば嘘になるが。治療には時間もお金もかかる。そして今やエンドレス。人生が続く限り治療からは開放されない。体調が良い日、悪い日、いろいろある。三歩進んで二歩下がるどころか、二歩進んで三歩下がる日もある。けれど、細く長くしぶとく、あせらずあわてず諦めず、これからも、長い目でみれば身体にマイルドな治療を選んで続けていきたいと思う。

4. 治療の方法は千差万別。
 そう、自分の治療が他の人にとってもベストな治療ではない。そして、各々が考え抜いて決めた治療についてとやかく言うことは失礼なことだ。各々の生き方にあった治療を選ぶことが出来れば、それが一番だ。そのためには自分の生き方をもう一度見直すことが必要になるだろう。
 前の項目3.にも通じるけれど、色々な治療を経験してみた結果、寝込んだり入院したり、と仕事に行けなくなるようなハードな治療ではなく、少しでも身体にマイルドな治療、今までどおりの暮らしを少しでも長く続けられる治療(それで結果的に余命が短くなったとしても)を、出来るだけ細く長く続けていくことが私にとってベストな選択だと思っている。

5. がんと戦っている以外の自分を発見する。
 不思議なことだけれど、大好きなものが自然に近づいてきてくれるようになったように感じている。もちろん、自分から呼び寄せているのだろうけれど、夢中になれる新しいもの、それは私にとってヨガや瞑想なのかもしれない。ニュートラルで心穏やかにいられるため、今や私にとってなくてはならないもの。
 再発進行がんであることを忘れていられる時間が長いことはとても幸せなことだ。これまでどおり仕事をしている時も、本を読み、映画を観ている時も、歌っている時、文章を綴っている時もそうである。幸せなことである。

6. 命には終わりがあるという事実を受け入れる。
 今の私の状態で10年後、20年度のことはリアルに考えられない。息子の結婚や孫の話をされるとちょっと切ない。けれど、それは厭世的な話というわけでもない。人として生まれてきたからには、必ず旅立っていかなければならないのも厳然たる事実。
 「命には限りがある」という事実を受け入れれば、俄然力が沸いてくるというのも本当だ。だからこそ、生ある者として、その事実に畏れを抱きながらも、きちんと受け入れる。そして、心を平和に保って日々を送ることが出来るのだと思う。

7. がんを克服した人たちとつながる。
 今年2015年は、お正月早々から治療を続けていたお友達や先輩、職場関係の方たちとの悲しいお別れが数多くあった。確かに命の終わりについて特に意識することなく、ごくごく普通の生活をしている健康な人たちを見ると、孤独を感じてしまうことがないわけではない。
 けれど、私にはまだ共に分かち合える患者仲間がいる。このブログを読んで共感してくださる方もいる。寄り添ってくれる家族がいる。自分は一人ではないと気付いている。だからこそ、日々を大切に送っていくことが出来る。克服した人、と限定しなくとも(再発したら完全に克服することはごくごく難しい。)がんと共存していこうと治療を続けている人とつながることで十分なのだと思う。

8. 自分に優しくする。
 自分に厳しく、人に優しくが一番だと思ってきたので、自分に優しくするのは甘えだ、とか自己愛的なナルシストだとかいう固定観念に縛られるきらいがある。けれど、弱い自分もこれまた間違いなく自分。そんな自分に優しく寛大になるのは治療を続けていく上で大切なこと。
 逆説的かもしれないけれど、人に優しくするためには自分に優しくなくては、とも思う。意志が弱いから、と自分を痛めつけるのは止めよう。こんなに長いこと頑張って、その都度、その都度のピンチを乗り越えて、今を迎えることが出来たのだから。

9. 毎日を精一杯生きる必要はない。
 これは本当にそうだ。限られた時間しか生きられないと分かってから、もうシャカリキになって毎日が悔いないように、いつ断ち切られてもいいように日々を精一杯生きなければいけないと思い、あれもこれも、と精一杯頑張り続けてきた。そして、とてもとても疲れてしまった。やはりそんな生活は長続きしない。ちゃんと休まないと身体も心も疲れ果ててしまう。
 人と会うこと、何かを始めること、どこかに行くこと、それ以外にも日々こなさなければならない仕事も家事もある。いつ死んでもおかしくないと知っても、日常が止まるわけではない。本当にそうなのだ。生きている実感を求めすぎて、ふと立ち止まること、お休みすることを恐れていたら、必ずや身体も心もバランスが崩れる。燃え尽きないように日々を大切に過ごしたい。

10. 悲しみは癒しだ。 
 病を得るまでは、涙を流して悲しむことはいけないことのように思ってきた。けれど必要以上に我慢が美徳、と自分の気持ちを抑えこむのは良くないことと知った。悲しみたいと心が叫ぶ時はうんと悲しむ。大切なお友達を見送らなければならなかった時、めそめそが少し続いても決して恥ずかしくない。それは決して自己陶酔などではない。
 その時その時に素直な気持ちで悲しむからこそ、生きていること、生かされていることに感謝できるのだ。無理に自分の気持ちを隠しているとどんどん辛くなる。きちんと悲しみを昇華するためにきちんと悲しみたい。

コメント (2)
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